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2011年9月30日 (金)

ニッキ・パロットNicki Parrott の新アルバム「君の瞳に恋してる」登場

この新作、ゴージャスと言うけれど??

Cantstakemyeyesoffyou 「Nicki Parrott / 君の瞳に恋してる Can't Take My Eyes Off You」 VENUS VHCD-1057 ,  2011

 おやおや早いですね、ニュー・アルバムの登場です。前作「LIKE A LOVER」は、ケン・ペプロスキー(テナー・サックス、クラリネット)とのデュオで結構私のお気に入りだった。(まだ半年少々前ですから新作リリースは早いと言えば早い)
 今回も当然彼女のベースとヴォーカルが中心ですが、バックは豊富になった。

   Nicki Parrott : vocal & bass
   Harry Allen : tenner sax
   Lisa Parrott : alto sax
   Chuck Redd : vibraphone
   John Di Martino : piano
   Alvin Atkinson : drums

と、言う布陣ですね。やはりこの特徴はビブラフォンが入ったことでしょうかね。彼女の姉のリサも相変わらずアルト・サックスでバックを固めています。

Cantstakemyeyesoffyoulist_2  収録は左の13曲、まさに1960年代回顧ですね。そしてどちらかというとポップス・ナンバーが目に付く。
 冒頭の”Can't take my eyes off you”からベース、ビブラフォンがなかなか生きた録音で耳に飛び込んでくる。これが今回のアルバム・タイトル曲だからと思って聴いたが、なんか中途半端、中盤で彼女のベースの演奏とそれに切り替わってビブラフォンという演奏スタイルで聴かせてはくれるのだが、しょせん曲の印象がジャズとして期待するとやっぱり少々無理だ。ジャズとしての深みに欠けるし、リズムもただ引きずっているだけで、むしろイージー・リスニングに聴こえるのだ。
 そしてなんとこのスタイルが最後まで延々と続く。中でもやっぱりジャズ・ナンバーのほうが、それでもいいかなぁ~と言うところ。3曲目の”detour ahead”になって、ようやくサックスをバックに彼女らしいスタイルが見える。
Nickiparrott1  取り敢えず納得に近いものをその他挙げると”Love dance”と、”skylark”と言ったところか。
 ”let's face the music and dance”も中盤のジャズ・アレンジには、それなりの楽しさも感ずるが、またまだ完成度は低い。

 ジャズ・ベースを演奏し、しかもなかなかキュートな歌声で期待のアーティストであるが、あまりセールスを狙ってポピュラーとの関係を誤ると、少々つまらない作品になる。そんな意味で、今作は前作「LIKE A LOVER」と比較するとやはりワンランク落ちる。

 まあ、一休みのお遊びとして今回は聴いておこう。
 

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2011年9月28日 (水)

秋の夜長の回顧シリーズ(5) : 全てはペレス・プラードPerez Prado楽団から始まった

日本に音楽革命を起こしたペレス・プラードの”セレソ・ローサ”

 夜が長いと言うことは、音楽を聴くものにとっては有り難い。やはりこうゆう時にこそ私自身の回顧もしながら音楽を聴いてみたい。

Prezpbest_2 ペレス・プラードPerez Pradoと言っても、今の若者には多分”それってな~に?”ってとこだろう。しかし多分戦後日本に於いて外国の音楽の楽しさを教えてくれたのは彼であったろうと言っても間違いない。 彼の率いるペレス・プラード楽団といえば、イコール”マンボ”だ!!。左のアルバムはその音質改良版のSHM-CDのベスト盤である。

「マンボNo.5 ペレス・プラード Perez Prado  Best Selection」 Universal Music  UICY 80035 ,   2009

 とにかくキューバで昔からのルンバのリズムをジャズ・アレンジして作られたという1940年代に生まれた新しいリズムの”マンボmanmo”を世界に広めたのはペレス・プラードだ。そして1950年代になって、なにはともあれ日本で大ヒットした曲は”セレソ・ローサcrezo rosa”として愛された”cherry pink and apple blossom white”だ。当時まだSP盤(78回転)で売られたもの。
Prezbestlist このベスト盤に納められた曲は左のような28曲、ここにはラテンものから日本でヒットしたポピュラーものまで、全てが彼の手でマンボのリズムにアレンジされて演奏された曲集である。
 ここには彼の18番である”マンボNo.5”、”闘牛士のマンボ”、”タブー”、”マンボNo.8”などステレオ録音で収まっている。と、言うことはここに収録されたものはヒット当時のオリジナルでなく、その後に演奏されたものである。それが実は聴いていて残念ながら虚しいのだ。ヒット当時の演奏の迫力がない、リズムも切れが見られないなど全盛期を過ぎた末期の彼の楽団の演奏集なのである。私にとっては決して納得いくものではないのだ。

