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2012年12月 8日 (土)

ジョバンニ・ミラバッシGiovanni Miravassi の初期2枚のアルバム 「ARCHITECTURES」、「DAL VIVO I」

ピアノ・トリオ・アルバムとそのライブ演奏にみる”美”

Mirabassi2  私の場合は、ジョバンニ・ミラバッシのピアノ演奏を聴いていると、何故かその他のピアニストものが若干物足りなくなってくる。そのよって来たるところは彼の演奏テクニック(特にパッセージワーク・テクニックとその流れ)、そして曲の運びにあると思うのであるが、聴き込んでゆくうちに離れられなくなる魅力に溢れている。
 そして彼については、アルバムのリリースにリアル・タイムには聴いてきたわけではないので、実際のところは初期のものといえども、近年のものと実は一緒に聴いている。しかしその中で何故か私にとって印象深いアルバムは意外にこの初期のものなのだ。
 このブログでは、彼のソロ・アルバムと言ってよいもので、しかも革命、レジスタンスといったものをテーマにした特異なアルバム「AVANTI!」(2000年)と「iADELANTE!」(2011年)を既に取り上げたので、彼の原点のトリオものにここでアプローチしてみたい。

GIOVANNI MIRABASSI 「ARCHITECTURES」
SKECH    SKE383010・HM79   ,  1999

Architectures このアルバムは所謂彼のピアノを中心としてのピアノ・トリオ・アルバムだ。
 しかも、彼の初のリーダー作であり、また全曲オリジナルというところで、最も原点的な意味での注目アルバムである。
 このアルバムをリリースして彼に対する注目度はぐっと上がった経過があるようだ。(そして衝撃のアルバム「AVANTI!」は、この翌年2000年にソロとして登場したわけだ)

 このアルバムのメンバー
   Giovanni Mirabassi : piano
   Daniele Mencarelli : Contrebasse
   Louis Moutin : Batterie

 彼等は2001年のライブ・アルバムまでこの三人のメンバーでトリオを組んでいる。

Architectureslist  収録曲は左の9曲。全てオリジナルで彼等の発想が見事に展開している。
 もう既にこのアルバムでミラバッシの美が溢れていることに気づく。
彼は、子供の頃からジャズ・ピアノに興味を持って多彩な活動をしてきたようだが、1992年にイタリアから活動をパリに移した(どうもこれはイタリアの音楽界に見切りをつけたことによるようだ)。そしてそのときにクラシックの巨匠アルド・チッコリーニに出会い、三年間にわたって個人レッスンを受け研鑽を深めたという。
 そしてその後フランスのジャズ界にて活動を展開した。そんな経過で生まれたのがこのアルバムであった。

 2曲目の”cafe français”を聴いてみても、このトリオはかなり練れていて、彼のピアノプレイは旋律の美しさのみならず、群を抜いた特技と言えるパッセージワークで歌い上げ、ベース、ドラムスとの関係も冴えている。そして美しく叙情的な世界は魅力的。続く”really don't match”とか”one more blues”ではジャズ・トリオの醍醐味のインター・プレイが見事で、ただ叙情、美というのでなくジャズを楽しめる。このあたりは円熟トリオに聴こえてくるところが恐ろしい。
 ”28 rue manin”のみギターの入ったカルテットになっているが、ちよっと中盤に違った雰囲気を入れる当たりは相当アルバム作りにも練り上げているところがみえてくる。見事と言えるアルバムなのである。

          *                *

GIOVANNI MIRABASSI 「DAL VIVO I」
SKECH  SKE333021・HM79  ,  2001

Dalvivoial  そしてミラバッシの究極の美は、このライブ・アルバムだ。録音は2001年パリで行われ、直ちに2001年にリリースされている。
 上のアルバム「ARCHITECTURES」の2.4.6.9.の4曲がここでライブ演奏されている(当然メンバーは同じ)。つまり彼のオリジナル曲のライブ版であるが、唯一最後に登場する”El pueblo unido jamas sera vencido”だけは、例の衝撃のソロのアルバム「AVANTI!」のトップを飾った曲で、チリの軍事政権を批判した政治闘争歌だ。その美しさに聴く者を虜にしたあのソロ演奏を、ここではトリオで演奏している。

Dalvivoi 収録曲を詳しくみると左のとおりの8曲。 ライブ演奏になるとアルバム版よりは演奏時間も長くなってくる。そのあたりは彼の感情の導入の結果でもあろう。

 スタートの”jean-paul chez les anges”は、私は先にこの後(2004年)の映像ライブ版「LIVE at SUNSIDE!」で視聴している為か、いかにもミラバッシと、ちょっと聴いただけで解る流麗なピアノの音が流れ出す。約10分に及ぶ演奏だが中後半のドラムスとの盛り上がりが見事。2曲目”place de la marie”はリズミカルでありながら美の世界が展開する。続く”28 rue manin”もライブで一段と叙情性が増して心に響いてくる。ドラムスのLouis Moutinも、このミラバッシとのトリオには手慣れたところで、一層味付けが増してブラッシング、シンバルの音が微妙にサポートして感動。
 そして4.”des jours meilleurs”以降も、ミラバッシのピアノは華麗にして叙情的、そしてその美しさに圧倒される。5.”requiem”ではベースのアルコ弾きが入って、更に盛り上がりが聴ける。
 最後の7.”cafe français”、8.”el pueblo unido ・・・”の美はもう表現を超えたところにあって何も語れない。まさにヨーロッパ・ジャズの素晴らしさを感ずるアルバムである。

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=OyBrEnp5ZLI

Pa082002trmonoblog
(ポーランド・ワルシャワにて   2012.10)

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コメント

トリオのアルバムでは、このライブ盤「DAL VIVO I」がいちばん好きですね。

投稿: 爵士 | 2012年12月 9日 (日) 15時46分

 爵士さん、どうもです。
 ミラバッシのトリオって、やっぱりこれですよね。今聴いても聴き惚れてしまう・・・・と、言ってしまう。(笑)

投稿: 風呂井戸 | 2012年12月10日 (月) 18時38分

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