不思議な世界を持った女性シンガー・ソングライター=ダイド Dido
ポップからどちらかと言えば癒し系までの流れは聴きどころ
つい最近、私に3枚のCDのが届いた。それは英国の女性歌手ダイド Dido Armstrong の2001年から2008年の既発の3枚のアルバムだ。
1st「no angel」, Arista B000056ULS , 2001
2nd「life for rent」,Arista B0000AJ595 , 2003
3rd「Safe Trip Home」,Arista B001EO2UKO , 2008
実はこの歌手は私にとっては名前のみであまり関心もなく全く聴いてなかった。ここで今聴いてみると、ちょっと異質な感をもったし、又不思議な世界を持ったシンガー・ソングライターとして興味を持った。
ポップからアンビエントなヒーリング・ミュージックまでの流れが、妙に気になったのである。
そこでこれはライブものを観てみようとDVDを仕入れることになった。
DVD 「Dido / Live」 Arista 82876-65809-9-RE1 , 2006
このダイドDidoという名前は如何にも変わっているが本名で、両親が文学的世界の人で、私はよく知らないが「VIRGIL'S AENEID」という物語に登場する悲劇の女王に由来するとか。まあそれはそれとして彼女は1971年生まれで、既に円熟期の女性である。
目下のところ3枚のCDアルバムをリリースしているが、このDVDは2001年の1stと、2003年の2ndアルバムからの17曲を演じたステージを収録している。(これは既に7年も前の2004年、英国ロンドンのライブ・ハウスであるブリクストン・アカデミーBrixton Academy にてのもの。当時は彼女は33歳)
全曲彼女によって書かれた曲群であり、殆どはミドル・テンポで流れる。非常に聴きやすいロックでもあり、ソウルっぽくもあり、ヒーリング・ミュージックを思わせる流れもある。印象は決して華々しい明るさはない。しかし暗いというわけでもなく、癒し系にも聴こえ、これは彼女の世界といった方がいいのかも知れない。
収録曲の詳細は左の17曲である。”here with me(1st)”のナンバー1ヒット曲はやはり抜群に魅力がある。その他”thankyou(1st)”もヒット曲だけあり会場から歌声が上がる。それだけ受け入れやすい曲なのだ。”white flag(2nd)”、”don't leave home(2nd)”、”hunter(1st)”、”sand in my shoes(2nd)”とオーディエンスを沸かせる。2ndのアルバム・タイトル曲”life for rent”も静かに説得力のある歌である。
彼女の声の質は、エヴァ・キャシディのような美しさではなく、若干ハスキーがかった、そしてソフトで聴く者を包むようなタイプ。そんなに声量があるとは思えないが、高音に移るところで、サラ・マクラクランのように裏返るヴォーカルでちょっとハッとするが、これはご愛敬だ。一方ではシネイド・オコナーと比較されるようであるが、若干ニュアンスは異なる。
ステージでの彼女の仕草は堂に入っていて、既に百戦錬磨を想わせる。
バック・バンドは、Guitar、Bass、Percussion、Drums、Keyboard という構成で、意外にストレートな音で支える。しかし唄と彼女のヴォイスで、なんとなく神秘的になるところが不思議である。
彼女自身は音楽学校に入ったり、クラシック派でヴァイオリン、ピアノなどを習得したが、1995年の24歳の時に兄のグループであるダンス・メタル・バンド”フェイスレス”に所属。ポップ、ロック畑での活動を身につけ、ソロとなったという。
そして左は彼女の2008年の3rdアルバム「Safe Trip Home」 Arista B001EO2UKO
このアルバムになると、1st「no angel」とは異なって、もともとその因子はあったのだが、ポップ感覚は薄れ、印象は更にヒーリング・ミュージックぽくなってくるし、ケルト的ニュアンスも醸し出してくる大人のミュージックと化している。
なにせ、かって私はファンであったあのアンビエント・ミュージックの鬼才ブライアン・イーノが絡んでくるので、うなずける。イーノは多くのミュージシャンに影響を及ぼしてきた。プログレッシブ・ロック界あのキング・クリムゾンのロバート・フリップや、グラム・ロックの世界をこなしてきたデビット・ボウイなとどとの関係は歴史的に面白かった(私はその時のボウイは好きだ)。そうそうクラスター&イーノの線もあったなぁ。そのイーノとの関係を持つと言うだけで、おおよそこのダイドのパターンも見えてくる。
ダイドというのは知る人ぞ知るというシンガー・ソングライターだが、遅まきながらここにきて聴きこんでみた。アルバムとしては私にとっては1stが最も魅力的ではあったが、既に40歳になる。これからはどう出てくるか?。既にパターンは出来てしまってはいる感はあるが、今後に若干興味がある。
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