Prezpdance そこでちょっとゲテものっぽいCDがある(左)。

「ダンス・ミュージック マンボ Let's Dance MAMBO NUMBERS」 AILE DISC GRN-2067 ,  1991

 これがなかなか泣かせるCDなのだ。ここにはペレース・プラード楽団8曲、ザビア・クガート楽団6曲の計14曲が収まっている。
 これがなんとモノラル録音もあるオリジナル・ヒット演奏なのだ。
 特にペレス・プラードが1949年にキューバからメキシコに渡って楽団を結成しての初ヒット”エル・マンボmambo jambo(oue rico el mambo)”、そして1950年になっての大ヒット”マンボNo.5”、”マンボNo.8”は当然オリジナルで聴ける。
 彼はマンボということで、ジャズ又はラテン音楽と考えやすいが、そもそもは両親はなかなかのインテリで、彼には子供の頃からクラシック・ピアノを学ばせていたという。次第にポピューラーに興味を持ったと言うことだが、そんな音楽的基礎があっての彼のマンボなのである。

Prezdancelist 納められた14曲は、左のとおりである。
 そしてなんと言っても、日本に於ける大ヒットは1955年の映画「海底の黄金」の主題曲であった”セレソ・ローサCerezo Rosa (cherry pink and apple blossom white)”だ。私はこの曲を聴いて育ったようなものだ。あのトランペットの歌い上げる音に、ペレス・プラードのかけ声、そしてブラス合奏とボンゴ、コンガによる刻むリズム。日本にとっては革命的音楽であった。この曲もこのアルバムに納められた演奏が切れがあっていい。
 ”闘牛士のマンボ la macarena”、”タブーTaboo”など日本中で愛されたのだった。
 そして私に決定的なパンチが来たのはローズマリー・クルーニーの唄とペレス・プラード楽団の演奏の”キエン・セラ Sway”だ。この曲の快感は今聴いても何十年前と同じである。

 これらの曲によって外国には素晴らしい音楽があると知らされたわけだ。日本人にはこのラテン音楽の流れからのマンボは、ほんとに愛された。ペレス・プラードも日本を愛してくれた。彼ほど日本に来て演奏をした回数は右に出るものがないであろう。

 この後はエルビス・プレスリーへの流れが私を襲うわけである。いやはや秋の夜長の回顧は語るに尽きない。(この話はどうももう少し続きそうである)

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2011年9月26日 (月)

秋の夜長の回顧シリーズ(4) : ローズマリー・クルーニーRosemary Clooney

彼女の芸達者には脱帽

 ベスト盤アルバムの否定論者の私が、この回顧シリーズではベスト盤を中心に再検証しているという皮肉な状態に陥っている。その取り上げる女性ヴォーカリスト盤の一つがこのローズマリー・クルーニー盤である。

Rosemarytheessential 「The Essential  ROSEMARY CLOONY」 COLUMBIA CK90861 ,  2004

 彼女の話をすると歳がばれるが、実はリアルタイムに私はそのヴォーカルに魅せられた一人なのである。
 このアルバムは、彼女の1940年代から50年代の多岐に渡る多くの作品からの寄せ集めであるが、まあ絶頂期のものだけあって聴き応え十分だ。

 そもそも彼女はアメリカのケンタッキー州にて、1928年生まれ、1945年に歌手デビュー。その後は人気上昇して映画女優としての活躍も花咲いた。
 彼女の歌う範囲はジャズ系ではあるが、どちらかというとポップス寄りにあると言っていい。ビング・クロスビーとの共演が有名だが、実は私がこのローズマリーに関心はあったが、完全に魅せられたのはラテンものなんです。それもなんとあのペレス・プラードとの共演の曲”キエン・セラ Sway”でした。この曲のペレス・プラード楽団の刻むリズムといい彼女の歌声の迫力は、私にとっては日本の音楽はぶっ飛んでしまったんです。どちらかというと洋楽(当時の表現)に興味を持った原点に近いものなんですね。最も1950年代のエルビス・プレスリーも私にとっては重大ですが。
 残念ながら彼女は2002年に亡くなっていますが、とにかく彼女を回顧するには、今も手に入るこのベスト盤は価値があります。

Rclist1 収録曲は左のように16曲、トップの”Come on-A my house”は1951年の陽気な曲で彼女を一躍有名にしたもの。日本でもその後10年以上盛んにラジオで流れていた。アメリカは何せ戦後は日本人において全てあこがれの国でしたからね。”mambo Italiano”このヒットも凄かったですね。日本で子供も大人も唄ったものです。


Rclist2 その他”Tenderly”などはがらっと変わって、今のジャズ・バラードの原点的なしっとりとしたムードがあります。いやはやこうした曲にはうっとりとさせられたものでした。”hey there”、”you started something”などもそのタイプです。”Half a Much”も良く聴かれた曲だ。このアルバムを聴いただけでも如何に彼女が芸達者であったかが解ろうというところ。
 このベイト・アルバムは、オリジナルを集めたものであるが、当時はLPもないころのものもあり、よくここまで音を復活させていることに感心してしまうのである。


Rosemaryjazzsinger 「ROSEMARY CLOONEY  JAZZ SINGER」 Columbia CK86883  , 2003

 ローズマリーのジャズ・ヴォーカルを聴きたかったら、このアルバムです。彼女のジャズをテーマに集めたベスト盤。この盤には、ダイアナ・クラールが”歌手そしてピアノ・プレイヤーとして最も大きな影響を受けた重要な歌手である”と言葉を寄せている。

