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2013年7月31日 (水)

クィダムQUIDAM (波蘭プログレ)の変身を2枚のライブ映像で・・・・

QUIDAM のロック・バンドとしての挑戦

 既にここでQUIDAMの話は3回目になる。このポーランドのプログレッシブ・シンフォニック・ロック・グループは、リード・ヴォーカルにエミラ嬢Emila Derkowskaを擁した1期と、現在の男性6人グループとなった2期とでは、本質的変化は無いとは言え、やはりイメージはかなり変わったといっていい。
 そのあたりは、ライブ映像で観ると、同じサウンドで同じ曲を展開してもイメージは大きく違うのが面白い。そんなところをここで2つのDVDによってチェックしてみる。

<DVD>  QUIDAM 「SEE EMILY PLAY - LIVE BOOTLEG」
          Live at Teatr MIejki in Inowrocłow, Poland,  16th feb 2003 ( Release 2009)

Quidamno2members

Quidambootleglist
 オフィシャル・アルバム「POD NIEBEM CZAS」(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/quidam-rdthe-ti.html)2009年再発豪華版に付いたオフィシャル・ブートレグである。2003年のポーランドでのステージで、映像はマルチ・カメラで撮っているし、サウンドもそれなりに70点でエミラ嬢の多分最後のステージということであろうが、彼女の奮戦と、当時までこのQUIDAMというバンドの狙い線がみえて楽しい。 

 Set-List は左のように19曲。一日のステージをたっぷりみせてくれる。Jacek Zasadaのフルートが入り、そこにMaciej Mellerのギターが泣いて、実はその両者のムードのギャップがこのバンドの特徴のようなものだ。フルートとエミラ嬢のクリスタル・ヴォイスの唄声がちょっとゴシック調でありながらアイオナ風のトラッドっぽいムードを造るのだが、そこにそう似つかわしいと思わないキャメルやピンク・フロイド風のギターとキーボードでプログレ・ロックっぽく盛り上げて曲を纏め上げる。そのあたりがなかなか一風変わった味があってこれが又私が注目するところであった。

<DVD> QUIDAM 「The Fifth Season」
              ~LIVE IN CONCERT~
           WYSPIANSKI THEATRE KATOWICE, 15th Nov. 2005
                                            (released in 2006)

Quidamfifths さてこちらがリード・ヴォーカルがエミラ嬢から男性のBartek Kossowicz に変わってのステージ映像。彼は表情がちょっと若き頃のピンク・フロイドのギルモアに似ているところがご愛敬。そして声を張り上げずにソフトにマイルドに唄う。
 この映像盤は、もちろんオフィシャルものであり、十分の映像とサウンドが堪能できる。
 はっきり言って、彼等は女性ヴォーカルでもゴスペル寄りの彼女に見切りをつけて、英語のリード・ヴォーカルでロック・バンドとしてインターナショナルな発展を期したのではないかと思う。そしてかなりハードな演奏とメロディアスでムードある叙情性豊かな演奏の交錯は彼等の初期からの持ち味ではあるが、イメージはかなり変わっている。ヴォーカルが女→男でこうも変わるのかと思うところ。良く聴くと演奏の方法論はそう大きく変わっていないのであるが、ソフトなヴォーカルでその位置を下げギターの占める位置が前面になっているところがポイントか。その為ロック・バンドとしての演奏に重きが増してきた。
 この彼等の変身は、多分この方が世界的には認知されてゆきそうだ。ロック・ファンとしては、この男性化したQUIDAMに大いなる期待をしたい。、

 このDVDにはインタビューも納められており、彼等の歩みの話も聞ける。初期はキャメルをイメージし、男性化した近年はポーキュパイン・ツリーも視野に入れているというところのようだ。しかし彼等の独自の世界は常に頭に入れているらしい。

Songs / Tracks Listing 
1. Hands off
2. Queen of Moulin Rouge
3. SurREvival
4. Sanktuarium
5. Oldies but Goldies : including excerpts from  List z pustyni I ,  Pod powieka ,
    Plone, Wesola , Jest taki samotny dom , Niespelnienie ,Gleboka rzeka
6. No Quarter (guitar solo from "Quimpromptu")
7. The Fifth Season (including excerpts from Genesis' "Los Endos")
8. Credo
9. Everything's Ended
10. Jestes (including excerpts from K. Komeda's "Lullaby" of "Rosemary's Baby")
11. Not So Close (including excerpts from Joe South's "Hush")

収録曲はこんなところだが、上のオフィシャル・ブートレグと同じ曲としては注目曲のレッド・ツェッペリンの”No Quarter”が視聴出来る。エミラ嬢とバーテックの違いと同時に、明らかにこの2005年ものには、2003年に比してロックとしてのハードな味とメリハリが高まっていることが解る。彼等の狙いはここにあることがこの曲で見て取れるのだ。ロック・バンドとしての挑戦が始まっている。頼もしい。
 又注目は、ちょっと考えられないあのポーランドのジャズの神様のクリストフ・コメダの曲”Lullaby”、”Rosemary's Baby”をやってみせるところだ。こんなところが彼等のミュージックを究めようとするバンドの一端が観れる。(参考②)

 この変身は、バンド・メンバーの一新も計っている。中心のギター、フルート、キーボードの3人は不動で、新メンバーとしてドラムス、ベースを迎えている。
  Line-up / Musicians

Quidammembers4
(写真 左より)
Zbyszek Florek / keyboard
Maciej Meller / guitar
Bartek Kossowicz / vocal, chorus
Maciek Wroblewski / drums
Mariusz Ziolkowski /bass
Jacek Zasada / flute

Guest musicians:
- Robert Mowalski "Myca" / chorus (2, 3, 4)
- Grzegorz Nadolny / contabass (4)
- Pawel Molenda ''DJ Paulo'' / scratching (6)

(参考) ① http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/alone-together-.html
      ② http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/nbs.html

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=yILeZDZYx2Q
     http://www.youtube.com/watch?v=ob3r42VEYRE

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2013年7月28日 (日)

