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2013年2月26日 (火)

波蘭ジャズ・ピアニスト~レシェック・モジジェルLeszek Możdżerの世界

  ポーランドの伊達男の華麗なピアノ・ジャズ

Lm6   このレシェック・モジジェルLeszek Możdżerは、知る人ぞ知るといったポーランドでは圧倒的支持のあるピアニストだ。しかし私自身はあのスウェーデンのベーシストのラーシュ・ダニエルソンLars Danielssonとの素晴らしいデュオ・アルバム「PASODOBLE」(参考:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/lars-danielsson.html)で、最も彼の味を知ることになるのだが、その後のラーシュ・ダニエルソン主導のアルバム「TRANTELLA」でもかなり気になるピアニストであった。
 又、ポーランドの歌姫アンナ・マリヤ・ヨペクanna maria jopek のアルバム 「id」(参考:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/nightwach-cc87.html)にも素晴らしいピアノの音と旋律を聴かせてくれた。そんなことから気にしてはいたが深入りせずに時が経ていたが、ここに彼のソロ・アルバムを頂いて聴くことになって、益々お気に入りにならんとしているのである。

<JAZZ> Leszek Możdżer 「Komeda」
       ACT Music  ACT9516 ,  2011

Komeda1

 このアルバムは、モジジェルのピアノ・ソロ・アルバムである。ポーランドの広い分野に多くの曲を作曲して国民的に支持のあるクリシュトフ・コメダKryzysztof Komedaを取り上げている。このコメダは映画音楽の分野にも功績が大きく、ポーランドの代表的作曲者で、コメダ知らずしてポーランドを語るなといった程の傑物。ボランスキーの映画「水の中のナイフ」や「ローズマリーの赤ちゃん」は日本でも話題になった映画だが、その音楽を担当している。まあ、ポーランド・ジャズの先駆者と行っても良いのであろう。

Sat_komeda  そして参考までに、このコメダをジャズで取り上げたのは、私の好きなMacin Wasilewskiのピアノの”シンプル・アコースティック・トリオ”で、やはり「KOMEDA」(1995年録音 SOUND HILLS SSCD-3009,  2004 )というアルバムがある(右)。
 これと今回のこのモジジェルの選曲は非常に似ているので、トリオとピアノ・ソロとの違いがあるが、聴き比べると面白い。
 とにかくコメダの曲はどちらかというと美しい旋律を持ち味としているので、このモジジェルのアルバムも、ジャズといっても、クラシック・タッチも感じさせる流れで、非常に聴きやすく美しい。

Leszek Możdżer"Komeda"TRACK-LIST
   1.Svantetic
   2. Sleep Safe and Warm
   3. Ballad for Bernt
   4. The law and the fist
   5. Nighttime, daytime Requiem
   6. Cherry
   7. Crazy Girl
   8. Moja ballada


 収録以上の8曲。シンプル・アコースティック・トリオと選曲は4曲が一致している。映画「ローズマリーの赤ちゃん」の冒頭から美しく流れるテーマ曲”Sleep Safe and Warm”はやはり入れないわけにはゆかなかったのだろう。 彼独特の澄んていてそしてクールなピアノ・タッチが美しく迫ってくる。しかも抑揚とテンポの変化、更に重低音迫り来る様は彼の持ち味としてこの曲を一層味わい深くしていてお見事。モジジェルのコメダを描いた作品集としては、非常に大衆性があるなかに、キラッと輝くテクニックが見え隠れしてなかなか良いアルバムである。
 又このACTレベールは殆どが録音が良い。そのあたりも聴き応えがある一つだ。

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=qID3_70KAtk 

(追加)

Thelastset_3  さて、レシェック・モジジェルのニュー・アルバムは昨年(2012年)リリースした「The Last Set」がある(左)。

Waiter Norris & Leszek Możdżer 「The Last Set Live at the A-Trane」
ACT Music ACT9540-2 , 2012