Rcjazzlist
 ”Memories of you”は、クラリネットにしっかり唄わせて、おもむろに彼女の低音の効かせたヴォーカルが登場というスタイルで聴けてなかなかどうしてムードたっぷり。
 ”Sophisticated Lady”、”Goodbye”の説得力のある歌い込みも魅力。

 今や、女性ジャス・ヴォーカルは花盛りであるが、こうした秋の夜長には戦後におけるジャズ・ヴォーカルの原点に近いところに、ふと回顧してよき時代を思い起こしつつ聴いているというのが至福の時でもあるのだ。


 

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2011年9月21日 (水)

ピンク・フロイドPink Floyd 「狂気」コレクターズ・ボックス

スタート間近の”ピンク・フロイド大規模リリースキャンペーン”:第一号は「狂気The Dark Side Of The Moon」

Photo_2 「狂気コレクターズ・ボックス」6Disc (3CD.2DVD.Blu-ray)

 いよいよ発売間近になった。このピンク・フロイドの大規模リリース・キャンペーン。
 メインは最新リマスターによるというところだが、多くの付加価値を付けての発売だ。
 この「狂気」は、2003年にもリマスターし、SACDにてハイブリッドディスクで発売された。5.1サラウンドで楽しませてくれたが・・・・。またまた買うことになるんですね。

 何せ1973年ものが、こうして何回と蘇るところが・・・良い悪いは抜きにして歓迎しておこう(?)。

 ほぼ、全容が明らかになった。

Disc1-CD1
  オリジナル・アルバムの2011年ジェームス・ガスリーによるデジタル・リマスタリング

Disc2-CD2
  1974年 「狂気」ライブ ウェンブリー(2011年リミックス版)

Disc-3 DVD1 ALL AUDIO :   DVD AUDIO
  ①ジェームズ・ガズリー2003年 5.1サラウンドもの 448kbps
  ②             同                  660kbps
  ③LPCM ステレオ・ミックス
  ④アラン・パーソンズ :クアド・ミックス  448kbps
  ⑤             同         640kbps

Disc-4 DVD2 ALL AUDIO VISUAL
  1.1972年ブライトンライブ
  2.「狂気」2003年製作ドキュメンタリー映像
  3.コンサート・スクリーン・フィルム
     British tour 1974 / French tour 1974 / North American Tour 1975

Disc-5 Blu-ray  Audio+Audio Visual
  ① Audio 2003年ガズリー サラウンド・ミックス
  ② Audio 1973年オリジナル・ステレオ・ミックス   
  ③ Audio 1973年パーソンズのクアド・ミックス
  ④ Audio Visual 1972年ブライトン・ライブ
  ⑤ Audio Visual 2003年製作ドキュメンタリー
  ⑥ Audio Visual コンサート・スクリーン・フィルム
  ⑦ Audio Visual       〃

Disc-6-CD3
  1972年 アラン・パーソンズがエンジニアの「狂気」アーリー・アルバム・ミックス
    未発表音源集(ほぼ1972年もの)

(特典)
  40ページ・ブックレット
  写真集
  12ページ クレジット・ブックレット
  アート・プリント
  特製スカーフ
               ・・・・・など

 もう数日で手に入ります。

 続いて、「炎~あなたがここにいてほしい コレクターズ・ボックス」、「ザ・ウォール コレクターズ・ボックス」が続きますね。

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2011年9月20日 (火)

スノーウィ・ホワイトSnowy White の近作 :「REALISTIC」

    優しさ溢れるロック・ギター・アルバム~久々のあのトリオが復活

Realistic 「SNOWY WHITE and The White Flames / REALISTIC」 SWWF 2011 ,  2011

 この7月にリリースされたスノーウィ・ホワイトSnowy White のニュー・アルバム。彼については何度かこのブログでも取り上げている。それは私にとってはふとある瞬間、なんとなく聴きたくなるギタリストであるからだ。
 彼は、このところ三つの活動拠点を持っている。まず一つは、ロジャー・ウォーターズの良きサポート役としてのギタリスト。それはピンク・フロイド時代から続いているわけだ。1990年のベルリンに於ける”ザ・ウォール・ライブ”からロジャーのツアーには常に参加している。最近は2010年、2011年のあの壮大なスケールの北米そしてヨーロッパの”ザ・ウォール・ツアー”にも参加して、来年は南米ツアーを予定している。
 彼の二つめの活動は、 ”Snowy White Blues Project”である。(昨年「In Our Time ... Live」をリリース)これはツイン・ギターとベースそしてドラムスという四人構成でブルース・ロックを展開する。
 そして三つめが、このアルバムの”Snowy White and The White Flames”の活動だ。
 これは、”Blues Project”のメンバーとは別に、1996年に、彼の1983年のソロ1stのアルバム名を付けたトリオを結成して以来のホワイトにとっては大切なバンド。彼のギター、ヴォーカルに、Juan van Emerloot(drums,percussion) と Walter Latupeirissa(bass) によるもの、この二人はオランダ出身である。久し振りの今回は、そこに Max Middleton(keyboards)が加わるという構成である。過去に於いてもこのトリオは、諸々のゲストを加えているが、ここではキー・ボードを加えての普遍的ロックを目指している印象だ。そのニュー・アルバムがこの夏にリリースされたわけだ。

