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2011年9月 5日 (月)

秋の夜長の回顧シリーズ(1) : 涙もののポール・コゾフPaul Kossoff の世界

あのギターの音色は忘れられるものか!

 9月になると、ふと秋らしい夜が時として感じられる。・・・・・と、なるとなんとなく昔のよき時代の音が懐かしくなる。私はベスト盤はどちらかというと否定者なんですが、ものによっては、ベスト盤でもなかなか良いものもある。ここに取り上げるものもその一枚。あのギター・プレイの音を聴くと、何故か胸が締め付けられる思いになる。それがポール・コゾフPaul Kossoff だ。

Photo 「PAUL KOSOFF / THE COLLECTION」 Loudwoof  CRCL-4005 ,  1996

 もう15年も前のポール・コゾフのベスト・アルバム。なんとなくこの時期に良く取り出すものだ。今年も同じように聴いている。ベスト・アルバムでは私の愛聴盤の筆頭クラスなのである。

 コゾフが亡くなって既に35年が経ってしまっている(1976年死亡)。しかし相変わらずロック話では彼の名前は必ず出てくるところが凄い存在だ。あの死に方も壮絶(ドラッグの恐ろしさ)、ライブ行きの飛行機のトイレ内での突然死。しかし、その姿は誰にでも何時かはと想像されていたところが悲劇的だ。彼は1950年生まれであるから彼の26年という人生で、そこで描いたギターの世界が、今も世界で愛されるという現実は恐ろしいところだ。
 もともとコゾフは少年時代からクラシック・ギターを練習していたが、エリック・クラプトンのブルス・ギターに惹かれてゆく。

Collectoinlist1 このベスト・アルバムには15曲が収まっている。当然彼をして世に知らしめたのは、バンド・フリーFree(1968年-、18歳-)での活動であり、そのバンド時代の曲は当然1.2.3.の3曲が聴ける。多くのブルース・バンドの中ではポール・ロジャースの独特なヴォーカル・スタイル(ファンキーという表現もあった)とコゾフの神経集中のギターには観衆を引き込んだ。
 そして4曲目のコゾフのソロ・アルバム「バック・ストリート・クロウラー」('73)からの”time away”が、このアルバムの私にとっては一つの頂点である。
 1973年コゾフの病気でフリー解散。その後1975年、バンド”バック・ストリート・クロウラー”を結成。6.7.8曲はそのアルバム「2番街の悲劇」から。
 フリー時代は、ギブソン・レスポールを操り、ソロ後はフェンダー・ストラトキャスターを使っている。
Collectoinlist2 9.11.12.14曲は、コゾフの「ライブ’75」からだ。
 ”The band played on”はライブものらしい彼の熱演が手に取るように聴ける。この時のコゾフは心臓発作により瀕死状態になっての直後のものとか、彼の演奏への執念が感じ取れるところだ。
 ”It's a long way down to the top” は、彼のギターが泣きをもって歌い上げる。このベスト盤でも聴きところ。ライブはいいですね。
 13.”molten gold”は、バック・ストリート・クロウラーのスタジオ・セッション版。
 最後の”some kind of happy”では、悲しい曲でないのに何故かもの悲しくなる。

Paul_kossoff  ベスト盤は冒頭に述べたように私はあまり好まない。アルバムをトータルに聴いてゆきたいからだ。しかし、ことによってはベスト盤によって回顧の醍醐味も感じられるものである。そんな一枚をふと秋の風を感じたときに聴いてみるのもいいものだ。 
 

 

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コメント

魂響き渡るギターとはこの人。
バンドという枠組みの中でギタープレイヤーとして最高のプレイを聴かせてくれていたが故にバンドが崩壊してしまったことで自らも崩壊していった…。
う〜ん、熱くて素晴らしいギターですねぇ。
大好きです。ベスト盤は確かにあまり好まないですが、これはセッション集という側面が強い感じですね。

投稿: フレ | 2011年9月 5日 (月) 19時59分

フレさん、コメントとトラックバックも有り難うございました。
 目下ワイト島のフリーの映像を中心としたフリーのLD「フリー/ライブ&モア ~ポール・コゾフに捧ぐ~」を久々に引っ張り出して見ながら感傷に耽っています。
 

投稿: 風呂井戸 | 2011年9月 5日 (月) 21時01分

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