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2012年1月17日 (火)

ザーズ ZAZ ~ シャンソンからのJazzyな発展形~まさにライブが花

久々に、シャンソンからの流れに魅せられて~ライブなくしてZAZなし
   
ライブ・アルバム「ZAZ ライブ!~聞かせてよ、愛の歌を~」登場

Zaz_03b

 最近は、友人からの紹介アルバムを聴いて結構納得することが多い。自己流で探っていくと、結局は同じ所に辿り着くことになってしまうが、その点は人に耳を傾けるとなかなか掘り出しものに遭遇できる。
 このザーズ ZAZ もその一人だ。久々にフランス人の登場だ。本名イザベル・ジュフロワ Isabel Geffroy 、1980年生まれであるから既に30歳は越えた。ハスキーなヴォイスとソングライター・センスを身につけたシャンソンから発展しての現代センスの曲には魅力がある。

Zaz_2  2010年のアルバム「ZAZ~モンマルトルからのラブレター」(左:RESPECT RECORD  RES180 , 2011 )がフランスでは大ヒットして日本にも伝わってきたわけだ(2010年、フランス・アルバム・チャートにて8週連続1位を記録した)。
 このアルバムの日本タイトルの良し悪しは別として、彼女がブレイクした最も大きな因子は、パリのモンマルトルの路上で鍛えられた音楽らしい。それはシャンソンはもちろん、フォーク、ブルース、アヌーシュ(ジプシー)・スウィングなどが加味して、ジャズ的アプローチが結実しているところにある。

「ZAZ / SANS TSU TSOU - LIVE TOUR  ライブ!~聞かせてよ、愛の歌を~」
                 (2CD+DVD)  RESPECT RECORD RES 201-202/B ,  2011

Live
  2011年末には、日本でもザーズZAZのライブ・アルバムが登場した。
 このアルバムはCD+DVDで、特にDVDでは彼女の姿が浮き彫りになる。なるほど、これは百戦錬磨の路上アーティストのステージだ。
 主として、つい先頃の2011年10月16日のフランスはベテューヌの町におけるライブだが、それに加えてニヨン(スイス)、ラ・ロシェル(フランス)、ハンブルグ(ドイツ)、ウィーン(オーストリア)、ノヴィ・サド(セルビア)などのヨーロッパ各地での模様が挿入されている。

Livelisteng2_2  収録曲はCD、DVDともに左のとおりで、あの1stアルバムにない5曲ほどの新曲も登場する。
 メインのベテューヌでは、バックにツイン・ギター、ベース、キー・ボード、ドラムスが支える。
 彼女のフランス語の歌は、我々の知るシャンソンの味は十分感じられるが、やはりジャズとしての味付けが見事。そのステージ上のパフォーマンスはダンスとともにオーディエンスにアッピールする身振り手振りは曲とのマッチングは華麗で、路上で鍛えられた聴く者に対してのサービス精神が溢れている。額に汗を滲ませての姿には心意気が感じられる。

 このライブ・アルバムのタイトルは、日本語では「上も無く下も無く」という意味とか、そのあたりに意味深なところをくみ取らなければいけないだろう。私が彼女を評価する一つは、かなりの主張を持って唄っているところにある。ここでは中近東を思わせる節回しで始まる1stアルバムの中心的曲の”Je veux 私の欲しいもの”の歌詞にはその姿の基盤がありそうだと思うのだが(ライブでの盛り上げは凄い)。
  ・・・・・・・・ホテル・リッツのスイート・ルーム、そんなのほしくないわ。シャネルの宝石、そんなのいらないわ。・・・・わたしなんて手づかみで食べているような女よ。・・・・偽善を止めて、私はここからずらかるわ!・・・・・

 このライブを見ても、スタートの”Les passants 通行人”からエネルギッシュなハスキー・ヴォイスを投げかけてくる。オーディエンスは思わず合唱を始める。こうした流れはお見事である。
 一方”Port Coton ポール・コトン”、”La Fe'e 妖精”、”J'arrive pas できないわ”のような語り聴かせる歌も心に響いてくる。これぞライブであってその味が一層増すのである。静と動を華麗にこなすアーティストである。
 ”Ma folie 私の狂気” はザーズの作詞作曲であるがスローとアップテンポの切り替えが素晴らしく、バックの演奏にも気合いが入っている私の好きな曲だ。こうした中に、ザーズはバックと一体になって曲を作り上げる姿勢がくみ取れるし、その音楽的レベルの高さが解る。このあたりは彼女特有の世界である。最後はステージにぶっ倒れてしまうところが味噌。
 ライブの締めの曲”Aux de'tenteurs 保有者に”は、ヘビー・ロックの新曲で嬉しくなる。このパターンも進化させて欲しい。そして"アリガトー"と日本語の登場でライブを納めるところはニクイところだ。

 こうしてみてゆくと、彼女はやはりライブにあってその魅力を発揮することが解る。いやはや恐るべき新人が登場したものだ。このライブもの映像ではエレキ・ベースを弾きまねの彼女の姿もみれるし、是非とも彼女はライブで知って欲しいアーティストだ。そこで今年2月には日本にもお目見えすることになっているので、さて日本に於ける評価や如何なるものになるか楽しみでもある。

(視聴) 1  http://www.youtube.com/watch?v=_Q3cF6ai--w

           2 http://www.youtube.com/watch?v=rzAMaFcLGvQ
 
 
 

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コメント

リリースからものすごく遅い紹介に反応いただきありがとうございます。 oza。です。

自分は廉価なCDだけ盤を買っているので、映像は見れていないのですが、それでもライブの魅力は音だけでも感じられていると思います。
リリースから5年くらい経ってますが、まだまだ色褪せてないと思わせます。

TBありがとうございます。逆TBしようとしたらエラーで入らないようなので、URL貼らせていただきます。

http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63607920.html

投稿: oza。 | 2016年3月 5日 (土) 07時24分

Ozaさん、こちらまでわざわざお越し頂いて有り難うございます。
 このアーティクルを書いたのは2012年でしたね。今現在ここに書いているのは2016年ということで、その後のZAZ話になりますが、彼女は「PARIS」というアルバムを2014年に出しましたね、パリ、そしてエディット・ピアフ、エラ・フィッツジェラルドやフランク・シナトラなどを意識したシャンソン・トリビュートアルバムとなっていますけど、彼女の唄のうまさは十分聴き取れますが、ちょっと私の期待とは違ったモノでした。やっぱり彼女は社会の陰の部分を背負っていないと味が半減だと感じてます。そんな意味でも1stがやっぱり最高ですね。目下のところは。
 さて、この後の四作目が勝負どころでしょうと思ってますが。

投稿: 風呂井戸 | 2016年3月 5日 (土) 11時17分

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