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2013年6月27日 (木)

回顧は続く・・・・圧倒的迫力のCD盤 : 芸能山城組「Ecophony Rinne 輪廻交響曲」

(回顧シリーズ~音楽編(12)~)驚異の1986年プログレッシブ・ロック作品

 オーディオ界でも、LP盤に変わってCD盤も板に付いてきた頃(1980年代後半)の作品。これは私自身の歴史に於いて驚異のアルバムであった。ミュージックそのものの壮大さに圧倒され、そしてここまで臨場感において素晴らしい録音に当時至るものは無かったと思う(当時のVictor技術の結晶)。
 いずれにしても、こうしてオーディオという音質を語るものにとっては、これは歴史的に記憶される産物であり、ハイレゾ音源によるPCオーディオを語る時代になって、未聴であれば是非とも聴いて欲しいアルバムなのである。

<Progressive Rock> 芸能山城組 「輪廻交響曲 Ecophony Rinne」
                    Victor  VDR-1200  ,  1986

Rinne

第一章  翠性
第二章  散華
第三章  瞑憩
第四章  転生

 さてこのアルバム、ジャンルは何処に収まるのか?、とにかく”Ecophony”というという表現をしているが、つまり交響曲にならった現代民族音楽にロックが加味されたものだ。私は敢えてプログレッシブ・ロックと言う。
 ここの芸能山城組というのはリーダー山城祥二氏の異色の集団である。もともとは合唱団から出発したのだと思うが、このアルバムは民族音楽、民族楽器を駆使して合唱団、ロック・ミュージシャンにより構成されている。もともとインドネシアのケチャ、ブルガリアの女声合唱、日本始め諸外国の民族音楽、民族思想を消化して音楽を中心としての活動と言って良いのかも。
 さてこのアルバムは上記のように、交響曲のパターンで四楽章から成り立っている。そしてこれは山城祥二の書き下ろしオリジナル作品である。

Gamelan(演奏者)お茶大・筑波・東大・早稲田・武蔵野・西日本各山城組連合、斧・雅矢・明連合、山城流鳴神連合 など


第一章翠性~(プロローグ)スタートは肉声和音による深遠な世界に響く太鼓の鳴動。この流れで殆どの者がこのアルバムに引っ張り込まれる。(転生のテーマ)ここでは素晴らしい混声合唱による讃歌が聴かれ(闘いのサブコード)では圧倒的な迫力での和太鼓の連打、この音の快感は最高。山城に言わせるとまさにプログレッシブなサウンドと。

第二章散華~極めて宗教的パート。人の肉声を積み上げてゆくその渦の流れが深淵。

第三章瞑憩~ガムランという楽器と女声合唱が新しい生命を知る瞑想曲

第四章転生~バリ島のジェゴクという打楽器が響く、この包容力のあるサウンドは魅力的。ガムランの金属的音との響きの交錯。(エピローグ)ジェゴク、平太鼓、ギター、オルガンが響く、そして合唱が響き、地球生態系の美しさを歌い上げる。

 これらのサウンドと合唱の世界に魅力を付けたのは明らかに録音技術の高さである。これを初めて聴いた当時は、はっきり言って開いた口がふさがらないという表現をするほど感動ものであった。特に和太鼓の圧倒的な迫力こそ私が驚愕した。しかしこの太鼓も大きなもので無く、一人で持つことが出来る平太鼓だという。しかしそれが意識的にバチによって叩かれたもので、新しさを求めて作り上げられた音と言うから一聴に値する。

Akira

 その後、この芸能山城組はオーディオと音楽と民族楽器と合唱の美を追求して、アルバム「AKIRA交響曲」も出現させる(1988年)、お見事!!。こちらのアルバムも是非とも聴いて欲しいもの(左)。・・・・・・とにかく素人集団が目的をもって向かって一つになったエネルギーとその美は恐ろしい。私にとっては歴史に残る感動のサウンドをここに紹介した。

(試聴)「輪廻交響曲」 http://www.youtube.com/watch?v=JLmiYD49EcY&list=PL2FypcadVRfA7c4J8qeyv7EynEyLJ7JeR

   「KANEDA from ”AKIRA”」 http://www.youtube.com/watch?v=MSU4v4jrWpA

~芸能山城組について~ (ホーム・ページよりここに紹介(転載))

 芸能山城組は、人間にもっとも美しく快く感動できる表現をジャンルや民族の壁をこえて追求するマルチパフォーマンス・コミュニティです。1974年に組頭・山城祥二(本名・大橋 力:当時 東京教育大学助手、現在 財団法人国際科学振興財団主席研究員)を中心に結成されました。メンバーは科学者、ビジネスマン、教員、学生など全員がアマチュアです。日本はもとより世界各地にフィールドワークを展開し、インドネシア・バリ島のケチャやブルガリアン・ポリフォニーを世界で初めて習得していちはやく日本で上演したことでも知られています。これら非西欧文化圏のすぐれた音楽や芸能を紹介するとともに、それらの国に渡航しての公演や現地のアーティストの招聘事業など、国際交流への貢献でも、実績を重ねています。

