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2011年12月 4日 (日)

ピンク・フロイドPink Floyd = スタジオ・アルバム14枚 人気投票

EMI最新リマスター・シリーズ記念「ピンク・フロイド・人気投票」中間発表

 SoundTown(EMI Misic Japan)では、今年EMIのピンク・フロイド全スタジオ・アルバム14枚のリマスター発売を記念して、そのアルバム・ベスト順位を投票によって決めようという企画を進行中である。これは今年の9月から来年2月までの期間で行うものだが、ここに中間発表がなされた。
 誰でも投票できるので、興味のある方々は参加してみてはどうか。(http://www.emimusic.jp/intl/pinkfloyd/ranking.htm

 さて、その中間発表の結果は以下のとおりである。

① 「狂気」            1973
② 「炎」             1975
③ 「原子心母」        1970
④ 「おせっかい」       1971
⑤ 「ザ・ウォール」       1979
⑥ 「アニマルズ」        1977
⑦ 「対」            1994
⑧ 「夜明けの口笛吹き」 1967
⑨ 「鬱」            1987
⑩ 「ウマグマ」        1969
⑪ 「神秘」            1968
⑫ 「ファイナル・カット」  1983
⑬ 「モア」          1969
⑭ 「雲の影」        1972  

 この中間発表を見て、なるほど面白いことに、現在のピンク・フロイドの於かれている位置が極めて良く解る。結論的に端的に言うと、やっぱり我々のような1960年代からのリアル・タイムにピンク・フロイドの歩んだ歴史とともに聴いてきた人間との大きなギャップがあると言うことだ。それはそうでしょうね、ロックという世界に首をつっこむのは、やはり若い世代であることは事実で、その現代の眼から見たロックの姿は、やっぱり極端に言うと反論があるかも知れないが、過去の時代反映の因子による価値観というより、今楽しく聴けるかどうかと言うところにあると言っていいのだろう。

Photo_2  1位:「狂気The Dark Side Of The Moon」

 これはやっぱり妥当なところなんでしょうね。アイディアはロジャー・ウォーターズ世界の幕開けであり、そしてメンバー4人による共同作業の結集、しかもアラン・パーソンズ、クリス・トーマスなどを筆頭としての技術陣との作業も充実していたものである。
 はっきり曲も難しくなくポップであり、そこに絡むウォーターズの人間に迫る謎めいた歌詞。得意のSEも効果的で、多くの人の心を捉えた。
 取り敢えずは、プログレッシブといっても、彼らの聴きやすい楽曲が基礎にあっての作品で、なんと「ビルボード」誌のベスト200に724週というロング期間にチャート・インしていたもの、名盤と言わなかったら何と言えば良いのか。

Photo_3

 2位:「炎~あなたがここにいてほしい Wish You Were Here」

 現在に於いてもそうであるが、ロジャー・ウォーターズは長い歴史の中で、決して同じようなアルバムは作らない。つまり二番煎じによる稼ぎを目的としたような作品作りは彼の心情に合わないのであろう。
 実は、このアルバム誕生にはかなりの紆余曲折があった。もともとは売れに売れたアルバム「狂気」の後とあって、今度は楽器を使わないアルバム造りに着手した。つまり近頃その一部がボックス・セットで公開された「Household Objects」である。しかし完成に至らず、この1974年ツアーでの新曲”Shine on you crazy diamond”を中心として、ウォーターズの社会機構への皮肉である”Welcome to the machine”をはさんで、彼らの原点回顧でシド・バレットを頭に描いての”wish you were here”を作り上げ、アルバムを完成した。このアルバムをやはり好むものも多い、ここには何故か哀愁の漂っている。ギルモアのギターも完成している。
 このアルバムも好まれるのはフロイド・ファンとしては妥当なところなのかも知れない。

Photo_4  3位:「原子心母Atom Heart Mother」

 さて、この3位が難しいところ。目下はこの「原子心母」が選ばれているが、最終ではどうなるか?。
 ただし、この1970年のアルバムは、所謂プログレッシブ・ロックという言葉の範疇を作り上げた元祖である。面白いことにこれは日本で作られた世界であり、逆に英国でもあるところでは使われたと言うから意義深い。
 アルバム・タイトル曲の”Atom heart mother”は、ギルモアに湧いた基本旋律をメンバーそれぞれが、個性を発揮してさまざまなバリエーションを加え味付けして作り上げた。そして当初”the amazing pudding”という曲名であったが、ウォーターズがペース・メーカーを付けた出産母体をみて思いついて付けたこのタイトル名に変更した。この当時ウォーターズ得意の難解なタイトルとアルバムの牛のジャケットとは強烈なインパクトがあったもの。多くのファンが、このアルバムを選んだには、やはりこの25分に及ぶ曲の壮大な世界に感銘したといったところか。
 しかし、この組曲作りの曲は、ライブでの演奏を聴き込むと、3位争いをするであろうアルバム「おせっかいMeddle」の人気曲の”Echoes”の曲の原点を垣間見ることが出来、やはり重要な彼らのアルバムとなることが解る。
 一方、このアルバムのその他の小品集ではウォーターズの”if”が、その後のピンク・フロイドの人間注視の世界への入り口であったし、”fat old sun”はギルモアのギターの歩む道の開始であったと言うことも、実は重要なアルバムでもある。

