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2012年8月30日 (木)

ナイトウィッシュNightwish映像~Imaginaerumツアー2012

オペラティック・メタルと言われる世界は完成域

Germany2012_2 <DVD> Nightwish 「GERMANY 2012 & MORE」
Bootleg , Audience shot ,  2012

 昨年末に登場したナイトウィッシュのアルバム「IMAGINAERUM」は、ヨーロッパ各地で好セールスを記録、日本でも圧倒的支持を得た。その”Imagiaerumzツアー”は今年春から進行中、各国で熱狂的に迎えられている。(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/nightwishimagin.html
 リード・ボーカルのアネッテの出産のために、しっかりと休まされたバンド・メンバーの彼らは、その分、曲の練り込みは見事で、完成域の高いアルバムをリリースしてくれた。ツォーマスの曲作りも佳境に入っているという印象。

 しかし現在残念ながらオフィシャルなライブ映像盤のリリースはなく、それでも見たいというファンの心理。そうとなればブートでも見ようかというところの一枚。
 ここに収録はドイツ・フランクフルトのJahrhunderthalleのもの(APR 23, 2012)。更にフィンランドのヘルシンキはJäähalliにおけるもの(MAR 10, 2012)のオーディエンス録画・録音である。

2012list 収録曲は20曲で、ドイツは主たるところの12曲となっている。

 オーディエンスものであるから想像に難くない音と映像であるが、それでも見れない代物でなく、それなりに鑑賞は出来る。

 さて、彼らの演奏は既に板に付いたもので余裕たっぷりの演奏であるが、先ずは驚きはアネッテ・オルゾンの姿である。いやはやアデルが出てきたかと思うほどの体格の変化、つまり出産後と言うことであろうか?、多分10kg以上は太ったと思う。そして舞台での演技もかったるい。もともとあまりセンスを感じさせるところのない彼女のダンスやバフォーマンスであるが、今の姿は頂けない。とにかくナイトウィッシュの音楽のキレが全くないのだ。いやはやよわったものだ。
 ターヤの熱唱がイメージにある”NEMO”なんかは、やっとこさ唄っているという印象であった。

Nightwishandtroy  それはそれとして、このアルバムを聴いたときに、ケルティックなパイプの調べが印象的であったが、このライブ映像であらためて知ったが、あのアイオナにも参加していたトロイ・ドノックリーTroy Donockleyが参加しているのだ。彼のUilleann pipesが効果を上げているし、特に”The crow, the owland and the dove”では彼の演奏が見事にムードを盛り上げ、このライブでも一つの大きな位置を占めている重要な曲になっていることが見て取れる。彼のパイプの音は、今回のツアーでは”nomo”などの演奏にも生かされている。更にヴォーカルでもいい役割を果たしている。
 そうそうヴォーカルというと相変わらずベースのマルコはうまいなぁ。更に油がのってきた。
 
 かっては、コシック・メタルの範疇で語られ、そしてシンフォニック・メタル・バンドとしての位置を確立し、今やオペラティック・メタルという表現でも語られるナイトウィッシュ、目下世界ツアー中で、大いなる成功を期待するところ。

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2012年8月28日 (火)

アンナ・マリヤ・ヨペクの近作3部作アルバム検証:「POLANNA」

Anna4 3部作「POLANNA」・「HAIKU(俳句)」・「SOBREMESA」それぞれの完成度の高さに圧巻

 ポーランドの歌姫アンナ・マリア・ヨペクAnna Maria Jopek のアルバムに興味と愛着を持つにつれ、いつの間にか9枚のCDが手元にそろってきた。こうなったらパーフェクトに揃えたいと思っているところだが、その中で、やや長い3年の間を置いてのアルバムリリースであった近作(2011年)は驚きの一気の3連発で、特別な企画性を感ずる。これらのアルバムは、それぞれの性格を異にしていて、その芸術性も高く感じられ素晴らしい。そんな訳でここに取り上げておくことにした。

 この3アルバムのうち、”波蘭(ポーランド)”と”和(日本)”の融合による、特に芸術性の高さもピカ一感ずる名盤「HAIKU(俳句)」は、既にここにて取り上げているので残る2作にアプローチする。(参考:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-2332.html ) 
 まずは注目すべきこのアルバム「POLANNA」だ。

