マルチン・ボシレフスキ(Marcin Wasilewski)Simple Acoustic Trio : 「Lullaby Rosemary」
今、旬なピアニストにとってのクリシュトフ・コメダの曲
~特に”ローズマリーの赤ちゃん”が印象的~
今、ポーランドの旬なJazzピアニスト、レシェック・モジジェルのアルバム「Komeda」を先日取り上げたが、これはポーランドの代表的Jazzピアニスト・作曲家のクリシュトフ・コメダの曲をモジジェルのセンスでシャズ演奏したものだ。しかし・・・・これを聴くと言うことはやっぱりポーランドのマルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski(マルチン・ヴァシレフスキとも発音されるようだが)が、既に1995年にピアノ・トリオ(↑)でやはり挑戦しているので、そのアルバムをここで取り上げるのである。
<JAZZ> Simple Acoustic Trio 「Lullaby for Rosemary」
nottwo Rcords , MW727-2 (GPTS 707) , 2001
Recorded Feb.7-8,1995 at S3 Studio Warsaw
このシンプル・アコースティック・トリオは、ポーランドの若きピアニストのマルチン・ボシレフスキがリードする少年時代の友(ベースのクルキェヴィッチ)と結成しているトリオで、1990年に15歳でデビューしているポーランド民主化の落とし子である。2000年代になって私は知ったわけであるが、その演ずるピアノのタッチと旋律の美しさはポーランドにおける今や代表株。フリーなセンスをも持ち合わせて聴く者を楽しませてくれている。(参考:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/marcin-wasilews.html )
もともとポーランドという国は文化の中核に音楽をおいており、ジャズに対してもその評価は高い。ヴァシレフスキもカトヴィッツェ音楽大学ジャズ・ポピュラー音楽部を卒業して現在に至っているという。
Members
マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski : Piano
スワヴォミル・クルキェヴィッチSławomir Kurkiewicz : Bass
ミハウ・ミシュキェヴィッチMichał Miśkiewicz : drums
さてこのアルバムであるが、1995年のリリースで、なんと恐ろしいというかボシレフスキの20歳時の作品。当時はこのような作曲者コメダの顔のジャケ(右)であった。そしてリニューアルされての登場は、ジャケが変えられ一曲加えられたものが現在手に入る。タイトルも「KOMEDA」から「Lullaby for Rosemary」と変えられているのである。
一方彼等の近年のアルバムは、ECMからとなり、トリオ名は変わって”Marcin Wasilewski Trio”の名でリリースしている(アルバム「January」、「Faithful」)。
このアルバムのTrack-Listは左のような8曲+1曲。もちろんいずれもコメダの作品を彼等の解釈で演奏している。コメダは本来医者であったらしいが、音楽にご執心になって、名前も本名からコメダに変えてしまったというのだが・・・・・。
モジジェルのアルバムもオープニングはこの”Sventetic”からスタートさせたが、これも素晴らしい曲で、彼はややテンポを早めスリリングな感じを出した。一方このトリオの15年前の演奏は、イメージが違っている。テンポはやや緩めにそして優雅さ美しさが前に出ている。しかもトリオとしてDouble-Bass やDrumsをも前面に出してのパートを含んでの展開をみせる。
このように、コメダの曲といえども演奏家の感覚で異なってくるところが醍醐味であって、それぞれ私にとっては快感だ。
さてメインは”Sleep Safe and Warm”(映画「ローズマリーの赤ちゃん」の主題曲)になると思うが、このトリオは最後にこの曲を持ってきて、このアルバムの中盤の起伏を静かに納めるべく演奏する。それにつけてもあの「ローズマリーの赤ちゃん Rosemary's Baby」は恐ろしいと言うか、強烈なインパクトを持たされた映画であった。主人公ローズマリーの純粋さを美しく讃え挙げているかのようにも聴こえる曲でありながら、その裏の恐怖をジワッと感じさせるコメダの曲は彼の最高峰であろう。それを見事に演奏してみせるのである。20歳にしてこの味付けをしているところに恐ろしさも感ずるマルチン・ボシレフスキであった。
このロマン・ボランスキー監督の1960年代末の映画「ローズマリーの赤ちゃん」はジョン・レノン、オノ・ヨーコが住んでいたダコタ・ハウスで撮影されたもので、ホーラー映画と言われるが、現在のものとは一線を画して、映像でなくストリーで恐ろしいインパクトを与えるところは芸術性が高い。そこに描くものも女性の神秘にも似た世界が展開するところも更に評価されるところだ。原作はアイラ・レヴィンというが、この映画が原作どおりなのかは未だに確かめてないが、コメダの曲が見事に文学と映画の芸術の歴史を作るに大いに貢献している。
(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=zd8iXsbXlLQ
[PHOTO 今日の一枚]
(OLYMPUS PEN E-P3 M.ZUIKO DIGITAL 12-50mm 1:3.5-6.3 EZ )
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コメント
こんにちは
nbs trio plays komedaも
是非お試しください
http://catfishrecords.jugem.cc/?eid=3060
投稿: dozenaday | 2013年3月 6日 (水) 19時40分
dozenadayさん、いやはや教えて頂いて有り難うございます。それは聴いてないです。是非聴いてみたいです。(もうCD発注しました(笑))
そうそう”ローズマリーの赤ちゃん”は、映画のサウンドトラックのMia Farrowの”ララララ~~~”の唄声も、素人っぽくその中に何か真実感というか・・・素晴らしいです。
投稿: 風呂井戸 | 2013年3月 6日 (水) 20時54分
星野秋男氏の著書「ヨーロッパ・ジャズ黄金時代」では、コメダのアルバムとして以下の5枚を紹介しています。私は全く聴いていませんが ・・・
*「Muzyka Krzysztofa Komedy Vol.1~4」
1956~68年までの演奏を収めたアンソロジー
*「Astignatic」(1965)
星野氏の評;東欧ジャズ最高の名演奏であり、 まさに金字塔
ご参考まで ・・・・
投稿: 爵士 | 2013年3月 6日 (水) 23時29分
爵士さん、こんばんわ。
いろいろと情報有り難う御座います。しかしコメダの演奏に浸ってみたいと思っていますが・・・なかなか思うように目下はそこまでいっていません。
たしか映画のサウンドトラック集のようなものもあるようですが・・・・?。
投稿: 風呂井戸 | 2013年3月 7日 (木) 21時33分
こんにちは
早速ご注文されたのですね
是非、ご感想をUPしてください。
ローズマリーの赤ちゃんは
まだ見たことがありません。
監督は有名なのに、なかなかBSとかでは
放送されないですね
投稿: dozenaday | 2013年3月 8日 (金) 21時29分
dozenadayさん、こんばんわ。
NBS Trio は、これから発売になるアルバムと共に”まとめ買い価格”で注文しましたので(少しでも安い方がよいものですから)、まだ到着していませんが・・・・、聴きましたら又感想を書きたいです。
そうそう、「ローズマリーの赤ちゃん」は、もう古い映画になりますので、若干最初は話の進行のテンポがゆるい感じで少々いらいらするところもありますが、次第に盛り上がってゆきます。一度是非観て欲しいですね。多分DVDで出ているのですから、レンタルにあるのではないでしょうか?>確信はありませんが。
投稿: 風呂井戸 | 2013年3月 8日 (金) 23時20分