 私自身も決めがたいが、この3位候補は2位も含めて、「おせっかい」「ザ・ウォール」「アニマルズ」といったところは、最終に締め切ってみなければ解らないところであろう。特にアメリカでは時代にそった懐疑や主張のある「ザ・ウォール」「アニマルズ」あたりは人気は高い。特に「アニマルズ」のパンクと一線を画した作品は、あの時代に於いて意義深い。しかし日本では、ピンク・フロイドへの期待はむしろサウンド嗜好が強いと言えそうで「おせっかい」に偏るのかもしれない。

Photo_5  こうしたベスト10に投票する多くは、例えば40年以上前の「神秘」と最終アルバム「対」を、ほぼ一緒に聴いて投票している層が多いわけで、過去のアルバムの作られてきた順番は解っていても、その時代に生きてのリアル・タイムな感覚からの感動というものは知らないわけである。従ってこうした順位というのはそのような層の評価に準じていて、早い話が、実は現在に於いて何が聴きやすく解りやすいかと言ったところが拠りどころになっていると言ってしまってもよいのだろう。
 しかし、我々のように、あの時代に出現した「神秘」の感動とロック音楽における重要性と比較して、「対」のようなかってのフロイド・サウンドの焼き直しであり、しかも時代に問題意識などと言う世界と違ったAORに近いアルバムの評価は全く価値観が違うのである。
 どっちが正しいとか、よいとかの問題を言っているのでなく、そうした違いがあると言うことだけは認識しておかないと、このベスト・アルバムの順位と価値観を見誤ってしまうと言いたくなるのである。

 とにかく私にとってはそれぞれ価値のあるしかも感動を伴った重要なアルバムで、この企画のように3枚のアルバムを選べと言われても、それは至難の業だ。「モア」もピンク・フロイドが生きてゆく上での重要な位置にあり、しかもその中身は素晴らしい。
Photo_6  又「ザ・ファイナル・カット」は、ピンク・フロイドの1stアルバムからの16年の歴史の最終章として行き着いた重苦しさと悲痛な叫びと緊張感は群を抜いている。サウンド嗜好のAORの世界を越えて、特にロジャー・ウォーターズのロックに身を投じた人間の姿を最もリアルに描いた傑作だと思うのである。かってのエコーを効かしたサウンドを単に継承するのでなく、ロックの原点に戻ってのストレートな音に包んだ世界はこれ又一歩ある意味では進んだ形として見れるわけで、その中でのギルモアのギターも美しい。過去の模倣からの脱却もむしろ見事な一枚だと私は評価している。

 その他、人によって取り敢えずピンク・フロイドと初めて接して感動したアルバムがこれだったとか、かって聴いたことのない世界に包まれたアルバムであったとか、それぞれの経験からも推薦アルバムは異なってくるであろう。
 今回のEMIのベスト・アルバムの人気投票も、はっきり言えば結果は現在の反映であろうと思っている。実は私も投票しようと思ったが、過去のそれぞれの感動から結局選べきらなかった。つまり私には3枚と言われても選べないのである。
 しかし、来年の2月にはこの人気投票の結果がでるわけで、なんとなく結果は分かってはいるものの、それはそれ面白いと見つめることにしているのである。

                      *******************************

(追記)2012.3.1

2011.9~2012.2 「ピンク・フロイド=アルバム人気投票最終結果」

  1. 「狂気」
  2. 「炎」
  3. 「おせっかい」
  4. 「原子心母」
  5. 「ザ・ウォール」
  6. 「アニマルズ」
  7. 「対」
  8. 「夜明けの口笛吹き」
  9. 「鬱」 
 10. 「ウマグマ」
 11. 「神秘」 
 12. 「ザ・ファイナル・カット」 
 13. 「モア」
 14. 「雲の影」


 
 
 

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コメント

 こんばんは、なかなか興味深い内容ですね。そんな人気投票があったとはつゆ知らず、今まで過ごしてきました。
 私だったら、やっぱり「狂気」「炎」「おせっかい」「原子心母」「ザ・ウォール」でしょうか。あれ?5枚になってしまいました。3枚でも難しいのに、1枚選ぶのは至難の業、こういうのは白黒はっきり決めたがる外国人に任せましょう。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2011年12月 4日 (日) 23時11分

プロフェッサー・ケイさん、コメント有り難うございます。・・・・ですよね、選ぶのは3枚までって言われると、投票しかかった私もちゅうちょしてしまった。しかし、彼らのアルバムが今こうしてリマスター・リリースしてもその商業的価値があることが、素晴らしいというか、恐ろしいというか、・・・・
 
 ところで目下の最終アルバムは「死滅遊戯」だというと言うと叱られそうですね。

投稿: 風呂井戸 | 2011年12月 5日 (月) 09時25分

3番目は難しいですねぇ…。
「アニマルズ」かも。気分ですが…。
しかしホントこれが良く売れ続けるもんだ。その方が不思議なんですけどね。

投稿: フレ | 2011年12月 6日 (火) 20時39分

 フレさん、今晩わ。
 確かにね・・・。英国では、先日一時ですが「狂気」がベスト10入り。まさに”狂気の沙汰”ですね。

投稿: 風呂井戸 | 2011年12月 6日 (火) 23時24分

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