ANNA MARIA JOPEK 「POLANNA」
AMJMusic , UNIVVERSAL  278 352 2 , 2011

Polanna

 このアルバムの印象は、アンナ・マリア・ヨペクのホーム・ページにも書いているとおりの、”ポーランドの音楽をルネッサンスから現代まで、古典的な伝統と現代ジャズへの系譜をを見つめ直す”といういささか大それた作業をやってのけた。その為か、このアルバムに限らず他国との融合を計った他の2作に於いても、ポーランド語に徹しているところがニクイと言えばニクイところである。しかし私はこの方法論には賛成である。彼女はインターナショナルなアプローチで、一枚のみ英語盤(「SECRET」)を出しているが、意味は解らなくともポーランド語のほうが如何にも彼女の世界が見えてくるように思えるし、唄い方の感情導入も安心感があり、作品としても充実しているからだ。そして例のごとくややハスキーであるが、深い美を誘う哀愁ある歌声が十分堪能できる。

1. Kiedy Ranne Wstają Zorze
2. Uciekaj, Uciekaj
3. Laura i Filon
4. Rdzawe Liście
5. Przychodź Miły, Dzień Już Biały
6. Dziś Do Ciebie Przyjść Nie Mogę / Czerwone Maki Na Monte Cassino
7. Uwoż Mamo
8. Z Tęsknoty. Kujawiak.
9. Poznałem Dziewczyna.
10. Suwany
11. Modlitwa Kiedy Dziatki Spać Idą (Już Się Zmierzcha)
12. Oj Lulaj, Lulaj
13. Płonie Ognisko i Szumią Knieje


 全13曲、私は4.6.8、12,13などには痺れっぱなしです

 私にとって、このアルバムの注目点は2つ
1つ目は、ポーランドの歴史的な音楽そのものにアンナ・マリア・ヨペクが真摯にアプローチしていること。
2つ目は、ゴンザロ・ルバルカバのピアノが全編哀愁を漂せる演奏の展開していること。

 不幸にしてと言うか、幸いにしてと言うか、ポーランド語の難しさで中身はその道の人に研究して頂けなければ解らない。しかし解らないだけにそれが聴くほうの想像を駆り立てて、むしろ感動してしまう。これには関心のある諸兄がアプローチしている。波蘭(ポーランド)の民謡、彼らの哀しき分散の歴史、他国による統治下における悲惨さ、そして民族的蜂起・挫折、重なる戦争の悲劇など・・・・歴史的に唄われてきた曲が盛り込まれているようだ。ポーランド自身本当に自立と民主化の道はまだたかだか二十数年と言ってもよい(1989年6月18日、複数政党制による自由選挙が実現)。アンナ・マリヤ・ヨペク自身もその道の当事者であったろう。今ここに彼女の総決算的アルバム3部作の第一部「POLANNA」をみるのだ。

Dizgonzalo  そしてポーランドという国情からの内容の濃さに加えて、更に不思議にもキューバの愛すべきピアニストであるゴンサロ・ルバルカバGonzalo Rubalcabaが全編ピアノの響きで郷愁と哀愁と美を描ききっている。まさに恐れ入ったところ。彼のトリオものとしては、左の1994年の「diz」(somethin'else TOCJ-5559)を思い出す。当時私のお気に入りのアルバムだった。しばらく彼の作品からはご無沙汰してしまっていたが、ここに来てアンナ・マリア・ヨペクと結びつくとはおもいもよらなかった。
 この「Polanna」は、ポーランドにて録音され、ニュー・ヨークにて仕上げられたものとか、そのあたりの国際的な因子が見事に結実している。
 特に6曲目の”Dziś Do Ciebie Przyjść Nie Mogę / Czerwone Maki Na Monte Cassino ”は印象的、ギル・ゴ-ルドスタインのアコーディオン、ラファウ・クファイトコフスキのチェロも印象的で、なんとルバルカバのピアノはショパンの調べまで挿入されている。

 
Polannap  この3部作は、多分アンナ・マリア・ヨペクの歩みの一つの区切りの総集編なんであろうと推察する。そこには心打つ世界が広がっていた。

Anna Maria Jopek - vocals
Gil Goldstein - acordeon
Pawel Dobrowolski - drums, percussions
Krzysztof Herdzin - duduk, vocals
Robert Kubiszyn - double bass, acoustic bass guitar
Rafal Kwiatkowski - cello
Robert Murakowski - flugelhorn, tumpet
Marek Naiorkowsku - acoustic guitar
Pedro Nazaruk - vocals, flute, dulcimer
Maria Pomianowska - sarangi
Gonzalo Rubalcaba - piano
Wieslaw Wysocki - clarinet, bass clarinet, saxophone
Staszek Soyka - vocals


 

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2012年8月26日 (日)

ポーランド歌姫探訪 : モニカ・ボジムMonika Borzym「GIRL TALK」

ポーランドからの期待株か?

