ピンク・フロイドPink Floyd 「狂気コレクターズ・ボックス」検証(4)
「PINK FLOYD IMMERSION BOX SET 」を検証中ですが・・・DISC5枚目のBlu-Ray盤は、DVD盤2枚を納めたもので、同じであるので省略する。
DISC6-CD ”Previously Unreleased Tracks”
1. The Dark Side Of The Moon Early Mix (1972)
2. Extra Tracks
以上の内容であるが、このCD盤はなかなか貴重品である。
まず、1.の「The Dark Side Of The Moon Early Mix」 は、アラン・パーソンズによる「狂気」のアーリー・アルバム・ミックスである。これがなかなか面白い。多分当時このパターンでリリースされる予定であったものとも推定されているもの。
”on the run”はまさに息を切らして走り回る。
”time”はかなりリリース盤に近い仕上がりをみせているが、”the great gig in the sky”はクレア・トリーのスキャットはない。しかしそのスキャットがない分だけフロイドの4人の演奏はリリース盤近いがしっかりと味わえる。そしてSEが異なっている。
”us and them”は、ややゆったりしているがサックス、女性のバッキング・ヴォーカルも入って完成域。
”brain damage”はかなりリリース盤に近いが、後半の狂気じみた笑い声が凄い。又”eclipse”に入ってゆく時のギター音が異なる。
とにかく、このアーリー・ミックスの登場は、このボックス・セットの一つの目玉もの。これだけでも価値はある。
さて問題の「EXTRA AUDIO TRACKS」だ。
①”THE HARD WAY”
この曲こそ我々が待ちに待ったもの。幻のアルバム「Household Objects」からと思われる一曲。彼らが「狂気」成功の後のプレッシャーから、創造活動の麻痺状態に陥っていた。そしてその殻を打ち破るべく考えられた方法論、つまりそれはいっさい楽器を使わずにアルバムを製作することであった。そして家庭内にあるワイン・ボトル、グラス、バケツなどを使って3曲録音したと言われている。結局は発売されなかったものであるだけに、注目度も高いもの。
多分靴音がリズムを刻み、ベース様の音が旋律を奏でる。非常に単純な中に何か響いてくるものがある。
②”US AND THEM” (Richard Wright demo)
これは、ライトのピアノのみのデモ録音。映画「砂丘」用であったが使われなかったもの。なかなかピアノ・ソロで聴いても名曲だ。
③”THE TRAVEL SEQUENCE” (Live in Brighton june 1972)
”on the run”の初期バージョン。まさにジャズ・ロックの世界で、これもまたアルバムで聴きたくなる出来だ。この72年のBrightonライブは1月にも行われていて、初めて「狂気」をお披露目した。その後3月には日本に来ている。そしてその後北アメリカ、ドイツなどを経て、ここに登場するのは6月のUK・SHOWのもの。
④”THE MORTALITY SEQUENCE” (Live in Brighton june 1972)
”the great gig in the sky”の原曲。ライトのオルガンの響きが印象的
⑤”ANY COLOUR YOU LIKE” (Live in Brighton june 1972)
ギルモアのギターが十分楽しめる。
⑥”THE TRAVEL SEQUENCE” (previously unreleased studio recording)
⑦”MONEY” (Roger Waters demo)
ロジャー・ウォーターズのギター弾き語りの”マネー”。これからあの色付けが行われるわけだが、曲は完成している
以上のごとくで、このDISC-6はなかなかアルバム「狂気」の原点を知る思いで聴き応え十分である。この企画はもっともっと深入りしてくれても良かったんではなかろうかと思うところ。
以上「狂気コレクターズ・ボックス」の6枚のディスクを4回に分けてざっと検証してみたが、まず「狂気」の映像がないのが寂しいというところ。従って、映像DVD、Blu-rayはちょっと中途半端で物足りない。そして2003年のデジタル・リマスター5.1サラウンドSACD盤を持っているものにとっては、2011年リマスターもそれほど大きな意味がない。DISC2のウェンブリーと、DISC3の4チャンネル版、DISC6のアンリリース・トラックが注目度が高いと言っていいだろう。と、すると2CD+1DVD位に収まるし、この高価なボックスでなくてもよかったように思う。
あまりいろいろと言っても意味がないが、無駄なものを付属して高価なボックスにするのでなく、音源、映像などで充実して欲しかったボックスであった。それでも得るものがあったので”良し”としておこう。
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コメント
前略、風呂井戸さま
いやー、一気に読ませてもらいました。「狂気」コレクターズ・ボックス検証シリーズ。輸入盤でしょうか、国内盤でしょうか、いずれにしても安くはないはず。今後は「あなたがここにいてほしい」ボックス・セット、「アニマルズ」ボックス・セットと続くのでしょう。最後まで頑張って下さい。そのつどブログを更新して下さい。
私もウォーターズの爪弾く"Money"をラジオで聞きましたが、クレジットではみんなの名前があっても、実際はウォーターズが作っていたんですね。知りませんでした。
もし“狂気”時のお薦め映像がありましたら、ブートでも構いませんので、教えて下さい。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2011年10月11日 (火) 21時51分
前略、風呂井戸さま
いやー、一気に読ませてもらいました。「狂気」コレクターズ・ボックス検証シリーズ。輸入盤でしょうか、国内盤でしょうか、いずれにしても安くはないはず。今後は「あなたがここにいてほしい」ボックス・セット、「アニマルズ」ボックス・セットと続くのでしょう。最後まで頑張って下さい。そのつどブログを更新して下さい。
私もウォーターズの爪弾く"Money"をラジオで聞きましたが、クレジットではみんなの名前があっても、実際はウォーターズが作っていたんですね。知りませんでした。
もし“狂気”時のお薦め映像がありましたら、ブートでも構いませんので、教えて下さい。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2011年10月11日 (火) 21時52分
ケイさん 今晩わ。
私は輸入盤です。(国内盤は中身は同じですのに高すぎる。解説も立川直樹ですかね?彼はその時その時都合の良いことを言うだけで中身がありませんから、読む必要もありません。今回のロジャー・ウォーターズの”ザ・ウォール・ツアー”の内容も全く知らないで、解説ですからね。やになっちゃいます)
それはさておき、今回のボックス既に安く売ってます。とにかく映像、サウンドに力を入れて欲しいのに、無駄なおまけものが多くて実際は5-6千円でいいのじゃないかと思ってます。
狂気の映像はいいものがありませんが、ブートで「Video Anthology Vol.3」あたりでみれます。
投稿: 風呂井戸 | 2011年10月12日 (水) 00時03分