ピンク・フロイドPink Floyd 「狂気コレクターズ・ボックス」検証(3)
DVD2枚の注目点は?そしてその価値は?
「PINK FLOYD IMMERSION BOX SET」
ピンク・フロイド「狂気ボックス・セット」の検証も3回目になった。今回は6枚中の2枚のDVDに焦点を当ててみる。
DISC3-DVD(AUDIO ONLY)
この内容は以下の通りである。
1. The Dark Side Of The Moon 5.1 Surround Mix (2003) 448kbps
2. The Dark Side Of The Moon 5.1 Surround Mix (2003) 640kbps
3. The Dark Side Of The Moon LPCM Stereo Mix (1973)
4. The Dark Side Of The Moon 4.0 Quad Mix (1973) 448kbps
5. The Dark Side Of The Moon 4.0 Quad Mix (1973)640kbps
これらの注目点は何かというと、1.及び2.は、2003年にSACDでリリースされたジェイムズ・ガスリーによる5.1サラウンド・ミックスのハイブリット盤である。そのDVD仕様による再リリース。
そして最も私にとっても嬉しいのが、1973年にアラン・パーソンズによるクアド・ミックス(4チャンネル・レコード)の再現だ。それが4.と5.である。
当時4チャンネル立体音響が一つの流行を見た。日本でもそれが発売されたが、私のオーディオ装置の場合はマトリックス4チャンネルのみの対応であったので、この4チャネル盤までは手を付けてなかった。それが今DVDのサラウンドで再現してくれるのである。これを聴いてみると、やはり4チャンネルを意識してのリアからの音がかなり豊富になっている。しかし2003年の5.1盤とはかなりの違いがある。特に”On The Run”での移動するサウンドが、その移動の仕方に異なりがはっきり解る。なかなかその比較が面白い。これはこのボックス・セットの一つの目玉でもある。是非とも聴き比べて欲しい。
DISC4-DVD(AUDIO-VISUAL)
ここには主に3つの企画が収まっている。
① この盤になってようやく映像の登場だ。1972年のUK SHOWS は、6月28,29日の両日に英国East Sussex のBrighton のThe Domeで行われており、その29日の映像。かねてからPeter Clifton の記録映像は有名。ピンク・フロイド好きにはどこかで多分お目にかかっているものである。残念ながら「狂気」の映像はない。
この日は「狂気」以外に”one of these days”、”echoes”、”Set the controls for the heart of the sun”、”careful with that axe eugene”が演奏され、アンコールに”sauceful of secrets(short version)”をやってみせた。
その”careful with thst axe eugene””set the control for the heart of the sun”の映像がここにオフィシャル・リリースされた訳だ。この時のフロイドのメンバーのエネルギーを見て取れるところがミソ。特に当時のロジャー・ウォーターズの姿が印象深い。それはそうですね、あの”ユージン”の映像ですから。この映像もブートで見慣れたものです。今オフィシャルにリリースされると何か感動がないではない。しかし当時の良い映像というとこれだけなんですね。
② さて、この映像盤には、その他「the dark side of the moon 2003 Documentary」が見れるが、これは2003年のSACD盤の発売時のメンバー四人のインタビューと過去のプロモーション映像。それほど意味があるとも思えないものだ。と、言うのも2003年にDVDでEagle Rock Entertainmentからリリースされた「THE DARK SIDE OF THE MOON」(VABG-1115)の映像盤のほうがよっぽどフロイドの彼らの製作までのインタビューは充実しているし、映像も多岐に渡っている。これを見ているものからすると若干物足りない。
③ そして「Concert Screen Film」が収録されている。1974年、1975年のツアーに使われたステージ・バックに映された映像。内容は過去に諸々登場して見たものが多い。かれらのライブ映像がないための誤魔化しみたいなもの。ちょっと企画倒れと言わざるを得ない。アニメーション、シリアス映像など見られるが、ロジャー・ウォーターズ得意の注目の”世界のリーダー”が登場する。その中に田中角栄が見られる。そんな時代だったんですね。
どうもこのブライトンのライブ映像以外の2企画(②,③)の映像は、取り敢えず恰好を付けたというもので、残念ながらそれほど意味のあるものでなかった。
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