レボウスキLebowski 「Cinematic」=ポーランド・プログレの新鋭の傑作
何か、大きく発展の予感のユニット~これが新人?
”Music for a non-existant Film”の世界
<Progressive Rock> Lebowski 「Cinematic」
Lebowsi CD 001, 2010
これは完全にジャケ買いしそうなアルバム。そしてその結果は決して間違いでは無い。これぞポーランドの奥深さ、新鋭プログレ・バンド「レボウスキLebowski」 のデビュー・アルバム。彼等の情報があまり無くて解らないが、2005年に結成したいる。バンド名は映画の゜”Big Lebowski”が関係しているようだ。
恐ろしくサウンドが美しく、全曲インストゥメンタルであるが、時に語りが入り、更にゲストの女性の声が憂いある美しさで流れて、まさに”cinematic”。キャメル、ピンク・フロイドというところが彼等の基礎にあるらしい。そして映画というものを想定しての作品とみてよい("music for a non-existant Film"と表現されている)。
このアルバムは2010年リリース。既に3年経過しているがその後の情報があまりない。まさかこのアルバムのみのユニットではないだろうなぁ~~と思いつつ、そうは言ってもこのアルバムをリリースするまでにバンド結成から5年も経ているのだから・・・そんなことはなさそうだ。いずれにしても感慨にふけって聴いている訳だ。
左のように、メンバーは定型の4人バンド。それぞれのパートが明確にされていて演奏はそれぞれ対等の位置にあり、見事なシンフォニックな世界を展開する。ブックレットに4人のスナップが載っているが、若いといえば若いが、ライブ映像からはそれほど若くない。はっきり言って壮年期でしょう。どうもそれなりに経験を積んだ連中に見える(作曲はメロディー隊の二人のMarcin)。つまり強者の集まりか?。
録音も良く、それぞれの楽器の音に厚みと繊細さもあって、それぞれの演奏が手に取るように聴き取れる。
まずギターはメタル色はなく、柔らかくメロデックに又時に泣きに近く朗々と流し、ある時は重厚なサウンドを聴かせる。
キーボードはシンセによる流れと、ピアノの美しい響きがあって叙情的な表現が見事。これぞシンフォニック・プログレッシブ・ロックという世界に連れて行ってくれる。
Track-List全10曲。先ず導入はクラシック・ミュージツクを思わせるところもあるり、そして甲乙付けがたいやや長めの曲が流れるが、いつの間にか全曲1時間以上を聴いてしまう。それは確かにアルバム・タイトル”Cinematic”そのもので、ドラマティックな一つの映画を観たかの如く頭に浸透してくる。
そしてそれぞれの曲が非常に聴きやすく、一方さすがポーランド、なにか楽観的で無く深遠にしてどこか社会の暗部を描いているような印象を受ける。それでもRiversideほどは暗くない。
しかしデビュー・アルバムにしては荒削りなところも無く、この完成度には驚く。プログレッシブな音を追求するそれなりのメンバーが集結して作り上げたアルバムなのであろう。従って録音とミキシングには相当の神経を使ったと思う。それは音の余韻と残響への配慮も行き届いているところから見て取れるところだ。
”Old British Spy Movie”には美しくヴァイオリンも流れピアノの音の美しさが印象的。
いずれにしても全編一つの曲として聴いても良いくらいの作品に仕上がっている。これなら2ndが待ち遠しい。
(試聴) ① http://www.youtube.com/watch?v=cNvlhDfDsoU
② http://www.youtube.com/watch?v=TdBBf7Ai5Hw
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コメント
これもまた良い絵ですねぇ。
音もかなり良質な部類のようなのでポーランドはホントに切りがないなぁ…。
こうしてお国柄とピュアな国民性がマッチしてロックで放出されるなんていう絵面が一番気持ち良いかも。
投稿: フレ | 2013年7月20日 (土) 22時59分
フレさん、いつもお世話様です。
このアルバムは、一番褒めたいのは録音ですね。かなり気配りの作品と思います。
全編、単調と言えば単調ですが・・・一度こうゆうものもあるというのは知っておいて良かったと思っています。ロックとしての疾走感はありませんので、その手を求めると張り合いがないとも言えますが・・・。
しかしポーランドのプログレ系はまだまだ出て来ますね。あの国では、音楽としての価値観の評価をしていると思いますから・・・・その傾向になってゆくのかも・・とも思ってもみているのですが。
投稿: 風呂井戸 | 2013年7月21日 (日) 09時07分