回顧は続く・・・・圧倒的迫力のCD盤 : 芸能山城組「Ecophony Rinne 輪廻交響曲」
(回顧シリーズ~音楽編(12)~)驚異の1986年プログレッシブ・ロック作品
オーディオ界でも、LP盤に変わってCD盤も板に付いてきた頃(1980年代後半)の作品。これは私自身の歴史に於いて驚異のアルバムであった。ミュージックそのものの壮大さに圧倒され、そしてここまで臨場感において素晴らしい録音に当時至るものは無かったと思う(当時のVictor技術の結晶)。
いずれにしても、こうしてオーディオという音質を語るものにとっては、これは歴史的に記憶される産物であり、ハイレゾ音源によるPCオーディオを語る時代になって、未聴であれば是非とも聴いて欲しいアルバムなのである。
<Progressive Rock> 芸能山城組 「輪廻交響曲 Ecophony Rinne」
Victor VDR-1200 , 1986
さてこのアルバム、ジャンルは何処に収まるのか?、とにかく”Ecophony”というという表現をしているが、つまり交響曲にならった現代民族音楽にロックが加味されたものだ。私は敢えてプログレッシブ・ロックと言う。
ここの芸能山城組というのはリーダー山城祥二氏の異色の集団である。もともとは合唱団から出発したのだと思うが、このアルバムは民族音楽、民族楽器を駆使して合唱団、ロック・ミュージシャンにより構成されている。もともとインドネシアのケチャ、ブルガリアの女声合唱、日本始め諸外国の民族音楽、民族思想を消化して音楽を中心としての活動と言って良いのかも。
さてこのアルバムは上記のように、交響曲のパターンで四楽章から成り立っている。そしてこれは山城祥二の書き下ろしオリジナル作品である。
(演奏者)お茶大・筑波・東大・早稲田・武蔵野・西日本各山城組連合、斧・雅矢・明連合、山城流鳴神連合 など
第一章翠性~(プロローグ)スタートは肉声和音による深遠な世界に響く太鼓の鳴動。この流れで殆どの者がこのアルバムに引っ張り込まれる。(転生のテーマ)ここでは素晴らしい混声合唱による讃歌が聴かれ(闘いのサブコード)では圧倒的な迫力での和太鼓の連打、この音の快感は最高。山城に言わせるとまさにプログレッシブなサウンドと。
第二章散華~極めて宗教的パート。人の肉声を積み上げてゆくその渦の流れが深淵。
第三章瞑憩~ガムランという楽器と女声合唱が新しい生命を知る瞑想曲
第四章転生~バリ島のジェゴクという打楽器が響く、この包容力のあるサウンドは魅力的。ガムランの金属的音との響きの交錯。(エピローグ)ジェゴク、平太鼓、ギター、オルガンが響く、そして合唱が響き、地球生態系の美しさを歌い上げる。
これらのサウンドと合唱の世界に魅力を付けたのは明らかに録音技術の高さである。これを初めて聴いた当時は、はっきり言って開いた口がふさがらないという表現をするほど感動ものであった。特に和太鼓の圧倒的な迫力こそ私が驚愕した。しかしこの太鼓も大きなもので無く、一人で持つことが出来る平太鼓だという。しかしそれが意識的にバチによって叩かれたもので、新しさを求めて作り上げられた音と言うから一聴に値する。
その後、この芸能山城組はオーディオと音楽と民族楽器と合唱の美を追求して、アルバム「AKIRA交響曲」も出現させる(1988年)、お見事!!。こちらのアルバムも是非とも聴いて欲しいもの(左)。・・・・・・とにかく素人集団が目的をもって向かって一つになったエネルギーとその美は恐ろしい。私にとっては歴史に残る感動のサウンドをここに紹介した。
(試聴)「輪廻交響曲」 http://www.youtube.com/watch?v=JLmiYD49EcY&list=PL2FypcadVRfA7c4J8qeyv7EynEyLJ7JeR
「KANEDA from ”AKIRA”」 http://www.youtube.com/watch?v=MSU4v4jrWpA
~芸能山城組について~ (ホーム・ページよりここに紹介(転載))
芸能山城組は、人間にもっとも美しく快く感動できる表現をジャンルや民族の壁をこえて追求するマルチパフォーマンス・コミュニティです。1974年に組頭・山城祥二(本名・大橋 力:当時 東京教育大学助手、現在 財団法人国際科学振興財団主席研究員)を中心に結成されました。メンバーは科学者、ビジネスマン、教員、学生など全員がアマチュアです。日本はもとより世界各地にフィールドワークを展開し、インドネシア・バリ島のケチャやブルガリアン・ポリフォニーを世界で初めて習得していちはやく日本で上演したことでも知られています。これら非西欧文化圏のすぐれた音楽や芸能を紹介するとともに、それらの国に渡航しての公演や現地のアーティストの招聘事業など、国際交流への貢献でも、実績を重ねています。