MONIKA BORZYM 「GIRL TALK」
SONY MUSIC  88697755432  ,  2011

Girltalk_2

Monika Borzym(Vo)
Greg Gisbert(Tp)2
Seamus Blake(Ts)4,6,9
Gil Goldstein(Accordion, P)1,3,4,7,9,10
Aaron Parks(P, Rhodes, Harmonium)5,6,11,12
Steve Cardenas(G)1,3,4,6,7,8,10,11,12
Larry Grenadier(B)1~12
Eric Harland(Ds)1~9,11,12
Bashiri Johnson(Per)1,3,4,5,6,7,9,12
Rogerio Boccato(Per)4,10
Orchestla Personnel: Greg Gisbert(Tp), Mike Davis(Tb), Aaron Heick(Alto-Fl, Bass-Fl), Seamus Blake(Ts), Charles Pillow(Bass-Cl), Lois Martin(Viola), Jody Bedhage(Cello)

Monika1  このところポーランド・ジャズに傾倒してしまっている私ですが、こんなアルバムにも出くわしました。なんと1990年以降の生まれ、このアルバムリリースは2011年で、この時若干21歳というからおそろしい波蘭ジャズ歌姫モニカ・ボジムMonika Borzym。
 さらに恐ろしいのはバツク・メンバー(上記)のそうそうたるところ。見てのとおりポーランドといってもこれはニュー・ヨーク世界だ。どうしてこんなアルバムが出来たのだろうか・・・・・。
 彼女の経歴は2005年に米国に渡ってジャズ・ビックバンド、クワイアを経験しているらしいし、シカゴにてジャズ・ヴォーカリストGail Bisesiにジャズの基礎をたたき込まれたとか、2008年にはマイアミ大学のスカラーシップ(奨学金取得権のことと思うが、それなりに実力評価があったのだろう)を取得した等々の彼女の紹介記事があった。
 地元ポーランドでの活動と同時に米国にての活動を手に入れている歌姫だ。しかしこんな人脈はどこから築いたものなのか?。
 そんな訳で、このデビュー・アルバムをみると、オリジナル曲ものでなくオール・カバー集で、彼女のお披露目はどうもヴォーカルが売りなんでしょうね。

1. You Know I'm No Good (Amy Winehouse)
2. Extraordinary Machine (Fiona Apple)
3. Even So (Rachael Yamagata)
4. American Boy (Estelle)
5. Field Below (Regina Spektor)
6. Appletree (Erykah Badu)
7. Down Here Below (Abbey Lincoln)
8. Gatekeeper (Feist)
9. Dry Cleaner From Des Moines (Mingus/Joni Mitchell)
10. Abololo (Marisa Monte)
11. Possibly Maybe (Bjork)
12. Thank You (Dido)

 この曲群をみても多彩そのもので、どう評価していいか?・・・・難しいところ。結局のところ彼女のヴォーカルはバックの演奏に添えられた刺激のない歌声と言っていいだろう。そうテクニシャンてもないし、又美声でもないし、はっとして取りつくというタイプではない。
 これぞジャズというスウィンギーな”Dry cleaner from des monies”あたりもそれなりにこなしているところは、ジャズの道には経験は積んでいると窺える。
 私としては”even so”、”down here below”、”gatekeeper”、”thank you”などのスローな曲をさりげなく歌うと言ったタイプが良いように聴けたし、バックに流しておくには刺激無くその場を作ってくれるという味のヴォーカル・アルバムにも聴けた。特に”even so”のムード作りはうまい。そんな意味では悪くない。
 結論的には、ポーランド風というのでなく、彼女なりきの米国仕込みのヴォーカル・アルバムといっていいのかもしれないが、このヴォーカル・スタイルをジャズ畑でどう作り上げるかというのはこれからなんでしょうね。

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2012年8月18日 (土)