 世界で初めて、バリ島人以外の手による合唱舞踊劇ケチャの全編上演に成功したほか、ブルガリアやグルジアの合唱、バリ島の交響打楽ガムランやジェゴグ、さらに日本各地にある世界水準の伝統歌唱や舞踊、太鼓芸能など、世界80系統にも及ぶパフォーマンスを上演してきました。とりわけ、すぐれた共同体に育まれた卓越した芸能や音楽を地球上からよりすぐり、最先端の研究成果やテクノロジーと融合させながら、未来の地球社会にふさわしい新しい表現の形を実現させてきた足蹟は他の追随をゆるしません。アマチュアの立場を堅持しながら、その実績は、質量とも国際的にトップレベルにあります。

 さらに、それらを糧に、現代的要素と融合させたオリジナル楽曲『恐山』、『輪廻交響楽』、『交響組曲AKIRA』、『翠星交響楽』をはじめLP/CD14枚、DVD-Audio1枚をリリースするなど、音楽の新しい地平を常に切り拓いてきました。最近では、ハイパーソニック・サウンドトラックの構築を担当したBD『AKIRA』の成功が注目されています。

 しかし、芸能山城組は、芸能集団である以前に、遺伝子DNAに約束された人類本来のライフスタイルを模索し検証しようとする実験集団であり、“行動する文明批判”の拠点であることをもって真髄とします。1981年、当時の地球社会の通念とは隔絶した「文明の危機到来の予測と、その克服をめざす自然科学的世界像に基づくアプローチ」を掲げて<文明科学研究所>を設立し、軌道に乗せてきました。その文明批判の大きな特徴は、批判の対象とする西欧文明最大の武器であり、地球を現在の危機に導いた元凶でもある科学技術を単純に否定するのではなく、逆にこの武器を奪い取り、自家薬籠中のものとして、近現代科学技術文明そのものを攻略するところにあります。そのアクティビティは、同時に、伝統的共同体の叡智に学び、専門化や単機能化を排した地道で真摯な群れ創り、人創りにも向けられてきました。

 文明科学研究所は、研究者、教育者、ジャーナリスト、エンジニアそして学生と多様なメンバーの中で、生命科学、脳科学、情報工学などの分野で博士号をもつものが10名をこえ、メンバーが筆頭著者となった論文が最高の科学誌Natureに採択されることを始めとする輝かしい業績に象徴されるように、国際的にも最前線にあります。この強力な研究陣を育て、その活動を導いてきたのも、芸能山城組・組頭  山城祥二こと科学者 大橋 力です。

 こうした私たちの比類ない活性の歩みをいま振り返ると、おおよそ20年以上、世界の動きに先行しています。ハイパーソニックBD『AKIRA』に象徴される時代を先取りする一連の創作活動も、諸民族の伝統のエッセンスと最先端の科学技術を武器として、西欧近代文明に向けて放つ鮮烈なメッセージに他なりません。

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2013年6月24日 (月)

ニッキ・パロット Nicki Parrott : 「思い出のパリ THE LAST TIME I SAW PARIS」

シャンソン特集で・・・・さて如何か?

<JAZZ> NICKI PARROTT 「THE LAST TIME I SAW PARIS」
               VENUS Records   VHCD-01120 ,   2013

Paris

 ニッキ・パロットが今年も既にこのニュー・アルバム「思い出のパリ」をリリースしている。昨年の”四季シリーズ”の4枚のリリース、このスピードにびっくりしたわけだが、VENUSレコードの商魂か?、彼女のジャズ・ベーシスト、ヴォーカリストとしての人気は確かにあるのだが、そうは言ってもちょっと乱発気味で、中身は次第にジャズを離れてポピュラーものに近づいていく姿がどうも私としては不満なわけで、・・・・そんなところから実は”四季シリーズ”の後に来るものはジャズを究める作品として期待していたのである。(このニッキ・パロットに関しては過去のアーティクルを参照して下さい :  http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/cat40025561/index.html )

 
  Parsonnel
      Nicki Parrott : Vocals & Bass
      Jacob Fisher : Guitar
      Gil Goldstein : Accordion
      John Di Martino : Piano
      Tim Horner : Drums

 このアルバムは上記のようなクインテットで、シャンソン・ムードの為(?)のアコーディオンが加わっている。そして今回は何時も必ずと言っていいようにメンバーに加わっていた彼女の姉のLisa Parrottのサックスがいない。それには何かの事情があったか?その点は解らない。
 ジャケ・デザインはなかなかちょっとしたムードがあって、彼女は絵になるので旨く納めていて、取り敢えず私としては評価する。
 そこで問題は中身だが・・・・・TrackList は、以下の14曲。

 1.パリの空の下
 2.風のささやき
 3.ロシュフォールの恋人たち
 4.ヌアージュ
 5.セ・シ・ボン
 6.シェルブールの雨傘
 7.愛の讃歌
 8.詩人の魂
 9.思い出のパリ
10.セーヌ川
11.ラ・メール
12.バラ色の人生
13.行かないで

