ケイティ・メルアKatie Melua ニュー・アルバム「SECRET SYMPHONY」登場
マイク・バットMike Batt のプロデュースでの奮起は??
「KATIE MELUA / SECRET SYMPHONY」 DRAMATICO DRAMCD0078 , 2012
取り敢えず3年ほど前から私の注目している英国のケイティ・メルアだが(”ケイテイ・メルアの世界”2009.7.28 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-bdf3.html)、彼女のニュー・アルバムの登場だ。前作「the house」は2010年のリリースだから、既にあれから2年近くなるんですね (2010年8月に取り上げているので参照して欲しい=”ニュー・アルバム「the house」”http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/the-house-cb90.html)。
これはスタジオ・アルバムとしては5thアルバムとなるが、前作では自立し卒業したかに見えた師匠のマイク・バットのプロデュースによってのお目見えだ。
確かに、前作「the house」は、100%ケイティ・メルア自身の曲によって作られていたが、残念ながら良くできたアルバムであったが、話題性はあまりなかった。
その為かどうか解らないが、今回のアルバムは、過去に世話になったマイク・パットに全面的にゆだねられている感がある。まあ、つまり彼からは卒業できなかったと言うところであろう。それも、昨年一年を通して英国ではアデル旋風が吹き荒れて、こうしたややJazzyなポピュラー派は相当な影響を受けたであろう事が想像されるところ。
曲は左の11曲であるが、彼女自身はシンガーソングライターであり、自己の曲も多いと思うが、このアルバムでの登場は3曲で、しかもその内の2曲は、マイクの世話になっている。一方マイクの曲は4曲と多く、更にケイティの曲2曲に彼が関係している。バック・オーケストラもマイクの指揮によっていて、実質彼の作品と言うところ。
歌詞はアルバムのブックレットには載っておらず、彼女のホーム・ページに載せてあるという手法をとっている。
全体の印象は、かなり落ち着いたやや大人っぽくなったケイティ・メルア(1984年グルジア生まれであり今年ようやく30歳になる)のヴォーカルを中心に、バックはオーケストラが美しく流し、ギターが印象的な曲作りをしている。ジャズっぽい面はあまりない仕上げ。
相変わらずケイテイの唄は、嫌みのないややあどけなさの残った声で、聴く者にとっては安堵感に繋がってゆく。又グルジアの悲劇を克服してきた彼女の姿から、なぜか美しい中に哀愁を感じてしまうのは、私だけであろうか。
ただし、このDRAMATICOは、なかなか録音の質は常にハイレベルにある。。
かってエリザベス女王にお墨付きをもらったというのが彼女のキャチ・フレーズであるが、それだけその唄には品があると言ってもいいのであろう。
このアルバムの印象も極めて好感の持てる曲の集合体といったところ。ただしこの曲が看板作というパンチの効いたものは今回は感じられなかった。彼女のアルバムとしては平凡な部類かもしれない。
ただ不思議なのはマイク・パットの曲の後にケイティ自身の曲が来ると、彼女の曲が引き立つという現象が起こる。これは過去に於いてもそうであったのだが、やっぱり相性が良いというところなんでしょうね。
いずれにしても、女性ヴォーカル・アルバムとしては良質の一枚であることは事実。しかし残念な事に、これはそうした評価で終わってしまいそうなのだ。つまり過去のケイティ・メルアの世界から一歩発展性が見て取れなかった。私的にみた期待度は、もう少しジャズの世界に足を踏み込んでほしいと言うところ。つまり、ここらあたりで一歩前進しないと、これで終わってしまいそうなのである。
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