Realisticlist_3  このアルバムには左のような14曲収録されている。全曲彼のオリジナル新曲であり、ただ”whiteflames Blues”のみこのメンバーで以前から演奏する曲のニュー・バージョン。
 相変わらずスノーウィのレスポールの暖かいギター・サウンドが満たされている。何か一つの安堵感の持てる音なのである。
 スタート曲”on the edge of something”は、キーボード、ベースの音から珍しく軽快なリズムで始まる。そしてスノーウィの楽しそうに軽く弾くギター・サウンドと彼の独特のヴォーカルが語るように入ってくる。
 2曲目の”Ongoing...”は、インスト曲だが、ピアノの音がメロディー・ラインを流した後、彼のギターが泣く。
 3曲目の”Riding the blues”になると、いよいよこのバンドの私好みの世界が現れる。歌い上げるが如きのギター音が心に浸みてくる。
 ”careful now”の後半には、泣きギタープレイを楽しませてくれる。
 ”towards higher ground”はコンガ、ボンゴの軽快なラテンリズムにサンタナ調の世界を感ずるプレイも披露。
 やはり最後の”outro peace”では、美しいギターとピアノの音で締めくくっている。

Snowy_white3b  このバント”The White Flames”では、スノーウィ・ホワイト以下4人のメンバーが、結構やりたいことをパターンに拘らずに楽しんで演奏しているという印象だ。
 更にあの長いロジャー・ウォーターズの”ザ・ウォール・ツアー”に参加しながらの中で、よくニュー・アルバムが作成出来るものだとも感心してしまう。
 私としては、何時もあまり表に現れずに、質の良いギターを奏でる紳士ギタリストのスノーウィー・ホワイトが、こうして楽しみつつインディーズ盤と言えどもアルバムを作成しているかのごとくに感ずることに嬉しく思うのである。

(当ブログ参照記事) ①2010.8.20 ギブソン・レスポールを操るギター職人スノーウィ・ホワイトSnowy White= http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/snowy-white-b16.html   ②2010.8.21ギター職人スノーウィ・ホワイト(2): レスポールを愛するギタリストの歩み = http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-8b6c.html

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2011年9月17日 (土)

ドリーム・シアターDream Theater のニュー・アルバム「a dramatic turn of events」

新構成はプログレ・バンドへの色合いが濃くなった

 プログレッシブ・ロックが過去のものとなった時の寂しさは私だけでなかったと思う。その後フェイツ・ウォーニング、クイーンズライクなどが慰めてくれていたときに、プログレッシブ・メタルとしての支持を1990年代に世界的に集めたのが、このドリーム・シアターであった。もちろん私は歓迎した一人である。しかしこのバンドの中核であったドラマーのマイク・ポートノイの脱退話が約1年前にあり、ファンを驚かしたり心配させたが、ここに新ドラマーを加えての最新作(11作目)の登場だ。

Adramaticturn 「Dream Theater / a dramatic turn of events」 ROADRUNNER RECORDS RR7765-2 , 2011

 さて、このニュー・アルバムは変わったか?と言うとやはり変わったといった方がいい。明らかにメタル色の後退である。そしてまず印象深いのは、ジョーダン・ルーデスのキー・ボードの締める位置が大きくなり、そしてその音もメロディー・ラインも共々美しくなった。もともと旨い下手は別としてプログレ色の強いケビン・ムーアのキー・ボードが私はこのバンドが好きになった一つの要素であったが、何かそのパターンへの復帰のイメージすら感ずる。このあたりは歓迎だ。
 問題の新加入マイク・マンジーニのドラムスはというと、かなりテクニシャンという音造りで、リズム隊としてもジョン・マイアングのベースの音とのマッチングが極めてバランスが取れている。これはミキシング(アンディ・ウォレス)との関係もあるかも知れないが、なかなか良いじゃないかと言っておく。

Dreamtheater_studio_groupphoto 今回のこの新構成バンドにおいては、このニュー・アルバムのプロデュースにギターのジョン・ペトルーシが係わったことが記されている。確かにポートノイの脱退によって、このバンドは危機感からかも知れないが、それぞれのリキ(力)が入っていると言っていいのだろう。ペトルーシは結構泣きギターも聴かせてくれるし、珍しくピンク・フロイド流のマイアングのベースの音も聞こえてくる。

Adtolist 納められた曲は左のように9曲、ジョン・ペトルーシを中心としての彼らのオリジナル曲である。そして10分以上に及ぶ曲が4曲も盛られた。
 相変わらずリズムの変調子は健在で、特に長曲では楽しませる。又ジェイムズ・ラブリエのヴォーカルも適度に散りばめられて、Lyrics もペトルーシにより書かれているが、バランスはそれなりに良いのではないか(ただし、詩の意味についてはまだ私は未消化)。
 前アルバには、カヴァー曲が特集されていたが、そんな雰囲気はなくなっている。彼らは彼らの曲で演奏で勝負して欲しい。又、今回も日本盤(私は敢えて買っていない)ではインスト曲を付加したようだが、それはレコード会社の販売テクニックなのかよく解らないが、曲はヴォーカル共々一つの演奏隊としてあってもなくてもいいというのでなく曲作り完成させていって欲しい。
 
