秋の夜長の回顧シリーズ(5) : 全てはペレス・プラードPerez Prado楽団から始まった
日本に音楽革命を起こしたペレス・プラードの”セレソ・ローサ”
夜が長いと言うことは、音楽を聴くものにとっては有り難い。やはりこうゆう時にこそ私自身の回顧もしながら音楽を聴いてみたい。
ペレス・プラードPerez Pradoと言っても、今の若者には多分”それってな~に?”ってとこだろう。しかし多分戦後日本に於いて外国の音楽の楽しさを教えてくれたのは彼であったろうと言っても間違いない。 彼の率いるペレス・プラード楽団といえば、イコール”マンボ”だ!!。左のアルバムはその音質改良版のSHM-CDのベスト盤である。
「マンボNo.5 ペレス・プラード Perez Prado Best Selection」 Universal Music UICY 80035 , 2009
とにかくキューバで昔からのルンバのリズムをジャズ・アレンジして作られたという1940年代に生まれた新しいリズムの”マンボmanmo”を世界に広めたのはペレス・プラードだ。そして1950年代になって、なにはともあれ日本で大ヒットした曲は”セレソ・ローサcrezo rosa”として愛された”cherry pink and apple blossom white”だ。当時まだSP盤(78回転)で売られたもの。 このベスト盤に納められた曲は左のような28曲、ここにはラテンものから日本でヒットしたポピュラーものまで、全てが彼の手でマンボのリズムにアレンジされて演奏された曲集である。
ここには彼の18番である”マンボNo.5”、”闘牛士のマンボ”、”タブー”、”マンボNo.8”などステレオ録音で収まっている。と、言うことはここに収録されたものはヒット当時のオリジナルでなく、その後に演奏されたものである。それが実は聴いていて残念ながら虚しいのだ。ヒット当時の演奏の迫力がない、リズムも切れが見られないなど全盛期を過ぎた末期の彼の楽団の演奏集なのである。私にとっては決して納得いくものではないのだ。
そこでちょっとゲテものっぽいCDがある(左)。
「ダンス・ミュージック マンボ Let's Dance MAMBO NUMBERS」 AILE DISC GRN-2067 , 1991
これがなかなか泣かせるCDなのだ。ここにはペレース・プラード楽団8曲、ザビア・クガート楽団6曲の計14曲が収まっている。
これがなんとモノラル録音もあるオリジナル・ヒット演奏なのだ。
特にペレス・プラードが1949年にキューバからメキシコに渡って楽団を結成しての初ヒット”エル・マンボmambo jambo(oue rico el mambo)”、そして1950年になっての大ヒット”マンボNo.5”、”マンボNo.8”は当然オリジナルで聴ける。
彼はマンボということで、ジャズ又はラテン音楽と考えやすいが、そもそもは両親はなかなかのインテリで、彼には子供の頃からクラシック・ピアノを学ばせていたという。次第にポピューラーに興味を持ったと言うことだが、そんな音楽的基礎があっての彼のマンボなのである。 納められた14曲は、左のとおりである。
そしてなんと言っても、日本に於ける大ヒットは1955年の映画「海底の黄金」の主題曲であった”セレソ・ローサCerezo Rosa (cherry pink and apple blossom white)”だ。私はこの曲を聴いて育ったようなものだ。あのトランペットの歌い上げる音に、ペレス・プラードのかけ声、そしてブラス合奏とボンゴ、コンガによる刻むリズム。日本にとっては革命的音楽であった。この曲もこのアルバムに納められた演奏が切れがあっていい。
”闘牛士のマンボ la macarena”、”タブーTaboo”など日本中で愛されたのだった。
そして私に決定的なパンチが来たのはローズマリー・クルーニーの唄とペレス・プラード楽団の演奏の”キエン・セラ Sway”だ。この曲の快感は今聴いても何十年前と同じである。
これらの曲によって外国には素晴らしい音楽があると知らされたわけだ。日本人にはこのラテン音楽の流れからのマンボは、ほんとに愛された。ペレス・プラードも日本を愛してくれた。彼ほど日本に来て演奏をした回数は右に出るものがないであろう。
この後はエルビス・プレスリーへの流れが私を襲うわけである。いやはや秋の夜長の回顧は語るに尽きない。(この話はどうももう少し続きそうである)
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