ポーキュパイン・ツリーPorcupine Tree(2):日本盤初登場のネオ・プログレ・アルバム「DEADWING」

日本盤として初登場のヘビー・メタル色とサイケと叙情とネオ・プログレの世界

<progressive Rock> PORCUPINE TREE 「DEADWING」
                         LAVA Records  93812-2  ,  2005

Deadwing 

 ポーキュパイン・ツリーPorcupine Tree についてはここに連続登場である。それは日本に於けるポイントはこのアルバムであるからだ。彼等の過去のアルバムのリリース活動とは裏腹に、日本盤の登場がなく、考えてみれば日本盤初登場は2006年でこのアルバムだった。つまりバンドとしての活動から10年以上の経過でようやく日本でお目見えしたわけだ。しかしここまでのスティーヴン・ウィルソン自身もバンドと共に変化を遂げてきたわけで、このアルバムになると、どちらかというとヘビー・メタルよりのサウンドで迫ってきたところから、むしろそれは一般ロック・ファンにはうまく入り込めたのではなかったかと思う。
 まあそんなことからこのアルバムは印象深いものであるし、この年には彼等の姿がみれるライブ映像も出現して、それまでの10年の積み重ねは嘘のごとく、あっという間に日本でもファンを獲得した。

Deadwinglist
 このアルバムは左のように9曲収録されているが、隠しトラックがある。1曲目がアルバム・タイトル曲の”Deadwing”で、最初から叩きつけるメタリックなサウンドに驚いたものだ。この曲にはキング・クリムゾンのAdrian Belewがゲスト参加している。しかし後半には例の如く彼等の静の部分も見えて、相変わらずの起伏豊かな曲作りに圧倒されるのだ。
 いずれにしてもこのアルバムにおいても多彩そのもの。ウィルソンは完全にアルバム一枚をトータルに一つの世界と考えており、3曲目”Lazarus”優しいヴォーカルに美しさも聴かせ、中盤からは古典的ハード・ロック・スタイルから、アンビエントなサウンドも、そして”Arriving somewere but not here”では前半プログレ、後半ヘビー・メタルそして又そのあと美しいギターの調べと圧巻。
 ”The start of something beautiful”は、このバンドの重要メンバー元Japanのリチャード・バルビエリのキー・ボード、シンセサイザーも効果をあげ、泣きのギターとフロイド流のプログレ色の濃い曲も登場させる。とにかくウィルソンのサウンドを重視してのアルバム構成は見事で完成度が高く飽きるところを知らない。(メンバーなどは「The Sky Moves Sideways」紹介記事参照)

<DVD> PORCUPINE TREE 「Arriving somewhere...」
   ~Filmed at The Park West, Chicago, USA, 11-12.Oct.2005~
               WHD Entertainment  IEBP-10007/8  ,   2005

Dvdarrivingsomewhere
 これはポーキュパイン・ツリーのライブ映像盤。丁度上のアルバム「DEADWING」リリース時のステージが観れる2005年シカゴのライブ。演奏内容も、このアルバムから5曲が登場する。

 ライブではこのバンドの4人のメンバーに加えてその後も起用される第2リード・ギターのJohn Wesley が加わってツイン・ギター体制。スティーヴン・ウィルソンはアルバムを仕上げる技術師だから、自己のマルチ・プレイヤーの能力発揮にも、オーバー・ダビング等も当然行っており、そんな意味でもステージではサポート・ギタリストは必要である事は想像に難くない。
 このライブ映像盤も、彼等のものだけあって、映像はかなり凝っている。モノクロや疑似フィルムもののタイプを交錯させて仕上げて、単なるステージ撮影というものでなく、これは映像世界としての彼のこだわりも見て取れる。このあたりは彼等の演奏をしっかり見たいという面からは賛否両論あろうが、これはこれ一つの作品として成り立っている。(参考までに、2010年の映像盤「anesthetize」はブルー・レイでじっくり彼等を美しい画像とサウンドで観れる)

Dvdarrivingsomewherelist
左にこの映像盤の収録曲を示す。

 なおDisc2もあり、そこにはメンバーの諸々の映像、Photoなどや、プロモフィルムも登場させ、サービスたっぷり。

Porcupinephoto4b

(試聴) "Arriving Somewhere but not here" http://www.youtube.com/watch?v=ug8CWIasWi8   
           "Deadwing"  http://www.youtube.com/watch?v=GMEwM3YHiME

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2013年7月25日 (木)

ポーキュパイン・ツリーPorcupine Tree 「The Sky Moves Sideways」~ご本家ブリティッシュ・プログレの迫力

クリムゾンからピンク・フロイドまでを凌駕する

 久々にご本家ブリティッシュ・プログレッシブ・ロックに目を向けたい。嬉しいことに70年代プログレの波は世界各地でそれなりに現代においても、脈々と流れ繋がっていることで、特に東欧・北欧に注目することが多いというところ。そんな中で意外にご本家ブリティッシュ・プログレの重要なところをご粗末にしていて叱られそうであるので、ちょっと恰好付けに「ポーキュパイン・ツリー」でお茶を濁すという始末であります。

<Prigressive Rock> PORCUPINE TREE 「The Sky Moves Sideways」
              KSCOPE   KSCOPE124  ,     (originai  1995)

Theskymovessideways

 ご存じスティーヴン・ウィルソンSteven Wilson 率いるブリティッシュ・プログレの今や重鎮バンドのポーキュパイン・ツリーpocupine tree。ここで登場させるは、彼等の20年の歴史の多くのアルバムの中から、バンド結成2年後1995年リリースの3rdアルバムである。もう18年前にならんとしているこのアルバムをここで取り上げるのは、彼等の近作(2009年)の「THE INCIDENT」がそれほど評判良くなかったといことでなく(私は結構気に入ってますけど)、これは当時ギルモア・ピンク・フロイドが進歩なしの「対 DIVISION BELL」をリリースした翌年のリリースであり(実は私はこの3rdは、リリース当時は日本盤のリリースはなく、まだ知らずに少々遅れて知ったのであるが)、なんと言ってもプログレの暗黒時代にユーロ・ロックの発掘で欲求不満を解消し、それも種尽きの頃に、なんと英国にこんなプログレッシブな現代版ピンク・フロイドと言って良いアルバムがある事を知って歓喜したものだった。当時、ネオ・サイケデリック・プログレッシブ・ロックなんて言ったりして感激し万歳したのである。そんなところから彼等の話になると、どうしても先ずはこのアルバムを登場させたいわけである。
 そしてここに紹介したアルバムは後に再発した2枚組豪華盤。若干曲の配列が変わり、又alternate version とbonus track が加わっておりお勧め盤。