John_petrucci  今回のアルバムは、ペトルーシ(左)の意欲で、それぞれのメンバーの個性を生かしつつ創り上げたという印象が強いが、若干メタル色の後退で圧倒的パワーで迫ってくると言うところはなくなって寂しいという人もいるかも知れない。しかしその分、プログレ回帰が濃くなって、むしろ昔からのファンは見事に練り上げて創り上げられた完成度の高い曲の構築に、安心して聴いてゆけるといったところもあるのかもと推測する。

 結論的には、前作あたりで一つの壁に当たっていたことも事実である。2009年8月3日に私はこのブログで”ドリーム・シアターの新作「Black clouds & silver linings」 進化はあるか?マンネリか?”と書いて若干疑問を持ったことを思い出す。いまこうしてみるとプログレ色への回帰へ方向を持ったようにも見える。多分このアルバムは売れ行きは良いかも知れない。そして問題は次作がどう出るかというとこであろう。

 最後に、このドリーム・シアターの日本盤は相変わらず変な日本語タイトルは付けていなくてよいと思う。一方ジャケ・デザインは洒落ている。よく見るとこのロープの一部が今にも切れそうに最後の一本の糸で繋がれているところがドキッとさせてお見事である。

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2011年9月15日 (木)

秋の夜長の回顧シリーズ(3) : ジュリー・ロンドンJulie London のスモーキー・ヴォイス

スモーキー・ヴォイスのはしり・・・・

 秋の夜長の一時を、昔の回顧に心を休ませている。そんな中で、もともと私はかってのLPそして現在のCDなどをトータルに聴いての感動に期待しているわけで、ベスト・アルバムという寄せ集めの否定者なんですが、しかし、この1950年代活躍したジュリー・ロンドンの場合のように、むしろベスト・アルバムのほうがよいという場合もある。そんな事情から、取り敢えずこのシリーズではベスト盤を中心にアプローチしているところだ。

Julibest 「THE VERY BEST OF JULIE LONDON」 CAPITOL 09463-12129-2-5 ,  2005

 
なんといっても、このベスト盤は、まずCD2枚組であって何と全50曲を納めている。更に重要なポイントはリマスターによる音の改善である。なにせ半世紀前という時代のものを蘇らせているのだ。
 又、当時はトータル・アルバムによるという作風の世界でなく、一曲一曲ベストを狙ったと言っていい時代であるので、ここに多くの曲を網羅してのベスト盤の意味は実は大きいのである。
 ジュリー・ロンドンは1926年生まれで、2000年に74歳で亡くなっている。最も歌手として華々しかったのは1950年代である。あの”cry me a river”の人気は凄かったようだ。いまでもこの曲では、彼女の名前が出てくるところである。

Julielondon1b    ところでこのジュリー・ロンドンというのは、出発は映画女優でありむしろ美貌を売り物にしていたのである。ところが結婚して引退し二児の母親となるも離婚となり、なんとその後は(20歳代後半に)歌手としてスタートしたという経過である。離婚後ジャズピアニストのボビー・トゥループとの関係が深まったことが重要な因子であったと言われている。とにかく世界は映画の最も人気のあった時代であって、この後再び映画の道も歩んで、その人気は絶大であった。アメリカという華やかな中から生まれた一つの夢のある世界であったと言っていいだろう。

Julielist1_2  Disc1の25曲は左の通りである。ざーと見ても最近の女性ジャズ・ヴォーカリストが取り上げている曲群がづらーと並んでいる。彼女がスタンダード・ナンバーを如何にこなしていたがよく解る。
 スタートのヒット曲”fly to the moon”は快調なテンポで歌い上げる。しかしそれにも増してここまで音を改善したリマスター技術陣に脱帽だ。
 彼女の代名詞の”cry me a river”が2曲目に登場する。静かなギターのバックで、ややハスキーな例のスモーキー・ヴォイス(smoky voice)でしっとりと歌い上げたところは、1955年当時には驚きで歓迎されたことは想像に難くない。最近でのダイアナ・クラールなどと比べて聴いてみると面白い。
 このアルバムの曲群では、バックにストリングス・オーケストラが流れたりするが、むしろそのバックの演奏が何となく古くさく感じ、彼女の歌声や節回しはむしろこの今においても決して古くさくないところが不思議である。Jazzyな歌い回しが好まれたのはこの時代の一つの象徴であろうが、そのパターンは実は今も変わっていない。
 ”misty”も私の好きな曲で、涙ものである。秋の夜長には最高だ。
 ”go slow”は今の時代に決して遅れをとっていない。
 ”Basin street blues”、”Blues in the night”の2曲などブルースものもなかなか味のあるヴォーカルだが、バックは如何にも古くさい。これがギターなどのシンプルなバックだったらゾッとするほど素晴らしいと思うのだが。

