ブートDVD鑑賞~イエスYES : 「Pennsylvania,USA 2012」
昨年(2012)春に、ほゞ10年近くぶりに来日したイエスYES。2011年にリリースしたアルバム「FLY FROM HERE」を引っさげてきた。
このアルバムは1980年のイエスを焼き直してのものだった。これはキー・ボード担当が、リック・ウェイクマンの息子オリヴァー・ウェイクマンに変わってジェフ・ダウンズが入り、そしてプロデュースを担当したトレバー・ホーンによるところの結果であった。そして問題のジョン・アンダーソンに変わるヴォーカルは、ベノワ・ディヴィッドという格好で10年ぶりのアルバム・リリースがされたのであった(参考 :http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/yes-fly-from-he.html )。
ところが、2012年2月、肝心のヴォーカルのディヴィッドが病気のため、更にジョン・ディヴィソンが変わってメンバー入りして現在のイエスという形になったと言うところ。と、・・・・・いう流れで、このメンバーで来日したわけだ。しかし残念ながら昔のような話題性もなく終わってしまったが、その後の彼等はアメリカにてのライブ活動を行った。そしてその模様がパーフェクトに観れるブートDVDが登場しているので、目下それを好奇心を持って視聴しているというところなのである。
<ROCK> YES 「Pennsylvania USA 2012」
Bootleg DVD , Audience Shooting
このDVDには昨年2012年夏のアメリカ・ツアーでの、7月20日のペンシルヴァニア州アッパー・ダービー公演の収録もの。これはブートらしくプロショットものでなく、オーディエンス・ショット。それでも取り敢えず旨く正面から捕らえていて、クローズ・アップも効いており音質もまあまあという代物である。
イエスの代名詞であるジョン・アンダーソンのヴォーカルをアメリカのプログレ・バンド「グラス・ハーマー」のジョン・ディヴィソンが担当。さて如何にこなしているかが注目されるが(どうも彼は両バンドを掛け持ちしている)、なかなか彼の声の質もアンダーソンに負けずイエスにマッチングしているのには驚く。
このイエスは当然ベースはクリス・スクワイア、ギターはスティーヴ・ハウ、ドラムスはアラン・ホワイトというこのところの3人は変わっていない。
さて、収録リストは左のように日本公演とほぼ同一(ハウのギター・コーナーの選曲は変わっているが)。バックにはスクリーンがあって演奏中にイメージ画像を流しているが、これはちょっと規模も小さくなんとなくお粗末。
まあそれはそれとして肝心の演奏はどうかというと、まずは彼等の代名詞的曲”yours is no disgrace”続いて”tempus fugit”とスタート。う~~ん、なんかちょっと変だ。悪くは無いのだが・・・・、演奏そしてヴォーカルが少し間延びしている。更にホワイトのドラムスは軽快さがなくドスン・バタン、そういえば8人イエスでも彼はそうだったので、こりゃしょうがないか。それにしてもテンポの間延びはイメージ違い。アルバム「Fly From Here」はジェフ・ダウンズ主導で、あれはあれで良いのだが、彼等のかっての代表曲がスリリングな展開が無いのはいやはやイエスとしては頂けない。
リズム隊にスクワイアが居るのだから、昔の流れは解っているはずだが・・・・・??、そしてハウのギターも。とにかく両者のバトルというスリルは全くなく、両者が間を埋め合わせていると言った方がいい演奏だ。40年の流れはこうなってしまうのか?