14.これからの人生

Paris2
 まあ、とにかく日本でも誰もが聴いているポピュラーな曲のオンパレード。Venusレコードだけあって日本向けは間違いない仕上げである。
  ”パリの空の下 Under Paris Skies”からスタート、これを聴いて実はがっかりした。もうアコーディオの音と共にシャンソンそのもの。別に唄も悪くないし、これはこれで良いのだろうが、私が期待しているのはシャンソン・アルバムでなくて、ニッキ・パロットのベースを絡めてのジャズ・ヴォーカル。そんなところからはほど遠い。まあ彼女の歌が聴ければ良いというファンも居ることだろうし、この仕上げの方が一般には受け入れやすいのかも知れないが・・・・・。と、私にとっては期待外れ。
 続く”風のささやき”、そうそうこの方がニッキ節が感じられて良い。続く”ロシュフォールの恋人たち”、”ヌアージュ”になってようやくジャズ・ヴォーカルのムードが臭ってきた。
 とにかく”シェルブールの雨傘”、”愛の讃歌”・・・・・などなど、もう名曲というか日本中で愛された曲というか誰もが聴く曲で埋め尽くされて、ニッキの歌声がたっぷり溢れている。そして難しいアレンジもなく聴きやすい。実は・・・そんなところが少々物足りないのである。それでも”愛の讃歌”あたりは、彼女の特徴である"かまととっぽいキュートな感じ"を出しつつ、やや熟女の味もちらっとみせてファンを楽しませてくれるというところなんでしょうね。

 録音は良好であるが、ジャズ度は低い(最後の”これからの人生”がジャズっぽさでは光っている)。これでは先日紹介の女性ジャズ・ベーシストのBrandi Disterheftや、若手のDenise Donatelli あたりに遅れをとりそうだ。だがアルバムとしてはまとまっているとも言えるのではないかなぁ~それはそれで良いとして、かっての彼女のベースとピアノとのデュオ・アルバム「Peaple Will Say Were In Love」、テナー・サックスとクラリネットのデュオ・アルバム「Like A Lover」のようにジャズに挑戦してゆくニッキ・パロットを期待しつつ・・・・・、今回のアルバムの感想であった。

PeaplewsilLikelover

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=oiEuMNxDrfI

       [PHOTO]    今日の一枚

Parisa_2
(OLYMPUS PEN  E-P3    M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm 1:3.5-5.6 撮影2011at Seine)

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2013年6月18日 (火)

ピンク・フロイドを超えたか?=リヴァーサイドRiverside :「Shrine of New Generation Slaves」

ポーランドからのハード・プログレ・バンド~資本主義・自由社会は病んでいるか?

 実は私にとっては、なんか久々にRockを語れるアルバムに到達出来たという気分なんです。そうゆう意味ではフレさんのブログでこの5thアルバムを知って感謝です。
 なんといってももう私の愛してきた”プログレッシブ・ロック”、その言葉自身過去のものと言うか?死語というか?、・・・・60年終わりから70年代のあの世界で貴重な若い(?)時を消費してきた私にとっては、何時もそうでは無いと言い聞かせつつ、現実ではその空しさの中で実はいつももがいているんです(笑)。そんな訳ですが、堂々とプログレを語れるなんて、それだけでも嬉しい限りです。

 さてさて、ここにポーランドからその嬉しい一枚です(実は2枚組ですから2枚と言わなきゃいけないかな?)。

<Prog. ROCK> Riverside 「Shrine of New Generation Slaves」
          Mystic Production/InsideOut Music   0630-2  ,   2013


Songs


 このジャケ・デザイン(トラヴィス・スミスTravis Smith作)から、もうあのソ連管轄下の東欧諸国にみられた都市の暗いイメージを先ず感じてしまう。かっての共産圏の東欧諸国と言われた時代には、チェコ・スロヴァキア、ハンガリーなど訪れたことがあったが、残念ながらポーランドには足を入れていなかった。それでもなんとなくイメージとしてその世界が頭に浮かぶ。昨年ようやくポーランドに行く機会があったが、現在解放されて20年の歳月を経た国ポーランド、あの国に於いては国民は文化の貴重な一つが音楽であるという生活をしていて、現在も諸々のジャンルに於いて多くのミュージシャンが活動している。そしてそれを国民は大切にしているのである。しかし残念ながらその中で、ロックの世界のウェイトはむしろ小さいようにも思う。もともとショパンを愛し、クラシックから出発しているミュージシャンは多く、そしてジャズへの進出は盛んで(クリストフ・コメダを代表にして)あるが、一方ロックはむしろやや弱いとも思っているのだ。

Reversidemembers
 そんな中で、しかしこのポーランドのロック・バンドのリヴァーサイドRiverside の活動は、やっぱり私にとっては喜びでもあり驚きでもあった。
 さてこのアルバム、タイトルを日本語に訳すと「新世代の奴隷達の霊廟」というところだろうか?。これだけでも社会意識の強いバンドとして感じ取れる。

Personnel
Mariusz Duda– vocals, bass, acoustic guitar
Piotr Grudziński – guitar
Michał Łapaj – keyboards
Piotr Kozieradzki – drums