Julielist2  左は、Disc2の25曲リストである。
 彼女の唄は、しっとり哀愁タイプである。しかし決して暗くないところが支持を広く獲得したのではなかろうか。
 ”love letters”、”i left my heart in sanfrancisco”などは今も変わらずのお手本的ヴォーカルを聴かせる。
 懐かしの”day of wine & roses”は聴きどころ。
 先日話題にしたイリアーヌ・イリスの”light my fire”は、この昔のジュリーの唄もラテン・タッチものでなかなかいい。唄いがいのある曲なんでしょうね。
 ”heres that rainy day ”を聴くと、声の質、バツクのギターと全く現在の曲造りに遜色ない。
 ”i've got a crush on you”はお勧め曲、聴いてのお楽しみと言ったところ。
 最後は”ev'rytime we say goobye”締めくくる。全50曲を一夜に聴くと、ほんとにこの夜を有り難うと安堵に付けるのである。

 秋の夜長のベスト盤でも、実は片手に入るジュリー・ロンドンものを紹介した。彼女が1957年、映画「The Girl can't help (女はそれを我慢できない)」に出演し歌った”cry me a river”を私の好きな曲として挙げさせていただき、ここに書いたところである。

  
 

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2011年9月13日 (火)

剱岳の雄姿に感動(黒部ルートから)

快晴の剱岳にジェット機雲

Photo

昨日(2011.9.12)は関西電力のお世話で初の黒部ルートに
(黒部ダムより数キロ下流にて) 

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黒部川(仙人谷ダム下流)

Photo_2

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2011年9月 7日 (水)

新作「LP1」のジョス・ストーンJoss Stone は感動ものだった

ソウルフルな熱唱に好感

 ジェフ・ベックの2007年11月27-12月1日の5日間のライブ・パフォーマンスの記録「LIVE AT Ronnie Scott's」は、2008年に映像ものでリリースされ、当時バンドのベースには可愛いタル・ウェルケンフェルドで話題になった。しかもエリック・クラプトンがゲスト参加して更に注目を浴びたのであったが、私はそれに加えての二人の女性ミュージシャンの共演にも非常に興味をそそられた。そしてその一人のオルタナティブ・ロックのシンガー・ソングライターのイモージェン・ヒープにはこれをきっかけに彼女のアルバム全てにアプローチしたわけであるが、もう一人のこのジョス・ストーンには未着手であった。彼女は確かサンタナのアルバムにも参加していたことがあって(アルバム「all that i am」、時に接する機会はあったのだが)・・・・・・しかしこのアルバムは女性ではミッシェル・ブランチの方が印象が強かった。
 ところが、精力的ロック・ブログを書くフレさん(「ロック好きの行き着く先は・・・」)が、かってより彼女に注目していて今回もこのニュー・アルバム「LP1」を強く勧めている雰囲気であるので、いよいよ私も右習えでこの新作を聴いてみたわけである。

Lp1 「JOSS STONE / LP1」 STONE'D RECORDS/SURFDOG RECORDS  2-527769  , 2011

 これはジョスの5thアルバムになるようだが、私はこれで初めて彼女のアルバムを手にした。ジェフ・ベックとの共演では”peaple get ready” を歌い上げていて、なるほどジャニス・ジョプリンの世界への雰囲気は感じていた。しかしこのアルバムは全て彼女のオリジナル曲で埋め尽くされていて、それぞれデイブ・スチュアートの色づけにより出来上がっている曲群である。そこで熱唱する彼女は一般には、ソウル・シンガーと言われているが、そのパターンは如何なるものか興味津々で聴いたのである。
 結論から行こう、まさにソウルフルな熱唱で、ブルース・ロック調の格好良さを持っており、更に全力疾走もありで、なかなか感動ものだった。

Lp1listこのアルバム収録曲は左のとおりで全10曲。彼女のシンガー・ソングライターの面目躍如といったところ。
 バックは、Dave Stewart のギターに、その他のメンバーは、chad cromwell (drums)、 michael rhodes (bass)、 tom bukovac(guitar)、 dan dugmore (steel pedal guitars)、 mike rojas (keys) 、Drea rhenee,wendy moten (background vocals) となっている。

 なんとこのアルバムは6日間で仕上げたという離れ業もののようだ。確かにヴォーカルの色付けに若干荒さがあるが、しかしこのジョスのパターンは、下手な技巧を加えないでのこの造りのほうが良いのかも知れないと私は思う。

Joss1 まず、なんと言っても最近流行のダンサブルか一方ジャズィーな女性ヴォーカルの傾向に反して、ロックの原点回帰を思わせる熱い心の表現のシャウトの連発などによって魂を唄おうするところなど、久々に心が揺さぶられた。
 このアルバムは彼女の自分自身のレーベルであるインディーズ盤での第一号アルバムということで、彼女自身の思うところが十分発揮されたのかも知れない(それでタイトルが「LP1」か?)。
 スタート曲の”newborn”はアコースティックギターでのヴォーカル主導で私にとっては懐かしいパターン。4曲目”last one to know”は、彼女の心からの歌い上げで、私好みの感動の曲、バックも充実していて完成された名曲といっていいところ。8曲目の”landlord”は、再びアコースティク・ギターのみのバックでの熱唱、お見事だ。

