コリン・バロンColin Vallon のジャズ・トリオ活動は期待株「Rruga」~ジャケ党を泣かせるアルバム(8)
ECMレーベルのコンセプトを担って・・・・
Colin Vallon, Patrice Moret, Samuel Rohrer 「Rruga」
ECM Records, 2011, ECM 2185 B0015433-02
(Recorded May 2010 )
アルバム・タイトル「Rruga」は、英語では”jouney”に近い意味のようであるが、左の自転車に焦点を持って行き周辺を流した撮影写真のジャケットはなかなか頂ける。
Colin Vallon : piano
Patrice Moret : double-bass
Samuel Rohrer : drums
ECMレーベルでは、キース・ジャレットを中心に私は聴いてきたが、先頃取り上げたトルド・グスタフセンも私のお気に入り。もともとこのレーベルの音作りのコンセプトは、”The Beautiful Sound Next To Silence”(沈黙の次に美しい音)”というところにあるということのようだが、この若きコリン・バロンのピアノを中心としたトリオも、2011年にリリースしたこの彼らのECM第一号(彼らの3rdアルバム)は、そんな世界を見事に演奏している。
Colin Vallon は、1980年にスイスのローザンヌで生まれで、10代にクラシックを学び、その後早くにジャズに傾倒、18歳でジャズ学校に登録している。19歳(1999年)にはスイスや周辺国でピアノ・ジャス・プレイに専念して、コリン・バロン・トリオを結成。
2004年デビュー・アルバム「Les Ombres」
2007年2ndアルバム「Ailleurs」
トリオ・メンバーは、2004年から現在の1972年生まれのベーシストのPatrise Moret と、1977年生まれのドラマーSamuel Rohrerと結成して、曲は3人それぞれが書いてアルバム作りをしている。そして各地での活動で、多くの賞を獲得した。
2011年、ECMデビューが、この3rdアルバム「Rruga」である。
スイスを中心に活動しているようだが、なによりも彼らのオリジナル曲を中心にしていることと、繊細にしてメロディアス、そして静なる世界の構築は見事と言える。
1. telepathy (Moret)
2. rruga (Vallon)
3. home (Vallon)
4. polygonia (Rohrer)
5. eyjafjallajokull (Vallon)
6. meral (Vallon)
7. iskar
8. noreia (Rohrer)
9. rruga,var. (Vallon)
10. ejord (Moret)
11. epilog (Rohrer)
( )内:作曲者 収録曲11曲であるが、作曲はCollin Vallon が5曲、Samuel Rohrer が3曲、Patrice Moret が2曲と、メンバーが協力し合っている。確かに曲はピアノ・トリオとしてのピアノの占める位置が大きいが、ベース、ドラムスそれぞれが結構前面に出てリードする場面もあり、三者の位置関係はかなり対等にある。
メロディーの美しさはトルコとコーカサスの音楽を反映しているというが、そのあたりは私には解らない。演奏の展開もフリー・ジャズ、クラシック調と多彩で、静かな世界を構築するが、三者のアンサンブルによる盛り上がりの波も押し寄せて聴き応えある。
アルバム・タイトル曲”Rruga”のピアノの旋律は非常に美しく流れ、中盤のシンパルの音を中心としたドラムスの盛り上がりもいい、そして最後はピアノで静かに幕を閉じる。そしてその流れで続く”home”は、安堵の世界に導く。このように曲の繋がりもアルバム・トータルに抑揚を付けて編集されていて説得力ある。
”polygonia”は、何か物語りを感ずる世界に導いてくれる。”eyjafjallajokull”のフリーな展開と間の取り方はなかなか見事で、彼らのトリオ・ジャズの一つの方向性が見える。
トルド・グスタフセンのピアノ主流と比べると、トリオ三者が対等に近い役割を果たしているバンドである。
ECMからのリリースでレーベルのコンセプトを担っている若きバンドだ。、更にこれから大きく羽ばたいて欲しいトリオである。
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