ルーマーRumer のニュー・アルバム「BOYS DON'T CRY」
ニュー・アルバムは70年代のカヴァー集だった
Rumer 「BOYS DON'T CRY」
ATLANTIC Records 5053105230853 , 2012
昨年早々に話題になって、あれから約1年でルーマーの2ndアルバムの登場だ。私が彼女の1stアルバム「SEASONS OF MY SOUL」を取り上げたのが昨年の4月(”好評のルーマー”http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/rumer-season-of.html)、実はおやおやもう来たかというのが印象だ。まあ早いことにはこしたことはないが、雑なアルバムであって欲しくないというところでの話。
さて収録曲をみると左のようにボーナス・トラック4曲で16曲。ところが、1stは殆どSarah Joyce (ルーマーの本名)の曲で、彼女の心を歌った見事なアルバムであったが、今回は手抜きと言ってはまずいのかも知れないが、全てカヴァー曲。実はそれだけで私の興味は半減したのだった。
しかも、付いてきたブックレットを見ると、カヴァーした曲のアルバムを全てジャケ写真入りでズラっと並べてのもの。う~~ん、このあたりは何か一つの目的があってのことなのか?、知る人ぞ知る解説を見てみたいものだ。
そしてカヴァー曲は1970年代前半のものが圧倒的に多く、全て男性歌手のもの。この時代は実は私が最も夢中になっていろいろと聴いた時代だが、どうも私の世界とは違っていて、意外と知る曲がない。
それでもアルバムを通して聴いてみると、やっぱりルーマーなんですね、あのカーペンターズを想わせる清楚で心休まる歌声と曲の流れはほんとに安息の世界。なるほど、ルーマーに言わせると、カヴァー集でも、私には私の世界があるのだと言っているのかも知れない。キャチフレーズは”大人のための子守歌”と・・・・・・。
このアルバムの一つ一つの曲はなかなか出来はいいのである。締めの曲”we will”なんかは結構聴き応えあり。
さてさて、いずれにしてもこのアルバムは、全体を通して、なんと言ってもインパクトのある山とか谷がない。なんとなく始まってなんとなく終わってしまう。これはこれで良いのだと言えば良いのかも知れないが・・・・ちょっと刺激がなさ過ぎる?。それを期待してはいけないのかも・・・と言うところで、まあ評価は聴く人にお任せという結末になる。
しかし、結論として私としては1stの彼女自身の世界を見事に唄った曲の詰まった中身の濃さというものは、このアルバムには感じられなかった。収録の歌は、安らぎを導くうまさは感ずるがただそれだけ。それは昨年1stを聴いて、ここまで”自己の歩み”と”心”を自分の曲で集大成すると、2ndアルバムはどうなるのか?と心配したとおりになってしまったと言う印象である。やはりシンガーソングライターとしての彼女の心の歌を聴きたいというのが私なのである。特にネガティブ環境から一転して現在にあってのこれからの世界観を唄って欲しいというところ。
さてここで紹介したいのが、最近ルーマーのライブ映像盤としてブートBootlegではあるが、映像もプロショットで、サウンドも良好盤がある。(左)
Rumer 「SWR3 NEW POP FESTIVAL 2011」 2012
この映像盤は、2011年9月16日のドイツでのライブSWR3 New Pop Festival 2011(Theater Baden-Baden)を納めたもの。
1stアルバムからのヒット集と、今回の2ndに登場した”sara smile”他新曲が5曲登場している。
(収録曲)
Come to Me High / Am I Forgiven / Saving Grace / Being at War / Slow / Thankful / Sara Smile / Take Me As I Am / Goodbye Girl / On My Way Home / Driving Wheel / Aretha / Stoned Soul Picnic / Lady Day / Alfie
Bonus Unplugged Session Am I Forgiven / Aretha / Interview
とにかくブートとしては下手なオフィシャル盤より出来は良い。バックはキーボード、ギター、ベース、ドラムスにトランペット、サックスという布陣で、バック・コーラスも2人の女性が参加している。そしてライブだけあって彼女の情感のある歌い回しもアルバム以上。
そして思った通り、会場はかなり大人の雰囲気。そしてほぼ同時時期に話題になったアデルと比べると全くの異なったタイプに思い知らされる。この映像盤はお勧めである。好きな人は探して手に入れて欲しい。
ただ、これは言っていいかどうか?、外人のいわゆるおばさんタイプの体型の彼女は(そう言えばアデルも若いのに?)、もっと若さを見せて欲しい。現在33歳ということのようだが、もう少し努力しても良いのでは?と思ってしまった。
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