そして彼等のアルバム曲”fly from here”がスタートしてようやく理解できた。そうなんです、このバンドに昔のイエスを期待してはいけないのだ。”Fly From Here -YES”なんですね。この曲になってようやく彼等のアルバムの世界が見えてくるんです。そう気がついて納得しました。
”heart of the sunrise”、”awaken”、 ”roundabout” も披露するが、そうなんですこれはかってのイエスのカヴァーなんですね(笑)、そう思って聴いて初めて納得のライブでありました。
(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=xUKuKbZamyM
[PHOTO 今日の一枚]
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コメント
こんばんは、久しぶりにコメントさせて下さい。「ライヴ・フロム・リヨン」でも感じていましたが、映像化されれば、より一層昔のイエスらしさが失っていることが理解されるのでしょうね。
昔を知るものにとっては残念でなりませんが、それが今のイエスなのでしょう。ジョンもリックもいないのですから、できればバンド名自体も変えてほしかったですね。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2013年5月 4日 (土) 22時55分
プロフェッサー・ケイさんコメント有り難うございます。そうそうケイさんも嘆いておられましたね。私は、英国プログレ四天王の時代はフロイド、クリムゾンの方に入れ込んでいてイエスは若干手薄でしたが、それでも昔を知るものにとっては、ここに来てのイエスはやっぱり寂しいですね。
「8人イエス」はお祭りでしたが、代々木でお目にかかった時でももう少しあのスリルあるアンサンブルは結構感じたんですがねぇ~~、あの時はラビンとハウが何となく競っていて面白かったのかも知れません。それとドラムスはやっぱりブラッフォードなのでしょうね、イエス・サウンドとしては。
現在は”Fly From Here ”の流れを受け入れていくというところでしょうか?。やっぱりバンドというのは内部的にもなんか緊張感がないと作品としては面白くないのでしょうかね。
そうそうトラック・バックも有り難う御座いました。ケイさんのお話しを読み直して、やっぱりねぇ~~と思いました。
投稿: 風呂井戸 | 2013年5月 5日 (日) 10時58分
Yesの新作がついに出てとてもうれしかったです
The Questは歴代で最も優しく1番好きな作品になりました
今のメンツが今までで1番好きで待ち望んでいた新作なのでとても感慨深いです
このメンバーで何枚か新作が出てくれればいいなぁと思ってます
投稿: akakad | 2021年10月 2日 (土) 20時30分
akakadさん
コメント有り難うございます。8年前のこのアーティクルへのコメントで、懐かしく自分でも何を書いたかとみている次第です。(笑い)
当時、優しくなったYESといった感じを書いたのだと思いますが、今回のニューアルバムがリリースで、これまた驚きながらも、ちよっと前から"The Ice Brige"の優しさは聴いていましたが・・・「The Quest」はまだ聴いていないのですが、やっぱり優しく美しい世界になっているんでしょうね。
よくもまーー、又ロジャーディーンも引っ張り出しましたね。いずれにしてもプログレ御三家が、頑張ってくれているのは、私のような60-70年代にロックに夢中になった人間としては嬉しいことです。
クリムゾンもそれなりですし、そしてピンク・フロイドだって、ロジャー・ウォーターズをギルモアが拒否しなければ、なんとかなると思うのですが・・・、まぁあの商魂たくましい女房がいる以上はむりそうですが。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年10月 2日 (土) 21時05分
The Ice Bridgeは一番辛口な曲ですね
ロジャー・ディーンもほぼメンバーと同じ扱いですね今は
The Questで一番よかったのはThe Living Islandです
https://www.youtube.com/watch?v=xZtnIUzdEFQ
Yesとしては今までにない新しいタイプの曲だと思います
それでいて最もアルバム中で感動的で歌詞も含めて最も優しさが反映された曲だと思います
投稿: akakad | 2022年10月22日 (土) 01時37分
akakadさん
こんにちは、コメントありがとうございます
大変恐れ入りました。この記事はほゞ10年前になりますかねーー。このところ、すでにイエスの興味もどこかにおいてきてしまったようで、どうもそれらしいResができなくて申し訳ありません。(苦笑い)
このようにご意見とか、教えていただくと私も興味復活できるかもしれません。むしろそうなれたら嬉しいともってます。
それにつけても・・・イエスもねぇ・・??
投稿: | 2022年10月23日 (日) 17時01分
>それにつけても・・・イエスもねぇ・・??
どういう意味か説明お願いします
ジェイ・シェレンがおそらく新しいドラマーになりそうですがメンバーとして名を連ねてはいないのでどうなるか
AsiaのSilent Nationリリース後のツアーに参加したりデイヴィソンとシャーウッドが始めたバンドのArc of Lifeにも参加していて11月の2ndでも叩いてるんでとても楽しみです
Dukes of the Orientでもいい仕事をしていました
私はデイヴィソン加入以降のバンドのファンなので昔の作品を少し聞くと音が固くてギスギスしててしんどいなあと思ってしまいます
なので勢いはなくても再現ライブ音源のほうが聞く気になるんです
アンダーソンは苦手です
投稿: akakad | 2022年10月29日 (土) 22時04分
akakadさん
いろいろとコメントにて状況教えていただいてありがとうございます。
私のリアルタイムにイエスを聴いていた古き時代に思いを馳せての言葉で失礼しました。
「 それにつけても・・・イエスもねぇ・・??」これは私の現メンバーを見ての歴史の変遷にため息をついたのでした。
ふと見ると、ハウだけですねぇ・・・、そしてアメリカン・バンドっぽくもなって・・と。
ドラマーのシェレンはサポートでしたが落ち着くのですか、それでも5-6年ぐらいのお付き合いがあったのでは。いずれにしても現在のイエスの良さも解らずに遠ざかってしまっている私でした。
ジョン・デイヴィソンももう10年ひと昔の実績があるんで頑張ってほしいですね。
なにせ、代々木の8人イエス以後は・・・別世界にいる私でして、諸々ご容赦ください。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年10月29日 (土) 23時11分