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2013年7月 4日 (木)

ポーランド・プログレ=クィダムQUIDAM 「ALONE TOGETHER」

知らぬ間に男らしくハードに・・・・そしてプログレッシブな叙情美を聴かせる

 先日取り上げたポーランドのロック・グループ”Riverside”によって、久々にこのところ東欧(ポーランドは中欧といったほうがよいかも知れないが、東西冷戦時代としては東欧に入ってしまう)のプログレッシブ・ロックを回顧したり、聴き逃したものを今になって聴いているところである。もう昔話になるが(1983年)、何せ東欧と言えばハンガリーのソラリスSOLARISには驚かされたものだ。フルートとギターでシンフォニック・ロックを展開したあの音は忘れられない。そしてそれこれ忘れかけた10年以上経て、今度はポーランドのクィダムQUIDAMが出現。やはりフルート、ギターで叙情的な世界を聴かせてもらった。

<Progressive Rock> QUIDAM 「ALONE TOGETHER」
          ROCK-SERWIS  RSCD-068 ,  2007

Quidamalonetogether

 あの深淵で、そして女性ヴォーカルがアンビエントな世界を聴かせてくれたクイダム。しばらく遠ざかっていたが、このあたりで近作があれば聴いてみようと探したところ手に入ったのはこの2007年作。いや~結構ご無沙汰していたんだなぁ~~と・・・・・・(この後5年の経過があって2012年に6thアルバム「Saiko」がある~これは又次回に)。久々に彼等のプログレッシブ・ロックを聴いてみたというところなのである。

 まずなんと言っても決定的な変化はヴォーカルである。私が惚れ込んだ2002年の3rdアルバム「THE TIME BENEATH THE SKY」(原題「Pod Niebem Czas」)は、当時の欧州各地では、ゴシック・メタルの流れが盛んである中で、メタル色の無いゴシック・ロックというか、しかもシンフォニックで、決定的な特徴はアンビエントな流れを聴かせ、クリスタル・ヴォイスの女性ヴォーカル(エミラ・ダーコウスカEmila Derkowska)によるメロディアスな世界が襲ってきたのであった。ところが、今回手に入れたこの5thアルバムとなるこの「ALONE TOGETHER」はなんと男性ヴォーカルである(この前の4thアルバムからの交代)。そしてあの頃と違って結構ハード・ロックっぽい音も聴かれて知らぬ間の大変身。

Quidam2 このバンド・メンバーをみると、かってのように6人編成。
    Zbyszek Florek : keyboards
     Maciek Meller : Guitar
     Bartek Kossowicz : Vocals
     Mariusz Ziółkowski : bass
     Maciek Wròblewski : drums
     Jacek Zasada : flutes

 
 それでも変わらないのはフルート、ギター、キー・ボードのメロディー隊の3人である。そして女性リード・ヴォーカルのエミラに変わった男性ヴォーカリストはパ-テックという。エミラはポーランド語のヴォーカルであったが、このバーテックは英語で歌う。このあたりは一つのインターナショナルな発展性も期したのであろうか。
 何せ出だしがダイレクトに男性ヴォーカルでスタート。ちょっとバンドが変わったのかとも思われたくらいだが、なになにやはりクィダムだ、泣きのギターとあのフルートがかってのように哀愁を誘いピアノの音がそれをカヴァーするが如く流れる。

Quidamalonetogetherlist
 収録曲は9曲でプログレらしく曲は長い。3曲目の”Depicting Colours of Emotions”は、10分を超える曲。最初のメロディーはフルートによって導かれ、ヴォーカルも叫ぶのでなくやや暗めではあるが抒情性豊かな唄い回し。曲展開はこれぞクイダムといったメロディアス・ロックであり、泣きギターあり壮大なシンフォニックな世界をも聴かせてくれると言ったプログレそのもの。
 ”Of illusion”は、結構ハード・ロック調でしかもパーカッションが活動的、フルートも結構暴れるところが面白い。最後はギターが泣き叫ぶ。
 そして一転して”We lost”は、やさしく泣くようなギターが心に浸みる。中盤はリズムカルに転調してシンセの調べをバックにやはり哀愁のヴォーカル。ギターとフルートが詩情豊かにメロディーを流す。最後はややヘビーなサウンドとメロディーが交錯して盛り上げる。
 Maciekのギターは主としてギブソンだが、”One day we find”のギターは、ピンク・フロイドのギルモアを感じさせるストラト(?)ぽい音が流れるところもある。

 このアルバムより数年前のクイダムと比較すると、ポーランドらしい哀愁のメロディーは変わらない。特にやや暗めであるが荘厳な曲も特に”We are alone together”に聴かれ、哲学的孤独感が感じられる曲。そしてその締めくくり方もプログレそのもの。
 結論的にはこのアルバムは、全体にはハード・ロック調が増して男性的なバンドに変化したところが聴ける。

 2000年前後という比較的最近のポーランドのプログレの一翼を担うクイダムを思い出して、2007年のアルバムを聴いてみた。プログレの位置を表すには、フロイド、クリムゾン、イエス、ジェネシス、ELPあたりと比較すると良いのだが、このバンドは2/3はフロイドよりってところと言っていいと思う。う~~ん、ここにもプログレは健在であったことに万歳である。

Quidammembers2

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=TNNuQSan5_E

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コメント

ほぉ…これはこれは…、初耳です。ポーランドってそんなに色々あったんですね。しかもフロイド的な音ですが、興味津々なので後ほど聴いてみます。あれからRiversideも結構聴いていてなるほど…と唸ってたりするので、こちらも大いに期待できそう。好みからは女性ボーカル時代からかな…など考えたり(笑)。

投稿: フレ | 2013年7月 4日 (木) 21時20分

フレさんにも是非聴いていただいてご評価お願いします。Riverside とは若干違うのですが、やっぱりポーランド、叙情性豊かです。そうですね、エミラ嬢は現在別どころで歌ってますが、それが又なかなかクリスタル・ヴォイスです。アニー・ハズラムを超えような(笑い)美しさですので、古い方からというのも大賛成です。しかし男になったこのアルバムもなかなかいいです。

投稿: 風呂井戸 | 2013年7月 5日 (金) 09時05分

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