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2012年9月23日 (日)

(続) 映像で迫るピンク・フロイド&ロジャー・ウォーターズ「ザ・ウォール The Wall」

第2回:ロジャー・ウォーターズの「ベルリン・ザ・ウォール・ライブ1990」~ブートで堪能~

Berlinroger  1990年のベルリンはポツダム広場における「ザ・ウォール・ライブ」の圧倒的なスケールには誰もが度肝を抜かれたわけであるが、これは幸いにもチャリティー・ショウであったため、映像ものもオフィシャルにリリースされた。当時はレーザー・ディスクそして近年はDVDでお目にかかれる訳で、まあ結構なところである。
 しかしなにせベルリンの壁崩壊直後であり、注目度といえばこれ程タイミングよかったものもなく、東も西も参加しての壮大なそのスケールは圧巻だった。
 そしてそれをオフィシャルものでは知ることの出来ないところが詰め込まれているブートDVDがある。私は大切にしているものの一つであるがここで紹介しよう。この内容たるや、なんと5時間以上で今となっても感動深いところである。(なお、このDVD、現在は手に入るかどうかは不明です)

ROGER WATERS 「BERLIN WALL Rehearsal」
Rehearsals at Possdammer Platz, Germany 18th-20th July 1990
HEARVESTED DVD   COLOUR NTSC Approx, 310min

Rogwallberlinrehearsal

 DVD3枚組、310分の代物。たった一日のライブ(1990年8月21日)の前3日の18,19,20日の三日間のドキュメントである。このライブは第二次大戦の元爆撃機操縦士レナード・チェシャーが設立した災害救援基金へのチャリティを主旨としていて、それにロジャー・ウォーターズが賛同して行われた。
 高さ25mの壁を築き、幅168m、奥行き41mのとてつもない巨大ステージ、これは一日のために1ヶ月かかって設営。まさにビルの工事現場だ。登場する巨大人形は半年かかって作り上げたとか。ライブ演奏中もステージ上を大型トラックが往き来する演出をこなすスケールであった。これが設営されたポツダム広場はベルリン東西分離地域の象徴の無人地帯であって、そこになんとこのライブには20万とも30万とも言われる人並みで埋まったのだった。

Wallberlin

このDVD-1「Building The Wall 」には、3日前の舞台設営や舞台裏の機材設置の様子が記録されており、又エキストラの練習シーンなども収録され、ライブ・ショーまでの緊迫と期待のムードが見て取れる。ヘリコプターも当日飛ぶものを用意し、ロジャーが乗っての撮影も行われている様子も見られる。この一枚には、”Extras”としてなんとたった一日の本番21日のライブ・ショー中に起きたパワー・ロス(電源切れ)による中断の様子を記録したものを収録している。呆然としているスタッフ、そこになんとロジャーがステージに出てきてオーディエンスに混乱のないように見事に回復までの間を稼いでいる姿が捕らえられている(これはかってYouTubeか何かで見たことがあるが)。

Photo DVD-2「Band Rehearsals」は、18日の昼間のシーン。なにせこのショーでは、壁を築いていって最後に壊すという設定ですから、前もって作っておくというわけにもいかず、その設営練習とともにロジャーとバンドのリハーサルが行われていて、いやはやむき出しのセットの前での荒作業。このあたりは実感があって面白い。
 19日の夜には全体の流しリハが敢行され、又ゲスト・ミュージシャンが多いのでこれまたドタバタで手に取るようにこのライブの多難さが見て取れる。ウテ・レンパー、シンディー・ローパー、ジョニ・ミッチェルはさすがにプロで、既に自分のパターンが出来上がっていてロジャーも楽しそうに見ている。特にジョニ・ミッチェルの”Goodbye Blue Sky”はライブでも出色の出來だったが、既にこの日もパーフェクトだ。
 しかし、”Run like Hell”、”Waiting for the Worms”あたりのドタバタも大変だ。

Photo_2   翌日(20日)の昼間炎天下ではロジャーは上半身裸でステージを廻って歩く、シンニード・オコナー、ブライアン・アダムスのリハも行われた。更にジョニ・ミッチェルは19日に続いて再び唄う、後ろで見ているロジャーがニンマリ。

DVD-3「Dress Rehearsals」本番前日の20日夜は、ショー全てを衣装もきちんと着けての完全リハーサル。電源切れで本番で見れなかったウテ・レンパーとロジャーのデュエットがいい雰囲気だ。数百人のスタッフが見物して拍手や歓声を上げているのが印象深い。
 ロジャーのブリーディング・ハート・バンドのリック・ディ・フォンゾ、スノーウィ・ホワイトのギターが見事である。バックのオーケストラも壮観。
 オフィシャル版と違ったザ・ウォール・ライブ・イン・ベルリンが堪能できるところ。
”Comfortably Numb”は、前日(19日)同様なかなかスムーズに進行しない、なにせ盛り上げた”Bring the boys back home”の後だから、スタッフも大忙し。
 しかし、前日夜にここまで徹底的にリハしているとは思わなかった光景がみれる。特に壁は完全に構築してそして壊すところも全て試みている。
 やっぱり、この時(ベルリンの壁崩壊)だから・・・最後に全員で唄い演奏する”The Tide Is Turning”(アルバム「RADIO K.A.O.S.」から)は感動的。不安と警告のロジャーが世界に一つの希望を持った時だ。

 しかし、こうしたDVDは、本当に好きな人にしか勧められない。好きな人には堪(たま)らないが、興味が無ければ何やっとるのかというところ。
 久しぶりに夜長のシーズンとなって2日かけて5時間を全て見直したが、やっぱりロジャー・ウォーターズのベルリン版の「THE WALL」も凄かった。

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コメント

こんばんは、風呂井戸さま。貴重なDVDですね。自分は紹介されていた「ザ・ウォール1980」のDVDはもっていますが、このベルリンのライヴ映像は編集版しか見たことがありません。
 1ヶ月かかって設営したステージをわずか数時間しか使用しないとはさすがロジャー・ウォーターズ、スケールが違いますね。完全版のオフィシャル映像がどこかに眠っていないのでしょうか。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2012年9月25日 (火) 20時43分

 このところ夜のお仕事が続いて・・・・、ただ今帰宅しましたらプロフェッサー・ケイさんからのコメントのメールがありました。どうも有り難うございます。ココログの良いところは、メールで通知してくれるところですね。
 それはさておき、ベルリンのザ・ウォールは、オフィシャルものは、例の「THE WALL LIVE IN BERLIN」でいいんじゃないでしょうか?、ちょっと導入部が昔のLDと違ってますが・・・、どうして変えたかは解りませんが、全ての曲は網羅しているのでいいでしょう。最後の”The Tide is Turning ”は、ロジャー自身も大仕事を終えたという充実感を持って、それぞれのゲスト・メンバーに感謝しつつ唄っているのが解ります。私もこのライブにおけるこの曲には感動したものでした。

投稿: 風呂井戸 | 2012年9月25日 (火) 21時32分

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