Komeda を更に更に聴く・・・Komeda Project : 「crazy girl」
ポーランドからニュー・ヨークへ・・・・アメリカン・ジャズへの変身
ポーランドのジャズ界を問わず広く尊敬されている愛すべきコメダKrzysztof Komedaの作品を取り上げたアルバムをここで何枚か考察してきたが、これはどうゆう経過かは知らないが、ポーランドのミュージシャンがアメリカにて活動する作品である。
(参考)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/nbs.html
<Jazz> komeda Project 「crazy girl」
WM REcords VMD 0-358852-1 , 2006
Members
Russ Johnson : trumpet , Flugelhorn
Krzysztof Medyna : Ten.& sop. Saxophone
Andrzej Winnicki : Piano
Michael Bates : Bass
David Anthony : Drums
このようなクインテット・バンド、私の聴きようによってはピアノ・トリオ+サックス、トランペットといった感じなんだが、どうもそうではなくて、もともとポーランドのピアニストのAndrzej Winnicki とサキソフォン奏者Krzysztof Medyna のコンビは30年以上前からの活動で、その2人の発展形としてニュー・ヨークでの活動ジャズ・バンドということになるようだ。
アメリカに渡ったのは1980年代末で、それまではヨーロッパ各地での活動を展開していた。そしてヨーロッパの古典主義とスラブのもの悲しいメロデーの世界から、アメリカ伝統のジャズに発展してゆく形となったらしい。
しかし故郷のコメダを崇拝していることには変わりなく、ここにはアメリカン・ジャズ・スタイルでコメダに迫っているといったタイプ。そしてその名も”Komeda Project”と言うところになるのだ。そんな経過で2004年には、エレクトリックな流れから脱却して、全アコースティック・クインテットとしてタイプが固まっているようだ。
Track-Listは左の9曲。全てコメダの曲でなく、ピアニストのAndrzej Winnicki の曲が3曲(4.7.8.)登場している。
”1.Crazy Girl” は、映画「水の中のナイフ」からの曲だが、冒頭”ローズマリーの赤ちゃん”の旋律を美しいピアノをバックにトランペットで流してスタートする。そして一転してサックスとトランペットの合奏が全面に出てのクインテット演奏。そしてこれはスイングするアメリカン・ジャズのパターンをみせる。
”Kattona”は、ややもの悲しい曲ではあるが、アメリカのトランペット奏者Russ Johnsonが全面に出、続いてサックスがそれぞれ即興的世界を展開してゆく。彼等の演奏はいわゆるコメダの哀愁を追って行くというのでは無い、それを私のように期待するとちょっと期待外れ。バックにピアノがリズムを刻みながらちらっと時に旋律を美しくみせてくれる。
”Ballada”は、ベースのアルコ演奏が聴かれる。このあたりはなかなか面白く、ベースによる深遠な世界、そして後半は静かなトランペット、サックスが繋いで良い仕上がりといか私の好みの世界だ。こんなところは”Svantetic Prelude”にもみられる演奏パターンだ。
そして最後は再びピアノの調べをバックに”ローズマリーの赤ちゃん”の旋律を哀愁のトランペットを聴かせて閉じる。
まあ全体には、オーソドックスでありながらやや前衛的なところをみせるアメリカン・ジャズで、ヨーロッパの哀愁と郷愁を感じてゆこうとする私好みの世界としては別物であった。しかしAndrzej Winnicki のピアノとMicheal Batesのベースの流れには、ピアノ・トリオでその美しさを聴いてみたいという雰囲気を持っていたことは救いである。又一枚のCDとしての仕上げは全体に抑揚付けて旨い。そんな訳で好みとは別として参考までに取り上げてみたバンドだ。
(試聴)① http://www.youtube.com/watch?v=NMc4aV9ix4M
② http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=X6phStyjnWY&NR=1
[PHOTO 今日の一枚 ]
(Nikon D800 , AF-S NIKKOR 50mm 1:1.4G )
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コメント
風呂井戸さん いつも興味深く拝見しています。星野秋男氏の名著「ヨーロッパジャズ黄金時代」でKomedaが東欧ジャズのその一人であることを知り、そして「水の中のナイフ」、「ローズマリーの赤ちゃん」の音楽担当出会ったことを知り、Ana Maria Jopek が彼をリスペクトして、アルバムに収録したことを思い、さらに風呂井戸さんが、Komeda 自身に迫ってはいませんが、風呂井戸さんオススメの中から試聴して、Leszek Mozdzerのアルバムを発注しました。もうすぐ手に届くでしょう。楽しみです。御礼まで。
投稿: 爵士 | 2013年4月19日 (金) 15時56分
(再送)確認せずに送ってしまいました。
風呂井戸さん いつも興味深く拝見しています。星野秋男氏の名著「ヨーロッパジャズ黄金時代」でKomedaが東欧ジャズの祖の一人であることを知り、そして「水の中のナイフ」、「ローズマリーの赤ちゃん」の音楽担当だったことを知り、Anna Maria Jopek が彼をリスペクトして、アルバムに収録したことを思い、さらに風呂井戸さんの、Komeda キャンペーン。もういけません、Komeda自身の演奏には迫ってはいませんが、風呂井戸さんオススメの中から試聴して、Leszek Mozdzer のアルバムを発注しました。もうすぐ手に届くでしょう。楽しみです。御礼まで。
投稿: 爵士 | 2013年4月19日 (金) 16時01分
爵士さん、こんにちわ。
Komedaは私にとっては「ローズマリーのあかちゃん」が強烈な印象があって・・・・、それから全てが始まっています。映画による音楽というのは印象が強烈です。この曲の演奏のベスト3を決めようと勝手に私は思っているのですが・・、Leszek Moźdźerを選ばれたのは正解ですね(笑)。ベスト1か2というところだと思っています。
そうそう、私もKomeda自身の演奏の世界には迫っていないんです。
投稿: 風呂井戸 | 2013年4月19日 (金) 17時51分