ブラッド・メルドー・トリオBrad Mehldau Trioの2部作:「ODE」 & 「WHERE DO YOU START」
トリオの今年の2連発はそれぞれの味を楽しめた
① BRAD MEHLDAU TRIO 「ODE」
NONENSUCH Records Nonensuch 529689-2, 2012
1. M.B. 2. Ode 3. 26 4. Dream Sketch 5. Bee Blues 6. Twiggy 7. Kurt Vibe 8. Stan The Man 9. Eulogy For George Hanson 10. Aquaman 11. Days Of Dilbert Delaney
② BRAD MEHLDAU TRIO 「WHERE DO YOU START」
NONENSUCH Records Nonensuch 532029-2 , 2012
1. Got Me Wrong 2. Holland 3. Brownie Speaks 4. Baby Plays Alound 5. Airegin 6. Hey Joe 7. Samba De Amor 8. Jam 9. Time Has Told Me 10. Aquelas Coisas Todas 11. Where Do You Start?
(members)
Brad Mehldou : piano
Larry Grenadier : bass
Jeff Ballard : drums
ブラッド・メルドーについてはここで語ったのは、かってメセニーとの共演の2枚のCDであったかと思う。あの「カルテットQUARTET」(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/quartet-26ff.html)のアルバムは、メセニーのギターとこのトリオによって作られたアルバムであったが、あれから既に5年が経過している。
今回は、今年になってあっという間の2作のリリース。似通ったジャケが笑っちゃうが、まあそれも当然と言えば当然で、この両アルバムは同じ日に録音されたもので(両者ともNovember 17,2008 と April 19,2011の録音もの)、2枚組でも良かったのかな?と思うのだが、なるほど聴いてみると両者はそれなりに違いが出ている。これはやっぱり一つの”対”として彼らの意志を表したのかも知れない。 メルドーは1990年代(彼は1970年生まれであるから20歳代)に既にトリオ作品を並べ(1996年からの「Art of The Trio」シリーズ)、良い評価を得ていたが、もともとカヴァー曲の範囲も広くジャズに固執しないスタイルで自己の世界を築いてきた。作品「Highway River」は、トリオ+オーケストラで、ジャズを超えての世界をアッピールしていたのが印象深い。
さてそこで今回の2アルバムだが、これは純粋にジャズの世界のオーソドックスな彼のピアノにベース、ドラムスというトリオ作品だ。そしてなんと①の「ODE」は、彼のオリジナル曲集、そして②の「WHERE DO YOU START」は、1曲(8.Jam)以外は全てカヴァー集、それもスタンダード集というのでなく、ジャズ、ロックを始め多岐にわたる曲を演ずる。しかしさすがに出来上がった彼らの演奏は、やっぱりトリオ・ジャズであるところがミソ。
さてこの両者の好みはそれぞれだろうが、やっぱり聴きやすいのは②のカヴァー集、そんなに知っている曲でもないが、なんとなくメロディーも感じられる中にトリオとしての交錯はピアノ主導でもあるが味わい深い。
そうは言っても、①のオリジナル集は、多分メルドーのやりたい世界のアッピールでもあるのだろうが、決して難解でなく、聴き込んでいくとむしろ味も出てくる。”4.Dream Sketch”の情感は私は好きですね。更に”7.Kurt Vibe”の異空間への誘いは魅力たっぷり。私は当初の印象と違って、何回と聴いていると、①のオリジナル集のほうが好きになってくる。”8.Stan the Man”のトリオ・メンバーそれぞれの乗りも快適だ。ちょっとアメリカ離れも感ずるアルバム。
このトリオ・メンバーも、お互いのパターンも知り尽くしての作品作りも板に付いていて、これからが更に楽しと言うところである。
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