 彼女は1987年イギリスはドーバー生まれというから、今年で24歳という若さ。2003年にアルバム「the soul sessions ソウル・セッションズ」で16歳でデビューというから恐ろしくなる。とにかく英国でのチャート一位や多くの賞も受賞しているようだ。

 今回、以前から気になっていたジョス・ストーンのニュー・アルバムに接して、久々に心に響く良いアルバムであった。ここに見る彼女の姿は、是非とも更にロック色を今後も磨きつつジャニス・ジョプリンにこだわらず独自の世界を築いて欲しいと期待する人材である。

(参照) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/live-at-ronnies.html

 

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2011年9月 6日 (火)

秋の夜長の回顧シリーズ(2) : 涙もののポール・コゾフの世界(2)

企画盤もポール・コゾフの場合は貴重であった。

Backstreetdelux 「KOSSOFF / Back Street Crawler  DELUXE EDITION」 Universal/Iland Records 5306082 ,  2008

 これは1973年のフリーを脱退した後のポール・コゾフの彼名義のアルバム「KOSSOFF / Back Street Craeler」のデジタル・リマスター版とそれに加えて未リリースの15トラックを加えた2CDのデラックス盤。2008年にリリースされたもの。
 これにはなんと1972-1973年当時のコゾフの多分これはポラロイド写真と思われるものが数枚ブックレットに載せられ涙をそそる。

 アルバムの5曲もオリジナル・テープからデジタル・リマスターしたものでかなりの改善が成されている。ギター・サウンドを楽しませてくれる”time away”を聴いてみても、十分現在のオーディオ装置で、眼前に迫ってくるコゾフを感じ取れる。

Backstdeluxlist  それにも増して、過去にリリースされなかった15トラックの登場がなによりも喜ばせてくれるのである。(左参照=クリック拡大)
 
   ”Tuesday Morning”のearly take が2トラック。そしてなんと楽しいのが、この曲のBlues版、Groove版、 Boogle版、 Piano Jam版と4トラックが更に加わる。Blues版は当然私好みでお気に入りだが、Groove版のギターの泣きもたまらなく切ない。Piano Jam では、ピアノの音も美しく、それにギターが乗っていって納得の出来。

 DISC 2 では、”I'm Ready” の6分越えのフル・バージョンも聴ける。
 ”Time Away” とくると、なんとなんと38分を超えるJohn Martyn session ものが登場する。多分John Martyn との掛け合いのギターと思われるが、最初から最後まで延々と続くこの流れには脱帽するところ。
 ”Molton Gold”も別テイクをしっかり楽しませてくれる。

Paulk2  このフリー後のコゾフはストラトキャスターを使っていたようだが、彼の音はレスポール時代とも決して私には大きく変わって聴こえない。それには弦おいても彼自身の工夫と選択があったようで、それぞれにコゾフの音というものがあったといえる。
 又、あの高音部のビブラートも万人をもってして泣かせてしまう繊細さが彼の持ち味であって、このDELUXE盤のボーナス・トラックには更にその味が充満していて、私にとってはなくてはならない貴重CDなのである。
 嬉しいことに、この日本盤があってそれは更に好音質のSHM-CD(super high material CD)盤としてリリースされている。今の内にそれも手に入れたいと実は思っているところなのだ。

 ポール・コゾフという三十数年前の若きアーティストに感謝しつつ、夜を過ごすのである。
 

 

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2011年9月 5日 (月)

秋の夜長の回顧シリーズ(1) : 涙もののポール・コゾフPaul Kossoff の世界

あのギターの音色は忘れられるものか!

 9月になると、ふと秋らしい夜が時として感じられる。・・・・・と、なるとなんとなく昔のよき時代の音が懐かしくなる。私はベスト盤はどちらかというと否定者なんですが、ものによっては、ベスト盤でもなかなか良いものもある。ここに取り上げるものもその一枚。あのギター・プレイの音を聴くと、何故か胸が締め付けられる思いになる。それがポール・コゾフPaul Kossoff だ。

Photo 「PAUL KOSOFF / THE COLLECTION」 Loudwoof  CRCL-4005 ,  1996

 もう15年も前のポール・コゾフのベスト・アルバム。なんとなくこの時期に良く取り出すものだ。今年も同じように聴いている。ベスト・アルバムでは私の愛聴盤の筆頭クラスなのである。

 コゾフが亡くなって既に35年が経ってしまっている(1976年死亡)。しかし相変わらずロック話では彼の名前は必ず出てくるところが凄い存在だ。あの死に方も壮絶(ドラッグの恐ろしさ)、ライブ行きの飛行機のトイレ内での突然死。しかし、その姿は誰にでも何時かはと想像されていたところが悲劇的だ。彼は1950年生まれであるから彼の26年という人生で、そこで描いたギターの世界が、今も世界で愛されるという現実は恐ろしいところだ。
 もともとコゾフは少年時代からクラシック・ギターを練習していたが、エリック・クラプトンのブルス・ギターに惹かれてゆく。