 モジジェルの、あの即興創作ジャズのウォルター・ノリスとのピアノ・デュオだ。これは2011年のライブ録音であるが、この年にノリスは80歳で亡くなっている。しかしノリスに挑戦したモジジェルの意気込みとしては極めて重要であると同時に、ノリスの記録としても貴重盤。
 この手の演奏は両者の技量の応酬で、私にとっては美しい旋律を堪能するという世界でなくどちらかと言うと難解。まあ一度聴いておけば良いというところである。

   [PHOTO  今日の一枚]

P2132405monoblog
(Olympus PEN E-P3   M.ZUIKO DIGITAL 12-50mm 1:3.5-6.3 EZ )

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2013年2月22日 (金)

(更に)ブラッド・メルドー・トリオBrad Mehldau Trio の映像 : 「BURGHAUSEN 2008」

2008年ライブでこのトリオの完成形が見えてくる

 このところ映像ものにどっぷりとつかっているわけであるが、ブートDVDの世界も探せばいろいろと出てくるのは楽しいところ。嬉しいことに、あのブラッド・メルドー・トリオの2008年のこれまた優良映像ものに出くわした。

<JAZZ> BRAD MEHLDAU TRIO 「BURGHAUSEN 2008」
Bootleg DVD  MegaVision 
LIVE at BURGHAUSEN, GERMANY ,   March 5, 2008

Burghausen2008
 これはブートとは言え、ドイツのBURGHAUSENにおける「39. INTERNATIONALE JAZZ WOCHE 2008」のステージを、じっくりとプロショット映像の好録音で楽しめるのである。

 トリオ・メンバーは、2005年からの・・・
   ブラッド・メルドーBRAD MEHLDAU :     Piano
       ラリー・グレナディアLARRY GRENADIER : Bass
       ジェフ・バラードJEFF BALLARD :      Drums

                    ・・・の不動のメンバー。
 このブラッド・メルドートリオは、スタジオものとしてはパット・メセニーとの「QUARTET」以来5年ぶりにリリースされた昨年の2枚のアルバム「ODE」、「WHERE DO YOU START」でお馴染みのとおりで、ここ7年しっかりと組んでいる。特にベースのラリー・グレナディアは、ブラッド・メルドーとは1996年からで、あの「THE ART OF TRIO」シリーズの5枚のアルバムでもその実績を積んできた。このベースのグレナディアと、ドラムスのバラード(2005年から)のご両人は、結構人気者でマーク・ターナーとの”サックス・トリオのFLY”のメンバーだったりするのはご存じの通りで、その他での活動も多い。

Burghausen2008list Track-List は、左にみるように8曲。”1.Kurt Vide” は、昨年のオリジナル曲集アルバム「ODE」に登場していて聴き慣れている。そして”6.Baby Plays Around ” ”7.Holland” は、もう一枚のカヴァー集アルバム「WHERE DO YOU START」に登場した曲だ。

 さてこのブートDVDの映像だが、特に意識してのことと思うが、メルドーの両手の動きが良くわかるように、鍵盤の上からのカメラ・ショットがあって、なるほど旋律を奏でる左手、右手が面白いように見て取れる。
 又、ベース、ドラムスもクローズ・アップも十分効果を上げていて映像ショットは文句ない。ジェフ・バラードの切れの良い緻密なドラミングは相変わらずで見応えある。もう完全にメルドーとの交錯と協調はここにきて完成域にある事が解るのだ。
 ベースのグレナディアは、サンフランシスコ出身だが、スタンフォード大学英文学科卒業というちょっと意外な学歴の持ち主のようで、メルドーが比較的おとなしいせいか、あまり派手な仕草もなく淡々と演奏するも、かなり高度なテクニックの持ち主である事も、映像を通して知ることが出来る。特に”We See”のプレイは圧巻。この曲ではバラードのドラム・ソロも豪快に展開する。
Bradmehldau  又”Samba do Grande Amor”は、ゆったりしたリズムカルな哀愁あるムードで、トリオの余裕あるライブの中間の演奏として楽しめる。メルドーの目をつぶったままの演奏も印象的。
 ”Baby Plays Around” は更に美しい余韻を楽しむピアノの調べでムードたっぷりだ。

 いやはや、このブート映像は私の評価では優良の部類に入るものとして紹介しておこう。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=7UpqUbHtbxw

          [ PHOTO 今日の一枚]