Wilson
 ピンク・フロイド系サウンドであるのだが、皮肉にもリーダーのスティーヴン・ウィルソンにはクリムゾン系が支えているから面白い。彼は多彩なギターのサウンドを聴かせてくれるが、時にギターのゲストを加えツイン・ギターにしてサウンドを現代風にも変化させる。又この作品には、Gavin Harrisonが参加して、攻撃的なサウンドを展開しているし、この後のアルバムにはRobert Frippがゲストで登場したり、更にAdrian Belewもギターで参加したアルバムもある。そして後にウィルソン自身エンジニアとして、クリムゾンの作品のリマスターに手を付けている。
 面白いのは、このバンドによるアルバムは一枚一枚性格を異にするのでプログレッシブと言えばプログレッシブであり、フロイド系好みならまずはこのアルバムでしょうね。しかし最近のメタル色のあるアルバムもドリーム・シアターとは一味違う”フロイドのメタル版”みたいで楽しいのだ。
 とにかく多芸な彼だが、2010年にはスウェーデンのプログレ・バンドOpethとStorm Corrosionを結成したりしている。

さて話はもどってこのアルバム・・・・・
members
   *Steve Wilson : guitars, key, vocals
   *Richard Barbieri : synthesizers, key
   *Gavin Harrison : drums
   *Cris Maitland : percussion
   *Colin Edwin : bass
    Suzanne Barbieli : vocals
    Rick Edwards : percussion
    Theo Travis : flute            

  (*印 中心メンバー)

Theskylist
 こちらの再発豪華盤は左のようなCD2枚組、とくにアルバム・タイトル曲”The Sky Moves Sideways”は組曲になっていて、当初6曲より成り立っていた。従って35分の長曲。かってのピンク・フロイドの”Shine On You Crazy Diamond”のように二分割してスタートと締めくくりに分けている。この曲は山あり谷あり、深遠な海有り水平線有りで満足のピンク・フロイド世界を知らされる。
 ”The Moon Touches Your Shoulder”はアコギと静かなヴォーカルで始まり、そしてエレキ・サウンドを堪能させまさにピンク・フロイド。
 バンドになっての2作目であるが、曲によってメンバーが異なるのもまだまだウィルソンのユニット色が強いところ。特に”Dislocated Day”は彼のマルチ・プレイにGavin Harrisontが効果をあげているのか?攻撃的で刺激的で面白い。いずれにしても、フロイドとクリムゾンを聴く感じで欲張り向きだ。この曲の効果によりアルバムの味付けが素晴らしい。

Porcupinetreemembersb

 いまでも、このポーキュパイン・ツリーはプログレッシブな変化を遂げつつある。曲も攻撃性と抒情性の織り交ぜが巧み、ギターもヘヴィーであったりアコギの美しさがあったり、そして不思議とフロイド色が必ず見えるところが私を泣かせるのである。まずはこの私にとっての感動の3rdアルバムを紹介したのだが、この後の彼等の多彩な変化も注目度が高い。当然そのあたりにも機会をみて焦点を当てるつもりだ。

(試聴 ) http://www.youtube.com/watch?v=yGc66wTvmVE

 

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2013年7月22日 (月)

ミレニアムMillenium の 9thアルバム「Ego」~ポーランド・プログレの花

ここ十数年の健闘を集約した今年のこのアルバムは聴きやすかった

<Progressive Rock> MILLENIUM 「EGO」
                  LYNX MUSIC LM80-DG ,  2013

Milleniumego

 さてさて、ポーランドのプログレッシブ・ロックもフロイド派 Riverside、 Quidam 。そしてイエス派 Collage、 Satellite などなど話題は尽きないが、そこはポーランドだけあって彼等はやっぱりそれなりに自分の世界をしっかり持っていることは、今まで語ってきたところである。
 そこで今度は、どっちかというとジェネシス派のミレニアムMilleniumだ、そうは言ってもやっぱりジェネシスそのものではない。ポーランドという国は、国民の基礎にしっかりとポーランドの伝統の音楽の血が流れていて、特にロックにおいてはプログレ派に非常に馴染みやすいのである。彼等も叙情的な世界もたっぷり聴かせてくれる。人によっては聴き方でマリリオンっぽいとか、フロイドの流れも感ずるとか、まあそれは聴いてのお楽しみ。

Milleniummembers
 さてこのアルバム「Ego」のミレニアムは5人バンドでピーター・ガブリエルばりでありながらややハイトーンのヴォーカル担当のGallがじっくりと唄って聴かせてくれる。そこに素晴らしいメロディーを持って、Plonkaは泣きのギターも響かせてくれるので飽きるところが無い。なんとゲストに女性ヴォーカルを迎えてバックを美しく流す。

 2000年にデビューして、これは彼等の9作目と実に多作。かって「Exist」なる私が興味を持ったアルバムがあったが、ここに来て彼等はポーランド・プログレの中心的バンドに育ちつつあるといったところ。

Milleniumegolist
さて収録曲だが、左のように、プログレらしく10分前後の曲が4曲。
 とにかくメロディアスなシンフォニック・ロックを聴かせてくれる。
 どうもテーマはちょっと明るそうな世界では無いのだが、曲のイメージはそう暗さは無く、物語りを聞いている感じにアルバム・トータルに聴きやすく流れる。

