ジャケ党を泣かせるアルバム(4)~パット・メセニーPat Metheny 「WHAT'S IT ALL ABOUT」
PAT METHENY 「WHAT'S IT ALL ABOUT」
Nonesuch Records NOUNESUCH 527912-2 , 2011
このジャケは、まさに”ザ写真”と言ったところですね。夜景にて光る街灯、そして濡れた路面、路面の電車レールに歩く一人の影。
こうゆうのは、見ただけで私の場合は、中身はどうあれ買ってしまうアルバムです(笑)。
このパット・メセニーPat Metheny というのは、パット・メセニー・グループのリーダーであるギタリスト。2006年にはピアノとのデュオ”パット・メセニー&ブラッド・メルドー”で話題になったが、このようなソロ・ワークスがある。
彼は1954年にアメリカ、カンサス・シティ生まれ、13歳からギターを独学で始めたとの紹介がある。ゲイリー・バートンに寄り添い、そして彼の推薦で18歳でバークリー大学の講師も務めたという。1978年には、ギター、ピアノ、ベースのトリオを中心としたパット・メセニー・グループを結成して活動を展開。
彼のミュージックを表す言葉として、あるところで・・・・”ジャズとフュージョンの間に横たわる壁に風穴を開け、新風を吹き込んだ両階級統一チャンピオン・ギタリスト” と、紹介されていたが、なるほどこのアルバムよりも過去のアルバムにそれは感ずるところがある。
さて、このアルバムは彼のバリトン・ギターのソロ作品である。収録は左のような10曲。ポール・サイモン、バート・バカラック、カルロス・ジョビンなどの曲を多重録音overdubsなしのストレートな独演である。ジョン・レノンとポール・マッカートニーの”and i love her”が最後に演奏されている。
冒頭の”the sound of silence”など聴き慣れた曲であるが、このギターの音の良さと、彼なりきの演奏で新しさを感ずる曲に出会える。やはり売れっ子であるだけの曲仕上げに納得のところだ。
このジャケの素晴らしさがなければ、多分私は買わなかったアルバムであるが、こうして手にしておいてよかったと思うところ。
特に”garota de ipanema”の仕上げには驚く。間のとり方の説得力とこの曲の変化とはメセニーの真骨頂なのであろう。続く”rainy days and mondays”の彼の捉え方にも脱帽、はっきり言って原曲とは違った世界に導かれる。とは言っても全編難しさはない。気楽に聴いていてよいというアルバムでしょう。
約50分の収録時間であるが、やはり全曲がこのパターンであるので、通してアルバムを聴いていると若干後半マンネリ感に陥る。これは仕方のないところであろうか。
左は、私の過去に聴いたメセニーのブラッド・メルドーBrad Mehldauトリオとのコラボ作品。
「METHENY MEHLDAU QUARTET」 Nosesuch Records NOSESUCH 104188-2 , 2007
このジャケも、森林限界を超えた荒涼とした高山の1カット。なかなか印象深いもの。
このアルバムはメルドーのピアノ・トリオにメセニーが、42ストリングス・ギターやギター・シンセなどで弾きまくっているが(Acousギターは一曲のみ)、こちらのイメージがどちらかというと、私にとってはメセニーの印象であった。ギターとピアノのコラボはいいですね。これは好きなアルバムであるのでここに付記しておく。
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