  •  このバンドの路線はベーシストのマリウス・デューダによって造られているといっていいのだろう(Directed by Mariusz Dusa)。とにかく全曲のLyricsは彼が担当していて、ヴォーカルも彼が主役だ。そして”Music by Riverside”というところから、それぞれの曲は、彼等の4人編成バンドとしての持ち場上からの協力関係で曲作りをしているというところであろうか。

     このアルバムは2枚組で、2つのパートに別れている。

     <Disc-1>
      1. New Generation Slave
      2. The Depth Of Self-Delusion
      3. Celebrity Touch
      4. We Got Used To It
      5. Feel Like Falling
      6. Deprived (Irretrievably Lost Imagination)
      7. Escalator Shine
     8. Coda

      <Disc-2>
      1. Night Session (Part One)
      2. Night Session (Part Two)
  •  <Disc-2>は、インスト曲による作品。アンビエントで・・・・暗い幻想的な世界へと誘い込まれる(part twoではサックスも導入されている)。この流れはマリウスのソロプロジェクト「Lunatic Soul」寄りの世界らしいが、このバンドのこれからの流れへの試行錯誤の一幕なんであろう。多分彼等の一つのよりどころであるピンク・フロイドからみれば、あの”Echoes”のような曲作りの一つの発想とみてよい。いやはや頼もしい。
  • Mariusz_duda
     さてこのアルバムのメインは<Disc-1>であるので、そちらを探ってみよう。オープニング曲” New Generation Slave”は過去の彼等のアルバムを聴いてみると、ピンク・フロイドとドリーム・シアターの中間的プログレッシブ・メタルというところであったが、それよりはむしろ過去の70年代よりに戻ってのピンク・フロイド寄りのウェイトが増したプログレッシブ・ハード・ロックという感じで、非常に聴きやすく、そこにマリウス(左)のハイレベルのヴォーカルがスタートする。
     しかしLyricsの中身は厳しい。彼等が自由を得てここに築き上げてきた世代、しかしそこには”新しい世代の奴隷”の姿ではないか。人生を自己のものにする余裕も無いと・・・・、このアルバム・ジャケにみる暗くエスカレータで画一的に流れている”個々の個性ある顔”の全く見当たらない都会の人間の姿を描いていたのだ。
     2曲目”The Depth Of Self-Delusion ”では、響き渡るギター・リフはヘビー・メタルよりのパターンだが、なんとピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズの「壁」を思い起こさせる”自己の異国人化”を嘆いている。自由主義・資本主義国に形成されてくる個人というのは「自らが築かざるを得ない壁」を知る世界である事を唄い上げているのだ。
     ” Feel Like Falling ”はヘビーなサウンドが炸裂するも、"混雑孤独の中で、私自身からの隠れ家を得た。そして今ダッシュする、それは空白の世界に遠く離れて落下するのを感じてしまう"と訴える。これは彼等の得た社会への警鐘であるのだ。次なる” Deprived (Irretrievably Lost Imagination) ”の暗い世界に落ち込んで・・・・・・ゆく。”Escalator Shine”の後半の美しいギターの調べが如何にももの悲しく、次第に更に沈んだ世界に埋没してゆくのだ。そして終章”Coda”の流れは、アコースティック・ギターをバックに一つの光明を唄う。まさにロジャー・ウォーターズ=ピンク・フロイドの再来そのもの。

     いやはや、これは30年前にロジャー・ウォーターズの描いた「社会の壁」「人間の壁」が、今解放後20年を経験した自由社会に「新世代の壁の世界」がマリウスの目に再び見えていることに驚きを感ずるである。

    Blog2

     70年代プログレッシブ・ロックのミュージック様式美、サウンド重視世界は、パンクの流れに壊滅状態にされた。しかし現在に至るまでにプログレは大きく二分化してその命を長らえている。その一つがミュージック・スタイルは大きく変えることは無いが、彼等の矛先は社会矛盾と人間の内面的葛藤に目を向けたことだ。この代表がロジャー・ウォーターズの世界(あの時、「アニマルズ」から「ファイナル・カット」において崩壊寸前のプログレッシブ・ロックの再生に成功した)。そしてその流れとしてこのRiverside があるとみる。
     もう一つは、あくまでもミュージックとしての探求に精力を注ぐもの。こちらの代表がロバート・フリップのキング・クリムゾンの世界だ。こちらも今でも脈々と流れている(Anekdotenなど)。
     

     そして今やプログレッシブ・ロックとは、プログレッシブという意味を超越して一つのパターンとして結実している。そんな意味に於いてもこのバンドの暗さと哲学的思索の世界が快感だ。シンフォニック・プログレ・ハードと言えば英国のPallasを思い出すが・・・彼等の宇宙感覚とは別ものであるが、こうしたプログレッシブ・ロックの現代版である事には両者は変わりは無い。

     
     
     Riverside は、ピンク・フロイドを超えたか?・・・・それはそれぞれが感じたところに任すべきだろう。しかし今日にヘビー・メタル・サウンドを持ちながらの社会と人間に迫るプログレッシブ・ロックが存在していることに喝采を浴びせたい。

    (試聴) http://www.youtube.com/watch?v=eQKSJ_9TT9k

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    2013年6月13日 (木)

