大人のジャズ・ヴォーカル~デニース・ドナテッリDenise Donatelli 「SOUL SHADOWS」
女性ジャズ・ヴォーカルのお手本のようなアルバム
<Jazz> DENISE DONATELLI 「SOUL SHADOWS」
SAVANT Records SCD2117 , 2012
なんとなく大人の雰囲気を醸し出す女性ジャズ・ヴォーカルはいいものである。ここでも数多く取り上げてきたが、実力、美貌からいっても、もっと日本で騒がれてもよいのではと思うのがこのデニース・ドナテッリだ。と、言っても私もそれほど以前から聴いてきたというわけでなく、実はこのアルバムが二枚目なんです。
最初聴いたのもつい前作の「When Lights are Low」で、グラミー賞ノミネートされた美人歌手として知ってのアプローチであった。
彼女はペンシルヴァニア州アレンタウンの生まれと言うことになっているが、年齢不詳、母はプロ歌手であったとか。そもそも私がみるに遅咲きである。多分これが4作目だが、学生結婚して後プロとしての活動は1980年代後半よりということで、2000年にロスに移って活動を本格化させている。経歴からも目下四十歳代は超えているというところか?。
このアルバムも、今年の第55回グラミー賞”最優秀ジャズ・ボーカル・アルバムにノミネート作品。
さて、このアルバムのTrack-Listは左のようで、全てカヴァーであるが、彼女なりのジャズ・ヴォーカル世界を堪能させてくれる。それもピアニストのジェフリー・キーザーGeoffrey Keezer の力も大きいのだろうと思うが、全ての曲はアルバム・プロデュサーとして彼がアレンジし、そして彼のピアノ演奏によって仕上げられている。
それにしてもデニースの歌声は力みが無く、しつこさも無く、そしてサラッと唄ってくれるところが大人の味だ。若干ハスキーな声であるところが、一層表現に味付けを増している。
Denise Donatelli : Vocals on all tracks
Geoffrey keezer : piano
Peter Sprague : guitar
Carlitos del Puerto : bass
メンバーは上記4人が主で、曲によってpercussion、Trumpet、Violinなど加わって編成を変えて味付けされている。やはりハイライトはアルバム・タイトル曲の”Soul Shadows”だが、ボサ・ノバ調でギター、ピアノをバックに軽快にしてメロディアスな味がよい。ちょっとムーディーな”No better”もなかなかしっとりしていて聴きどころ。一方”Another day”はベースをバックしての唄が良いし、ギター、ピアノでジャズィなスウィングするところも旨くこなしていて、とにかく聴くに安心感があって気持ちが落ち着く。締めの”Too late now”は、キーザーの美しいピアノのみのバックで聴かせてくれるが、こんな落ち着いた味は最高である。
* * *
(左)は私がかって初めて聴いた彼女の3rdアルバム
Denise Donatelli 「When Lights are Low」 SAVANT Records SCD 2109 , 2010
このアルバムもグラミー賞にノミネートされたもの。それにより私は知ったのですが、これもジェフリー・キーサー演奏・監督による作品。こちらはアメリカン・ジャズらしいところが随所に聴かれ、それに乗ってやはり大人の味のデニースの歌が響く。特に”Why did I choose You?”はキーサーのピアノの美しさと彼女のしっとりとしたヴォーカルが印象深い。しかし参考までに私の好みからは、アルバムとしては上記「Soul Shadows」に軍配が上がる。
(このアルバムの収録曲は下記)
女性ジャズ・ヴォーカルものは、こんなタイプは大いに堪能してしまうのである。
(試聴)
"Soul Shadows"http://www.youtube.com/watch?v=cp2h_GVzPys
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コメント
美しい写真だな〜と。普通の構図なのにこんなに決まるって…。音よりもこのジャケットにそそられて、さらに音がそんな感じだったら素敵すぎますねぇ…。メモメモ♪
投稿: フレ | 2013年8月17日 (土) 09時10分
フレさん、残暑お見舞い申し上げます
このアルバムは中身の音もジャケそのものです(笑)。ゆったりした気分で聴けます。そんな時に是非是非どうぞ。
投稿: 風呂井戸 | 2013年8月17日 (土) 23時27分