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2012年12月 1日 (土)

ジョバンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassi : 革命歌「iADELANTE!」

あの「Avanti!」から10年、再びソロで革命、レジスタンスに焦点を絞る・・・・・

 美しくも激しい心のほとばしりを描くミラバッシの2011年の作品と言いたいところであるが、とにかく多彩で圧倒もされる。

GIOVANNI MIRABASSI 「iADELANTE!」
Discograph  LC14846-614 957 2  ,   2011

Iadelante

 ジョバンニ・ミラバッシの活動は、やはり主たるはピアノ・トリオと言っていいと思う。既に積み上がった彼のアルバム群を聴くにつけ、彼がイタリアからフランスへと活動拠点を移したのは音楽的探求とその活動の充実のためなのか?、彼の描く世界の意味付けからなのか?、はたまた人生の生活の場としての意味なのか?、その点は解らない・・・・・。
  しかしこのアルバムはソロ活動として、キューバの首都ハバナ(studio Abdala)に赴いての録音である。そして非常に録音は優秀、彼のピアノ・タッチまで目に見えるようにピアノの音が流れる。 
 ”ADELANTE”とは”前へ”という意味のようだが、彼のあの10年前のベスト・セラー・アルバム「Avanti!」の衝撃に原点回帰にして、そして一種のこれからの彼自身の前進の意味をもっての再出発のアルバムにもとれる。
 しかし、一般に言われるような「Avanti!」の焼き直し的二番煎じとはちょっと違う印象だ。それは比較的短い曲群で構成されたアルバムで、ヴォーカル入り2曲(キューバの曲)、バンドが入るものなどの試みもあって別仕立て。

Iadelantelist2  左のように17曲が収められているが、非常に国際色豊かな曲群だ。テーマはやはり”革命””抵抗”に通じている。

 なにせスタートが聴いたことがある曲と思ったら”インターナショナルL'Internationale”、これは知る人ぞ知るかってのソビエト連邦の国歌だ(もともとは、フランスで作られた歌とか?)。こう美しくなるとは・・・と驚かされる。2曲目は革命の人チェ・ゲバラを讃えた歌”Hasta siempre”。3曲目の”partisan”は、歳をとるにつけ人気の出たアメリカ・ロック歌手のレオナード・コーエンの曲、彼はユダヤ系カナダ人で、革命後のキューバに潜入していたことがある異色の歌手(参考http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/leonard-cohen-c.html )。4曲目の”a luta continua”は、反アパルトヘイト活動のモザンビークの女性歌手ミリアム・マケバの曲。そしてそしてなんとドイツから御存じ”Lili Marlieen”、第二次世界大戦の最中、ベオグラードのドイツ群放送局から流され戦場で愛された歌で有名だ。この演奏でミラバッシの優しさが感じ取れる。最後の”Gracias a la vida”は、アルゼンチンのフォルクローレ女性歌手メルセデス・ソーサのもので、彼女は軍事独裁政権下で歌によって社会変革運動を進めた。

Mirabassi1  いやはや凄い、これをピアノ・ソロを中心に展開するわけだ。しかしこのアルバムは全体に聴くに実はそう難しくない。アルゼンチンの”Libertango”はなかなか展開がメロディアスで聴きどころだ。ラストの”Gracias a la vida”は、ミラバッシの演奏は途中までピアノ・ソロで、中盤以降にベース、コンガ、ドラムスが入り、彼の熱の入ったときのハミング声も聴かれ、最後は合唱で纏めるという面白い仕上げである。

 ただ、彼の真髄の哀愁、叙情、憂いの美の世界をピアノ・ソロで・・・と、言うのをあまり期待しすぎると若干違いを感ずるのでは?。実は私がそうだったわけであるが、アルバム「Avanti!」の”El pueblo unido jamas sera vencido”の美しさに及ぶものは実は無かったと言って良い。彼がそれを目指したのであれば、もう少し違った仕上げをしたであろう。そこに彼のただの焼き直し的なものでない”前進の心”を見てゆきたいのである。しかしファンがそれをどう支持してゆくかは別の話であるが・・・・、しかし随所に出てくる彼の伝えたい人の心は感ずるし、そこにある美をピアノの音で堪能できる。特に彼の特徴である右手で描く華麗なパッセージワークはやはり素晴らしい。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=3J5DAFQ7etI

(参考) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/giovanni-miraba.html

Pa041530monoblog
(ポーランド・ザモシチにて   2012.10)

 

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コメント

澤野時代から聴いている私には、移籍してからのミラバッシは「新世紀」は評価できるものの、後はちょっと物足りないような感じがします。澤野時代の彼に入れ込み過ぎたためでしょうか ・・・。

投稿: 爵士 | 2012年12月 2日 (日) 11時24分

 爵士さん、どうも・・・です。
 私はこの暮れはミラバッシで納められそうです。最近のものとデビュー当時のものと、ごっちゃまぜにして聴いていますが、彼のソロの味は独特なテクニックによって格別ですね。
 十数年の経過の中ではいろいろな試行錯誤はあって当然と思いますが・・・、まだまだこれから期待を持って接してゆきたいと思っています。

投稿: 風呂井戸 | 2012年12月 2日 (日) 17時44分

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