E.S.T. (エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)回顧(2) : 何処に向かおうとしたか?「LEUCOCYTE」
最終アルバムの目指したところは?
エスビョルン・スヴェンソン・トリオ e.s.t. を話題にして三回目になるが、彼らに魅力を感じて聴いてきたのはそれ程前からではない。少なくても約数年以内のところだった。今みてみると、私の脇には彼らのアルバムCDが8枚、そしてDVDは2枚というところ。
私が彼らを知ってから数年の間の彼らの進歩は、2008年のアルバム「LUECOCYTE」を聴いてみると如実に解る。このアルバムを如何に受け入れれば良いのかと思いつつも、先日話題にしたアルバム「301」(思いもかけなかったニュー・アルバム)を聴くに至った訳である(参照:2012.6.12 e.s.t.回顧(1) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/somewhere-else-.html)。まあこれは派生的なものとして、やはり「LEUCOCYTE」はいろいろの意味で重要だ。
e.s.t. 「LEUCOCYTE」
Spamboolimbo Production AB B0011861-02 , 2008
彼らのトリオの最終作は先日ふれた「301」ということになるが、実質はこのスヴェンソンが生前に確認した「leucocyte」が最終作であろう。このタイトルは”白血球”を意味しているのだろうか?(もともと英語では”leukocyte”であるので・・・そのあたりは?)多分そうであろうと想像しながら詳しくは探求することなく、今日になっている。
このアルバムの主題は、2.5.7.の3曲だろう。
2.”静”から始まっての”premotion”は、次第に荒々しいドラムスとエレクトリック・ノイズ音にて構築する。そして最後は静寂のピアノ・プレイ。
4.”jazz”これはまさにキース・ジャレットの若きエネルギッシュな頃を彷彿とさせる。
5.”still”の約10分アンビエントな世界。それに続く6.”ajar”の1分少々の美しいピアノ。
7. 組曲”Leucocyte”-1.AB INTRIMの荒々しく緊張感に漲った25分の前衛的演奏。貪食作用の白血球のごとく迫り来る危機的感覚に陥る世界。2.AD INTERMの無音。3.AD MORTEM のエレクトリック歪曲音が13分間流れ、4.AD INFINITUM と続くアンビエント・ミュージック。エスビョルン・スヴェンソンの急死を想い起こすに、この曲が脳裏を離れない。
完全にジャズ・ピアノ・トリオの世界から超越していった彼らの意志の凝縮のアルバム。これは彼らの目指すところであったのか、それとも一つの実験であったのか?。
(参考)
① Tonbruket / Dig it to the end
② Manus Öström / Thread of life
(このあたりは次回)
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