    ブランディ・ディスターヘフト Brandi Disterheft 日本盤デビュー : 3rdアルバム「GRATITUDE」

    カナダ出身の女性ジャズ・ベーシストそしてコンポーザーのアルバム

     
    Brandi42


     カナダの若き女性ベーシストで、そのリズム・センス良さで評判のブランディ・ディスターヘフトBrandi Disterheft が、ここに来て3rdアルバム「GRATITDE」で日本デビューを果たした。ここではヴォーカルも披露。

     女性ベーシストと言えば、ヴィーナス・レコードのニッキ・パロットが先日も彼女のヴォーカルをたっぷり聴かせるニュー・アルバム「The Last Time I Saw Paris」をリリースして日本ではお馴染み。又エスペランザ・スポルディングはまさに世界を股にかけ、ジャズ界から更に広い分野にその名を馳せている。そんなところに既に2007年に1stアルバムをリリースしているブランディが殴り込んできた。

     <JAZZ> BRANDI DISTERHEFT 「GRATITUDE」
                   Universal Music   TOCJ68100  ,   2013


    Gratitude

     このジャケ、あまりセンスが良いとは言えないですね。ま~それはさておき、このアルバムはブランディ・ディスターヘフトのベースを中心としてのセックステット構成で演奏された曲群である。メンバーは下記のようなところ。

    ブランディ・ディスターヘフト Brandi Disterheft: Acoustic bass, Vocal
    リニー・ロスネス Renee Rosnes: Piano
    ヴィンセント・ヘリング Vincent Herring: Alto sax
    グレゴリー・ハッチンソン Gregory Hutchinson: Drums
    ショーン・ジョーンズ Sean Jones: Trumpet
    アン・ドラモンド Anne Drummond: Alto flute, Bass Flute


     カナダの女性ピアニストのRenee Rosnesも名を連ねている。そして強力なドラマーGregory Hutchinson とメンバーもそろっている。

     そしてTrackListは下記の通りで、日本盤ホーナス・トラックこみで11曲。彼女の曲が7曲を占めている。まさに彼女のアルバムなのである。

    1.ブルーズ・フォー・ネルソン・マンデラ /Blues For Nelson Mandela (Brandi Disterheft)
    2.グラティチュード<デヴィッド・ジョンズに捧ぐ> /Gratitude(Brandi Disterheft)
    3.ミズマタ /Mizmahta  (Renee Rosnes)
    4.バット・ビューティフル /But  Beautiful (Johnny Burke & Jimmy Van Heusen)
    5.ポートレイト・オブ・デューク /Portrait Of  Duke (Brandi Disterheft)
    6.キッシング・ザ・チーク・オブ・プロヴィデンス /Kissing The Cheek Of  Providence (Brandi Disterheft)
    7.好ましからざる再会 /Le Regarder La Rencontrer  Encore (Brandi Disterheft)
    8.オープン /Open (Brandi Disterheft)
    9.ザ・マン・アイ・ラヴ /The Man I Love (George & Ira  Gershwin)
    10.コンペアド・トゥ・ホワット /Compared to What (Gene  Mcdaniels) *ボーナス・トラック
    11. ハーバート・ハッチンソン /Herbert Hutchinson** (Brandi  Disterheft) *日本ボーナス・トラック

    Brandi2
      オープニングの”Blues For Nelson Mandela ”が意味深だ。ネルソン・マンデラと言えば、反アパルトヘイト運動の主のようなもの。何故ここに出てくるのか?これは彼女自身の曲であるところからもその意味を知らねばならないだろうが、目下のところ私にその知識は無い。アルコ奏法をみせて真摯な世界を描いている。
     アルバム・タイトル曲”Gratitude”を聴いてみても解るが、かなり彼女はアグレッシブなミュージシャン。スウィング・ジャズとは一線を画したロックにも通ずるこの曲の躍動は興味をそそる。ハッチンソンのドラムスと彼女のベースのバトルが魅力的。そして彼女のヴォーカルが登場、そう旨いという訳ではないが、この曲のセンスとはぴったりのタイプ。
     ”Mizmahta”は、ジャズそのものの躍動だ。これはピアニストのリニーの流れに乗って全楽器が訴えてくるし、”But Beatiful”はジャズ心をくすぐるしっとりとした演奏に彼女のヴォーカルの味のあるところを描く。
     ”Portait Of Duke”から”Kissing The Cheek Of Providence”、”Le Regarder La Rencontrer  Encore ”は彼女の曲で、それぞれ曲の変化も多彩で、現代感覚の急・緩のリズム・プレイに多彩なベースの演奏を堪能させる。演奏家としてのセンスと技量はなかなかのもの。
     こんな調子でなかなか単調で無く変化をみせる曲群で、多くを感じさせる頼もしい展開をするアルバムで飽きない。
     基本的には、ジャズを追求する姿勢が演奏に溢れていて頼もしい。