Dsc_0503monoblog
(Nikon D800 ,  SIGMA 24-70mm 1:2.8 DG HSM , PL)

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2013年2月17日 (日)

圧巻のライブ映像=メロディ・ガルドーMelody Gardot:「DONOSTI 2012」

アルバム「Absence」の”ハイネッケン・ジャズ2012”のライブ映像

Mg6

 またしてもここで取り上げるのは、ブート映像でのライブ鑑賞である。なにはともあれ、オフィシャル映像がなければ、この手で楽しんでいるというところ。
 これは、私の一押しのJAZZシンガーソングライターであるメロディ・ガルドーMelody Gardotのライブだ。つい最近の2012年7月、スペインはDONOSTIにおけるジャズ・フェス「ハイネッケン・ジャズ HEINEKEN JAZZALDIA」の模様である。

<JAZZ> MELODY GARDOT 「DONOSTI 2012」
              Bootleg DVD - MegaVision
       Live at 47th HEINEKEN JAZZALDIA, DONOSTI, SPAIN July 20, 2012

Donosti2012   
 もともと彼女の場合は、アルバムは殆ど自己のオリジナルの曲で構成されているが、それをライブにおいては諸々のアレンジを凝らしてくれて、明らかにその出來はアルバムを超えて素晴らしい。前作「MY ONE AND ONLY THRILL」も、パリでのライブものが良かったのは記憶に新たなところだ。今回のこのアルバム「Absence」は昨年リリースされた最新作であるので、こうしてライブでの出來はどうかと、実は興味津々であったが、案の定アルバムを遙かにしのぐ曲の仕上げは見事で、もうこのライブものでリリースして欲しいと思うほどである。
 これは2012年7月20日 歴史あるジャズ・フェスの第47回ハイネッケン・ジャズ(於スペイン)における彼女のパフォーマンスである。

Donosti2012list 収録セットリストは左のごとく8曲。昨年のニュー・アルバムの「Absence」からの曲が中心。実は私にとってはこのアルバムは若干期待とは別物であったアルバムで(彼女には、私の期待はどちらかというと”都会の夜派”をイメージしている)少々残念であったというのが偽らざるところだった。しかしなんとこのライブ・ステージの演奏と唄には、アルバムの雰囲気とは一転して、なるほど彼女のステージは、いつも通り、アルバムを遙かに超えての納得の世界描いてくれて、魅せられるのである。

 しかもこのDVDの映像はプロショットでサウンドも良好というもの。これもブートとしては良好の部類に入る。
 オープニングの”No More My Load”は、彼女のアカペラでエキゾチックなムードでスタート。そしてその後彼女のピアノ弾き語りも披露してくれる(”Goodbye”、”Lisboa”の2曲)。
 しかし後半に入って、アルバム「MY ONE AND ONLY THRILL」からの曲No6.”Les Etoiles”のサックス、パーカッションの掛け合いから始まっての展開は、バックのジャズ・センスの良さが十分感じ取れ、この曲の練り上げは見事と言える・・・(試聴:http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=8kPvUIHYENI&NR=1 )。
 更にNo7.”so we meet again my heartache”クラリネットとギターが曲の展開を誘導して彼女のヴォーカルへと流れ、この出來は更に更に極上で、ステージのレイアウト、照明も加味されて大人の魅惑の世界へと誘われてしまう。

Donosti2012members 演奏陣はメロディ・ガルドーの他は総勢8人で、バッキング・ヴォーカルの女性2人の他は、ギター、ベース、チェロ、サックス・フルート、パーカッション、ドラムスという構成。これに彼女のピアノが加わる。
 彼女のヴォーカルは、いつものように演奏の中の一つの楽器のように溶け込んでゆく。そしてリズムはボサ・ノヴァ、サンバ、カリプソのパターンを取り入れ、更にタンゴまで登場するが、曲の流れはあくまでもディープにしっとりとしかも浮遊感が漂って流す。このあたりがガルドーの十八番で聴きどころとも言える。
 ブラジル、ラテン系のアコースティック・ギターのMitchell Long が、バッキング・ヴォーカルと共に味付けが良く、又サックス、フルートのIrwin Hall が健闘している。