ワルシャワ蜂起を乗り越えて・・・アガ・ザリアンの日本デビュー盤:「LOOKING WALKING BEING」

彼女の詞には人の生きる精神が満ちている

Agazaryan2_3  ポーランドのジャズを探っていると、その魅力は更に増してゆくところを感じている今日この頃ですが・・・、昨年春に、アガ・ザリアンAga Zaryanを知って、ここで彼女の1stアルバム「MY LULLABY」(2002年)を紹介した。(2011.5.29 「ポーランドからの女性ジャズ・ヴォーカル」=http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/aga-zaryanmy-lu.html
 その後、昨年夏になって、彼女の2010年の5thアルバム「LOOKING WALKING BEING」が、日本盤として(1stアルバムの3曲をボーナス・トラックとして加え)1年遅れでリリースされ、彼女も遂に日本デビューを飾ったわけだ。
 私から見れば、これだけ出来の良いヴォーカル・アルバムが日本で知られないのは、やっぱりポーランドという国の遠さを感じていたわけだが、この日本リリースによって若干安堵していたというところであった。

 そんな流れの中で、先日来のポーランドの歌姫アンナ・マリア・ヨペクを取り上げている以上、やっぱりアガの日本デビュー・アルバム(5thアルバム)もここに書いておこうと言うことになった次第です。

AGA ZARYAN 「LOOKING WALKING BEING」
EMI Music Japan    TOCJ-90071  ,  2011

Lookingwalkingbeing_2

 ポーランドのジャズ・アルバムとしては、先ずは歌詞が英語であるところが理解しやすい。アガ・ザリアンは、母親が英語の教師であり作家であったという環境と、父親がクラシック・ピアニストということで、両親と共にヨーロッパ各地を巡っている。そして更にイギリスの小学校にも通ったということから、英語には何の抵抗もなかったということだろう。
 そしてこのアルバムにおいても、彼女は殆どの曲の英語作詞をしていて、その内容には一目のところがある。それは2006年の3ndアルバム「Umiera Piękno」は、なんと悲劇の極みでもあったナチス・ドイツに対しての1944年のワルシャワ蜂起に直面した詩人達の詩に曲を付けてジャズ・アルバムとして歌い上げたのである。ここに彼女の姿勢が凝縮しているし、その生き様の中でのアルバムとして聴く必要もあるのかも知れない。しかしこのことは、日本から見ると特殊な様にもみえるが、ポーランドの国民にとってみればごく自然な国民性の姿と言えるところなのかも・・・・・。

Aga Zartan  Discography
2002 - 'My Lullaby' CD
2006 - 'Picking up the Pieces' CD
2007 - 'Beauty is Dying' '(Umiera Piękno)' CD
2008 - 'Live at the Palladium' CD/DVD
2010 - 'Looking Walking Being' CD
2011 - 'A Book of Luminous Things' CD

Lookingwalkingbeinglist  このアルバムは左のように12曲によって出来ている。ここに日本盤は更に1stアルバムから3曲ボーナス・トラックとして追加されている。
 そしてまさにジャズ・アルバムそのものというパターンを成した。宣伝文句のようにボッサ、サンバがあれば一方ブルース調、そしてバラードなど、更にロックまで聴かせる。彼女のヴォーカルは25歳時の1stアルバムからして大人っぽかったが(1976年ワルシャワ生まれ)、このアルバムはそれから8年後のものだけあって更に円熟した唄を披露している。
 タイプは、アンナ・マリア・ヨペクのような清楚感というか郷愁の美の世界と違って、ややハスキーで厚みがあり若干影を感じさせるところが興味深いところ。

 Aga Zaryan : vocals
  Michał tokaj : piano
  David Dorúžka : guitars
  Michał Baranski : double bass
  Munyungo Jackson : percussion

Agazaryan1  しかし、ポーランド・ジャズの恐ろしさというか凄いところは、バック・ミュージシャンも築き上げた技術のレベルの高さを十分に感じさせる。とくに曲作りに貢献しているピアニストのミハウ・トカイがポーランドの音楽の奥深さを醸し出す。間奏のピアノの美しさも聴きどころ。そして彼女の詞には、女性ヴォーカルものの主流である”恋愛もの”の世界から一線を画し、生きる人間の哲学的な世界に踏み込んでいる。