     このブランディ・ディスターヘフトは、カナダ・バンクーバー出身(1980年生まれで今年33歳)。音楽家の両親の元で育って母親からジャズ・ピアノを学び、13歳からウッド・ベースを弾き、ハンバー・カレツジで音楽専攻、ジュリアード音楽院にてシンフォニー・オーケストラを学び、ニュー・ヨークでロン・カーターにベースを師事というキャリアらしい。とにかく音楽の道はかなりしっかりと学んでいるタイブ。
     2007年の1stアルバム「Debut」は、デビュー早々に、カナダの名誉あるジュノ・アワードの”ベスト・トラディッショナル・ジャズ・アルバム”を受賞していて、その後も多くの賞に輝いている。今後が楽しみな若き女性ジャズ・ベーシストである。

    (試聴)http://www.youtube.com/watch?v=j4ydG79jNW4

                  [PHOTO   今日の一枚]

    Dsc_0836blog                  (NIKON D800    AF-S NIKKOR 1:1.4G)

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    2013年6月 9日 (日)

    キース・ジャレット・トリオ Keith Jarrett Trio :ニュー・アルバム 「Somewhere」

    2009年録音もので健在ぶりを披露~それが又好評です

     そういえば、キース・ジャレットの前アルバムは、ソロの「RIO」でしたね(参考①)。あれは2011年録音・同年リリースもので、彼の慢性疲労症候群という難病を克服してのもう心配ない健在ぶりを十分堪能させてもらったわけだが、その2年前のトリオものがここに来てリリースされたということになる。・・・と、言うことはその「RIO」の前にリリースされたやはりソロ・アルバムの「Testament」が2008年録音であったので(参考②)、丁度その間の録音と言うことになる。つまこのトリオもののリリースは、2011年「RIO」発表時にも既に練られていると言われておりここに来てお披露目となった。

    <JAZZ> Keith Jarrett  Gary Peacock  Jack DeJohnette 「Somewhere」
                   ECM Records   ECM 2200 B0018362-02  ,  2013

    Somewhere

     ECM らしいジャケであるが、若干キース・ジャレットのムードとしては少し違う感もあるが、まあそれはそれ結構でありますが、このアルバムはどうも巷で非常に評判が良い。
     先日も”最後の伝統のトリオ公演”と言う話で日本公演を果たしたわけであるが、考えてみるとこのスタンターズ・トリオと言われる1983年以来のこのトリオもののリリースも、録音日でいうと久しぶりのものになる。

     なんと言ってもベースのゲイリー・ピーコックは、キース(68歳)より10歳年上になるので、今年78歳になる。しかし彼はこのトリオのスタートから重要な役を果たしてきた。このトリオの性質を決めてきたキーであることも知っておかねばならない。そうであるからこそ、寄る年波は、そのあたりはやっぱり厳しいのだろうなぁ~~と思うところ。さてさてそんな30年キャリアのこのトリオの演奏はどうだったのかといろいろと考えながら聴いたというのが今回のこのアルバムだ。

    Somewheremembers


    (tracklist)
    1. Deep space ~ Solar
    2. Stars fell on Alabama
    3. Between the Devil and the deep blue sea
    4. Spmewhere ~ Everywhere
    5. Tonight
    6. I thought about you

     このアルバムはスイスのKKL Luzem Concert Hall でのライブものであるが、なかなかの好録音で、是非ともハイレゾ音源で聴きたいところである。
     そして選曲はいろいろなピアニストが取り上げているものであるが、バーンスタインの”Tonight”以外は若干渋めの曲である。
    Trioa


     ”I thought about You”は、前回取り上げたイリアーヌ・イリアスのニュー・アルバムのアルバム・タイトル曲であり、彼女の場合は冒頭のスタート曲として気持ちが高ぶるような意気揚々とした曲に仕上げているが、キースの場合はアルバム・エンディング曲としてかなりムーディーに気持ちが安まる曲になっていて、この両者の違いが面白い。
     このアルバムは既に多くの好評を得ている。オープニングもキースのインブロビゼイションのソロ・ピアノ演奏の”Deep space”でスタートして気持ちを次第に引き込んでゆくが如くに展開し、そして”Solar”に入ってゆくところがにくいところ。多分このあたりでファンはもう参ってしまうのである。もともと私はキースの場合、オリジナルものやインプロビゼイションの方が好みであるので、当然こうした演奏は大歓迎である。
     ”Stars fell on Alabana”は、キースのピアノ・ソロとゲイリーのベース・ソロを織り込んでの曲構成で美しさと心に響く一つ一つの音を大切にした世界を作り上げている。
     ”Somewhere”も、このトリオはしっかり自分たちの歴史を噛みしめるが如くに説得力のある流れを醸しだし、彼等のオリジナル曲”Everywhere”と流れ、このアルバムの核をなす20分に及ぼうとする曲となっている。

     しかし考えてみれば、このトリオ・メンバーの歳を考えると、この充実ぶりは恐ろしさすら感ずるのである。録音日からみると前アルバムは「Up for It」だと思うが、あれは2002年の録音であったから、それから7年の間があるわけだ。しかしこうした充実した演奏が展開されたことに万歳をしたいところである。
     今回は、かなり彼等のトリオものとしてはしっかり練ってのニュー・アルバムであったことは、世界各地での多くのコンサートの中でもやっぱりこの日の出來は出色であったのであろう、アルバムとしての曲の配列を含めてのまとめも見事であった。

