回顧は続く(音楽編-9-)・・・パティ・ページ Patti Page
アメリカ合衆国の資本主義の歪みの歴史の中からの歌手として・・・・・
回顧が続いてしまうが、ついにという感じでパティ・ページ Patti Page(本名 Clara Ann Fowler) を取り上げることになった(jazzを愛するブログ「JAZZYな生活」を拝見して、ここに思いを馳せることになった)。勿論彼女を語るには、1950年の大ヒット”テネシー・ワルツ”ということになるが、そこまでの物語が深刻であり又彼女の努力の結晶であり、最も私の関心の持たざるを得ないところである。
既にこのブログでも取り上げてきたあのスタインベックの小説「怒りの葡萄 The Grapes of Wrath」の舞台であるオクラホマ洲の最も悲惨な資本主義の歪み(矛盾)の中の貧しい家に彼女は1927年に産まれたという。経済の流れの中の非人間的事実を告発したジョン・スタインベックのこの小説は、ジョン・フォードが映画化し(http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/the-grapes-of-w.html)、又ロックではあのキャメルのアンディ・ラティマーが音楽の世界で取り上げている(http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/camel-f6d2.html)。
私の偏見では、世界の二大小説は、一つは下村湖人「次郎物語」、もう一つがこのスタインペックの「怒りの葡萄」であると言ってしまうのだ。
話は余談になってしまったので、ここらでパティ・ページに戻るが、彼女の子供の時代に父は線路工夫、母と姉妹は綿摘みをして生計を立てていたという。非常に貧しい家庭であり、そして18歳には、オクラホマ洲のラジオ局の15分番組に歌手として出演するようになったとか。
さて、彼女のもう一つの記録すべきポイントは一人の多重唱というアイデアで、多重録音で一人での4重唱を”with my eyes wide open l'm dreaming”という曲でやってのけたと言うことだ。この曲のヒットが彼女のプロとしての道を切り開いたポイントであったようだ。コニー・フランシスもこの手法をよく聴かせてくれたが、それより先んじて10年、パティ・ページはこれをもって、メアリー・フォードなどにも影響をもたらしたという。
彼女のヒット曲集はこれまた多くある。
左は「STAR BOX - PATTI PAGE」 Sony Music Direct 2003年リリースもの。歴史的曲群であるが、音はそれなりによい。そして広く多くの曲を収録している。ただし残念ながら”テネシー・ワルツ”などヒット当時のオリジナルでなく、1960年代になっての再録音もの。その為私なんかには、なにかちょっと違うぞという感じになってしまって、懐かしさは半減してしまう。
そんなところであるが、私の棚をひっくり返しして探してみたら、もう何年か前に買った安いCD(1990年もの)が、オリジナルもので、慰めてくれるものがあった。それがこれだ(↓)。
Patti Page~ Champion Selecction Series
Della Inc. PF-3506 , 1990
これは日本での企画ものである。しかし内容は見事1950年からの初リリース当時のオリジナルを収録している。(当時定価1200円)
その為なんと12曲収録中5曲はモノラルである。しかし単にSP、LPなどからの移植ものでなく、音質は現代物とはゆかないが、ノイズはなく、それなりに結構楽しませてくれるものとして仕上げてある。
収録曲は、左のように、”テネシー・ワルツtennessee waltz”から始まって、私の好きな”涙のワルツ i want to your wedding ”(①から⑤まではモノラル)、そして”ふるえて眠れ hush, hush, sweet charlotte”も収録(これはステレオ版)。まあ喜ばせてくれる選曲だ。特に1950年のナンバー1ヒットは、この”テネシー・ワルツ”で、戦後の日本の文化革命的ポピュラー・ミュージックといって過言でない。
”ラブレター”、”酒とバラの日々”、”この世の果てまで”もいいですね。いやはやこうした廉価版でも頑張っているのがあったんでした。 このCDは、現在手に入るかどうかは疑問ですが、まあいろいろと探してみれば、これに勝るものも必ずあるのだろうと思っている。
パティ・ページの歌声は、我々に当時(戦後10年)何か希望を与えてくれたのは事実であった。
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