Milleniumphoto2
オープニングのアルバム・タイトル曲”ego”のシンセの音の流れをバックにしてのギターの音で、もう聴き耳を立ててしまう魅力がある。何となく壮大な物語の始まりを示唆しているような曲。メタル色は全くなく全体にゆったりと流れる。この曲は後半の盛り上がりとギターの泣き叫びもいい。最後は美しいピアノの調べ。もちろんGallのヴォーカルの歌詞は英語であって耳に馴染みやすい(初期のアルバムはポーランド語)。なかなか纏まって良く出来た曲だ。
 そして ”dark secrets”の序盤の泣きギターは確かにギルモアの音に似ているところがあって、フロイドに似ているという人のいるのも解るが、キー・ボードのパターンが少々異なっているし、全体的にはメロディーが溢れていてロジャー・ウォーターズの内省的な深刻性のフロイド流とはこのアルバムではちょっと違うと思う。
 ”when i fall”のピアノは実に美しく、中盤のシンフォニック・サウンド、そして後半へ流れるギターも美しさに満ちている。
 

 彼等はスタートは1998年「Framauro」というバンド名でスタートして、2ndから「Millenium」に改名している。そして既に十数年順調に9枚のアルバムをリリース。自己のパターンをしっかり堅持してここに来ているところは立派。見方を変えれば、つまるところポーランドにはロック界に於いてもプログレッシブなミュージック探求派を支える母体があるというところだと思う。

Milleniumphoto

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=YfZv7SLJTj4

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2013年7月20日 (土)

レボウスキLebowski 「Cinematic」=ポーランド・プログレの新鋭の傑作

何か、大きく発展の予感のユニット~これが新人?
”Music for a non-existant Film”の世界

<Progressive Rock> Lebowski 「Cinematic」
                         Lebowsi  CD 001,  2010

Lebowskicinematic

 これは完全にジャケ買いしそうなアルバム。そしてその結果は決して間違いでは無い。これぞポーランドの奥深さ、新鋭プログレ・バンド「レボウスキLebowski」 のデビュー・アルバム。彼等の情報があまり無くて解らないが、2005年に結成したいる。バンド名は映画の゜”Big Lebowski”が関係しているようだ。
 恐ろしくサウンドが美しく、全曲インストゥメンタルであるが、時に語りが入り、更にゲストの女性の声が憂いある美しさで流れて、まさに”cinematic”。キャメル、ピンク・フロイドというところが彼等の基礎にあるらしい。そして映画というものを想定しての作品とみてよい("music for a non-existant Film"と表現されている)。
 このアルバムは2010年リリース。既に3年経過しているがその後の情報があまりない。まさかこのアルバムのみのユニットではないだろうなぁ~~と思いつつ、そうは言ってもこのアルバムをリリースするまでにバンド結成から5年も経ているのだから・・・そんなことはなさそうだ。いずれにしても感慨にふけって聴いている訳だ。

Lebowskicinematicmembers
左のように、メンバーは定型の4人バンド。それぞれのパートが明確にされていて演奏はそれぞれ対等の位置にあり、見事なシンフォニックな世界を展開する。ブックレットに4人のスナップが載っているが、若いといえば若いが、ライブ映像からはそれほど若くない。はっきり言って壮年期でしょう。どうもそれなりに経験を積んだ連中に見える(作曲はメロディー隊の二人のMarcin)。つまり強者の集まりか?。
 録音も良く、それぞれの楽器の音に厚みと繊細さもあって、それぞれの演奏が手に取るように聴き取れる。
 まずギターはメタル色はなく、柔らかくメロデックに又時に泣きに近く朗々と流し、ある時は重厚なサウンドを聴かせる。
 キーボードはシンセによる流れと、ピアノの美しい響きがあって叙情的な表現が見事。これぞシンフォニック・プログレッシブ・ロックという世界に連れて行ってくれる。

Lebowskicinematiclist
Track-List全10曲。先ず導入はクラシック・ミュージツクを思わせるところもあるり、そして甲乙付けがたいやや長めの曲が流れるが、いつの間にか全曲1時間以上を聴いてしまう。それは確かにアルバム・タイトル”Cinematic”そのもので、ドラマティックな一つの映画を観たかの如く頭に浸透してくる。
 そしてそれぞれの曲が非常に聴きやすく、一方さすがポーランド、なにか楽観的で無く深遠にしてどこか社会の暗部を描いているような印象を受ける。それでもRiversideほどは暗くない。

 しかしデビュー・アルバムにしては荒削りなところも無く、この完成度には驚く。プログレッシブな音を追求するそれなりのメンバーが集結して作り上げたアルバムなのであろう。従って録音とミキシングには相当の神経を使ったと思う。それは音の余韻と残響への配慮も行き届いているところから見て取れるところだ。
 ”Old British Spy Movie”には美しくヴァイオリンも流れピアノの音の美しさが印象的。
 いずれにしても全編一つの曲として聴いても良いくらいの作品に仕上がっている。これなら2ndが待ち遠しい。

Lebowski4members

(試聴) ① http://www.youtube.com/watch?v=cNvlhDfDsoU
      ② http://www.youtube.com/watch?v=TdBBf7Ai5Hw

 

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2013年7月17日 (水)

アングラガルドÄnglagårdは健在か?18年ぶりの3rdアルバム「Viljans Öga」

20年前、我々を生き返らせてくれたスウェーデンからのプログレ~ここに復活

<Progressive Rock> ÄNGLAGÅRD 「Viljans Öga」
              Anglagard Records  ANG03CD  ,  2012
Viljansoga

 
 

 プログレッシブ・ロックの寂しき時代に北欧スウェーデンから我々を慰め生き返らせてくれたアングラガルドAnglagardは1992年デビュー(1stアルバム「Hybris」)だったんですね、いやはや既に20年の経過。この時の流れは、おそろしく早かったように今にして思う。当時プログレのどん底時代、北欧から復興ののろしを上げてくれたのだった。
 そして2ndアルバム「Epilog」が1994年、そして彼等は解散してしまった。この早い解散は、一つにはプログレが商業ベースにないこと。二つ目はバンド内部対立が激しく続行不能状態というような話が聞かれた。
 この2枚のアルバムを紹介してくれたのはあのマーキームーン社(BELLE ANTIQUE)だった。当時は今のようなネット情報社会で無いため、マーキーは我々の頼りの一つであった。