     さてさて最後に一言、このアルバム、いやに巷にて好評なんですが・・・・、しかし思い起こせば、私が彼の演奏を眼前で観てジャズ・ピアノの魅力を思い知らされたのは1984年、又このトリオとしての私の感動はアルバム「CHANGES」、「CHANGELESS」にあったのだが(既にこれは30年前の話になる)、今でもそちらの方により強い私の心や感動があることには変わりは無いのです。( 参考③)

    (参考) ①  http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/keith-jarrett-r.html 
          ②  http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/keith-jarrettte.html
           ③ http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/keith-jarrett-7.html

    (試聴) http://www.youtube.com/watch?v=XYJDGhur4AM

             [PHOTO   今日の一枚]

    Dsc_0795blog
    (NIKON D800   AF-S NIKKOR 50mm 1:1.4G)

     

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    2013年6月 5日 (水)

    イリアーヌ・イリアス Eliane Elias のニュー・アルバム : 「I Thought About You」

    今度はイリアーヌのヴォーカル・アルバムだ!

    <Jazz> ELIANE ELIAS 「I Thought About You」
                 ~A Tribute to Chet Baker~
                 Concord Jazz    CJA-34191-02 ,  2013

    Ithoughtaboutyou

     昨年秋の前作( 「Swept Away」 参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/eliane-eliasswe.html)は彼女のヴォーカル抜きのピアノ・プレイで楽しませて頂いたところで・・・・、早々にニュー・アルバムの登場。今回は彼女の完全なヴォーカル・アルバムと言っていい仕上げ。
     副題に”A Tribute to Chet Baker”とある。チェット・ベイカー といえばウェストコースト・ジャズの名トランペッターでありシンガーであったわけだが、ここでトリビュート・アルバムをリリースするというのにはそれなりに意味のあることだろう。彼女のジャズ・スタイルはなんと言ってもボサノヴァだ。そのルーツをたどるとベイカーの唄う名曲”My Funny Valentine”をブラジルの歌手ジョアン・ジルベルトが聴いて、その歌唱法を取り入れることによって、そこからボサノヴァが誕生してゆく大きな因子となったという歴史があるが、それに彼女が対応したというところであろうか。
    ( イリアーヌに関しては何度かここで取り上げているので参考にして欲しい=http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/cat45434491/index.html )
     

     あのボサノヴァがどのようにして生まれたかというところも興味のあるところだが、このジョアン・ジルベルトのサンバのギターに導かれる彼の歌唱法に感動したアントニオ・カルロス・ジョビンが「想いあふれて Chega de Saudade」という曲を作り、そしてそれをジルベルトが唄ったものが、ボサノヴァの元祖と言われている。この曲こそあのボサノヴァのささやき歌唱法の原点というところにあるようだ。

    Ithoughtaboutyoulist


     さてこのアルバムは左のように14曲。1曲目のアルバム・タイトル曲”I Thought about You”からチェット・ベイカーゆかりの名曲でスタートしている。全ては解らない曲もあるが、究極のところチェット・ベイカー関係の曲を網羅していると言っていい。
     そしてこのアルバムもベースには夫のマーク・ジョンソンがしっかりサポートしていて、メンバーは結構一流どころを揃えて下記の通り。
      (members)
       Eliane Elias : vocals, piano
       Marc Johnson : ac.bass
       Steve Cardenas : elec.Guitar
       Randy Brecker : trumpet
       Oscar Castro-Neves : ac.guitar
       Victor Lewis : drums
       Refael Barata : drums
       Marivaldo Dos Santos : percussion
     


     このメンバーで、面白いのはイリアーヌの前の夫のランディ・ブレッカーがトランペットで特別参加をしているところ。いやはやこの世界は不思議なところがある。

    Eliane62


     勿論このアルバムも彼女特有のボサノヴァの流れで曲を仕上げているが、それは彼女が彼女なりきにプレイするピアノの味を加味したボサノヴァの世界があるのが特徴的なのだ。
     もともとボサノヴァはギターの奏法により描くところから始まっているし、今もその流れは変わっているわけではないが、イリアーヌの場合は彼女自身のヴォーカルつまり中低音域を中心としたソフトな唄い方はこのアルバムでもそのままであり、それによってボサノヴァのイリアーヌ世界がピアノ・プレイと相まって築かれている。
     これは余談だが、もともとこのボサノヴァが生まれた流れはジョアン・ジルベルトに始まるのは取り上げたとおりだが、そのジルベルトがチェット・ベイカーに影響をうけたのと同時に、歌手としては当時ブラジルでも圧倒的人気のあったフランク・シナトラの影響も大きいという。

     このアルバムでは、チェット・ベイカーの関係しての曲の”You don't know what love is”のムードは、中でも私好みの出來。
     その他”Embraceable You”、”Everything Depends on you”、”Girl Talk”等の皮肉にもトランペットなどの入らないで、彼女のピアノが演ずるところが大きいどちらかというとスロー・タッチの曲が、大いに気に入ったところであった。

