マッズ・ヴィンディング・トリオMads Vinding Trio : 「The Kingdom (where nobody dies)」
やはり名盤だけあって聴き応え有りだ
ベーシスト名(Mads Vinding)を冠してのジャズ・トリオ・アルバム。ピアニストがエンリコ・ピエラヌンツィということもあって、なかなかその道では評判の良いアルバムということのようであったが、私は実は聴いてなかった。しかし名盤といわれるものは聴いておかねば・・・・と思いつつ日が経ったが、今回来日することもあり、しかもその上にやはり友人からの勧めによって聴くことになった(感謝)。
<Jazz>
Mads Vinding Trio 「The Kingdom (where nobody dies)」
M-Plus Domestic , MSTUCD-19703 , 1998
Mads Vinding (B)
Alex Riel (Ds)
Enrico Pieranunzi (P)
ピアノ・トリオであるが、リーダーはデンマークのベーシストとしての大御所であるマッズ・ヴィンディングMads Vindingである。彼はデンマークのベテラン・ドラマーのアレックス・リールAlex Rielとはよく共演しているが、ピアニストとしてはイタリアのビル・エヴァンスと言われる人気者でありベテランのエンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunziを引っ張り込んでのアルバムだ。もう十数年前のアルバムだが今こうして始めて聴いてみて、いやはやその出來の良さに感心する事しきりというところなのである。
(TrackList)
1. Alba Prima*
2. Lover
3. Kingdom (Where Nobody Dies) *
4. Someday My Prince Will Come
5. My Foolish Heart
6. Somewhere
7. New Lands*
8. Autumn Song*
9. September Waltz*
10. Interlude No. 948
11. I Remember Clifford
なにせスタンダード曲5曲の登場はよいのだが、実は他の5曲はピエラヌンツィのオリジナル曲(*印)。そしてトリオとして1曲という構成なんですね。
←Enrico Pieranunzi
まずスタート”Alba Prima”によってこのアルバムは貴重品になる。ピエラヌンツィの抒情的なメロディーに圧倒される。私などはピアノ・トリオものはどうしても夜の静かなときに聴くために、2曲目の”Lover”はアップテンポの3人の絡み演奏が素晴らしいのだが、多分これはライブ会場では最高でしょうが、どうしても自分の部屋で聴くにはやはり”Alba Prima”ということになるんです。
このアルバムはピエラヌンツィの5曲とスタンダード曲との速緩のバランスが最高なんですね。そしてアルバム・タイトル曲”The Kingdom”は緩やかで濁り無く穏やかなクラシックを想わせる流れで、ベースの響きも印象的。
←Alex Riel
とにかくもう今は70歳(1940年生まれ)を超えているドラマーのアレックス・リールは、結構重い音を聴かせる人だと思うが、ピエラヌンツィの曲では、むしろ繊細で演奏で控えめな感じ、というかサポートに徹しているんではないだろうか。
とにかくピエラヌンツィ・トリオって感じで彼の曲は美しいメロディーがほとばしっている。そしてスタンダード曲においては、マッズのベースの味が表に出ながらも、トリオとしての絡みはそれぞれベテランらしくお見事。特に”いつか王子様がSomeday My Prince Will come”のベースの多彩な音に始まってスリリングな展開は注目、この曲ってこうなるの?ってところ。しかしそればかりでなく、トリオ名義の曲となっている”Interlude No.948”では、インプロビゼーションかと思わせる演奏でやや前衛的なタッチをみせて、これ又三者の兼ね合いがスキ無く良いのです。ならばもう一曲ぐらいやって欲しい感じだ。
このアルバムはそれぞれの曲の演奏のセンスが抜群で、しかもその繋ぎのバランスがよく、そこに美しいメロディーが加味されている。名盤と言われる所以が聴いてみると実感できるのである。
(試聴)"Alba Prima" http://www.youtube.com/watch?v=W7WjaCXhHmw
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