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2012年8月 3日 (金)

アンナ・マリア・ヨペクAnna Maria Jopekの魅力と日本(和)の世界の合体 : 「HAIKU(俳句)」

ポーランドと日本の伝統はジャズで結ばれたか?

Anna_5  アンナ・マリア・ヨペクの2011年最新三部作の一つ「HAIKU(俳句)」に到達して、これは偉いところに来てしまったと、ちょっと放心気味の私であります。そもそもは彼女の入り口は10年前の再発アルバム「Upoienie」でしたが(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/anna-maria-jope.html)、少々深入りしたいということでスタートしたが、こうした世界に足を入れるとは思いもしなかったところ。
 彼女の過去のアルバムを列記してみると、下記のように16枚ある。目下私の手にあるのはまだこの中の6枚のみ。これだけで彼女を語るわけにはいかないが、しかしそれぞれのアルバムには個性があることは十分理解できた。特に彼女はポーランドという自国を世界の国々の音楽を通じて再認識している姿が見えてくる。そんな中での日本との関わりでもある「HAIKU」は我々にとっても興味深い。

  • (参考)
    Anna Maria Jopek  DISCOGRAPHY
  • Ale jestem (1997)
  • Szeptem (1998)
  • Jasnosłyszenie (1999)
  • Dzisiaj z Betleyem (1999)
  • Bosa (2000)
  • Barefoot (international edition of Bosa) (2002)
  • Nienasycenie (2002)
  • Upojenie (with Pat Metheny) (2002)
  • Farat (live) (2003)
  • Secret (2005)
  • Niebo (2005)
  • ID (2007)
  • BMW Jazz Club Volume 1: Jo & Co (live) (2008)
  • Polanna (2011)
  • Haiku  (2011)
  • Sobremesa (2011)

ANNA MARIA JOPEK & MAKOTO OZONE  「HAIKU」
Anna Maria Yopek MUSIC  278-3522  ,  2011

Haiku

Anna Maria Jopek - vocals, kalimba
Pawel Dobrowolski - drums, percussions
Tomohiro Fukuhara - tradditional bamboo hlute
Robert Kubiszyn - double bass, acoustic bass guitar
Pedro Nazaruk - vocals, flute
Makoto Ozone - piano

 ポーランドの歌姫アンナ・マリア・ヨペクと日本を代表するジャズ・ピアニスト小曽根真とのセッションは、この素晴らしいアルバムを生んだ。 そこに香ってくるものはポーランドと日本の伝統の世界。メンバーは上記のようになるが、歌舞伎の笛演奏家福原友裕が絡んでくるからその和の世界は本格的。
 そして小曽根のピアノ・プレイが和洋を自由自在に展開して圧倒的に迫ってくる。そしていつの間にか福原の和笛の音が響き渡り、我々の心の奥に入り込んでくる。更にそこに両国の伝統を美しく歌い上げるヨペクが郷愁感を盛り上げ、はっきりいって前代未聞の静と動を織り交ぜた美と深遠なる世界の極致を作り上げたと言っていい。

Haikulist  スタート曲の”YOAKE(夜明け)”は、日本の古典的静を感じざる福原の笛の音から始まる。これぞ宮本武蔵の達観した剣の道すら思いおこさせる。そして中間部に”DO JO JI(道成寺)”、最後は”YUUGURE(夕暮れ)”で幕を閉じるが、そこまでの道筋が一筋縄では行かないのだ。

 2曲目の”HEJ PRZELECIAL PTASZEK”には、ヨペクのあのややハスキーながら不思議に透明感を感じさせ歌声が、小曽根のピアノの美に絡みながらポーランドの郷愁が唄われる。そして続く”DOLINA”で、ポーランドと日本の交錯が試みられる。
 ”OBEREK”での小曽根のジャズ・ピアノは、一つの絶頂へと向かわせる。
 ”DO JO JI”の福原の笛と小曽根の掛け合いは日本文化の素晴らしさをジャズを超えて緊張感たっぷりに展開し、それを続く”O MOJ ROZMARYNIE”におけるヨペクのヴォーカルが地球に広げる賛歌のごとく響き渡る。ここには小曽根のピアノは日本という枠を遙かに飛び越している。

Osone_photo  このアルバムの誕生には、その前の小曽根真のショパンを題材にしたアルバム「ロード・トゥ・ショパンRoad to Chopin」に、このアンナ・マリア・ヨペクを招いたことから始まったと思う(2009年、ショパンのポーランドのワルシャワにての録音)。
 そしてこのアルバム「HAIKU」は、今度はヨペク側の企画によって、再び録音は、小曽根、福原がポーランドに赴いて行われたものだ。
 
  私の感覚では、これからの今年一年間においても、はっきり言って、このアルバムを超えたものには行き会うことがないのではないかと思っている位だ。それほどジャズの醍醐味、和の美と緊張感の素晴らしさを、小曽根のピアノと福原の和笛の技をもってして演じられ、そしてヨペクのヴォーカルの生む深遠な世界との交錯は見事なのである。

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コメント

私にとっても、今年一番の収穫の歌手であり、アルバムとなりそうです。

投稿: 爵士 | 2012年8月 4日 (土) 22時29分

爵士さん、暑いですね。お元気そうで何よりです。
 ヨペクは爵士さんの「Upoienie」から始まった話で、私もここまで来るとは思ってもいませんでした。更に・・・・と言う気持ちでいます。
 しかし、私は「HAIKU」は評価します。彼女のアルバムのなかでも一段とレベルは高いし、圧倒的に迫ってくるものがあります。小曽根の力も大きいのですが・・・・。ここゆうのが世界にもっともっと浸透して欲しい。ただしライブではあちらのミュージシャンをバックにしてでは出来ない技ですね。

投稿: 風呂井戸 | 2012年8月 5日 (日) 08時18分

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