     彼女のジャズ・ピアニストとしてのアルバムも良いが、こうしたヴォーカルものも一味も二味もあるので、やっぱり忘れずリリースして欲しいところである。

    (試聴)Eliane Elias  http://www.youtube.com/watch?v=CJeKND-rRFQ
              Chet Baker "My Funny Valentine" http://www.youtube.com/watch?v=IzpfZaZfsZg

                 [PHOTO  今日の一枚]

    P6030030monoblog
    (OLYMPUS OM-D E-M5     M.ZUIKO DIGITAL 12-50mm 1:3.5-6.3 EZ)

     

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    2013年6月 1日 (土)

    回顧はつづく(音楽編-11-) エルヴィス・プレスリー Elvis Presley

    キング・オブ・ロックンロールとして20世紀の象徴

     時々昔の唄や曲をふと聴きたくなることがあるが、前回ブレンダ・リーの”好きにならずにはいられない Can't Help Falling Love”の話をしたので、この曲となるとエルヴィス・プレスリーを取り上げないわけにはゆかない。エルヴィスはこの曲を1961年に唄って英国でも一位になっている。映画「ブルー・ハワイ」でお披露目して、そしてその後は彼のステージでは必ずお別れの曲として唄われてきたもの。ロックン・ロールはもちろんだが、こうした彼の唄うスロー・バラードも人気があった。
     ロックン・ロール、ロカビリーという言葉も日本の一般大衆には、エルヴィスによってもたらされたと言っていいし、あの軽快で楽しい音楽というものが日本にとっては如何にも外国の先進性すらも感じ取らせたものであった。

    Imageselvispresley


    エルヴィス・プレスリー
    (本名 Elvis Aron Presley、 1935.1.18-1977.8.16  、アメリカ合衆国ミシシッピ州イースト・トゥペロ生まれ)


     既にエルヴィスのヒット曲をリアル・タイムに喜んで聴いた年齢層は、少なくとも70歳前後になっているわけで、彼の社会に及ぼした”反社会道徳としての評価”のエピソードなどは、現在の若者には全く信じられない昔話の世界となってしまう。なにせ下半身を動かしてリズムにのることすら猛抗議を受けたのであるからやはり1950年代というのは過去そのものであるわけだ。そして自由を売り物のアメリカ社会においてすら、”若者を悪くする音楽”として、排斥運動が展開された。
     エルヴィス自身貧しい幼少時代で育ち、生活環境もメンフィスの貧しい黒人労働者にまぎれてのものであり、そこから黒人音楽の因子(ブルース、R&B、ゴスペルなど)を持ち、カントリー&ウェスタンの流れを取り入れたこの音楽は、人種差別の目からも白人社会として受け入れがたいものであったということだ。そんな中で、1958年には徴兵制度の適応によりエルヴィスは陸軍に招集され、音楽活動も無理矢理中止させられた。
     しかし除隊後の彼を待つ社会には、そんな抑圧を破ってゆく大きな流れは止められず、更にエルヴィスの活動は社会現象となって展開されたのであった。
     こんなロックン・ロールが、その後英国にも飛び火して、営々と続く音楽分野としての”ROCK”となって今日ある事は当時としては考えられないところであった。

    THE ESSENTIAL COLLECTION 「MEGA ELVIS」
    BMG MUSIC   BVCP-850,  1995

    Mega_elvis


     日本に彼の名が轟いたのは、”ハートブレイク・ホテル Heartbreak Hotel”で1956年の話。そしてその後”I Want You, I Need You, I love You”、”冷たくしないでDon't Be Cruel”、”Love Me Tender”、更に更に”監獄ロックJailhouse Rock” と立て続けにヒット曲が届いたのである。 

     まあこれらの曲を始め彼のヒット曲を聴くには、手っ取り早いところで、こんなベスト盤があった。現在も多くのベスト盤があるが、当時のレコード盤よりも音も安定していてこちらのタイプの方が聴きやすい。

    Mega_elvislist


     このベスト盤のTracklistは左のように全27曲。そしてエルヴィスの徴兵義務を果たして後、”GIフルース”のヒットから、1960年になると、”It's Now Never”、”Surrender”、”今夜はひとりかい? Are You Lonesome Tonight ?”など止まるところを知らずヒットは続き、’61年には彼の生涯のステージのエンディング・テーマ曲”好きにならずにはいられない Cant's Help Falling in Love”が唄われ、甘さも十分発揮してファンをうならせた。まさに世界はエルヴィス・プレスリーの一色となったのである。   

     あのロックン・ロール(ロカビリー)のしゃくり上げる唱法は、この1960年代を通して世界の若い世代に支持された。そこには社会の底辺をしっかり掴んだ音楽の色と、若者の主張の大きな場所としての音楽が発見され、そしてヨーロッパでは更に新しいロックの世界が流れ始め、英国のビートルズの誕生となる。

     たまたまこの歴史そのままに生きてきた私にとっては、やっぱりエルヴィス・プレスリーの誕生から始まってロックそのものが世界の歴史に見えてしまう。そんな中での回顧シリーズの一幕でした。         

    (試聴)http://www.youtube.com/watch?v=j6JWdSFGxoE

                 [PHOTO  今日の一枚]

    Dsc_0838blog
    (NIKON D800  AF-S NIKKOR 50mm  1:1.4G )

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