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2012年7月19日 (木)

久々の衝撃波 : ポーランドの歌姫 アンナ・マリア・ヨペク Anna Maria Jopek 「UPOJENIE」

これはまさに珠玉の名盤だ!!

 

パット・メセニー &アンナ・マリア・ヨペクpat metheny & anna maria jopek
    「ウポイエニェ UPOJENIE」
     Nonesuch Productions , METHENY GROUP PRODUCTIONS    WPCR-75651 ,   2011

 

Upojenie

 

 ブルーノートの企画で昨年12月、今年1月に来日してのコンサート、そして過去にも来日しているポーランドの歌姫アンナ・マリア・ヨペク Anna Maria Jopek だが、私は全く接点がなかった。こうしてみるとまだまだ知らずにいる珠玉の名盤はあると言うことで何となく嬉しくもなってくる。このアルバムもネットの世界のおかげで知ることが出来たもの(爵士さんに感謝)。

 

Anna2  このアルバムはあのギターの名手パット・メセニーの力を得て制作できた2002年の大ヒット・アルバムの再発もの。

 しかし、こうした世界に触れるのは久々のような気がする。従って初聴きのインパクトは強く私を虜にした。特に彼女のヴォーカルは、ややハスキーでありながら何か透明感を感ずる美しさが迫ってくる。これはその優しさと哀愁を醸し出す唄い方にも大いによるところがあるのだろう。又、ポーランドという国とその民族的音楽世界はよく知っているという訳ではないが、何か不思議にその国の情緒というか心のよりどころが描かれているような曲が展開する。これは又一つには彼女のクラシック畑の経歴から産まれる世界でもあるのかもしれないし、又この国の激動の民主化の時代に生まれ育ったその人生の流れの中からの歌であるのかとも想像するのである。

 

Patanna  パット・メセニーはこのブログでも、先頃彼のソロ・アルバムを取り上げたり(http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/pat-metheny-wha.html)、あのスウェーデンのあだ花エスビョルン・スヴェンソン・トリオe.s.t.との共演(http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-3e11.html)や、ブラッド・メルドーとの共演(http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/quartet-26ff.html)などの話題を取り上げてきたので細かいところは省略するが、ここにみる彼は彼の感性と歴戦の技で、見事にアンナを異国の美しくも不思議な感覚に導いてくれる世界に花咲かせてしまっている。いやはやお見事と言わざるを得ない。

 もともと、このアルバムは2002年に「Anna Maria Jopek & friends with Pat Metheny」というタイトルでポーランドでリリースされ、ビック・ヒットとなったものという。それをタイトルをこのように変更し、又曲の配列を変え、更に数曲加えてのアップグレードしての再リリース。これによって我々の手に入ることになった。しかも音質も良好で歓迎盤。
 しかし、見ての通りの地味なジャケにはなんと評価すれば良いのだろうか。

 

Uplist_2  収録曲は左のように17曲(クリック拡大)。パットの曲は8曲でアンナがポーランド語の歌詞をつけ、アンナの曲は7曲、そしてトラッドが2曲。
 曲によって演奏楽器が異なり、趣を変える。スタートの”here comes the silent dusk”は、パットのギターのみとアンナのヴォイスで演じられ、ギター(42string pikasso guitar)は日本の琴の調べを思わせる響きで、アンナの日本にも通ずる清楚である中に艶のある唄には驚かされる。
 このアルバムでは、パットの曲も見事にアンナのポーランド語の唄で変身しているが、ハイライトはやはり彼女自身の曲の”upojenie(Ecstasy)”だ。バックは多彩でjazzyなムードもよく、ソプラノ・サックスも良い味を出している。素晴らしい。
 更に”letter from home”のようにピアノの美しい曲もある。
 
 アンナ・マリア・ヨペクは、1970年12月にポーランドはワルシャワで産まれ、幼いときからクラシック・ピアノを学んでショパン音楽アカデミーに進学。卒業後にはニューヨークのマンハッタン音楽院のサマー・スクールに参加してジャズに傾倒。1997年アルバム「Ale jestem」でデビューという経歴のようだ。

 

 彼女も幸いにして日本を愛してくれている。そんな関係でのアルバムのリリースもある。これから少し深入りしてみようと思っているところだ。

(参考視聴)

 

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コメント

たしかにパットのあの42弦ギターはまるで琴。しかし形状も奏法も全く想像できませんが ・・・。

投稿: 爵士 | 2012年7月19日 (木) 23時48分

42string pikasso guitar、調べたらパットが弾く絵がありました。

投稿: 爵士 | 2012年7月19日 (木) 23時54分

**ANNA MARIA JOPEK** & Friends with **PAT METHENY** - Upojenie (Live in Warsaw 2002)の動画です。何故かUpojenieは入っていない??

http://youtu.be/C2TLUthcHT4

投稿: 爵士 | 2012年7月20日 (金) 00時37分

爵士さん、コメント有り難うございます。目下このアンナ・マリア・ヨペクの「id」を聴いてますが、これが又異空間そのものですね。中近東を想わせるムードがありますが、なんとトルド・グスタフセンが3曲バックでピアノを演じてくれその曲が出色。
 しかし彼女は奥深いですね。

投稿: 風呂井戸 | 2012年7月20日 (金) 19時35分

トルド・グスタフセンがバックということを知ってIDを注文中。明日届くとのことで楽しみです。
それはそうと、ノルウェイのセリアのバックもトルドがつとめているなど、結構、彼は歌伴やプロデュースもしているのですね。

投稿: 爵士 | 2012年7月20日 (金) 22時53分

Blog愛読しております。またまた新しいVocalistを教えていただきました。早速,iTuneでダウンロードして楽しんでおります。彼女の声は、私の好みにびったりとはまります。Sara Tavaresも好きなのですが、声質がなんとなく似ております。音楽性はぜんぜん違いますが(汗。またいろいろと教えてください。

投稿: Seattle Pink | 2012年8月29日 (水) 05時07分

Seattle Pink さん、こんにちわ。
アンナ・マリア・ヨペクは、私にとっては今年目下最高の獲物(笑い)でした。彼女はキャリアも結構ありますので、是非とも深入りして下さい。
 近作(2011)の3部作には、これまたぞっこん惚れ込んでいます。三作目の”SOBREMESA”は、なんとポルトガルを題材にしていますので、是非Sara Tavaresと比較してみて下さい。

投稿: 風呂井戸 | 2012年8月29日 (水) 10時53分

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受信: 2018年8月24日 (金) 23時02分

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