Anglagardinstockholm20120422023_2
それがなんと18年ぶりにニューアルバムが登場した。この間彼等はどうしていたのだろうか?、私にはその情報を持っていない。しかしなにはともあれ歓迎である。現在音楽の国ポーランドで盛んなプログレ系ロック、北欧東欧などその先駆けはスウェーデンであったこと(アネクドテンしかり)は間違いない。その彼等がここに復活したのだから・・・喜ばしいことである。

members
  Jonas Engdegård : Guitars
  Anna Holmegren : Flute, tenersax
  Johan Brand : Bass
  Mattias Olsson : Percussions
  Thomas Jonson : Keyboards

 メンバーをみると、かって6人バンドであったが、ベースが変わっていて、ツイン・ギターの一人がいない5人バンドになっている。アンナのフルートは健在で、その美をアコースティックなスリリングな変則的リズム変化のサウンドのアンサンブルで深遠な世界から荒々しく展開する世界を構築するに十分なメンバーだ。

Viljansogalist
TrackList は4曲(左)。今回も彼等のアルバムらしく長曲が並んでいる。全曲インスト曲。アコースティックな演奏の美しさと切れのある激しく荒々しい流れ、そして暗い陰鬱な世界。このあたりの曲作りの発想は、ベースにキング・クリムゾンの流れのあることは間違いないが、彼等自身が独特に築くアンサンブルの美学のそのパターンは1stから継承されている。
  あの暗い森の中に池が有りそれが人の顔になっている2ndのジャケは忘れもしないが、あのアルバムの曲も静はクラシック音楽的なアプローチで幻想的世界に導き、動への展開が荒々しくそれは暴力的な展開で圧倒されたわけだが、そのあたりのスリリングなところは、この新作ではややマイルドになっている。かってバンド自身の内面的問題を抱えつつバトルを展開したバンドと、18年経過し現在は一つの安定が得られての復活劇であろうから、そこには彼等のミュージックに向かう姿勢も自ずから変化をとげているに違いない。
 ”Snårdom”の荒々しさから美へ、それに続く”Längtans klocka”への30分に及ぶ曲の流れ、まさにアングラガルドの再来を実感できるところである。

 しかし今ここに来てのアングラガルドの復活劇の意味する物は何なんであろうか?、これはこれに続く作品が登場するにつれ明らかになるものと思っている。

Anglagard_swedenrock2012bl_3

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=PFLpNrPLFnw

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2013年7月14日 (日)

ポーランド・プログレの宝石=クィダムQUIDAM 3rd「The Time Beneath The Sky」

プログレッシブに展開するトラッドをベースにしたロック・ミュージックの美学

 ポーランド・プログレの代表グループ QUIDAM を先日紹介したが、かっての「3rdアルバム」のクリスタル・ヴォイスの女性を擁した美しさを強調したままで、男性のみにになった「5thアルバム」を取り上げたため、”その「3rd」をちゃんと取り上げろ”というお叱りを受けたのでここにあわてて取り上げる次第。

<Prigressive Rock> QUIDAM 「The Time Beneath The Sky」
                                              
(原題「POD NIEBEM CZAS」)
                                ROCK-SERWIS   RSCD104  ,  2002

Quidampod2

 当時のクィダムは、なんと言っても女性リード・ヴォーカルのエミラ・ターコウスカ Emila Derkowska のクリスタル・ヴォイスを前面に出してのややトラッドぽいアプローチで、実にエレガントにしてメロディー重視のシンフォニック・バンドという印象だった。
 特にキーボードの流れの中でのフルートとギターによるメロディーの展開の美しさなどはその典型のパターン。そして特にこの3rdアルバムはその極致。取り敢えず東欧といわずヨーロピアン・プログレの一つの宝物として取り扱ってよいと思う。

Quidammembers1 メンバーは左の6人。曲によっては、Oboe, Flugelhorn, Mandolin, Accordion のゲストも加わる。
 実はこの時までの彼等は、トラッドをベースにファンタジックに、ロマンティックに、そしてメロディアスというロックを目指していたのだろうと思う。しかし先日紹介したアルバムのように、リード・ヴォーカルのエミラの脱退後の彼等は、やはりかってのプログレの雄であるピンク・フロイドの世界にも大いに魅力を感じていたのであろうことが解るのである。そしてそんな因子も既にこのアルバムで芽生えているが為に、この価値観を高めているのである。
  (TRACKLIST)
  * Letter From The Dersert (1.  2.Still wating)
    * 3.No Quarter
    * 4. New Name
    * 5.Kozolec
    * THE TIME BENEATH THE SKY
       (6.Credo1   7.Credo2   8.You are   9. Quimpromptu    10. The Time Beneath The Sky)

    
 TrackListは組曲構成があるが上の10曲。フルートの美しさとギターの哀愁感もこのバンドの一つのポイントである。そこにきて面白いことに3曲目の”No Quarter”はレッド・ツェッペリンのカヴァーなんですね。これには彼等の世界とのギャプに驚きなんですが、ここではまさにクィダム演奏でなんら違和感ないところが不思議なくらいである。まあ彼等のアンビエントな演奏もみられるところから、そうは言っても我々はロック・グループなんだと言っているようで面白い。

Quidammembers3rd
 このアルバムには3種の曲が収録されている。一つはエミラのヴォーカルを聴かせる曲(”New Name”、”Kozolec”)。二つ目は曲の中に彼女のヴォーカルも楽器の一部のように取り込んでゆく(”Letter from the Desert”、”No Quarter”)。三つめはインストメンタル曲( ”Quimpromptu” )。このように構成されているが、私としては二つ目三つ目の曲群に軍配を上げる。つまり1stアルバムにおいての彼女の重要性もこの傑作アルバムでは後退し、もはやこのバンドの演奏の主たるところはむしろプログレッシブなロック演奏に発展しているというところだ。

 アルバム・タイトル曲”THE TIME BENEATH THE SKY”は5曲より成り立っていて、スタートからフロイドを思わせる展開。フロイド流の口笛を吹きながら床を歩くSEや、エミラの美しいヴォーカル、 ”Quimpromptu”の約10分のインスト曲は、静寂からスタートしてギターの美しい旋律、次第にシンフォニックに盛り上がり、最後はシンセの音に泣きのギターと私好み。

