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2013年3月13日 (水)

ジャズであってロック心を昇華するパトリシア・バーバーPatricia Barber(その1) : 「SMASH」,「SPLIT」etc

私の世界に復活した”ジャズとロックの強力な交錯の世界”

Patricia1   とにかく驚きであった。女性の美学をこよなく探求する友人からの紹介で届いたアルバムがある。聴くと同時に虜になったピアニスト、シンガー・ソングライターのパトリシア・バーバーPatricia Barber。これぞ一つの究極の女性ヴォーカル・アルバムだ( 「Nightclub」(2000) ↓)。
 ところが・・・・なんと私の頭の中で何かが騒いだ。”ええ!、もしかしたらかって聴いたことのあるあのアルバムの?”と言うことで、既に満杯で処理に困っているCD棚の中や、収納の中を探し回って出てきたのが、彼女の1stアルバム「SPLIT(1989)だった 。

 この「SPLIT」しか知らなかった私が、頂いたアルバム「Nightclub」で、何年ぶりかに彼女に再会してみると、その変身にビックリ。見事に円熟したそして洗練されたヴォーカルと演奏のジャズ・ミュージックが開花している。まさに女性ジャズ・ヴォーカルを聴こうとするならば、この世界は知らなきゃ損という傑物であった。

<Jazz> PATRICIA BARBER 「nightclub」
BLUE NOTE (PREMONITION RECORDS) 90763 ,   2000 

 

Nightclub

Patricia Barber - vocals, piano
Michael Arnopol - bass (5, 9, 10)
Adam Cruz - drums (4, 5, 6, 8, 9, 11)
Charlie Hunter - 8-string guitar (4, 6, 11)
Marc Johnson - bass (1, 2, 3, 7, 8)
Adam Nussbaum - drums (1, 2, 3, 7, 8)

 

TRACK-LIST
-Bye Bye Blackbird 4:01
-Invitation 4:59
-Yesterdays 6:41
-Just For A Thrill 3:21
-You Don't Know Me 3:46
-Alfie 4:51
-Autumn Leaves 5:04
-Summer Samba 3:44
-All or Nothing At All 3:23
-So In Love 3:42
-A Man & A Woman 4:19
-I Fall In Love Too Easily 3:28


 このアルバム、上のLISTのようにスタンダード曲、ポヒュラー曲のオンパレード。しかも”これぞジャズ・ヴォーカルだ!”と言ってしまいたくなるパトリシア・バーバー節。個性的な低くダークでありながら夜の夢を感じさせるところがミソ。私の好みの都会の夜が静かに現れる。となかく彼女の洗練されたピアノのインプロヴィゼーション演奏が絡んでくるのでたまらない。それもマーク・ジョンソンがベースを担当している曲群がなかなか良く、これぞニュー・ジャズの究極に迫らんとしている。こんな世界になっていたのかと聴き入ってしまった。ものうい夜のジャズ・ヴォーカルの一級品。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=qIaBzdfl_rw 

 ・・・・・・・・・・ところがところが、更にそれならばと最新作( 「SMASH」(2013) )をと手に入れてみると、これ又意外や意外、・・・・油断大敵、アルバム「Nightdlub」とは一線を画したアルバムに対峙することになる。こうも進化するのかと驚かされたロック心が見事に昇華したジャズ・アルバムに至ったのである(↓)。

 

Smash_2 Patricia Barber 「SMASH」
Concord Music  0888072336766 ,  2013

 

members
  Patricia Barber : Vocals,Piano
 John Kregor : Guitar
 Larry Kohut : Bass
 Jon Deiitemyer : Drums



 このアルバムで、これぞ常識的なヴォーカル・ジャズに一線を画した彼女の異様空間とまで言える渋いジャズの世界が完成している。そしてそこにはなんとロックの導入によるインパクトの襲う世界をも描ききっている。まさにgroovyと言われる彼女のピアノ・サウンドが強力に彼女自身の独自の世界を築いているのだ。
 そうだこれがパトリシア・バーバー!。これで私の記憶にあった彼女(アルバム「SPILIT」)が納得できるのである。
 このアルバムは上の「Nightclub」とは全く異なって、全て彼女のオリジナル曲。このアルバムこそ久々にリリースした彼女の入魂の世界なのだ。
 驚くなかれ、彼女は1955年シカゴ生まれ。ということはなんと57歳。いっやー、頑張っている。父はかの有名なグレン・ミラー楽団のサックス・プレイヤーだったらしい。1989年デビュー。

