大人のジャズ・ヴォーカル~ケイト・リードKate Reid 「The Love I'm In」
実力派のジャズ・ヴォーカルは実に心地よい
「Kate Reid / The Love I'm In」 2011年自主制作
女性ジャズ・ヴォーカルものも、何となく積もり積もってきた。その中の一枚ではあるが、近年流行のキュートで美しくそして愛らしい世界もいいが、このアルバムは久々の大人のジャズ世界だ。
このケイト・リードKate Reidという女性は、これが2枚目のアルバムであるが、1stアルバム「Sentimental Mood」共々自主制作であって、そんな関係からかどうも情報が少ないが、彼女の名前を冠した"Kate Reid Quartet"を持ってしてLos Angelesで活躍しているようだ。年齢もみるところ20歳代という若さではなく、30-40歳代という円熟タイプ。
そして彼女はジャズ・ピアニストでありヴォーカリストというミュージシャンであるが、これまでにはセッション・シンガーとしての多くのミュージシャンとの交流もあり、実力派と言っていいのだろうと思う。
今回のこのアルバムは、以下の12曲が収録されている。よく見ると結構スタンダード・ナンバーをこなしていることが解る。
1. Just Squeeze Me
2. The Lamp Is Low
3. Where Do You Start
4. Nice & Easy
5. So in Love
6. I'm Through With Love
7. I Love You Porgy
8. Something Good
9. Portrait in Black and White
10. With Every Breath I Take
11. Close Enough for Love
12. Nobody Else But Me
そして曲の造りは、彼女の中・低音部の安定した歌声が中心に、ヒアノ・トリオのバックがかなり控えめに大人のジャズの世界というムードを作り上げる。そして時にそのムードを更に盛り上げるべくのテナナー・サックス、トラン・ペットの響きが聴かれる。
オープニングのM1はデューク・エリントンの曲で、どちらかというとダイアナ・クラールを想わせるヴォーカルで、気持ちよくスウィングして聴かせる。
M3となると、静かに彼女のピアノとベース、それにケイト節がじっくりと聴かせてくれる。非常にその流れは気持ちよく、そして安定感を生み出してくれる。日頃カルテットで演奏していると言うことで、ヴォーカルと演奏のその間の捕り方の呼吸に隙が無い。
コール・ポーターの曲M5あたりから彼女の説得力あるヴォーカルと演奏が、このアルバムにおいてジャズの良さを知らしめてくれる。
M7は、特に静かな夜にほっとした安堵感を求めるのであるなら最高である。
なかなか大人の世界を感じさせる良いジャズ・ヴォーカル・アルバムなのである。
Kate Reid : Voc. Piano
Otmaro Ruiz : Piano (5,9,11)
Ernie Watts : T.sax
Chris Conner : Bass
Steve Barnes : Drums
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