 そんなアガ・ザリアンのヴォーカル・アルバムも興味は尽きないが、特に興味ある3rdアルバム「Umiera Piękno」については、もう少し勉強して(笑)書いてみたいと思っているのである。

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2012年8月15日 (水)

セリアSiljeの最新アルバム : 「UNCLOUDED」

ツイン・ギターをバックに落ち着いた優しき世界

 ノルウェーのトルド・グスタフセンの流れから、何となく行き着いたセリア(Silje Nergaard = シリエ・ネルゴー(ル))であるが、最新アルバムもあるので聴いてみた。

SILJE NERGAARD 「UNCLOUDED」
Sony Music  88691928342  ,  2012

Unclouded

 ノルウェー出身のジャズ系シンガー・ソングライターのセリアは、1989年ロンドンから”tell me where you're going”でシングル・デビュー。日本では翌年1990年に東芝EMIよりこの曲で同様にシングル・デビューして好評だったとか。当時から私は気になるところになく、全くその筋のことは知らなかったが、その後の彼女はインター・ナショナルな方向に向かったが、泣かず飛ばずであったらしい。そしてノルウェーに落ち着いての1995年にリリースしたノルウェー版のアルバム「Brevet」が好評で息を吹き返し、2000年のアルバム「Port of Call」あたりからジャズ路線に落ち着いたようだ。

 過去に12枚のアルバムをリリースしているが、これが最新アルバムで、このアルバムも、かなり彼女の活動履歴から国際的な活動があっての結果、彼女自身の作品を英語歌詞で収められている。

01 – All I Had*
02 – Norwegian Boatsong*
03 – Gods Mistakes*
04 – The Moon’s A Harsh Mistress
05 – Ordinary Sadness
06 – When The Morning Comes (Song For Karla)*
07 – Det Var For Sent*
08 – When Our Tune Is Played*
09 – He Must Have Been Telling A Lie*
10 – I Will Write You Every Day*
11 – Human*
                    *印 Music: Silje Nergaard
Siljenergaard3 Silje Nergaard : vocals
  Hargrimm Bratberg : Guitars
  Hävar Brendikson : Guitars


 メンバーはこのように、バックはツインのアコーステイック・ギターが演じている。曲によっては、サックス、トランペットも聴かれる。
 彼女はデビュー当初はポップな曲を歌っていたようだが、近年はジャズ・ヴォーカルの地位を築いている。そしてこのアルバムもジャズとは言え、ちょっと違いを感ずる。アメリカン・ジャズっぽいところも”gods mistakes”には見え隠れするが、主力は別世界。
 やはりどこか北欧っぽい”静”と”郷愁”と”優しさ”が流れてくる。ちょっと簡単にジャズと言う世界ではない。私には解らないが、彼女の曲というところからノルウェーのトラッドな世界に通ずるものがあるのであろうと推測しているのである。このバックの二人のギタリストはヨーロッパ・ツアーなど同行していて、新しい音を作り上げたともホーム・ページに記している。
 もともと彼女のヴォーカルは、優しさに充ち満ちているし、安堵の世界に導いてくれる。このあたりにファンはやっぱり魅せられているのだろうと想像する。
 デビューから既に20年以上経過しているわけで、力みのない唄い回しからも、円熟期の彼女のアルバムという雰囲気はやはり感じられるところであった。
(参考)セリアSilje Nergaardの過去のアルバム
  • Tell Me Where You're Going (1990)
  • Silje (1991)
  • Cow on the Highway (1995)
  • Brevet (1995)
  • Hjemmefra - From Home (1996)
  • Port of Call (2000)
  • At First Light (2001)
  • Nightwatch (2003)
  • Darkness Out of Blue (2007)
  • A Thousand True Stories (2009)
  • If I Could Wrap Up a Kiss (2010)
  • Unclouded (2012)
  •  

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    2012年8月13日 (月)

