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2012年8月28日 (火)

アンナ・マリヤ・ヨペクの近作3部作アルバム検証:「POLANNA」

Anna4 3部作「POLANNA」・「HAIKU(俳句)」・「SOBREMESA」それぞれの完成度の高さに圧巻

 ポーランドの歌姫アンナ・マリア・ヨペクAnna Maria Jopek のアルバムに興味と愛着を持つにつれ、いつの間にか9枚のCDが手元にそろってきた。こうなったらパーフェクトに揃えたいと思っているところだが、その中で、やや長い3年の間を置いてのアルバムリリースであった近作(2011年)は驚きの一気の3連発で、特別な企画性を感ずる。これらのアルバムは、それぞれの性格を異にしていて、その芸術性も高く感じられ素晴らしい。そんな訳でここに取り上げておくことにした。

 この3アルバムのうち、”波蘭(ポーランド)”と”和(日本)”の融合による、特に芸術性の高さもピカ一感ずる名盤「HAIKU(俳句)」は、既にここにて取り上げているので残る2作にアプローチする。(参考:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-2332.html ) 
 まずは注目すべきこのアルバム「POLANNA」だ。

ANNA MARIA JOPEK 「POLANNA」
AMJMusic , UNIVVERSAL  278 352 2 , 2011

Polanna

 このアルバムの印象は、アンナ・マリア・ヨペクのホーム・ページにも書いているとおりの、”ポーランドの音楽をルネッサンスから現代まで、古典的な伝統と現代ジャズへの系譜をを見つめ直す”といういささか大それた作業をやってのけた。その為か、このアルバムに限らず他国との融合を計った他の2作に於いても、ポーランド語に徹しているところがニクイと言えばニクイところである。しかし私はこの方法論には賛成である。彼女はインターナショナルなアプローチで、一枚のみ英語盤(「SECRET」)を出しているが、意味は解らなくともポーランド語のほうが如何にも彼女の世界が見えてくるように思えるし、唄い方の感情導入も安心感があり、作品としても充実しているからだ。そして例のごとくややハスキーであるが、深い美を誘う哀愁ある歌声が十分堪能できる。

1. Kiedy Ranne Wstają Zorze
2. Uciekaj, Uciekaj
3. Laura i Filon
4. Rdzawe Liście
5. Przychodź Miły, Dzień Już Biały
6. Dziś Do Ciebie Przyjść Nie Mogę / Czerwone Maki Na Monte Cassino
7. Uwoż Mamo
8. Z Tęsknoty. Kujawiak.
9. Poznałem Dziewczyna.
10. Suwany
11. Modlitwa Kiedy Dziatki Spać Idą (Już Się Zmierzcha)
12. Oj Lulaj, Lulaj
13. Płonie Ognisko i Szumią Knieje


 全13曲、私は4.6.8、12,13などには痺れっぱなしです

 私にとって、このアルバムの注目点は2つ
1つ目は、ポーランドの歴史的な音楽そのものにアンナ・マリア・ヨペクが真摯にアプローチしていること。
2つ目は、ゴンザロ・ルバルカバのピアノが全編哀愁を漂せる演奏の展開していること。

 不幸にしてと言うか、幸いにしてと言うか、ポーランド語の難しさで中身はその道の人に研究して頂けなければ解らない。しかし解らないだけにそれが聴くほうの想像を駆り立てて、むしろ感動してしまう。これには関心のある諸兄がアプローチしている。波蘭(ポーランド)の民謡、彼らの哀しき分散の歴史、他国による統治下における悲惨さ、そして民族的蜂起・挫折、重なる戦争の悲劇など・・・・歴史的に唄われてきた曲が盛り込まれているようだ。ポーランド自身本当に自立と民主化の道はまだたかだか二十数年と言ってもよい(1989年6月18日、複数政党制による自由選挙が実現)。アンナ・マリヤ・ヨペク自身もその道の当事者であったろう。今ここに彼女の総決算的アルバム3部作の第一部「POLANNA」をみるのだ。

