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2012年6月22日 (金)

北欧女性ロック・ジャズ・ヴォーカル: カリ・ブレムネスKari Bremnes 「NORWEGAN MOOD」、「MÅNESTEIN」

これぞノルウェーの世界か

Kari BREMNES 「NORWEGIAN MOOD」
hot records    HOT 1090  ,  2000

Norwegian_mood
 これもして、友人から届いた一枚。
 ノルウェーでは実力派と言われる女性ヴォーカリストのカリ・ブレムネス。このアルバムは彼女のノルウェー語でのアルバムから、ベスト盤として英語で歌ったもののようだ。
 どうも彼女は既に十数枚のアルバムをリリースしている(1987年から)が、日本ではそれほど注目もされていなかったように思う。しかしなかなかこの一枚を聴いてみると、どちらかというと柔らかく穏やかで、素直な歌声と言っていいいし、それなりに評価される味もある。又曲はジャズというよりはノルウェーのトラッドぽく、フォークぽく、暖かな素直な歌い回しで、ポップス的な因子の加味されたジャズの一形と言っていいのだろう。(ところが、興味が湧いて取りあえず手に入れてみた1997年のアルバム「Månestein ムーンストーン」には、この後で取り上げるが、驚かされることになる)
 日本では、多分この世界は聴くとそれなりにファンとなっているものがいるのであろうと想像するのだが、知らなかったのは私だけか(笑)。

 1. a lover in berlin / 2. coastal ship / 3. montreal / 4. my heart is pounding like a hammer / 5. birds / 6. day / 7. wave on rock / 8. the copenhagen cavern / song to a town / 10. riddle beside another riddle / 11. to give tou a sing

Kari1  彼女は1956年生まれのシンガー。父、兄、弟もミュージシャンという環境で、1987年からオスロのKirlelig Kulturverksted というレーベルから作品を多くリリース。もともと言語、文学、歴史、演劇研究などの道を学んで修士号をもつ。ジャーナリストとしてのキャリアがあり、インテリ・シンガー・ソングライターのタイプ。

 このアルバムは第1曲”a lover in Berlin”は、軽快なリズムでスタートしまろやかなヴォイスで唄うその醸し出すイメージもいい。2曲目”coastal ship”は何となく華々しさとは別の北欧の静かなイメージが感じられる。
 5曲目の”birds”は物語を歌い上げるようで、しかもバックの演奏もベースのリズムとギター、ピアノの響きが洗練されていて良く、私は結構お気に入り。
 とにかく、このアルバムはA級。そして驚きは過去のアルバムだ(↓)。

  *

Kari Bremnes 「månestein ムーンストーン」
OMCX-1016 ,   1997
 

Manestein

 とにかくノルウェー語のヴォーカル・アルバムと言うことであったが、仕入れてみた。ところがなんと恐るべしノルウェーである。お見事なロック色の濃いジャズ・ロックを取り込みつつ多彩な曲を盛り込んだアルバム。このアルバムはカリ・ブレムネスがデビューして10周年になる1997年の6作目。
 このアルバムの収録曲は一曲”ローズ”以外全て彼女のオリジナル曲で、そして彼女のヴォーカルが中心であるが、バックの演奏も一流。なんと”Kari Bremnes Band”となっている。

Kariband_2 Finn Sletten : percussion
Bengt Egil Hanssen : keybord
Bjørn Jenssen : drums
Børge Petersen-Overleir : Guitar
Bjørn Kjellermyr : bass
Kari Bremnes : vocals

Bandの布陣はこんなところだが、それぞれノルウェーのトップ・ミュージシャンらしい。なるほど、ヴォーカルものとは言え、バック演奏も魅力たっぷりの音とアンサンブルを聴かせる。やはりバックあってのヴォーカル、ヴォーカルあっての演奏という代表格。

 これは、初めて私が接した上のアルバム「NORWEGIAN MOOD」で描いた印象とは別世界の魅力たっぷりアルバム。それがなかなか板に付いた演奏と、彼女の醸し出す不思議な世界がたまらない。へぇ~~、こうゆう曲をこなしてきた彼女であったのかと驚きであった。ロック曲良し、異様空間への曲良し、トラッドっぽい曲良し。ラブ・ソング良しと言うところ。

1. 彼らを見たことがある
2. 天使の見守る場所
3. 5月に
4. 隠し事じょうず
5. 目に見えない者
6. ローズ(映画「ローズ」タイトル曲のカヴァー)
7. ムーンストーン
8. ちょうどいい時機
9. ポートベローの昼時
10. 何かが変わる

11. ある男への歌

 収録のノルウェー語の曲名は解りにくいので、和訳曲名は上の通り。
1曲目の”彼らを見たことがある”は、ベ-スとドラムスが快適にリズムを刻むロック曲。カリのヴォーカルもリズムを生かして魅力たっぷり。とにかくスタートでパンチを食らう。これは良い。このパターンは5曲目にも見られる。
 アルバム・タイトルの7曲目”ムーンストーン”の異空間は聴きどころ。かってのプログレっぽいロックの持つ一面であった不可思議な世界が臭いつつ、彼女の美しいヴォーカルが漂う。
 最後の”ある男への歌”という曲が、このアルバムを締めくくるにふさわしくまさに大人のラブ・ソング。”二人って難しい、引き潮があり満ち潮がある”と唄っているらしい。静かな哀愁あるピアノが美の極致。
 アルバムのジャケは、”トゲのあるハート”だそうで・・・意味深な世界。まさにそれにふさわしいアルバムであった。

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