Collectoinlist1 このベスト・アルバムには15曲が収まっている。当然彼をして世に知らしめたのは、バンド・フリーFree(1968年-、18歳-)での活動であり、そのバンド時代の曲は当然1.2.3.の3曲が聴ける。多くのブルース・バンドの中ではポール・ロジャースの独特なヴォーカル・スタイル(ファンキーという表現もあった)とコゾフの神経集中のギターには観衆を引き込んだ。
 そして4曲目のコゾフのソロ・アルバム「バック・ストリート・クロウラー」('73)からの”time away”が、このアルバムの私にとっては一つの頂点である。
 1973年コゾフの病気でフリー解散。その後1975年、バンド”バック・ストリート・クロウラー”を結成。6.7.8曲はそのアルバム「2番街の悲劇」から。
 フリー時代は、ギブソン・レスポールを操り、ソロ後はフェンダー・ストラトキャスターを使っている。
Collectoinlist2 9.11.12.14曲は、コゾフの「ライブ’75」からだ。
 ”The band played on”はライブものらしい彼の熱演が手に取るように聴ける。この時のコゾフは心臓発作により瀕死状態になっての直後のものとか、彼の演奏への執念が感じ取れるところだ。
 ”It's a long way down to the top” は、彼のギターが泣きをもって歌い上げる。このベスト盤でも聴きところ。ライブはいいですね。
 13.”molten gold”は、バック・ストリート・クロウラーのスタジオ・セッション版。
 最後の”some kind of happy”では、悲しい曲でないのに何故かもの悲しくなる。

Paul_kossoff  ベスト盤は冒頭に述べたように私はあまり好まない。アルバムをトータルに聴いてゆきたいからだ。しかし、ことによってはベスト盤によって回顧の醍醐味も感じられるものである。そんな一枚をふと秋の風を感じたときに聴いてみるのもいいものだ。 
 

 

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2011年9月 2日 (金)

イリアーヌ・イリアス Eliane Elias : ボサノヴァとジャズ・ピアノとヴォーカルと(4)

ジャズ・ピアニストとしての憧れのビル・エヴァンスにアプローチ

 イリアーヌ・イリアスは、1985年から20枚以上のアルバムをリリースしており、又それにはジャズ・ピアニストであり又ヴォーカルものにも多くの作品を残していることなど、拾い上げると多彩で、ここに4回目の登場ということになった。

Somethingforyou 「Eliane Elias sings & plays Bill Evans / Something for You」 BLUE NOTE Records  50999 5 11795 6 , 2007

 先日も取り上げた2006年の前作「Around The City」 がポップ・ヴォーカルに近い作品で、ジャズ・ファンには若干の疑問が持たれたところであった。しかし、この翌年の作品は、見事にジャズ・ピアニスト、ジャズ・ヴォーカリストとして、しかもビル・エヴァンスのトリビュート・アルバムとして、ファンの期待に応えたものであった。
 主力はトリオ演奏で、彼女のアレンジによるピアノ・トリオものである(Eliane Elias: piano, vocals , Marc Johnson: bass ,  Joey Baron: drums)。このメンバー構成は2002年の「Play Live」と変わっていない。ベースの夫マーク・ジョンソンは、ビル・エヴァンス・トリオのメンバーでもあったこともあり、更にこの企画に貢献しているのであろう。

Somethingforyoulist 曲目は、左のようである。(クリック拡大)
 彼女自身のオリジナル曲は1曲登場するが、ビル・エヴァンスが好んで演奏したもの、又は彼の作品を網羅している。特にビルの作品でもオフィシャルには未発表の2曲も含めたこと、更になんと17曲目の最後の曲は2曲目に取り上げて演奏した曲”here is something for you”を、ビル・エヴァンスの演奏のカセット・テープ録音(最悪の音であるが)を流して、それに最後彼女が色を付けて終わらせるという手法を取っていこと、このあたりは洒落た企画だ。

Eliane1  さて、彼女のピアノ・プレイであるが、さすがビル・エヴァンスの特徴をしっかり掴んでの音に挑戦している。私なんかはあの非常にポピュラーな”my foolish heart”などを聴かされると、昔の気持ちにいつの間にか戻ってしまっているところだ。マイルスの”solar”も登場するが、彼女のピアノ・プレイの見事さを感じ取れる。
 聴き方によっては、あくまでもエヴァンス風ではあるが、ちょっと異議を述べたくなるという人もいるようだが、私の感覚では昔のエヴァンスものより録音も良くて、十分楽しめる。
 一方、ヴォーカルであるが、約半分の曲で登場するが、どうもこのビル・エヴァンスものには、私の印象としてはあまりマッチングしていない。やはり彼女のヴォーカルは、ちょつとこの世界とは違うのではなかろうか?、9曲目の”minha”あたりはそれなりに納得はしましたけど。
 いずれにしても、あのボサノヴァ・ヴォーカルの世界に印象が強くてのことかも知れないが、私にはそのように感じられた。

 彼女のアルバムを取り上げていくと切りがないのであるが、1989年の「Plays Jobin」、1998年の「Sings Jobin」というジャズ・ピアノ・プレイとヴォーカルものの対比が出来る2アルバムもある。これからの秋の夜長には、ゆっくりと楽しむによいと思っている。

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