 さてこのアルバムを最後にポーランド語のリード・ヴォーカルの彼女は脱退することになった。これは惜しむファンも多かったが、バンドの発展に伴っての必然的なことであったと思うのである(この後のアルバムからヴォーカルは男性、歌詞は英語になる)。彼女はこの後、ポーランドの1982年結成のゴスペルを中心にしたコーラス・バンドのTGD(Trzecia Godzina Dnia)に加入し、活動を続けている。

 ここに取り上げたアルバムは2009年に豪華に再発したもの。なんとふるっていることに「SEE EMILY PLAY-Live Bootleg」と記して(ご存じのようにピンク・フロイドの初期の代表曲が”See Emily Play”である)、エミラの最後のステージを納めたライブ映像のDVDが付いている。なんとも洒落ていますね。そしてこれが彼等の一つの締めくくりであったことは間違いない。

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=3pKLj_7kZ_8
 
 

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2013年7月11日 (木)

ポーランド・プログレ=サテライト SATELLITE 「EVENING GAMES」

叙情的なシンフォニック・ロック・バンドの道を歩み続ける

 ポーランドのプログレッシブ・ロックを探っていると、ポーランドならではの薄暗さの中に叙情的なメロディーが流れてくるのが特徴的だ。その道をしっかり継承して聴かせてくれるのがこのサテライトSATELLITEだ。

<Progressive Rock> SATELLITE 「EVENING GAMES」
            Metal Mind Production   MMP cd 0298 DG  ,  2004

Satelliteeveningg

 このバンドは、2003年に1st「Street Between Sunrise And Sunset」をリリースしているが、実は前回紹介したコラージュCOLLAGEの解散後その中のメンバー(ギター、ドラム、ヴォーカルが中心になって)が結成したバンドなのだ。そしてこのアルバムは2ndアルバムであるが、これまた名作と言われている。
 ところがこのアルバムになると、肝心のギタリストMarek Gil は脱退している(彼はここで既に紹介したBELLIVE を後に結成して今日まで活躍中)。まあ一つのバンドに両雄(Gili とSzadkowski)は難しいのでしょうね。そしてメンバーは下記のようなところ(*印が元コラージュのメンバー)。
    *Robert Amiran : Vocals
     Sarhan Artur Kubeisi : Guitars

    *Krzysiek Palczewski : Keyboards
     Przemek Zawadzki : Bass

    *Wojtek Szadkowski : Drums, ac.guitars

 もともとコラージュでは、ドラマーのザドコフスキSzadkowski が曲作りには貢献していたので、そのままこのバンドにおいては全て彼の曲で埋め尽くされている。従ってコラージュの流れをしっかり繋いでのシンフォニックなロックを展開している。ギタリストが変わっているが、そのKubeisi も流れを彼なりきに旨く繋ぎ、又曲によっては更にギタリストを加えているといった恰好。

Eveningglist
 さてこのアルバムには10曲納められている。
 オープニングが結構凝っていてSE(夕暮れの子供達の遊び声、そして落雷の音)を使って導入する。アルバム・タイトル曲”Evening Games”のタイトルどおり、彼等はあらゆるところで夕暮れの情景を描くところに焦点を持っている。この曲17分にも及ぼうとする長曲。彼等の夜を迎えるわけだがそこに希望はあるのか?・・・彼等の唄はそこから始まるわけだ。曲のシンフォニック・パターンは見事。まさに叙情詩、そしてやや暗い情景だが一筋の光明が見えるような曲展開。これははっきり言って名曲である。
 そして続く”Never Never”は彼等の訴えが響いてくる。このあたりのシンセ、ピアノのキーボードの流れに乗っての各楽器の交錯、そしてヴォーカルの交錯はシンフォニックを代名詞にしているサテライトの真骨頂。そしてドラマーのリードによって造られているこの曲群、複雑なバチ裁きはみごとである。

 さてさてこんな調子で全編貫いている。私の印象としては都会の黄昏から夜にかけての彼等の希望が失われていく社会に於ける存在の不安感が描かれているのではないかと思うのである。実際には、ロシアの暗い不安定な政情から生まれる不安社会を主題にもっているようだ。

 しかしこうしたアンサンブルの妙を集約した演奏のレベルの高さと壮大な叙情詩を展開するアルバムを生んでゆくポーランドの実力には脱帽である。
 さて結論だが、彼等のパターンは、イエス、ジェネシス、マリリオンと言ったところであることを付け加えておく。とにかく途切れなく叩き込んでくるアンサンブルと変調子を交えてのドラムスの交錯には若干疲労感も感じられるほどだ。
  彼等の近作は2009年4thアルバム「Nostalgia」

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=2VkhiCdnWQQ
     

 

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2013年7月 8日 (月)

ポーランド・プログレ=コラージュCOLLAGE「MOONSHINE」

1990年以降のポーランド・プログレ活動の一つの原点

 このところ、音楽の国ポーランドのプログレッシブ・ロックに焦点を当てている。既にQUIDAM(参照①)、Riverside (参照②)、BELIEVE(参照③)などを取り上げてきたので、それならコラージュCOLLAGE もと言うことになる。

<Progressive Rock> COLLAGE 「MOONSHINE」
                   Metal Mind Production  MMP CD 0231 , 1994

Collagemoonshine

 1990年代になんとなく湧いて出てくるプログレッシブ・ロック、それは70年代に圧倒的支持を得ながらも、ロックの原点回帰によって80年代は寂しい時代となった。しかしこの流れはロックを音楽という眼で見つめ深めようとする流れと、一方哲学的に社会現象、人間探求の道に歩もうとするこの両方の姿は嬉しいことに決して無くなることも無かったのである。特にヨーロッパでは、イタリアが先陣を切りそして音楽を愛する北欧、東欧に再び姿を現して来たのであった。

Collagemembers
 そんな中での貴重なポーランドのバンドが、このコラージュCOLLAGE だ。そして彼等の残した傑作が1994年のこの2ndアルバム「MOONSHINE」

