アングラガルドÄnglagårdは健在か?18年ぶりの3rdアルバム「Viljans Öga」
20年前、我々を生き返らせてくれたスウェーデンからのプログレ~ここに復活
<Progressive Rock> ÄNGLAGÅRD 「Viljans Öga」
Anglagard Records ANG03CD , 2012
プログレッシブ・ロックの寂しき時代に北欧スウェーデンから我々を慰め生き返らせてくれたアングラガルドAnglagardは1992年デビュー(1stアルバム「Hybris」)だったんですね、いやはや既に20年の経過。この時の流れは、おそろしく早かったように今にして思う。当時プログレのどん底時代、北欧から復興ののろしを上げてくれたのだった。
そして2ndアルバム「Epilog」が1994年、そして彼等は解散してしまった。この早い解散は、一つにはプログレが商業ベースにないこと。二つ目はバンド内部対立が激しく続行不能状態というような話が聞かれた。
この2枚のアルバムを紹介してくれたのはあのマーキームーン社(BELLE ANTIQUE)だった。当時は今のようなネット情報社会で無いため、マーキーは我々の頼りの一つであった。
それがなんと18年ぶりにニューアルバムが登場した。この間彼等はどうしていたのだろうか?、私にはその情報を持っていない。しかしなにはともあれ歓迎である。現在音楽の国ポーランドで盛んなプログレ系ロック、北欧東欧などその先駆けはスウェーデンであったこと(アネクドテンしかり)は間違いない。その彼等がここに復活したのだから・・・喜ばしいことである。
members
Jonas Engdegård : Guitars
Anna Holmegren : Flute, tenersax
Johan Brand : Bass
Mattias Olsson : Percussions
Thomas Jonson : Keyboards
メンバーをみると、かって6人バンドであったが、ベースが変わっていて、ツイン・ギターの一人がいない5人バンドになっている。アンナのフルートは健在で、その美をアコースティックなスリリングな変則的リズム変化のサウンドのアンサンブルで深遠な世界から荒々しく展開する世界を構築するに十分なメンバーだ。
TrackList は4曲(左)。今回も彼等のアルバムらしく長曲が並んでいる。全曲インスト曲。アコースティックな演奏の美しさと切れのある激しく荒々しい流れ、そして暗い陰鬱な世界。このあたりの曲作りの発想は、ベースにキング・クリムゾンの流れのあることは間違いないが、彼等自身が独特に築くアンサンブルの美学のそのパターンは1stから継承されている。
あの暗い森の中に池が有りそれが人の顔になっている2ndのジャケは忘れもしないが、あのアルバムの曲も静はクラシック音楽的なアプローチで幻想的世界に導き、動への展開が荒々しくそれは暴力的な展開で圧倒されたわけだが、そのあたりのスリリングなところは、この新作ではややマイルドになっている。かってバンド自身の内面的問題を抱えつつバトルを展開したバンドと、18年経過し現在は一つの安定が得られての復活劇であろうから、そこには彼等のミュージックに向かう姿勢も自ずから変化をとげているに違いない。
”Snårdom”の荒々しさから美へ、それに続く”Längtans klocka”への30分に及ぶ曲の流れ、まさにアングラガルドの再来を実感できるところである。
しかし今ここに来てのアングラガルドの復活劇の意味する物は何なんであろうか?、これはこれに続く作品が登場するにつれ明らかになるものと思っている。
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コメント
さすが先見の明がある風呂井戸氏、相変わらず的確な描写と示唆に富む記述に驚くとともに感銘を受けたところです。
彼らの音楽観の一部、静的な部分と動的な部分が融合しているところや、復活劇の意味するところなど解釈の余地を残しているところもまた神秘的です。
今後の展開が待ち遠しいバンドですね。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2013年12月 5日 (木) 22時45分