(試聴)
http://www.youtube.com/watch?v=4k-70DpmB1c
 今年もこの3月から広く各地で彼女はライブを展開するが、日本にも是非と、期待しているのだが・・・・・・。

 このところブート映像ものがシリーズのように続いてしまっいるが、いやはやこうしたものを探すのも楽しみの一つなんです。そんな結果でついついここに書いてしまったという次第、だがまだ獲物はあります又次回。

<Today's PHOTO>

Monoblog
(Hasselblad 503CX , Planar 2.8/80 , PL)

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2013年2月13日 (水)

ブラッド・メルドーBrad Mehldau の映像もの : 「JAZZ BALTICA ~SALUSA 2006」

ブラツド・メルドーの両手テクニックは映像で・・・・・

<JAZZ-DVD> BRAD MEHLDAU 「SALUZA 2006」
Bootleg    MEGAVISION
Live at SALUZA, GERMANY / JUNE 30, 2006

Bmsaluza2006
 どうもテクニシャンのジャズ演奏に当たっては、ライブ演奏に参加できればそれにこしたことはないのだが、それもままならなければ、映像ものにてなんとかその欲求を満たしているというところである。
 そんな一人というか、トリオの中でも是非とも良好な映像とサウンドで接したいのがブラッド・メルドー・トリオだ。
 そこで諸々探っていて当たったのがこのブート映像アルバムだ。これが又ブートとは思えない良好なプロショット映像(16:9)、良好なサウンドで満足度は高い。何処でどうなって流れてくるのかは知るよしもないが、こうした良質のブートは歓迎である。

 さてこの映像は、ドイツのバルティック地方で行われてるジャズ・フェスティバル”JAZZ BALTICA”の2006年6月(SALUSA)の収録もの。と言うことは「Metheny/Mehldau」のリリースされた年であり、前回紹介したパット・メセニーとの共演ライブ(参考: http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/jazzaldia-festi.html )の直前と言うことになる。

Bmsaluza2006list 収録リストは左のように7曲。トリオ・メンバーは一時代を築いた「Art of The Trio」時代から、ドラムスが変わって、近年のトリオの Jeff Ballard に変わっており(2005年から)、ベースは変わらずの Larry Grenadier である。

 誰もが知っている”Granada”からスタートするが、もうスタートからメルドーの両手のメロディーがアクロバティックに展開し複雑性とその統一性が興味を増す。
 ”Secret Beach”の落ち着いたメロディーの流麗さも快感。
”Untitled”、”Knives Out”では彼の両手の旋律の流れの妙と、トリオのそれぞれのリズムが個性豊かに展開して、そしていつの間にか融合してゆくところはお見事である。
Bmsaluza2006photo  ”The Very Thought Of You”では、メルドーは音の余韻を大切にしたゆったりとした演奏で、まさに美しく仕上げてくれ、そして後半にはソロに近い演奏となり、両手メロディの交錯が圧巻で堪能する。
 彼はこの時はデビューして11年目、36歳というまさにこれから充実期という時であり、又新メンバーでの1年経過した時の映像。
 最後は”She's Leaving Home”で締めくくる。

 時々こうした良好ブートに出会えることから、ブート探しも止められない私の一端でした。
 
 

 (試聴)http://www.youtube.com/watch?v=kWN36UqASjY

<Today's PHOTO>

Dsc_0219monoblog
(Nikon D800 ,  SIGMA 24-70mm 1:2.8 DG HSM , PL)

 

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2013年2月 8日 (金)

大人の女性ジャズ・ヴォーカル~モニカ・ボーフォースMonica Borrfors 「a certain sadness」

北欧スウェーデンからの夜の和みを演出してくれる耽美なジャズ

<JAZZ> Monica Borrfors & Sweet Jazz Trio
       「a certain sadness」

          arietta DISCS   SOL J-0007  ,  2002

Acertainsadness

 ひょんなことから知った北欧スウェーデンの実力派ベテラン女性ジャズ・ヴォーカリストであるモニカ・ボーフォースMonica Borrfors。これがなかなか味わい深く、今になって感動しているわけであるが、その彼女の10年前のアルバムを掘り起こしてみたら、これまた納得の名盤。そしてこのジャケが又いいですね(このボケ味は見事です)。私のお気に入りに当然入ったわけで、ここで取り上げることになった。