    トルド・グスタフセンのピアノで聴く女性ヴォーカル・アルバム(2):セリア「nightwatch」

    ノルウェーのセリア(シリエ・ネガード)Silje Nergaardは、日本での北欧ブームの先駆け

    SILJE NERGAARD 「nightwatch」 
    Universal Music  0602498656488 ,  2003

    Nightwatch_3

     ノルウェーのトルド・グスタフセンのピアノ・ブレイに惚れ込んでいる私ですが、彼はそれなりに唄もののバックもこなしているようだ。
     このアルバムは90年前半から日本でも知る人ぞ知るノルウェーの女性ジャズ・シンガー・セリアSilje Nergaard の2003年のアルバム。彼女も歴史的には1989年にあのギタリストのパット・メセニーの力を得てロンドンでデビューして好評を得ている。曲調は、ジャズといってもポップ色もかなり濃く、そして声の質はやや細身であって、パワーのあるタイプでなく、なんとなくあどけない感じのするところもある。そんなところが持ち味で日本では結構1990年代にお馴染みにもなっていた。しかし私自身は当時はそれほど興味を持っていたわけではなかった。
     このように経歴をみると既にベテランのシンガー・ソングライターといっていい。その他、芸術に広く才能を発揮しているようで、彫刻、絵画などの活動もあるという。
     

    Siljenergaard1  さて、このアルバムのメンバーは下記の通り・・・・

     Silje Nergaard : vocals
      Tord Gustavsen : piano + fender rhodes
      Harald johnsen : acoustic bass
      jarie vespestad : drums

      
        ・・・このメンバーに加えて曲によってストリングスが加わったり、ギター、トランペット、フリューゲルホーン、サックスがバックを支えている。
     そうは言っても、私にとってはトルド・グスタフセンのピアノを聴きながらというのが嬉しいところ。そんなところから手にしたアルバムでもある。

    Nightwatchlist  収録全12曲中11曲が彼女のオリジナル曲。シンガー・ソングライターの面目躍如と言ったところ。
     ”this is not america”のみパット・メセニーとデヴィット・ボウイによる曲だが、何故この1曲のみが加わったのか?と言うところは解らないが、このアルバムの中では一つのポイントとなる出来の良い曲だ。
     Jazzyな曲で、トルド・グスタフセンのピアノが中盤や、後半にソロに近い演奏が聴かれる曲”how am i supposed to see the stars”、”in a sentence”などがなかなか良いし、”unbreakable  heart”もピアノの味と彼女のヴォーカルの聴かせどころの曲だ。その他”dance me love”などのピアノとトランペットをバックにしてのバラード調の曲もいい線をいっている。
     しかし全体のアルバムの印象としては、英語で国際的なところを狙っているとは思うが、ジャズ特有の演奏やヴォーカルの面に於いて、妖しげでスリリングなところがあまりないというところで、私好みからは若干物足りなさも感ずるアルバムでもあった。

    (参考)トルド・グスタフセンhttp://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/tord-gustavsen-.html

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    2012年8月10日 (金)

    トルド・グスタフセンのピアノで聴く女性ヴォーカル・アルバム(1): アンナ・マリア・ヨペク 「id」

    国際色豊かで妖艶なアンナ・マリア・ヨペク(ポーランド)

    Anna Maria Jopek 「id」
    AMJ MUSIC   0602517558366  ,  2008

    Id
     ポーランドのシンガー・ソングライターのアンナ・マリア・ヨペクに関しては、パット・メセニーのギターをバックにしての名盤「Upojejie」(2002年)、そして日本の小曽根真のピアノにより作り上げた傑作アルバム「HAIKU俳句」(2011年)をここで取り上げてきたが、このアルバムは2008年のやはり国際色豊かな彼女の姿勢を十分感じさせる一枚。なんとあの私のお気に入りのジャズ・ピアニスト(ノルウェー)のトルド・グスタフセンが3曲彼女のヴォーカルのバックにピアノ・プレイを披露している。又彼女の国ポーランドのレシェック・モジジェルLeszek Możdżerのピアノも3曲に登場と豪華。
     そしてなんとトルド・グスタフセンのピアノが聴ける3曲がこのアルバムでも私好みの哀愁感があって出色の出来であり、レシェック・モジジェルも相変わらずクリアなピアノ打鍵音が響いて快感。

    Idlist_2 この11曲の洗練された彼女のヴォーカルと、バックの演奏の充実度が凄い。オーケストラの他13名のミュージシャンの名が連なっている。特に下記のメンバーが気になるところ・・・・・・

     最も私が気になるノルウェーのTord Gustavsen (piano)、ポーランドのLeszek Możdżer(piano)、そしてアメリカのジャズ・サクソフォン奏者のBranford Marsalis ( soprano saxophone)、更にフランスのドラマーManu Katche (drums)、ブラジルのOscar Castro Nervis (guitar , vocals)、そして彼女のアルバム・プロデュサーの Marcin Kydryński ( guitar) などである。