世界で初めて、バリ島人以外の手による合唱舞踊劇ケチャの全編上演に成功したほか、ブルガリアやグルジアの合唱、バリ島の交響打楽ガムランやジェゴグ、さらに日本各地にある世界水準の伝統歌唱や舞踊、太鼓芸能など、世界80系統にも及ぶパフォーマンスを上演してきました。とりわけ、すぐれた共同体に育まれた卓越した芸能や音楽を地球上からよりすぐり、最先端の研究成果やテクノロジーと融合させながら、未来の地球社会にふさわしい新しい表現の形を実現させてきた足蹟は他の追随をゆるしません。アマチュアの立場を堅持しながら、その実績は、質量とも国際的にトップレベルにあります。
さらに、それらを糧に、現代的要素と融合させたオリジナル楽曲『恐山』、『輪廻交響楽』、『交響組曲AKIRA』、『翠星交響楽』をはじめLP/CD14枚、DVD-Audio1枚をリリースするなど、音楽の新しい地平を常に切り拓いてきました。最近では、ハイパーソニック・サウンドトラックの構築を担当したBD『AKIRA』の成功が注目されています。
しかし、芸能山城組は、芸能集団である以前に、遺伝子DNAに約束された人類本来のライフスタイルを模索し検証しようとする実験集団であり、“行動する文明批判”の拠点であることをもって真髄とします。1981年、当時の地球社会の通念とは隔絶した「文明の危機到来の予測と、その克服をめざす自然科学的世界像に基づくアプローチ」を掲げて<文明科学研究所>を設立し、軌道に乗せてきました。その文明批判の大きな特徴は、批判の対象とする西欧文明最大の武器であり、地球を現在の危機に導いた元凶でもある科学技術を単純に否定するのではなく、逆にこの武器を奪い取り、自家薬籠中のものとして、近現代科学技術文明そのものを攻略するところにあります。そのアクティビティは、同時に、伝統的共同体の叡智に学び、専門化や単機能化を排した地道で真摯な群れ創り、人創りにも向けられてきました。
文明科学研究所は、研究者、教育者、ジャーナリスト、エンジニアそして学生と多様なメンバーの中で、生命科学、脳科学、情報工学などの分野で博士号をもつものが10名をこえ、メンバーが筆頭著者となった論文が最高の科学誌Natureに採択されることを始めとする輝かしい業績に象徴されるように、国際的にも最前線にあります。この強力な研究陣を育て、その活動を導いてきたのも、芸能山城組・組頭 山城祥二こと科学者 大橋 力です。
こうした私たちの比類ない活性の歩みをいま振り返ると、おおよそ20年以上、世界の動きに先行しています。ハイパーソニックBD『AKIRA』に象徴される時代を先取りする一連の創作活動も、諸民族の伝統のエッセンスと最先端の科学技術を武器として、西欧近代文明に向けて放つ鮮烈なメッセージに他なりません。
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コメント
懐かしいアルバムですねぇ~
近頃聞いてなかったので、さてどこにおいってるかな?と言う感じですが、今は亡きオーディオ評論家の長岡鉄男さんが絶賛していて購入したのを覚えています。
投稿: 讃岐の親方 | 2013年6月29日 (土) 00時44分
芸能山城組、素晴らしいパフォーマンス集団ですね。私も取り上げたことがあります。かって「題名のない音楽会」などによく出演したので観ていました。もちろん「AKIRA」のサウンドトラックも素晴らしかったし、彼らの歌う「合唱刈干切唄」(やまと幻唱 収録)には感動したものです。最近はどうしているんでしょうね?
投稿: 爵士 | 2013年6月29日 (土) 10時03分
讃岐の親方さん
コメント有り難う御座います。長岡鉄男さんですか、懐かしいですね。最近「PCオーディオ」というオーディオ界にも新しい展開があって、サウンドに興味を再び三度持つことになり、ふと昔のアルバムを思い出してこんな話になりました。又何かお気づきでしたらご指導ください。
爵士さん
いろいろとお話しできて嬉しく思っています。こうゆうものに関心を持って聴かれたというのは、やっぱり音楽やオーディオが好きなんでしょうね。
今の活動はどうなんでしょううか、私もよく知りません。山城祥二氏ももう結構なお歳ですからね。それでもホーム・ページには今年もお祭りはやるようですね。
投稿: 風呂井戸 | 2013年6月29日 (土) 16時14分