Monicaborrfors2_3  彼女は調べてみると1954年5月生まれであることが解った。このアルバムの録音は2001年であるから年齢は推して知るべしといったところ。ストックホルムで歌手としてのデビューは1980年というから、まあ遅咲きと言っていいと思う。夫君はイョスタ・ニルソンGösta Nilssonというピアニストで、彼のピアノに魅せられて歌手となったという。2004年には来日(このアルバムのスイート・ジャズ・トリオと)も果たしている。
 彼女のアルバムとしてはこれが4枚目で、日本では始めて2002年に国内盤として登場したという記念すべきもの。そして現在もストックホルムを中心に活動中である。そしてヴォーカルは全て英語でこなしている。

Sweetjazztrio  このアルバムは、スウェーデンのスイート・ジャズ・トリオとの共演が特徴だ。このトリオは構成が、コルネット(Lasse Törnqvist)、ギター(Mats Larsson)、ベース(Hans Backenroth)という珍しいチェンバー・ジャズ・ユニットで、その演奏の描くところはソフトでメロウで品を感じさせる耽美な世界は何とも言えない深遠な幸福感がある。トリオ・ジャズを好む私にとっては、ピアノレス、ドムスレスというところは意外性に満ちているが、これが又聴いてみるとそれなりに良さは十分であるところが驚きだ。

Acertainsadnesslist  さて、Track-Listは、左のようで、内容はスタンダード集というところ。
 彼女の声は中低音はややハスキーで、高音部はそれに引き替え透明感あるところが魅力的。もともとアップテンポでスイングするジャズを唄うと言うが、このアルバムは全く異なって、私好みのバラードをしっとりと語り聴かせるがごとくに唄って聴かせる。これはスイート・ジャズ・トリオとの共演が一つの因子であるところは間違いないのであろう。ただ彼等との共演の結果というのでなく、これは紛れもなく両者の生んだもであると思う。

Slowfox_3  ・・・・・なぜなら、私が彼女を知ったのは、1995年の「Slowfox」 (右:試聴 http://www.youtube.com/watch?v=yIlqZC4MhzM ) というアルバムであったからだ。このアルバムはGösta NilssonやLars Janssonのピアノ、Lars Danielssonのベースが登場するもので、彼女がスタンタード曲を唄ったものである。これが又立派なバラード集で、何とも言えないスウィートでソフトでデリケートな唄い回しが素晴らしく、魅力的なアルバムなのである。
 
 さて話は戻って、このアルバム「a certain sadness」には、曲によってTrumpet(track 2,9,12) や、Baritone Saxophone(track 5) も登場する。しかしスイート・ジャズ・トリオの耽美な演奏がバックの中心で、そこにモニカ・ボーフォースのしっとりとしたバラードの唄声は北欧の詩情の世界と言えるものなのであろう。そんな代表的曲が”once upon a summertime”だ。ベースとギターの静かな中に描く詩情、そしてコルネット、サックスとの味が加味し、モニカの唄が素晴らしい。又”my foolish heart”も米・英とちょっと違った節回しが妙に魅力的。いやはやスウェーデン恐るべしといったところだ。

 北欧のこうした”夜の和みを唄うデリケートな歌の世界”は、雪の降る冬の夜の暖かい部屋で聴くのは最高である。

<Today's PHOTO>

P1282169monoblog2
(Olympus PEN E-P3,  M.ZUIKO DIGITAL 40-150mm 1:4-5.6)

 
 

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2013年2月 4日 (月)

マシュー・ボーンMatthew Bourne のピアノ・ソロにみる前衛性「MONTAUK VARIATIONS」

驚きの前衛ジャズ・フュージョンの世界

 英国のジャズ・ピアニストであるマシュー・ボーン Matthew Bourne のソロ作品。  ある評論によると”Ambient/Chill Out から Jazz/Rare Groove” と表現されている多彩な技法と構成により、見事に描かれるミュージック世界が迫ってくる。ちょっとこの雰囲気は、英国というのが不思議なくらいである。



