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2012年4月28日 (土)

トルド・グスタフセン・トリオ Tord Gustavsen Trio の「The Ground」, 「Changing Places」~ジャケ党を泣かせるアルバム(7)

過去の美と郷愁と哀愁の2アルバム検証

TORD GUSTAVSEN TRIO 「THE GROUND」
    ECM  ECM1892 B0004123-02 ,  2004
        (Recorded january 2004 , Rainbow Stuudio ,  OSLO)


Theground

 先日紹介したノルウェーのトルド・グスタフセン・トリオの3rd「BEINB THERE」のジャケも素晴らしかったが(参照: 2012.4.11 “美旋律と哀愁の極致” http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/tord-gustavsen-.html )、ここに取り上げる過去の2アルバムもなかなかジャケは注目に値する。特にこの2ndのジャケ・デザインには見事なボケ味の生かされたカットで、自ずから中身の音楽に期待を持たせてくれるのであった。

Tradgustavsen  彼らのアルバムのピアノを中心としての演奏は、その美しさと哀愁と、しかもその品格は極上で、私の秘蔵品といってよい扱いをして来たが、前回3rdアルバムを取り上げた以上、この過去の2作もここで取り上げることとした。

 実は私自身、トルド・グスタフセンにはこのアルバムから入ったのであった。そして彼の全てのアルバムにとりつかれるという結果になってしまったのである。

 トリオメンバーは1stから3rdまで変わっていない。

  Tord Gustavsen : piano
    Harald Johnsen : double-bass
    Jarle Vespestad : drums

Thegroundlist  収録曲は左のとおり。”all composition by Tord Gustavsen”となっており、グスタフセンのリーダー・バンドである。
 導入の一曲目”tears transforming”そして2曲目”being there”は優しくしかも心が洗われるような名曲と言って良い。ピアノ・ソロのような流れにドラムス、ベースが静かに支えていくがごとく演奏である。
 更に5曲目”colours of mercy”、6曲目”sentiment”もタイトルとのものの慈悲、感傷そのものである。
 そしてこの流れは破綻無く、最後まで続くのである。
 
 こうしたタイプのジャズ・ピアノ・トリオものとしては、静かな夜に一人で聴いていれば最高の代物である。ピアノの美しさも絶筆もの。私にとってはこのアルバム以来虜になってしまったわけである。

Tord Gustavsen Trio 「changing places」
     ECM ECM1834 B0000060-02 ,   2003
   (Recorded December 2001 and June 2002 Rainboow Studio ,Oslo )

Changingplaces

 これがこのトリオの1stアルバム。2003年リリースである。私にとっては上に挙げた2nd「THE GROUND」が気に入って即手に入れた。
 やはりこの1stも全くその期待は裏切っていない。2ndは当然この1stが好評で一年という早さでリリースされたのである。

Changingplaceslist この1stの収録曲は左の13曲で、やはり全てグスタフセンの構成によるとされている。
 冒頭の曲”deep as love”から安らぎを誘う。11曲目の”your eyes”も同様だ。
 2曲目、12曲目の”graceful touch”そして9曲目の”where breathing starts”は、いつかどこかで聴いたよな懐かしい旋律がピアノによって流れ、思わず何か自己の過去を思い起こさせるようなところがある。
 このアルバムね全編を通じて”静”であり、”郷愁”、”哀愁”、”癒やし”、”叙情”と言ったところか。

 やはり3rdや2ndもそうであったが、この1stから、トリオといっても全てがグスタフセンの主導で曲作りはされ、彼らのオリジナル曲であるがピアノ・ソロに近い曲が進行して、ドラムス、ベースが前面に出ず、バックを構築している。確かに聴き方によってはクラシック・ピアノ演奏を聴いているような雰囲気にもなる。

 とにかくノルウェーからの極上のピアノ・トリオを我々は聴けるところに感謝したい気持ちである。
 

 

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コメント

TORD GUSTAVSEN を聴いてて感じるのはなぜか昭和の匂い。昔の日活映画の石原裕次郎や二谷英明がバーで呑んでるシーンなどが妙に頭に浮かんできます(勿論私の時代ではありませんが)。”where breathing starts”なんてまさに裕次郎の「二人の世界」。
 なにかうまく言えませんが、高度経済成長時代の(少し貧しい)昭和の日本人や歌謡曲に通ずる何かがある様な気がしてなりません。そのあたりが日本人に受けるのかなあと。
 ”colours of mercy”の後半、「間」だけの時の流れはとても痺れました。もっともっと永く続いて欲しいくらいです。これは私もハマってしまいました。

投稿: /ten | 2012年4月29日 (日) 23時07分

 /tenさん、お早うございます。
 私の愛するTord Gustavsen の演奏から生まれる郷愁は、/tenさんにも通ずるものとして感じられたようで嬉しいです。(人それぞれ思い巡らすものは違っていても・・・・)
 1年前に、ここで取り上げたポーランドのMarcin Wasilewski とともに、私にとっては大切なトリオです。

投稿: 風呂井戸 | 2012年4月30日 (月) 08時33分

3作とも素晴らしいアルバム。「その美しさに枕を濡らす」とまで評した友人がいました。イタリア系の美メロ派ともちがって、北欧の乾いた空気をかすかに感じさせる点も私に肌があっているようです。クインテットになってからちょっと違うなという感が否めません。

投稿: 爵士 | 2012年4月30日 (月) 09時38分

爵士さん、コメント有り難うございます。 爵士さんのブログ何時も拝見しています。(松本には十数年住んでいましたので、お話しは実感がありまして・・・・)
 しかし、このグスタフセンのノールウェーから生まれる世界と、ここまで日本の我々に共通する世界があることに驚きを隠せません。
 カルテットの方は近々書きますが、大きな差はないように感じていますが、私自身はピアノ・トリオが好きなんです。

投稿: 風呂井戸 | 2012年4月30日 (月) 11時42分

初めまして。
私は彼の演奏に、静謐、叙情、郷愁・哀愁に加えて、ある種の陰鬱さ(いい意味での)も感じます(北欧の空って、そういうイメージなのかもしれませんが)。スローテンポで音数が極端に少ないにもかかわらず、彼の曲が、単純にもステロタイプにもならず、何度聞いてもわれわれを飽きさせないのは、その辺にも秘密がありそうな気がしています。

投稿: 愛宕 | 2012年5月12日 (土) 12時47分

愛宕さん、コメント有り難うございます。
 ”陰鬱さ”ですか、・・・・・実はこのイメージはTrioの後の、なんと女性ヴォーカルの入った「Tord Gustavsen Ensemble / Restored,Returned」のアルバムになって私は感ずるようになりました。
 ここでは、TrioとQuartetの計4枚を取り上げたんですが・・・このEnsembleまで言及しないとまずいなぁ~と、思っていたところなんです。
 Ensembleは、Trioファンを若干裏切ったところがありましたが、トルド・グスタフセンを知るには貴重な一枚とも言えます。愛宕さんの言われる”陰鬱さ”を知る上でも・・・・

投稿: 風呂井戸 | 2012年5月12日 (土) 15時37分

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