貴重なり、プログレ派 NOSOUND の新譜 : 「afterthoughts」
<Progressive ROCK> NOSOUND 「Afterthoughts」
kscopemusic KSCOPE245, 2013
待望のニュー・アルバム。このバンドを扱っている”Kscopemusic”とはUKのレーベルで、プログレ派なら知っているあのAnekdotenをリリースしているんですね。ところでこのバンド nosound は昨年知ったところなのですが、ここにきて彼等の4thアルバムがリリースされた。
なんと言っても、イタリアのバンドでありながら、かっての懐かしい英国風のプログレ・サウンドを展開する。それも懐かしのプログレ四天王のうちピンク・フロイド風で、その後のマリリオンの味も感じられ、更にスペース・ミュージックの醍醐味も感じられるという世界。
はっきり言って今時そう売れるとは思わないのだが、世界には昔のプログレ愛好家の残党も沢山居るであろうというところから(わはっは、私もその一人)、それなりに彼等のwebsite を見ると、結構勢いを感ずるところが面白い。
Track-List は、左のように9曲。このアルバム、なかなか立派なジャケとブックレットが付いていて、しかもサウンドに凝っているというところはプログレの特徴を繋いでいる。なんとCDとDVDの2枚組。そしてDVDには、High Resolution 24bit/96kHz mixe 始め DTSによる5.1surround を納めている。オーディオ・サウンド愛好派にもしっかり対応しているところがにくい。
曲のパターンは、これまでのアルバムと大きな変化はない。リーダーでギタリストでありリード・ヴォーカルの Giancarlo Erra の世界そのもので、キーボードがスペーシーにバックに流れ、そこにギター・サウンドが乗ってゆく。比較的陰鬱感のないところで、精神的には安定的な世界に導いてくれる。
(members)
Giancarlo Erra : vocals, guitars, keyboards
Paolo Vigliarolo : guitars
Alessandro Luci : bass
Marco Berni : Keyboards
Chris Maitland : drums
Marianne De Chastelaine : cello
左のようななかなか味のある私好みの写真が、アルバムのブックレットに多く配置されているが、それもErra自身の手によるもののようだ。ミュージック以外にも彼はアートを伴ってのトータルな感覚で、繊細にして思索的世界を構築していると言える。
ヴォーカルが各曲に入るが、歌物と違って演奏の中に溶け込んでいる。非常に聴きやすいところであり、聴く者に思索に導くムードをもっているところが、このバンドの世界と言いたいところ。
<Discography>
1st 「Sol29」 2005
2nd 「Lightdark」 2008
3rd 「A Sense of Loss」 2009
4th 「Afterthoughts」 2013 (当アルバム)
いずれにしても、こうしたバンドが健闘してくれるところは、私は歓迎だ。nosoundは、バンドとしては2002年からのスタートのようで、既に10年以上は経過している。と言うことは、多分それなりにファンも固まってきていると思うのだが?。
昨年末に、このバンドのことを書いたときにも多分記したと思うが、あと一つ、このバンドへの期待は、アルバムの完成度を上げるものとして、やっぱりスリリングな展開の曲を持つことではないだろうか?、そうして山と谷と水平線が築かれると名盤と言うことになりそうなのだが。
(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=VfaEpsfcxLk
(参考) 「ろくろくロック夜話」http://professor-kei-diary.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-d590.html
「灰とダイアモンドと月の裏側の世界」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/rock-bf59.html
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コメント
こんばんは、nosoundのアルバムを紹介していただいて、ありがとうございます。是非、このブログでも今後も強力にプッシュして下さい。
彼らの音楽は21世紀のトリップ・ミュージックだと思っていますので、今のようなサウンドが今後も続くでしょう。やろうと思えばできるのでしょうが、彼らにはドラマティックな曲展開を期待しない方がいいかもしれません。今を生きるプログレ・バンドの1つとして、今後の活躍を期待したいですね。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2013年5月18日 (土) 21時01分
プロフェッサー・ケイさん、今晩わ。コメント有り難うございます。
昨年ケイさんの紹介から始まって、もう少しこのバンドを研究したいと思いながらも、月日の経つのは早く、未だ研究に至らず、ニュー・アルバムを迎えてしまいました。おっしゃるように、こうしたタイプもしっかり生き続けて、今後の活躍は期待したいところですね。イタリアやUKではどんな感覚で対応されているのでしょうかね。ちょっとそんな点も興味があります。
投稿: 風呂井戸 | 2013年5月18日 (土) 22時00分