Dizgonzalo  そしてポーランドという国情からの内容の濃さに加えて、更に不思議にもキューバの愛すべきピアニストであるゴンサロ・ルバルカバGonzalo Rubalcabaが全編ピアノの響きで郷愁と哀愁と美を描ききっている。まさに恐れ入ったところ。彼のトリオものとしては、左の1994年の「diz」(somethin'else TOCJ-5559)を思い出す。当時私のお気に入りのアルバムだった。しばらく彼の作品からはご無沙汰してしまっていたが、ここに来てアンナ・マリア・ヨペクと結びつくとはおもいもよらなかった。
 この「Polanna」は、ポーランドにて録音され、ニュー・ヨークにて仕上げられたものとか、そのあたりの国際的な因子が見事に結実している。
 特に6曲目の”Dziś Do Ciebie Przyjść Nie Mogę / Czerwone Maki Na Monte Cassino ”は印象的、ギル・ゴ-ルドスタインのアコーディオン、ラファウ・クファイトコフスキのチェロも印象的で、なんとルバルカバのピアノはショパンの調べまで挿入されている。

 
Polannap  この3部作は、多分アンナ・マリア・ヨペクの歩みの一つの区切りの総集編なんであろうと推察する。そこには心打つ世界が広がっていた。

Anna Maria Jopek - vocals
Gil Goldstein - acordeon
Pawel Dobrowolski - drums, percussions
Krzysztof Herdzin - duduk, vocals
Robert Kubiszyn - double bass, acoustic bass guitar
Rafal Kwiatkowski - cello
Robert Murakowski - flugelhorn, tumpet
Marek Naiorkowsku - acoustic guitar
Pedro Nazaruk - vocals, flute, dulcimer
Maria Pomianowska - sarangi
Gonzalo Rubalcaba - piano
Wieslaw Wysocki - clarinet, bass clarinet, saxophone
Staszek Soyka - vocals


 

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コメント

3部作、ヨペクのいままでの音楽活動の総決算、総集編という見解に大賛成。

投稿: 爵士 | 2012年8月28日 (火) 13時45分

 爵士さん、ヨペクのアルバムはほんとに私にとっては今年の一大エポックです。
 こんなことは、そう多くはないと思いますし、爵士さんの研究も是非とも参考にさせて下さい。

投稿: 風呂井戸 | 2012年8月28日 (火) 21時07分

風呂井戸さん   私の雑文や感想でよければ、遠慮なしに参考や引用していただいて結構です。私にとってもたしかに生涯にのこる記録的な一大事でした。

投稿: 爵士 | 2012年8月28日 (火) 22時43分

早速、三部作+idをアマゾンにオーダーしました。楽しみです。あと一人のモニカ・ボジムは、私はピンと来ませんでしたが、もう少し聴くと良さがわかるかもしれませんね。でも、しばらくはこの三部作に浸りそうなので、後回しで。(笑

投稿: Seattle Pink | 2012年8月29日 (水) 15時14分

 Seattle Pinkさん、嬉しいですね。ヨペクの世界に是非ともどうぞ浸ってください。又感想もお聞きしたいですネ。

投稿: 風呂井戸 | 2012年8月29日 (水) 21時54分

アマゾンからCDが届いたので早速聴いております。さらっと聴いた感じでは私の好みはPolannaですね。これからの季節にぴったりです。Sobremesaも悪くないですね。私の好きなSara Tavaresの曲もカバーしていますし、もともとポルトガルのポップスは好きなので、取っ付きやすいです。俳句はもう少し聴きこまないと、良くわからないですが、多分最終的にこれが1番好きになりそうな気がします。またいろいろと教えてください。

投稿: Seattle Pink | 2012年9月 7日 (金) 16時12分

 Seattle Pinkさん、コメント楽しく拝見しました。3部作まとめ買いですか。^^)
 「Polanna」「Haiku」と来て、「Sobremesa」がデザートというのが良く解る3部作だと思います。
  「Polanna」は、彼女のポーランドの総決算。「Haiku」は、ジャズ畑からの小曽根真の力を借りての日本文化を極める(知る)ための挑戦とも私は感じています。

投稿: 風呂井戸 | 2012年9月 7日 (金) 17時31分

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