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2012年6月 1日 (金)

ロック、ジャズを超越して逝ってしまった~E.S.T.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)

エスビョルン・スヴェンソン・トリオ(Esbjörn Svensson Trio)よ、永遠に

 私の愛視聴盤の紹介だ。と、言っても・・・・・Bootleg DVDであるのだが、

 Estpat2003b
DVD 「E.S.T. & PAT METHENY jazzbaltica  2003」

 スウェーデンのジャズ・トリオであるE.S.T.(Esbjorn Svensson Trio)のライブ映像盤。
 
 Esbjörn Svensson : piano
  Dan Berglund : bass
  Magnus Öström : drums


 彼らの演奏は、ジャズなんだが単なるジャズでない。サウンド・マシーンが使われたり、音を歪ませたりというところは、好みの別れるところであるが、昔のプログレッシブ・ロックの精神という雰囲気もある。でもやっぱりジャズですね。
 そして北欧らしい郷愁と優しさと哀愁と・・・そして曲によっては悲壮感まで漂う。しかも一方革新的なアプローチによるエネルギッシュでアグレッシブなプレイも聴かせてくれる。
 多分、キース・ジャレットの世界の影響は十分にあると思われる。

Esbjorns  テクニックのレベルの高さは誰もが認めるところだが、特にスヴェンソンのピアノは、クラシック的なところから、一方ロック色があったり、そして前衛的ジャズまでの範囲をこなしていて、次にどんな展開が来るのかと聴いていて興味が尽きない。

  エスビョルン・スヴェンソンは1964年、スウェーデンのスクルトゥナというところで生まれ、母はクラシック・ピアノを弾き、父はジャズ愛好家という家庭で育つ。子供の頃から近くにいたマグヌスのドラムスと彼はピアノで楽しんでいたという。
 そしてストックホルムの大学で4年間音楽を学んでいる。その後子供の頃からの友マグヌスと共にジャズ・シーンで活躍。
Photo  1993年に有能なダン(bass)との出会いで、”エスビョルン・スヴェンソン・トリオ”の結成となりアルバムデビューとなった。 1999年ドイツのACTレーベルから「From Gagarin's point of View」でヨーロッパに知れ渡る。その後、アメリカにも進出、日本でも知るようになり、2003年にはアルバム「Seven days of falling」は日本にてもリリースされるようになった。彼らの共同活動の結晶としての独特のバンドの色合いを持った音楽活動もあって、”E.S.T.”と名乗るようになった。そしてあのキース・ジャレットが絶賛している。

 しかし、残念ながらスヴェンソンは2008年、44歳という若さで、スキューバダイビング中の事故で亡くなってしまったのだ。我々に残された彼のロック、ジャズを超越した世界は、これで空しく散ってしまったのだった。


Trioplay  そんな空しい近年であるが、手に入れたこのDVDは2003年のライブもので、映像はプロショットでサウンドも良好、そしてなによりもこのトリオの活躍が手に取るように見れるところにある。まさに貴重品なのである。
 このライブ、ドイツのザルーザでのジャズバルチカ・ジャズ・フェスティバルの模様だ。バックにSchleswing Holstein Chamber Orchestratが共演。更にパット・メセニーPat Methenyのギターがコラボしている。そしてジャズを超えたジャズというE.S.T.ならではの荘厳な世界を展開。

Estpat2003list2 収録は9曲100分である。ストリングスを中心としたオーケストラをバックに、トリオが演奏するわけであるが、スヴェンソンはピアノの右上にPOD(デジタル・アンプ/エフェクト・シュミレーター)を置いて、これも操作する。
 6曲目”behind the yashmak”から、パット・メセニーが登場してギター・プレイが加わる(このDVDのジャケ写真)。これによって又この演奏世界が変化してみせるのだ。
 又7曲目”believe belwft below”(アルバム「Seven days of falling」)には、Nils Landgren のヴォーカルも入る。しかしこの曲が終わった後、Landgrenが使ったヴォーカル用の歌詞を乗せるスタンドをスヴェンソンが片付けたり、彼のあらゆるところへの労を惜しまない姿勢が見える一コマある。こんなところがこのトリオがうまくいっていたところであろう。
 ”dodge the dodo”(アルバム「somewhere else before」)は、前半のオーケストラ、トリオ、メセニーのギターの合奏は壮大で、中盤にはスヴェンソンのソロに近いピアノ・プレイと後半のメセニーのギター・プレイと圧巻で素晴らしい。最後にアンコール曲”round mindnight”は、ピアノ・ソロから始まってトリオのプレイとなり、静かに流れるようなオーケストラのバックで、静穏な安らぎの世界に導いて幕を降ろす。

 又、いずれ彼らのアルバムについても書きたいが、クラシックがベースにあって各種のミュージック・スタイルを吸収して自らのトリオ・ジャズを発展させた北欧の彼らの独特なプレイは歴史に残る名品である。

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