やはり北欧の味:ラーシュ・ダニエルソンLars Danielson 「Liberetto」
Lars Danielsson 「Liberetto」
ACTmusic ACT9520-2 , 2012
Recorded on June 13-17,2011,mixed and mastered on September 5-7,2011 at Tia Dia Studios Mölnlycke,Sweden
ユーロ・ジャズには欠かせないベーシストのラーシュ・ダニエルソン。この今回のアルバムは、東欧アルメニアの神童ピアニストのティグラン・ハマシアンTigran Hamasyan(1987年生まれ)を迎え、更にあのe.s.t.のドラマーであったMagnus Öströmも参加しての興味あるアルバム。前作「TARANTELLA」(2009年)もお気に入りであったし、是非聴きたいアルバムであった。
過去に北欧スウェーデンからの暖かみのある美しいメロディーを聴かせて来てくれたラーシュ・ダニエルソンは、ベーシストでこれだけ聴かせてくれるのも珍しく私の好きな一人。今回のメンバーは下記の通り、前作からはギターのJohn Parricelli のみが参加している。
Lars Danielsson : Bass, Cello
Tigran : Piano
John Parricelli : Guitar
Arve Henriksen : Trumpet
Magnus Öström : Drums & Percussion
収録は左のごとく12曲。主としてダニエルソンの曲だが、ティグランも2曲と、ダニエルソンとの共作1曲という貢献もしている。そしてティグランの母国アルメニアのフォークソング1曲が取り上げられている。
スタート曲は何故か不思議なサウンド、各楽器が一斉に流す音で、ええ?これがラーシュ・ダニエルソンのアルバム?と、思うところ。ティグランの曲であることから、アルメニアという国を先入観でなんとなく想像させる。
ところが2.”Liberetto”で美しいピアノとベースの調べが流れ、おおこれだこれがダニエルソンだと思いながら聴き惚れる。そうそうこの曲名がアルバムのタイトルでもあるのだ。
3.”Day one”は、ベースをバックにピアノとトランペットが何故か哀愁を呼ぶ。 4.”Orange Market”では、なんか自分の曲のようにティグランはジャズ・ピアノを弾き、このアルバムでも最もジャズの持ち味である展開の妙をみせる。ドラムスもe.s.t.をふと思い起こすオストロムの活気あるドラムスを聴かせている。
7.”Hov arek sarer djam”は、アルメニアのフォーク・ソングというが、これがダニエルソンのチェロと思われる伴奏にピアノが語る曲調で、なかなか魅力ある曲調に仕上がって、このアルバムでも一つのポイントだ。そしてなんとティグランのヴォーカルが後半に入るという味付けが面白い。 8.”Party on the planet”は、一転して珍しく陽気な曲。
9.”Tysnaden”は短い曲だが叙情豊かでもう少し聴きたくなるところ。
全体に気楽に聴きやすく若干刺激は少ないが、それなりにハッとするメロディーも聴かれ無難なアルバムと言っていいだろう。そして録音も非常に良い。
ティグランは、19歳(2006年)にしてジャズ界に頭角を現し、オリジナル曲に加えて民謡をも取り入れてのアルバム「World Passion」が評判だった神童。ラーシュ・ダニエルソンがその彼を起用したというところがミソのアルバムで、次はどのピアニストを連れてくるかという早、次に期待と興味も湧くアルバムだった。
(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=MyKGq733fiw
(参考)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/lars-danielsson.html
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