TRACK-LIST
01 – Code Cool
02 – The Wind Son
03 – Romanesque
04 – Smash
05 – Redshift
06 – Spring Song
07 – Devil’s Food
08 – Scream
09 – The Swim
10 – Bashful
11 – The Storyteller
12 – Missing


 TRACK-LISTは上の12曲。 冒頭からロック心を刺激する異様な空間を彷徨うジャズ世界の展開が襲ってくる。そして”Romanesque”ではピアノとヴォーカルのつぶやきと語りが静かな情景が見えて魅力的。
 さて問題は、アルバム・タイトル曲”Smash”だ。4分20秒の曲の前半約2分は、ピアノが美しく流れるが、中盤突如としてエレクトリック・ギターが泣いてヘビー・ロックの世界が展開。これは私的にはたまらない曲の構築だ。
Spring song”は、ベースとピアノの美しさが押し寄せてくるジャズ。

(試聴)① SMASH http://www.youtube.com/watch?v=sFOqtQpquiU
     ② CODE COOL http://www.youtube.com/watch?v=0qtA8iwo1n0


*

Split  さて、ここで何年か前に初めてパトリシア・バーバーを知った1989年の1stアルバム(左)を挙げておく。もちろん私の初の出会いとは言っても、せいぜいここ10年以内のところで、リアルタイムでは全くない。

Patricia Barber 「SPLIT」
Premonition Recprds  KOC-CD-5742 ,  2000 (Origonal 1989)


 Patricia Barber : Piano, Vocals
  Michael Arnopol : Bass
  Mark Walker : Drums

TRACK-LIST
  1. early autumn
  2. greys*
  3. alone together
  4. spy sly*
  5. easy to love
  6. too late now
  7. winter illusion*
  8. retrograde*
  9. two for the road
10. then i'll be tired of you

        (*印 彼女のオリジナル曲)

 ここに単純なジャズでない彼女の世界のスタートが知ることが出来る。このアルバムは、カヴァー曲と彼女の曲がほぼ交互に登場するが、彼女の曲はインストメンタルでトリオ演奏の世界。ピアノ演奏に自己の主張が濃厚な曲展開。そしてカヴァーものは、彼女のやっぱりジャズなんだろうがただそれに止まっていない独特な味のヴォーカル曲という編成。これが実に不思議な世界を醸し出すのである。この特異のジャズ世界に出会いながら、ここまでその後のアルバムに接しないで来てしまっていたのだ。もう一歩、訴える何かが欲しかったアルバムであったと言える。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=pn1XEoS4E0I

 

さて・・・・ここまでは私のパトリシア・バーバーとの巡り会いの物語であるが、次回に推薦盤を紹介したい。

 

[PHOTO 今日の一枚]

 

P2102353monoblog
(OLYMPUS PEN E-P3 ,  M.ZUIKO DIGITAL 40-150mm 1:4-5.6 R)

 

 

 

 

 

 

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コメント

凄く気になる人ですねぇ…。
ロック的エッセンスのジャズピアノですか…。ちょっとチェックしなきゃ。

いつもいつもネタ豊富で感謝です♪

投稿: フレ | 2013年3月13日 (水) 20時58分

フレさん、どうもどうも何時も勉強させて頂いてます(笑)。
 このPatricia barber はプログレにも通ずるところがあると言ってもよいかも・・・。ロック派も知っていて良いと思います。それにつけても(試聴)の”SMASH”を是非聴いてみてください。

投稿: 風呂井戸 | 2013年3月13日 (水) 22時02分

パトリシア・バーバー、いいですね。好きな歌手の一人です。といっても、night club とcompanion の2アルバムしか持ってませんが、たしかシカゴを本拠地に活動していたのでは? そんな土地柄が反映されているのかも知れません。

投稿: 爵士 | 2013年3月13日 (水) 23時02分

 爵士さんこんにちわ。
 このpatricia barber と言う人は一癖も二癖もありますが、それだけ間違いなくレベルが高いとも言えますね。日本での評価はもっと高くてもよいように思いますが・・・・・。
 お持ちの2枚の他に、なかなかよいのがありますので、おってこのブログで紹介しますので参考にしてみてください。
 

投稿: 風呂井戸 | 2013年3月14日 (木) 18時25分

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