    Anna_maria_jopek4 このアルバムでは、彼女の妖艶さの面が充ち満ちている。そしてポーランドから発する国際的音楽探究の道であることは、それ以降のアルバムを見てもうなずけるところである。ヴォーカルの質もレベル・アップした彼女を聴くことが出来る。
     そして私の注目点であるトルド・グスタフセンは、3曲のみの登場であるが、まさに彼であることがすぐに解る美しいジャズ・ピアノを聴かせてくれる(曲3.9.11)。

     実に充実したアルバムだ。もっともっと日本でも注目されて良かったアルバムのように思う。
     
    (参照)
    1.アンナ・マリア・ヨペクhttp://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/anna-maria-jope.html
    2.トルド・グスタフセンhttp://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/tord-gustavsen-.html

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    2012年8月 3日 (金)

    アンナ・マリア・ヨペクAnna Maria Jopekの魅力と日本(和)の世界の合体 : 「HAIKU(俳句)」

    ポーランドと日本の伝統はジャズで結ばれたか?

    Anna_5  アンナ・マリア・ヨペクの2011年最新三部作の一つ「HAIKU(俳句)」に到達して、これは偉いところに来てしまったと、ちょっと放心気味の私であります。そもそもは彼女の入り口は10年前の再発アルバム「Upoienie」でしたが(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/anna-maria-jope.html)、少々深入りしたいということでスタートしたが、こうした世界に足を入れるとは思いもしなかったところ。
     彼女の過去のアルバムを列記してみると、下記のように16枚ある。目下私の手にあるのはまだこの中の6枚のみ。これだけで彼女を語るわけにはいかないが、しかしそれぞれのアルバムには個性があることは十分理解できた。特に彼女はポーランドという自国を世界の国々の音楽を通じて再認識している姿が見えてくる。そんな中での日本との関わりでもある「HAIKU」は我々にとっても興味深い。

    • (参考)
      Anna Maria Jopek  DISCOGRAPHY
    • Ale jestem (1997)
    • Szeptem (1998)
    • Jasnosłyszenie (1999)
    • Dzisiaj z Betleyem (1999)
    • Bosa (2000)
    • Barefoot (international edition of Bosa) (2002)
    • Nienasycenie (2002)
    • Upojenie (with Pat Metheny) (2002)
    • Farat (live) (2003)
    • Secret (2005)
    • Niebo (2005)
    • ID (2007)
    • BMW Jazz Club Volume 1: Jo & Co (live) (2008)
    • Polanna (2011)
    • Haiku  (2011)
    • Sobremesa (2011)

    ANNA MARIA JOPEK & MAKOTO OZONE  「HAIKU」
    Anna Maria Yopek MUSIC  278-3522  ,  2011

    Haiku

    Anna Maria Jopek - vocals, kalimba
    Pawel Dobrowolski - drums, percussions
    Tomohiro Fukuhara - tradditional bamboo hlute
    Robert Kubiszyn - double bass, acoustic bass guitar
    Pedro Nazaruk - vocals, flute
    Makoto Ozone - piano

     ポーランドの歌姫アンナ・マリア・ヨペクと日本を代表するジャズ・ピアニスト小曽根真とのセッションは、この素晴らしいアルバムを生んだ。 そこに香ってくるものはポーランドと日本の伝統の世界。メンバーは上記のようになるが、歌舞伎の笛演奏家福原友裕が絡んでくるからその和の世界は本格的。
     そして小曽根のピアノ・プレイが和洋を自由自在に展開して圧倒的に迫ってくる。そしていつの間にか福原の和笛の音が響き渡り、我々の心の奥に入り込んでくる。更にそこに両国の伝統を美しく歌い上げるヨペクが郷愁感を盛り上げ、はっきりいって前代未聞の静と動を織り交ぜた美と深遠なる世界の極致を作り上げたと言っていい。

    Haikulist  スタート曲の”YOAKE(夜明け)”は、日本の古典的静を感じざる福原の笛の音から始まる。これぞ宮本武蔵の達観した剣の道すら思いおこさせる。そして中間部に”DO JO JI(道成寺)”、最後は”YUUGURE(夕暮れ)”で幕を閉じるが、そこまでの道筋が一筋縄では行かないのだ。

