ジャケ党を泣かせるアルバム(1)~「ヘルゲ・リエン・トリオ Helge Lien Trio / Natsukashii」
ヘルゲ・リエン・トリオ Helge Lien Trio 「Natsukashii 懐かしい」
OZELLA MUSIC OZ036 CD (2011)
REC.September 24-26, 2010, Oslo, Norway
このところ、最も気に入ったCDアルバムのジャケットがこれだ。とにかく彼らのアルバム・ジャケは過去のものも素晴らしいが、この近作は抜群。
望遠レンズを使ってのモノクロ作品。とにかく見入ってしまう。しかもこの作品、このピアノ・トリオのピアニストであるヘルゲ・リエン自身の作のようだ。驚きである。
私のようなジャケ買いが絶えないものにとって、このトリオの場合は中身はおよそ推測できるところであり、即座に入手した代物。紙ジャケでつや消しの素晴らしいもの。これがLPだったらなぁ~~と、しきりに思うところなのだ。
このトリオは、ヘルゲ・リエンのピアノを中心としたノルウェーのジャズ・グループ。
Helge Lien : piano
Frode Berg : Bass
Knut September : Ds
このメンバーで、多分本アルバムは、2001年の1st「What are You Doing The Rest of Your Life」以来7作目となる。かなり固い繋がりの仲間の作品と見てよい。
そしてなんと、アルバム・タイトル及び第1曲目が”Natsukashii 懐かしい”と言う日本語であるところが又嬉しい。そして又、ピアノの旋律が日本的で懐かしい気持ちを起こさせる美しいノスタルジックな曲である。日本を知っての作品に相違ない。
曲リストは、左のとおり。前々作「To The Little Radio」(2006年)はスタンダード集、前作「Hello Troll」(2009年)は、オリジナル曲集であったが、今回も全曲オリジナルである。
2曲目”Afrikapolka”4曲目”E”は、それなりにビートを効かした曲。彼らの醍醐味が覗かれるところ。3曲目の”Bon Tempi”は、ゆったりとした曲だが、次第にトリオでやや前衛性を持って盛り上げていくところが味がある。
もともと彼らはクラシック畑出身であるので、”Sceadu”の意味は分からないが、クラシック・タイプの意味深な曲。
そして”Meles Meles”は、”Natsukashii”同様ピアノの旋律の美しい曲だ。
7曲目の”Hymne”は、オリジナル曲であるだけにメンバーがそれぞれの個性を交錯させてトリオの醍醐味である物語を展開。
”Umbigada”、”Small No Need”は、前衛性のある曲。スリリングな展開も聴きどころ。
こうして、アルバムとしては緩急、美しさと前衛性など織り込んでのバランスも良く取れている。
ジャケに惚れながらも、なかなか中身も味のあるアルバムとして聴き応えある。録音も良いところも味噌。
彼らはノルウェーでのジャズに関しての権威ある賞をいくつか受賞しているようで、なるほど実力ある北欧のジャズの世界観を知る思いである。
(視聴)
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コメント
風呂井戸さん,おはようございます。リンクありがとうございました。
このアルバムがリリースされて10年近く経過してようやく聞いている私ですが,もっと早く聞けばよかったです。とにかく実に美しい響きにまいってしまいました。こういう音ってやっぱり好みなんだと思いました。
ということで,当方記事のURLを貼り付けさせて頂きます。
http://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2020/02/post-3771ce.html
投稿: 中年音楽狂 | 2020年2月11日 (火) 09時11分
中年音楽狂さん
わざわざこちらまで有り難う御座います。
彼もその後一つの壁にあたったんでしょう、色々と試行錯誤のアルバムがありますが、基本的には美旋律ピアノですね。
まだまだこれからも楽しみです。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年2月12日 (水) 17時16分