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2011年11月13日 (日)

ピンク・フロイドPink Floyd 「炎 WISH YOU WERE HERE」ボックス・セット検証

ライブ映像なしでは、やはり寂しいボックス・セット

Photo PINK FLOYD 「 WISH YOU WERE HERE -IMMERSION BOX SET 」 2011

 既に内容の紹介は済んでいるので(当プログ:2011.11.9” ピンク・フロイド「炎 WISH YOU WERE HERE」ボックス・セット登場”)、ここではその視聴の感想である。

[DISC-1] CD
 これは2011年リマスターということであるが、既に何回と行われている「炎」リマスター、特別な大きな意味はないとの印象であり省略。

[DISC-2] CD
 Previously Unreleased Tracks

 まずは、ライブ音源のオフィシャル・リリース。ここに登場するは”1974 BRITISH WINTER TOUR”もの。このツアーは、この年の6月に行った”FRENCH TOUR”から5ヶ月のブランクがあった後の11月4日の Scotland の Edinburg を皮切りに12月14日までの15回に及ぶライブ公演であった。
 そのうちの11月14日から17日まで行われたWembley は Empire Pool で行われたものからの音源だ。かなり音は良好、しかもステレオ感はきちんと取れている。
 この時は、①”shine on you crazy diamond”、
            ②”raving and drooling”(後の"sheep")、
                 ③”you've got be crazy”(後の"dogs")、
                 ④”Dark Side Of The Moon”全曲、
                 ⑤”echoes”(encore)
   ・・・・・・が演奏されている。
 その①②③のみがこのCDには、納められている。(④の音源は、先頃の「狂気」ボックス・セットにてリリースされた)
Photo_2  私の持っているWembleyのブートCD(「Pink Floyd / Black Holes In The Sky」 Great dane records )は、一夜('74年11月16日)の全曲が納められており、その冒頭で①は"新曲である"とステージで紹介されている。これはこのウィンター・ツアー前には、”Shine On”というタイトルで実験演奏されてきたものであり、このツアーでは熟成完成の域になって登場したとみてとれる。
 
 話は余談になるが、このWembleyの後の Trenthan Gardens (11月19日) で行われた演奏は見事に録音され、当時「Pink Froyd / British Winter Tour '74」というブート・アルバム(LP)でリリースされた。これが「狂気」後のニュー・アルバム(私はそのスクラッチ・ノイズありのCD盤を持っている)と錯覚され、売れに売れたという曰く付きのウィンター・ツアーであった。

 今回このボックス・セットで次のアルバム「アニマルズ」で登場する②、③と共に、リマスターされて良好な音で登場したことは取り敢えず喜びたい。
 
 ① Shine on you crazy diamond
       ライブ音源であるだけ生々しい。冒頭観衆の声が入るが演奏中は殆どその騒がしさはない。つまりオーディエンス録音ではなさそうで、やはりBBCの正規の録音盤とみる。ギルモアのギターはリリース・スタジオ盤よりは充実している。ライトのオルガンは冒頭から活躍、ウォーターズのベース、メイスンのドラムスがクリアで実に快感。やはりスタジオ・リリース盤よりは何倍も楽しい。もともと特にピンク・フロイドのアルバム作りの場合は技術陣が電子機器による音の操作をする程度が高いので、ライブのほうが音が生々しくてバンドの味が数倍高いのである。

 ② Raving and drooling
   ウォーターズのベースで得意のリズムを刻むところから入り、彼の曲だけあってヴォーカルも生き生きしているし、ベース音が全体を支配している。バックのライトのキーボードもスタジオ盤(「アニマルズ」)と異なった旋律で新鮮。彼らの最もハード・ロックっぽいところは聴きどころ。この曲ではギルモアもブルース調のギターと違った味も見せる。

 ③ you've got to be crazy
   やはり「アニマルズ」でも名曲であった”dogs”の原曲だけあってなかなかインパクトある。「炎」では使われなかったこの曲も、当時はかなりのレベルに仕上がっている。当時の歌詞は”Dogs”と異なるがギルモアの唄うそのあたりが興味をひくところでもある。又”dogs”ではツイン・ギターでギター音がハモるところは、キーボードがサポートしてギルモアのソロになっている。そうしたところも聴きどころ。

 更に、このDISC-2には、あの幻のアルバム「Household Objects」から、”wine glasses”が初お目見え。これは”shine on you crazy diamond ”のイントロに使われた原曲。既にこうした形になっていたことは初めての体験であった。

 又、”have a cigar”のAlternative Version”も登場。アルバム版はロイ・ハーパーが唄っているが、この方はウォーターズの声に似ているが、定かでない。
 ”wish you were here”のステファン・グラッペリのヴァイオリン入りのヴァージョンが入っていて、諸々の試みがあったことが解る。このCDは結構楽しめる。

Photo [DISC-3)] DVD (audio only)
 このDVDには、2009年に公開されたJames Guthrieによる「炎 Wish you were here」の”5.1Surround Mix” が楽しめる。
 更にかっての1975年のBrian Humphriesによる懐かしの”4チャンネル版”も登場。今になってリマスターされてここで手にすることも一つの感動だ。
 この両者聴き比べると、それぞれ後方チャンネルの使い方が異なっていて、なるほど立体音響も技術者によって大きく異なることが解って面白い。特に”Welcome to the machine”にその特徴が顕著。持っていて損のないところ。
 その他、1975年の”LPCM Original Stereo Mix” も納められている。リマスター、リマスターで今日を迎えていると、このような原点版も貴重になるところが不思議な現象。
 取り敢えずこのDVDも、価値のあるもの。

 残るDISC-4(DVDは、映像版であるが、コンサートのスクリーン・フィルムで特に大きな意味がない。ピンク・フロイド・フリークは必ず過去にどこかで見てきたものだ。いずれにしても、ここにライブ映像がないのは、この企画において最も価値を落とすところでもある。しかしここまでやっている企画であるので、何とか発掘して欲しかった。
 更にDISC-5(Blu-ray)は、DISC-3と4の同一内容でのBlu-ray版。音質の高度化をねらっただけのもの。

 このように、このボックス・セットはやはり「狂気」ボックス・セットと同じに映像ものに於いて不満足感がぬぐえない。つまらないオマケよりは、その面の充実が欲しかった。若干欲求不満ボックス・セットであったと結論づけた。従ってサラウンド版、4チャンネル版に興味がなければ、値段的にも今回同時に出された2枚組のデラックス版でよいと思うところ。

 
  

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