     2曲目の”HEJ PRZELECIAL PTASZEK”には、ヨペクのあのややハスキーながら不思議に透明感を感じさせ歌声が、小曽根のピアノの美に絡みながらポーランドの郷愁が唄われる。そして続く”DOLINA”で、ポーランドと日本の交錯が試みられる。
     ”OBEREK”での小曽根のジャズ・ピアノは、一つの絶頂へと向かわせる。
     ”DO JO JI”の福原の笛と小曽根の掛け合いは日本文化の素晴らしさをジャズを超えて緊張感たっぷりに展開し、それを続く”O MOJ ROZMARYNIE”におけるヨペクのヴォーカルが地球に広げる賛歌のごとく響き渡る。ここには小曽根のピアノは日本という枠を遙かに飛び越している。

    Osone_photo  このアルバムの誕生には、その前の小曽根真のショパンを題材にしたアルバム「ロード・トゥ・ショパンRoad to Chopin」に、このアンナ・マリア・ヨペクを招いたことから始まったと思う(2009年、ショパンのポーランドのワルシャワにての録音)。
     そしてこのアルバム「HAIKU」は、今度はヨペク側の企画によって、再び録音は、小曽根、福原がポーランドに赴いて行われたものだ。
     
      私の感覚では、これからの今年一年間においても、はっきり言って、このアルバムを超えたものには行き会うことがないのではないかと思っている位だ。それほどジャズの醍醐味、和の美と緊張感の素晴らしさを、小曽根のピアノと福原の和笛の技をもってして演じられ、そしてヨペクのヴォーカルの生む深遠な世界との交錯は見事なのである。

    (参考視聴)

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    2012年8月 1日 (水)

    e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)は何処に流れてゆくか?(2):マグヌス・オストロムMagnus Öströmの試み「Thread Of Life」

    残った二人は歩みを始めた(2)~マグヌス・オストロム

    Magnus Öström 「Thread Of Life」
    ACT Music  9025-2 ,   2011

    Threodoflifea
     e.s.t.のピアニスト、エスビョルン・スヴェンソン事故死の後、ドラマーのマグヌス・オストロムも彼らしいアルバムをリリースしている。彼の場合もギターを加え、ピアノ、ベース、ドラムスの編成の形をとった。メンバーはストックホルムで活躍している連中を集めているようだ。

    Andreas Hourdakis : guitars
    Gustaf Karlöf : grand piano, keys
    Thobias Gabrieson : bass
    Magnus Öström : drums

    Magnusostrom3  もともと彼は、エスビョルン・スヴェンソンとは子供の頃からの付き合いで、二人でピアノとドラムスによって曲を演奏したりという間柄だ。そしてダン・ベルグルンドとの出会いによってトリオ編成され、世界的なジャズ・トリオに成長した。そして彼のトリオにおける位置は意外に繊細にして感受性豊か、そして詩人としての役割を果たしてきたようだ。そして彼にとっては、スヴェンソンの事故死は相当のショックであったろうと推測される。

     従ってここに見る彼のアルバムは、完全にe.s.t.を引きずっていると言うか、そうならざるを得なかったと言ったところなのだろう。全曲彼のオリジナル曲で仕上げた。

    Threodoflifelist  左のような10曲の中で、”ballard for E”は、かっての共演者のパット・メセニー(acous.Guitar)とトリオ仲間のダン・ヘルグルンド(double bass)とが集結してトリオで演奏している。エスビョルン・スヴェンソンの鎮魂歌のようにも聴ける。
     更に”Hymn(賛美歌)”が最後に20分弱の演奏が納められた。彼はスヴェンソンの死に当たって、こうしたアルバムにて自分自身の心や身の処し方を整理したかったのであろうと推測する。
     
     ダン・ヘルグルンドのアルバム(Tonbruketの2nd「Dig it to the end」)とは性格が異なり、どちらかというと旋律を聴かせようとするアルバム。しかし、何年も一緒にやってきただけあって、エレクトリックな音の配置は似ていないこともない。
     しかし、印象としてはe.s.t.の矛を収めるべくオストロムの優しさとあのグループの先鋭性をうまく取り合わせた好盤といっておきたい。”weight of death”、”longing”などの曲にはそんなニュアンスが良く出ている。

     e.s.t.に注目していた私にとっては、いまや彼らのライブ版の映像DVDやCDなどを聴きながらも、残された二人についても関心を寄せているといったところである。

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