<Jazz> MATTHEW BOURNE「MONYAUK VARIATIONS」
The Leaf Label    BAY77CD  ,   2011

Montaukvariations_3

 このアルバムは、実はMonakaさんのブログ「ジャズ最中」で教えていただいたもの。私の物好き(笑)から手に入れて聴いてみたものであるが、久々に前衛ジャズの世界浸ることが出来、そのダイナミックさに圧倒されたわけである。
 マシュー・ボーンのソロ・ピアノ、チェロのアルバムである。

TRACKS
1. I. Air (for Jonathan Flockton)
2. II. The Mystic
3. III. Phantasie
4. IV. Infinitude
5. V. Étude Psychotique (for John Zorn)
6. VI. Within
7. VII. One For You, Keith
8. VIII. Juliet
9. IX. Senectitude
10. X. The Greenkeeper (for Neil Dyer)
11. XI. Abrade
12. XII. Here (in memory of Philip Butler-Francis)
13. XIII. Gone (in memory of Philip Butler-Francis)
14. XIV. Knell (in memory of Philip Butler-Francis)
15. XV. Cuppa Tea (for Paul Bolderson)
16. XVI. Unsung
17. Smile [written by Charles Chaplin]

 これは一枚でトータル・コンセプト・ピアノ・アルバムとして聴いたほうが良さそうだ。聴きようによっては”大宇宙の地球の誕生から終息”へ、又は、スケール・ランクを落として、”人間の誕生から一生を描く”、または”人間の一日の始まりからの夜の安息までの姿”?と、一つの世界を構築している。しかし最後の16章のピアノ重低音の締めくくりがクエッション(?)。そして最後の最後に昔ナット・キング・コールの歌で痺れたチャップリンの”Smile”で終わらせるところが・・・・にくいところ。

Mb1  ⅠからⅩⅥまで当然彼のオリジナル、インプロヴィゼーションも加味された世界はお見事と言いたい。

 確かにスタートⅠはアンビエント風というか静かにしかも安定した情景を描く。
 曲Ⅱ、Ⅲは、静かではあるが、次に何かを暗示しているようなやや不安感を導く、このアルバムで最も長い曲。
 曲Ⅳは、このまま行くのかと思わせる安定感。音色の美しさと間の取り方が並でない。これがこのアルバムのパターンか?と思いきや・・・・・。
 曲Ⅴになって、突然激しく早弾き、曲Ⅵで重低音が圧巻。・・・・・こんな調子で意外性の演奏が展開。弦を叩く、擦るの不安感の構成は思わず引き込まれる。しかし時に聴かれる美しい音。更にcelloの音が、再び安息に導く。
Matthewbourne2  曲Ⅸ、Ⅹあたりは、何か一つの達成感のような雰囲気すら感じられる。そしてピアノの音の余韻がたまらない。
 しかしそこで終わらない、再びⅩⅠの”abrade”は、その意味どおりの神経をすり減らす姿を弦の擦りや引っ掻き音で迫ってくる、厳しい。
 ところがⅩⅢ、ⅩⅣで再びほっとする。叙情性のある美しく心が落ち着く美の音が流れる。ⅩⅤはまさに安息。
 そして最後ⅩⅥは結末のピアノ重低音。
 ・・・・・・・・・更に更にここで終わらないところが彼の世界であろう。冒頭に紹介したチャップリンの”smile”の演奏が最後の最後に登場、なにかほっといさせてくれるような、人間を讃えてくれているかのような?。

 いやはや、哲学的アルバムといってもいいのだろうか?、時にはこうしたアルバムを聴いて思索にふけるのも貴重である。ただし、これだけ描いてしまうと次作が大変であろうと、余計なことを心配してしまう。

(試聴)① http://www.youtube.com/watch?v=PeOwZJER3tA
     ②   http://www.youtube.com/watch?v=hqWtMWc4dJM    
          ③ http://www.youtube.com/watch?v=6MUPxwXxwQs

<Today's PHOTO>

P1282188mono2
(Olympus PEN EP3   M.ZUIKO DIGITAL 40-150mm/1:4-5.6)

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