ブランディ・ディスターヘフト Brandi Disterheft 日本盤デビュー : 3rdアルバム「GRATITUDE」
カナダ出身の女性ジャズ・ベーシストそしてコンポーザーのアルバム
カナダの若き女性ベーシストで、そのリズム・センス良さで評判のブランディ・ディスターヘフトBrandi Disterheft が、ここに来て3rdアルバム「GRATITDE」で日本デビューを果たした。ここではヴォーカルも披露。
女性ベーシストと言えば、ヴィーナス・レコードのニッキ・パロットが先日も彼女のヴォーカルをたっぷり聴かせるニュー・アルバム「The Last Time I Saw Paris」をリリースして日本ではお馴染み。又エスペランザ・スポルディングはまさに世界を股にかけ、ジャズ界から更に広い分野にその名を馳せている。そんなところに既に2007年に1stアルバムをリリースしているブランディが殴り込んできた。
<JAZZ> BRANDI DISTERHEFT 「GRATITUDE」
Universal Music TOCJ68100 , 2013
このジャケ、あまりセンスが良いとは言えないですね。ま~それはさておき、このアルバムはブランディ・ディスターヘフトのベースを中心としてのセックステット構成で演奏された曲群である。メンバーは下記のようなところ。
ブランディ・ディスターヘフト Brandi Disterheft: Acoustic bass, Vocal
リニー・ロスネス Renee Rosnes:
Piano
ヴィンセント・ヘリング Vincent Herring: Alto sax
グレゴリー・ハッチンソン Gregory
Hutchinson: Drums
ショーン・ジョーンズ Sean Jones: Trumpet
アン・ドラモンド Anne Drummond:
Alto flute, Bass Flute
カナダの女性ピアニストのRenee Rosnesも名を連ねている。そして強力なドラマーGregory Hutchinson とメンバーもそろっている。
そしてTrackListは下記の通りで、日本盤ホーナス・トラックこみで11曲。彼女の曲が7曲を占めている。まさに彼女のアルバムなのである。
1.ブルーズ・フォー・ネルソン・マンデラ /Blues For Nelson Mandela (Brandi
Disterheft)
2.グラティチュード<デヴィッド・ジョンズに捧ぐ> /Gratitude(Brandi Disterheft)
3.ミズマタ /Mizmahta (Renee Rosnes)
4.バット・ビューティフル /But Beautiful (Johnny Burke & Jimmy Van Heusen)
5.ポートレイト・オブ・デューク /Portrait Of Duke (Brandi Disterheft)
6.キッシング・ザ・チーク・オブ・プロヴィデンス /Kissing The Cheek Of Providence (Brandi Disterheft)
7.好ましからざる再会 /Le Regarder La Rencontrer Encore (Brandi Disterheft)
8.オープン /Open (Brandi Disterheft)
9.ザ・マン・アイ・ラヴ /The Man I Love (George & Ira Gershwin)
10.コンペアド・トゥ・ホワット /Compared to What (Gene Mcdaniels) *ボーナス・トラック
11. ハーバート・ハッチンソン /Herbert Hutchinson** (Brandi Disterheft) *日本ボーナス・トラック
オープニングの”Blues For Nelson Mandela ”が意味深だ。ネルソン・マンデラと言えば、反アパルトヘイト運動の主のようなもの。何故ここに出てくるのか?これは彼女自身の曲であるところからもその意味を知らねばならないだろうが、目下のところ私にその知識は無い。アルコ奏法をみせて真摯な世界を描いている。
アルバム・タイトル曲”Gratitude”を聴いてみても解るが、かなり彼女はアグレッシブなミュージシャン。スウィング・ジャズとは一線を画したロックにも通ずるこの曲の躍動は興味をそそる。ハッチンソンのドラムスと彼女のベースのバトルが魅力的。そして彼女のヴォーカルが登場、そう旨いという訳ではないが、この曲のセンスとはぴったりのタイプ。
”Mizmahta”は、ジャズそのものの躍動だ。これはピアニストのリニーの流れに乗って全楽器が訴えてくるし、”But Beatiful”はジャズ心をくすぐるしっとりとした演奏に彼女のヴォーカルの味のあるところを描く。
”Portait Of Duke”から”Kissing The Cheek Of Providence”、”Le Regarder La Rencontrer Encore ”は彼女の曲で、それぞれ曲の変化も多彩で、現代感覚の急・緩のリズム・プレイに多彩なベースの演奏を堪能させる。演奏家としてのセンスと技量はなかなかのもの。
こんな調子でなかなか単調で無く変化をみせる曲群で、多くを感じさせる頼もしい展開をするアルバムで飽きない。
基本的には、ジャズを追求する姿勢が演奏に溢れていて頼もしい。
このブランディ・ディスターヘフトは、カナダ・バンクーバー出身(1980年生まれで今年33歳)。音楽家の両親の元で育って母親からジャズ・ピアノを学び、13歳からウッド・ベースを弾き、ハンバー・カレツジで音楽専攻、ジュリアード音楽院にてシンフォニー・オーケストラを学び、ニュー・ヨークでロン・カーターにベースを師事というキャリアらしい。とにかく音楽の道はかなりしっかりと学んでいるタイブ。
2007年の1stアルバム「Debut」は、デビュー早々に、カナダの名誉あるジュノ・アワードの”ベスト・トラディッショナル・ジャズ・アルバム”を受賞していて、その後も多くの賞に輝いている。今後が楽しみな若き女性ジャズ・ベーシストである。
(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=j4ydG79jNW4
[PHOTO 今日の一枚]
(NIKON D800 AF-S NIKKOR 1:1.4G)
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