ニッキ・パロット Nicki Parrott : 「思い出のパリ THE LAST TIME I SAW PARIS」
シャンソン特集で・・・・さて如何か?
<JAZZ> NICKI PARROTT 「THE LAST TIME I SAW PARIS」
VENUS Records VHCD-01120 , 2013
ニッキ・パロットが今年も既にこのニュー・アルバム「思い出のパリ」をリリースしている。昨年の”四季シリーズ”の4枚のリリース、このスピードにびっくりしたわけだが、VENUSレコードの商魂か?、彼女のジャズ・ベーシスト、ヴォーカリストとしての人気は確かにあるのだが、そうは言ってもちょっと乱発気味で、中身は次第にジャズを離れてポピュラーものに近づいていく姿がどうも私としては不満なわけで、・・・・そんなところから実は”四季シリーズ”の後に来るものはジャズを究める作品として期待していたのである。(このニッキ・パロットに関しては過去のアーティクルを参照して下さい : http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/cat40025561/index.html )
Parsonnel
Nicki Parrott : Vocals & Bass
Jacob Fisher : Guitar
Gil Goldstein : Accordion
John Di Martino : Piano
Tim Horner : Drums
このアルバムは上記のようなクインテットで、シャンソン・ムードの為(?)のアコーディオンが加わっている。そして今回は何時も必ずと言っていいようにメンバーに加わっていた彼女の姉のLisa Parrottのサックスがいない。それには何かの事情があったか?その点は解らない。
ジャケ・デザインはなかなかちょっとしたムードがあって、彼女は絵になるので旨く納めていて、取り敢えず私としては評価する。
そこで問題は中身だが・・・・・TrackList は、以下の14曲。
1.パリの空の下
2.風のささやき
3.ロシュフォールの恋人たち
4.ヌアージュ
5.セ・シ・ボン
6.シェルブールの雨傘
7.愛の讃歌
8.詩人の魂
9.思い出のパリ
10.セーヌ川
11.ラ・メール
12.バラ色の人生
13.行かないで
14.これからの人生
まあ、とにかく日本でも誰もが聴いているポピュラーな曲のオンパレード。Venusレコードだけあって日本向けは間違いない仕上げである。
”パリの空の下 Under Paris Skies”からスタート、これを聴いて実はがっかりした。もうアコーディオの音と共にシャンソンそのもの。別に唄も悪くないし、これはこれで良いのだろうが、私が期待しているのはシャンソン・アルバムでなくて、ニッキ・パロットのベースを絡めてのジャズ・ヴォーカル。そんなところからはほど遠い。まあ彼女の歌が聴ければ良いというファンも居ることだろうし、この仕上げの方が一般には受け入れやすいのかも知れないが・・・・・。と、私にとっては期待外れ。
続く”風のささやき”、そうそうこの方がニッキ節が感じられて良い。続く”ロシュフォールの恋人たち”、”ヌアージュ”になってようやくジャズ・ヴォーカルのムードが臭ってきた。
とにかく”シェルブールの雨傘”、”愛の讃歌”・・・・・などなど、もう名曲というか日本中で愛された曲というか誰もが聴く曲で埋め尽くされて、ニッキの歌声がたっぷり溢れている。そして難しいアレンジもなく聴きやすい。実は・・・そんなところが少々物足りないのである。それでも”愛の讃歌”あたりは、彼女の特徴である"かまととっぽいキュートな感じ"を出しつつ、やや熟女の味もちらっとみせてファンを楽しませてくれるというところなんでしょうね。
録音は良好であるが、ジャズ度は低い(最後の”これからの人生”がジャズっぽさでは光っている)。これでは先日紹介の女性ジャズ・ベーシストのBrandi Disterheftや、若手のDenise Donatelli あたりに遅れをとりそうだ。だがアルバムとしてはまとまっているとも言えるのではないかなぁ~それはそれで良いとして、かっての彼女のベースとピアノとのデュオ・アルバム「Peaple Will Say Were In Love」、テナー・サックスとクラリネットのデュオ・アルバム「Like A Lover」のようにジャズに挑戦してゆくニッキ・パロットを期待しつつ・・・・・、今回のアルバムの感想であった。
(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=oiEuMNxDrfI
[PHOTO] 今日の一枚
(OLYMPUS PEN E-P3 M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm 1:3.5-5.6 撮影2011at Seine)
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