ポーキュパイン・ツリーPorcupine Tree(2):日本盤初登場のネオ・プログレ・アルバム「DEADWING」
日本盤として初登場のヘビー・メタル色とサイケと叙情とネオ・プログレの世界
<progressive Rock> PORCUPINE TREE 「DEADWING」
LAVA Records 93812-2 , 2005
ポーキュパイン・ツリーPorcupine Tree についてはここに連続登場である。それは日本に於けるポイントはこのアルバムであるからだ。彼等の過去のアルバムのリリース活動とは裏腹に、日本盤の登場がなく、考えてみれば日本盤初登場は2006年でこのアルバムだった。つまりバンドとしての活動から10年以上の経過でようやく日本でお目見えしたわけだ。しかしここまでのスティーヴン・ウィルソン自身もバンドと共に変化を遂げてきたわけで、このアルバムになると、どちらかというとヘビー・メタルよりのサウンドで迫ってきたところから、むしろそれは一般ロック・ファンにはうまく入り込めたのではなかったかと思う。
まあそんなことからこのアルバムは印象深いものであるし、この年には彼等の姿がみれるライブ映像も出現して、それまでの10年の積み重ねは嘘のごとく、あっという間に日本でもファンを獲得した。
このアルバムは左のように9曲収録されているが、隠しトラックがある。1曲目がアルバム・タイトル曲の”Deadwing”で、最初から叩きつけるメタリックなサウンドに驚いたものだ。この曲にはキング・クリムゾンのAdrian Belewがゲスト参加している。しかし後半には例の如く彼等の静の部分も見えて、相変わらずの起伏豊かな曲作りに圧倒されるのだ。
いずれにしてもこのアルバムにおいても多彩そのもの。ウィルソンは完全にアルバム一枚をトータルに一つの世界と考えており、3曲目”Lazarus”優しいヴォーカルに美しさも聴かせ、中盤からは古典的ハード・ロック・スタイルから、アンビエントなサウンドも、そして”Arriving somewere but not here”では前半プログレ、後半ヘビー・メタルそして又そのあと美しいギターの調べと圧巻。
”The start of something beautiful”は、このバンドの重要メンバー元Japanのリチャード・バルビエリのキー・ボード、シンセサイザーも効果をあげ、泣きのギターとフロイド流のプログレ色の濃い曲も登場させる。とにかくウィルソンのサウンドを重視してのアルバム構成は見事で完成度が高く飽きるところを知らない。(メンバーなどは「The Sky Moves Sideways」紹介記事参照)
<DVD> PORCUPINE TREE 「Arriving somewhere...」
~Filmed at The Park West, Chicago, USA, 11-12.Oct.2005~
WHD Entertainment IEBP-10007/8 , 2005
これはポーキュパイン・ツリーのライブ映像盤。丁度上のアルバム「DEADWING」リリース時のステージが観れる2005年シカゴのライブ。演奏内容も、このアルバムから5曲が登場する。
ライブではこのバンドの4人のメンバーに加えてその後も起用される第2リード・ギターのJohn Wesley が加わってツイン・ギター体制。スティーヴン・ウィルソンはアルバムを仕上げる技術師だから、自己のマルチ・プレイヤーの能力発揮にも、オーバー・ダビング等も当然行っており、そんな意味でもステージではサポート・ギタリストは必要である事は想像に難くない。
このライブ映像盤も、彼等のものだけあって、映像はかなり凝っている。モノクロや疑似フィルムもののタイプを交錯させて仕上げて、単なるステージ撮影というものでなく、これは映像世界としての彼のこだわりも見て取れる。このあたりは彼等の演奏をしっかり見たいという面からは賛否両論あろうが、これはこれ一つの作品として成り立っている。(参考までに、2010年の映像盤「anesthetize」はブルー・レイでじっくり彼等を美しい画像とサウンドで観れる)
なおDisc2もあり、そこにはメンバーの諸々の映像、Photoなどや、プロモフィルムも登場させ、サービスたっぷり。
(試聴) "Arriving Somewhere but not here" http://www.youtube.com/watch?v=ug8CWIasWi8
"Deadwing" http://www.youtube.com/watch?v=GMEwM3YHiME
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コメント
暑い日が続いていますが、お体に気を付けられてお過ごし下さい。
ポーキュパイン・ツリーは本当に素晴らしいバンドです。まさに英国の伝統を継承しつつ、新時代にも目配りしサウンドだと思っています。特にスティーヴン・ウィルソンの音楽的素養とプログレに対する対峙の仕方は、多くのミュージシャンやファンから信頼を受けています。
彼が多くのアルバムでアレンジやリマスターを担当しているのもその証左だと思っています。
是非彼のソロ・アルバムも取り上げてください。お願いします。ご迷惑でしょうが、トラックバックもさせて下さい。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2013年7月29日 (月) 21時30分
プフェッサー・ケイさん、暑中見舞い挨拶も頂いて有り難うございます。
ポーキュパイン・ツリーは、私のようなフロイド・ファンにとっては非常に貴重なバンドですね。ケイさんが時にスティーヴン・ウィルソンに触れられておられるの拝見していました。やはりアルバム作りには曲作りと演奏と唄のセンスに加えてミキシング・サウンド管理でしょうね。そんな意味では彼のようにそこまで手を出さないと理想が追求できないのでしょう。
ソロとなると今年「The Raven that refused to sing」は聴いてます(ジャケはフロイドの「The Wall」の面を思い出しますが・・・サウンドに重点を置くせいかブルー・レイ盤で)。私はポーキュパインのバンドの方がどちらか言うと好きですが・・・。
そうそう、ここまでやるのは経過とセンスは違いますが、昔のアラン・パーソンズを思い出します。
投稿: 風呂井戸 | 2013年7月30日 (火) 18時54分