ポーランド・プログレ=コラージュCOLLAGE「MOONSHINE」
1990年以降のポーランド・プログレ活動の一つの原点
このところ、音楽の国ポーランドのプログレッシブ・ロックに焦点を当てている。既にQUIDAM(参照①)、Riverside (参照②)、BELIEVE(参照③)などを取り上げてきたので、それならコラージュCOLLAGE もと言うことになる。
<Progressive Rock> COLLAGE 「MOONSHINE」
Metal Mind Production MMP CD 0231 , 1994
1990年代になんとなく湧いて出てくるプログレッシブ・ロック、それは70年代に圧倒的支持を得ながらも、ロックの原点回帰によって80年代は寂しい時代となった。しかしこの流れはロックを音楽という眼で見つめ深めようとする流れと、一方哲学的に社会現象、人間探求の道に歩もうとするこの両方の姿は嬉しいことに決して無くなることも無かったのである。特にヨーロッパでは、イタリアが先陣を切りそして音楽を愛する北欧、東欧に再び姿を現して来たのであった。
そんな中での貴重なポーランドのバンドが、このコラージュCOLLAGE だ。そして彼等の残した傑作が1994年のこの2ndアルバム「MOONSHINE」。
(Members)
Robert Amirian : Vocals,
Piotr Mintay Witkowski : Bass
Mirek Gil : Guitar
Krzysztof Palczewski : Keyboads
Wojtek Szadkowski : drums
このような5人バンド、実はこのメンバーから後にプログレ・バンドのサテライトSATELLITE、(2003年)そしてビリーブBELIEVE(2006年)が生まれるのであるが、その話は後にして、彼等のロックの世界を語ってみる。
とにかくこのコラージュは、メンバーそれぞれの演奏技術は非常に高いのが特徴で、そしてそれぞれの音が折り重なって展開するのだ。
TRACKLISTは左。とにかくオープニングが格好良くて圧巻。シンフォニック・ロックそのものをゆく。
やはり特徴はGilのギターのメロデックな演奏。そしてキーボードのサウンドが絶妙にメロディーを支える。
そして面白いのは曲作りは、もちろんギターの Gil が主役を成すのは解るのだが、主としてドラムスの Szadkowski が担当しているところだ。Lyrics も殆ど Szadkowski が書いている(英語)。
このバンドの演奏は各楽器が一斉にそれぞれが自己のセンスで自己の世界の演奏を展開して、それがシンフォニックに洪水の如く押し寄せて合流してゆくというパターン。と言うとお解りでしょうが、プログレの世界を語るにいつも言うところのクリムゾン、フロイド、イエス等と比較してしまうのだが、このバンドはどちらかというと、フロイドではなく、もちろんクリムゾンでもなく、イエス、ジェネシス寄りのタイプである。
そしてポーランドらしく、やや薄暗さを感ずるところもあるが、やや変形シンフォニックというかそんなところに美しいメロディーが出色なバンドというところだ。私のようなフロイド、クリムゾン派にとってみると若干好みに違いがあるのだが、こうゆう世界も貴重なのである。
そしてこの名盤をリリースしたのが1994年で、この後1995年に3rdアルバム「SAFE」をリリースして彼等はしばらくのライブ活動展開後に解散。そのあたりの事情は良く解らないが、なんと2003年になって、ニュー・バンドのサテライト(1stアルバム「A Street Between Sunrise And Sunset」)を結成することになる。
(参照) ①「QUIDAM」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/alone-together-.html
②「Riverside」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-044e.html
③「BELIEVE」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/believe-world-i.html
(試聴) COLLAGE ”Heroes Cry” http://www.youtube.com/watch?v=tABoKXcGXIA
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- レイヴェイ Laufey 「Bewitched」(2023.09.28)
- ミシェル・ンデゲオチエロ Meshell Ndegeocelle「The Omnichord Real Book」(2023.09.23)
- アロン・タラス Aron Talas Trio 「New Questions, Old Answers」(2023.09.17)
- カレン・ソウサ Karen Souza 「Suddenly Lovers」(2023.09.12)
- ビル・エヴァンス・リマスター・シリーズ Bill Evans 「Waltz for Debby」etc(2023.09.02)
「ROCK」カテゴリの記事
- ウィズイン・テンプテーション Within Temptation 「Wireless」(2023.08.12)
- ピンク・フロイドの頭脳・ロジャー・ウォーターズ「新『狂気』」10月公開 Roger Waters 「The Dark Side Of The Moon REDUX」(2023.07.23)
- ロジャー・ウォーターズ 2023欧州ライブ プロショット映像版 Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE 2023」(2023.06.23)
- イメルダ・メイ Imelda May 「11 Past the Hour」(2023.05.04)
- レベッカ・バッケン Rebekka Bakken 「Always On My Mind」(2023.04.23)
「ポーランド・プログレッシブ・ロック」カテゴリの記事
- ポーランドのプログレ ANAMOR 「ZA WITRAŹEM」 (2019.02.18)
- リバーサイドのニュー・アルバムRiverside「WASTELAND」(2018.10.10)
- クィダムQUIDAM (波蘭プログレ)の変身を2枚のライブ映像で・・・・(2013.07.31)
- レボウスキLebowski 「Cinematic」=ポーランド・プログレの新鋭の傑作(2013.07.20)
- ミレニアムMillenium の 9thアルバム「Ego」~ポーランド・プログレの花(2013.07.22)
「Progressive ROCK」カテゴリの記事
- ピンク・フロイドの頭脳・ロジャー・ウォーターズ「新『狂気』」10月公開 Roger Waters 「The Dark Side Of The Moon REDUX」(2023.07.23)
- ロジャー・ウォーターズ 2023欧州ライブ プロショット映像版 Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE 2023」(2023.06.23)
- ロジャー・ウォータース Roger Waters 「The Lockdown Sessions」(2022.12.12)
- ロジャー・ウォーターズ Roger Waters 「Comfortably Numb 2022」(2022.11.25)
- ドリーム・シアター Dream Theater 「Rock in Rio 2022」(2022.11.21)
コメント
ポーランドのプログレ伝道師といった感がある風呂井戸氏の最近のブログに感銘を受けています。このまま東欧地域全般から欧州一体へと広げていってほしいです。
暑さに負けずに頑張ってください。
ところでひとつお願いがあるのですが、パソコンを7に変えてしまい、風呂井戸氏のメルアドを旧式のパソコンに保存したままです。できればカラメールでいいので、私のパソコンに打ってもらえないでしょうか。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2013年7月 9日 (火) 21時49分
プロフェッサー・ケイさん、コメントどうも有り難う御座います。ポーランドはまさに音楽の国でもありますね。国民も音楽への理解は高いようです。つまり大切にしてくれるというところですね。
ジャズ畑もなかなか魅力がありますし、ロックはやっぱりお国柄、私の好きなプログレ系に実力があるように思います。
カラメール、アドレスに自信は無いのですが・・・打ってみます。
投稿: 風呂井戸 | 2013年7月10日 (水) 09時57分