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2012年10月21日 (日)

マリリオンMarillionのニュー・アルバム「SOUNDS THAT CAN'T BE MADE」

ブリティッシュ・プログレッシブ・ロックも健在と言って良いか?

MARILLION 「SOUNDS THAT CAN'T BE MADE」
eagle records  ER202852 ,   2012

Soundtcbm

 登場しましたね、久々のマリリオンMarillionのニュー・アルバム。それもいやに評判がいい。彼らは近年アコースティック・サウンドを聴かせていて、大人のロック・バンドとしてしっかり定着してしまったと思っていたが、ここにきて彼ら本来のプログレッシブ・ロック・アルバムを登場させた。
 メンバーは
   Steve(h)Hogarth : Singer,Keys,percussion
       Mark Kelly : Keybords
       Pete Trevavas : Bass
       Steve Rothery : Guitars
       Ian Mosley : drums

      ・・・・・と、このところの不動の5人組。

Stevehogarth  フィッシュからスティーヴ・ホガース(左)に変わって新生マリリオンとなってもう何年になるだろうか?、二十数年は経っている。もうこのパターンがマリリオンといっていいのだろう。
 久々のこのアルバムも、全曲クレジットはマリリオンとグループ名になっているが、Lyricsは、一曲を除いて全曲ホガースが書いている。

 そして今このアルバムを聴くと、ロックの歴史の重さを感ずるのは私だけであろうか?。特にプログレ派であった私にとっては、今のマリリオンは貴重なのである。この音を聴かせてくれるバンドも今や逆に新鮮に聴こえるのが歴史なのである。恐ろしい。
 おお、変拍子あり、泣きのギターあり、美しい旋律あり、そして仰々しいサウンドを展開する。やっぱりプログレだよ、マリリオン。

Soundtcbmlist  収録曲は、左のごとく8曲。なんと1.5.8.の3曲は十分を超えての大曲。
 特にこれぞプログレと、しょっぱなの1曲目”GAZA”から17分を超えてアルバム・ジャケのように蝸牛のような螺旋を描いて迫ってくる。そしてその上に、いかにもコンセプティブな歌詞がホガースによって唄われる。
 この曲はパレスチナのGAZA地区の子供達にと、難民キャンプにおけるパレスチナ人との接触から生まれた歌として紹介されている。封鎖状態に置かれ緊急度の高い極限の悲惨な状態にあるGAZA地区と、ここにおける子供達への為の基金としての役割を訴えている。
 それにも増して、これは納得の曲だ。彼らのあのアルバム「Brave」以来、描いている世界感の一つの姿であると思う。私的には、このオーブニング・ナンバーの”GAZA”が最もお気に入りだ(実はもう一曲ぐらいこのタイプが欲しかったが・・・・)。

Steverothery  このアルバムでは、スティーヴ・ロザリー(左)のギターも活き活きとしている。あの”THE WISHING TREE”の活動も、マリリオンがこのタイプであるならば特に必要ないだろう。彼らが近年のアコースティックな音空間を追求する中に、原点に戻っての自己の存在を認識したかのような音作りだ。特に”lucky man”では、ロザリーの泣きのギターに久々に聴き惚れた。ネオ・プログレシブとかポンプ・ロックと言われたマリリオンの一つの原点回帰である。
 
 まあ、欲を言えばアルバム中間部(例えば14分の長曲”Montréal”あたり)は若干かったるいところもあるが、とにかくなんと言ってもここに来て、マリリオンが本来の姿でスタジオ・アルバムを復活させてくれたことは嬉しいニュースであった。そしてそれなりのアルバムを作り上げてくれたことに喜んでいる。”今時、何やってるの?”という感覚も無いわけでもないが、それでも我々死語のプログレッシブ・ロック世代は、取りあえず喝采を浴びせるのである。
 ツアーも行われるところで、奮闘を祈る。

(参照)
 ① 「Live from Cadogan Hall」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/marillion-dvd-l.html
 ② 「Somewhere in London」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/marillion-abb9.html 
 ③ 「Brave」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/marillion-0859.html
  ④ 「Less is More」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/marillion-less-.html

              

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コメント

こんばんは、マリリオンの新作は期待できそうですね。日本での版権を失ってから輸入盤で聞いていたのですが、何となくポピュラー・ミュージックの方向に移っていて残念に思っていたところでした。
 自分も秋の夜長に聞いてみようと思います。貴重な情報をありがとうございました。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2012年10月23日 (火) 21時07分

 プロフェッサー・ケイさん、今晩わ。
 そうですね、夜長になってきましたね。マリリオンの本来の姿の復活で喜んでいます。
 まあ、私の好みから言うと、最初の一曲でよかったのかも知れませんが・・・、それでは話にはなりませんので中・後半の曲評を又ケイさんのパターンでブログでお話ししてください。期待しています。

投稿: 風呂井戸 | 2012年10月23日 (火) 22時43分

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