  (Members)
   Robert Amirian : Vocals,
   Piotr Mintay Witkowski : Bass
   Mirek Gil : Guitar
   Krzysztof Palczewski : Keyboads
   Wojtek Szadkowski : drums


 このような5人バンド、実はこのメンバーから後にプログレ・バンドのサテライトSATELLITE、(2003年)そしてビリーブBELIEVE(2006年)が生まれるのであるが、その話は後にして、彼等のロックの世界を語ってみる。
 とにかくこのコラージュは、メンバーそれぞれの演奏技術は非常に高いのが特徴で、そしてそれぞれの音が折り重なって展開するのだ。

Moonshinelist2 TRACKLISTは左。とにかくオープニングが格好良くて圧巻。シンフォニック・ロックそのものをゆく。
 やはり特徴はGilのギターのメロデックな演奏。そしてキーボードのサウンドが絶妙にメロディーを支える。
 そして面白いのは曲作りは、もちろんギターの Gil が主役を成すのは解るのだが、主としてドラムスの Szadkowski が担当しているところだ。Lyrics も殆ど Szadkowski が書いている(英語)。

 このバンドの演奏は各楽器が一斉にそれぞれが自己のセンスで自己の世界の演奏を展開して、それがシンフォニックに洪水の如く押し寄せて合流してゆくというパターン。と言うとお解りでしょうが、プログレの世界を語るにいつも言うところのクリムゾン、フロイド、イエス等と比較してしまうのだが、このバンドはどちらかというと、フロイドではなく、もちろんクリムゾンでもなく、イエス、ジェネシス寄りのタイプである。
 そしてポーランドらしく、やや薄暗さを感ずるところもあるが、やや変形シンフォニックというかそんなところに美しいメロディーが出色なバンドというところだ。私のようなフロイド、クリムゾン派にとってみると若干好みに違いがあるのだが、こうゆう世界も貴重なのである。

 そしてこの名盤をリリースしたのが1994年で、この後1995年に3rdアルバム「SAFE」をリリースして彼等はしばらくのライブ活動展開後に解散。そのあたりの事情は良く解らないが、なんと2003年になって、ニュー・バンドのサテライト(1stアルバム「A Street Between Sunrise And Sunset」)を結成することになる。

(参照)  ①「QUIDAM」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/alone-together-.html
      ②「Riverside」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-044e.html
      ③「BELIEVE」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/believe-world-i.html

(試聴) COLLAGE ”Heroes Cry”  http://www.youtube.com/watch?v=tABoKXcGXIA

 

 

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2013年7月 4日 (木)

ポーランド・プログレ=クィダムQUIDAM 「ALONE TOGETHER」

知らぬ間に男らしくハードに・・・・そしてプログレッシブな叙情美を聴かせる

 先日取り上げたポーランドのロック・グループ”Riverside”によって、久々にこのところ東欧(ポーランドは中欧といったほうがよいかも知れないが、東西冷戦時代としては東欧に入ってしまう)のプログレッシブ・ロックを回顧したり、聴き逃したものを今になって聴いているところである。もう昔話になるが(1983年)、何せ東欧と言えばハンガリーのソラリスSOLARISには驚かされたものだ。フルートとギターでシンフォニック・ロックを展開したあの音は忘れられない。そしてそれこれ忘れかけた10年以上経て、今度はポーランドのクィダムQUIDAMが出現。やはりフルート、ギターで叙情的な世界を聴かせてもらった。

<Progressive Rock> QUIDAM 「ALONE TOGETHER」
          ROCK-SERWIS  RSCD-068 ,  2007

Quidamalonetogether

 あの深淵で、そして女性ヴォーカルがアンビエントな世界を聴かせてくれたクイダム。しばらく遠ざかっていたが、このあたりで近作があれば聴いてみようと探したところ手に入ったのはこの2007年作。いや~結構ご無沙汰していたんだなぁ~~と・・・・・・(この後5年の経過があって2012年に6thアルバム「Saiko」がある~これは又次回に)。久々に彼等のプログレッシブ・ロックを聴いてみたというところなのである。

 まずなんと言っても決定的な変化はヴォーカルである。私が惚れ込んだ2002年の3rdアルバム「THE TIME BENEATH THE SKY」(原題「Pod Niebem Czas」)は、当時の欧州各地では、ゴシック・メタルの流れが盛んである中で、メタル色の無いゴシック・ロックというか、しかもシンフォニックで、決定的な特徴はアンビエントな流れを聴かせ、クリスタル・ヴォイスの女性ヴォーカル(エミラ・ダーコウスカEmila Derkowska)によるメロディアスな世界が襲ってきたのであった。ところが、今回手に入れたこの5thアルバムとなるこの「ALONE TOGETHER」はなんと男性ヴォーカルである(この前の4thアルバムからの交代)。そしてあの頃と違って結構ハード・ロックっぽい音も聴かれて知らぬ間の大変身。

Quidam2 このバンド・メンバーをみると、かってのように6人編成。
    Zbyszek Florek : keyboards
     Maciek Meller : Guitar
     Bartek Kossowicz : Vocals
     Mariusz Ziółkowski : bass
     Maciek Wròblewski : drums
     Jacek Zasada : flutes

 
 それでも変わらないのはフルート、ギター、キー・ボードのメロディー隊の3人である。そして女性リード・ヴォーカルのエミラに変わった男性ヴォーカリストはパ-テックという。エミラはポーランド語のヴォーカルであったが、このバーテックは英語で歌う。このあたりは一つのインターナショナルな発展性も期したのであろうか。
 何せ出だしがダイレクトに男性ヴォーカルでスタート。ちょっとバンドが変わったのかとも思われたくらいだが、なになにやはりクィダムだ、泣きのギターとあのフルートがかってのように哀愁を誘いピアノの音がそれをカヴァーするが如く流れる。

Quidamalonetogetherlist
 収録曲は9曲でプログレらしく曲は長い。3曲目の”Depicting Colours of Emotions”は、10分を超える曲。最初のメロディーはフルートによって導かれ、ヴォーカルも叫ぶのでなくやや暗めではあるが抒情性豊かな唄い回し。曲展開はこれぞクイダムといったメロディアス・ロックであり、泣きギターあり壮大なシンフォニックな世界をも聴かせてくれると言ったプログレそのもの。
 ”Of illusion”は、結構ハード・ロック調でしかもパーカッションが活動的、フルートも結構暴れるところが面白い。最後はギターが泣き叫ぶ。
 そして一転して”We lost”は、やさしく泣くようなギターが心に浸みる。中盤はリズムカルに転調してシンセの調べをバックにやはり哀愁のヴォーカル。ギターとフルートが詩情豊かにメロディーを流す。最後はややヘビーなサウンドとメロディーが交錯して盛り上げる。
 Maciekのギターは主としてギブソンだが、”One day we find”のギターは、ピンク・フロイドのギルモアを感じさせるストラト(?)ぽい音が流れるところもある。

 このアルバムより数年前のクイダムと比較すると、ポーランドらしい哀愁のメロディーは変わらない。特にやや暗めであるが荘厳な曲も特に”We are alone together”に聴かれ、哲学的孤独感が感じられる曲。そしてその締めくくり方もプログレそのもの。
 結論的にはこのアルバムは、全体にはハード・ロック調が増して男性的なバンドに変化したところが聴ける。

 2000年前後という比較的最近のポーランドのプログレの一翼を担うクイダムを思い出して、2007年のアルバムを聴いてみた。プログレの位置を表すには、フロイド、クリムゾン、イエス、ジェネシス、ELPあたりと比較すると良いのだが、このバンドは2/3はフロイドよりってところと言っていいと思う。う~~ん、ここにもプログレは健在であったことに万歳である。

Quidammembers2

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=TNNuQSan5_E

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2013年7月 1日 (月)

ヘイリー・ロレンHalie Loren のニュー・アルバム : 「Simply Love」

「愛」をテーマにヴォーカル・アルバムをリリース

    <JAZZ> HALIE LOREN 「Simply Love」
                     Victor Entertainmnt    VICJ-61686  ,  2013

Simplylove2_2

 前作「Heart First(参照 ①)から約1年半、まさに順調にニュー・アルバムの登場だ。実は前作がもうちょっとジャズよりへのアルバムを期待していたが、少々ポップよりで残念だった。さてさて今回はどうか?とそんなことを考えながら聴いたのであった。(ヘイリー・ロレンは何回か取り上げているので紹介は省略)

 とにかくこのところは彼女はあらゆるジャンルのヒットした曲を取り上げて、ヴォーカリストとしてのアルバム作りをしている。従ってその出来不出来も比較の対象があるためはっきりしてくるのだが、もともとはこうゆうスタイルの歌手としてデビューしたのではなく、シンガー・ソングライターとして主としてピアノを弾きながらの彼女の作品を売り物にするパターンだった(1st「Full Circle」参照②))。あの2ndアルバム「青い影」参照③)のヒット以来、レコード会社や取り巻きの方針でどうしても売れ筋を考えてのアルバム作りと言うところなんでしょうね。あの時のピアノでバックを支えてきた Matt Treder が今回もプロデュースしていて、つまるところあの延長線上のアルバムということになろう。Credits は、前作と全く同じ。そして多分このアルバムは日本先行発売のようだ。それだけ目下は日本において彼女は定着してきているところなのだ。

Simplylovelist1
TRACKLISTは左の14曲(12は日本盤ボーナス・トラック)。今回も彼女の売りとイメージを更に押しし進めての「愛」がテーマというところ。中身はジャズ・スタンダードの他、ノラ・ジョーンズの” 7. I've got to see you again ”を筆頭にカヴァー・ソングが多く収まっている。

 オープニングはストリングスの調べから始まり、おやおや優しく美しくというパターン。ピアノもポピュラー・ソング調に美しくというところで面白みはちょっと少ない。今回のアルバムもこのパターンかなぁ~~?と思いきや、続く2曲目は、誰もが知っている”L-O-V-E”だが、ありきたりではやっぱり面白くないと言うことだろうか、結構ジャズ演奏と彼女のヴォーカルもロレン節が出てきた。
 ”4. On the Sunny Side of the Street 明るい表通りで”のような曲もあまりにもポピュラーであるため、結構ギター演奏などもちょっと工夫が感じられ、彼女もジャズ方向に編曲されて唄う。
 ”5. I feel the Earth Move空が落ちてくる”、”6. My Funny Valentine”も、オルタナティブ・ジャズ調でなかなか面白い味のある出來で、このアルバムでの聴きどころ。この調子で行って欲しい。
 11曲目のタートルズの”Happy Together”をはじめ、後半も結構なことにジャズ因子がやや強めになってきている。

Halie_loren_portrait

 彼女の歌唱法はもうこのパターンに固まってきたと言っていいだろう。つまりウィスパー調で、時に息を漏らし、そして高音部は声がひっくり返ってややしつこさを感ずる。それでもこのパターンがうけるというところもあるようで、まあそのあたりはひと好き部好きでいいのでしょうね。

 取り敢えず、言うなれば近頃の”Jazzy not Jazz”に近いパターンであるが、このタイプが売れ筋のようで、そんな意味ではこのアルバムもそれなりのセールスを上げそうだ。それでも今回のアルバムは、ジャズ因子が以前より濃くなってきて味が出てきている。これは私は結構なことと歓迎するところである。変なもので、これでちょっとほっとしている私なのである。こうなると次作も期待が持てるというところ。

 Credits
   Halie Loren : Vocals
   Matt Treder : Piano
   Mark Schneider : Bass
   Brian West : Drums
   William Seiji Marsh : Guitar
   

(参照) ①「Heart First」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/halie-loren-hea.html
            ②「Full Circle」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/halie-lorenstfu.html
           ③「青い影」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/halie-loren-a9e.html

(試聴) 「Cry me a river」 http://www.youtube.com/watch?v=5ccKrMpGK1Y  (まだ”YouTube”にニュー・アルバムが登場していないので、ライブの私の好きな曲を付けておく。後ほど追加紹介したい)

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