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2013年9月28日 (土)

ターヤTarja のニュー・アルバム「COLOURS IN THE DARK」

”The Queen of Heavy Rock” の3rdアルバム登場 & (別話題)Within Temptationとの共演

 Nightwishを離れてのフィンランドのターヤ・トゥルネン、「WHAT LIES BENEATH」以来2年ぶり3rdアルバムが登場。

<Rock> Tarja 「COLOURS IN THE DARK」
       ARMOURT Records    ARM251092 ,  2013

Coloursinthedark
 クラシック・アルバムとは別に、前作から完全にシンフォニック・ヘヴィ・メタルに復帰しての今回3作目。これも彼女のナイトウィッシュ時代に築き上げた世界の延長とみる。彼女自身はクラシックにも未練があるようだが、やはりアルバム・リリースとなれば大衆受けはこのパターンであろう。そして彼女はこのヘヴィ・ロックには”Tarja”で通していて、クラシック・アルバムは”Tarja Turunen”を使い分けている。
 私としては、やっぱりナイトウィッシュ時代に未練があるが、近作のライブ映像アルバム(「ActⅠ」をみると、彼女はフリーになって、やりたいことを楽しんでやっているようで、それで良かったのかも知れない。
 私の予想としては、ナイトウィッシュもターヤも、それぞれ離れてからは低空飛行になって、結局のところ又もとの鞘に戻るのではと踏んでいたのだが・・・・、意外にそれぞれいろいろとあるが、結局のところ健闘していて、どうやらそのパターンは目下なさそうだ。

Coloursinthedarklist_2
 さてさてその内容だが、左の如く10曲。ターヤのバックには10人以上のロック・バンド+オーケストラなどなどかなりの重装備で、その力の入れようも感じ取れる。
 シングル・リリースした”VICTIM OF RITUAL”からスタート、まさにラヴェルの”ボレロ”のメタル盤(笑)。まあこれもご愛敬というところで・・・・。

 ターヤのヴォーカルは、相変わらずソプラノ歌手の面目躍如で、クラシック調に唄ったり、ゆったりささやく調であったり芸達者というか聴き応えは十分。
 しかしベースはシンフォニック・ヘヴィ・メタルであって、十分迫力と疾走感とを描ききっている。とにもかくにも彼女の歌唱力がドラマチックに仕上げた曲を一層壮大に仕上げていて魅力あるアルバムとなった。

Tarjay
 しかも中盤の”Mystique voyage”、”Darkness”はスローチューンで、彼女の説得あるヴォーカルが聴けるところも嬉しい。
 曲としては、ナイトウィッシュのツォーマスTuomas Holopainenによる作品の魅力に軍配は上がるが、これはこれとして十分な出來である事は事実。やはりこうしたヘヴィなサウンドがバックにあって、そこで彼女のミスマッチと思えるクラシック発声法が、実は曲を面白くしているのだ。まだまだ頑張って欲しいターヤであった。

 そうそう最近オランダのウィズイン・テンプテーションWithin TemptationのシャロンSharon Den Adelとも共演して話題を振り舞いている。かってのゴシック・メタルの二大女王が頑張ってくれているのである(日本限定CD : Within Temptation 「PARADISE」)。

(試聴) "Victim of Ritual"http://www.youtube.com/watch?v=7PHr2NHfCjo
          "Darkness"http://www.youtube.com/watch?v=B1unpJ4C2yQ

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2013年9月24日 (火)

ブログの製本化=「ココログ出版」終了に思う~アンジェイ・ワイダ、ロジャー・ウォーターズ

ブログを書籍として出版の意味は?そしてブログ自身の将来は?
   ~「灰とダイアモンド」、「月の裏側の世界」に期したものとは~

目下全五冊の「灰とダイアモンドと月の裏側の世界」

5sazu
(製本化された当ブログ)

 この”Niftyのブログ=ココログ”を利用して小生のブログ「灰とダイアモンドと月の裏側の世界」を書き始めたのは2006年12月24日”「灰とダイヤモンドの世界は・・・・」”というもの。既に思い起こすと6年半以上が経過している。

Katyn_wajda もともとこのブログは映画や音楽、書籍などを通じて”問題意識”というものを大切にして行きたいという発想からであったのだが・・・・。
「灰とダイアモンド」
 当初”信念のポーランドの独立運動家としてのアンジェイ・ワイダ”を、彼の監督する映画の抵抗三部作といわれる作品の中の「灰とダイヤモンド」 を取り上げた。
 この作品は、ポーランドにおける第二次世界大戦末期のドイツ軍の降伏によって解放されたかと思われた際のロンドン亡命政府系ゲリラと、ソ連を背景に持ったポーランド労働党との内紛の姿を描いた。ワイダの描くところはポーランドの悲願の独立を期すところ・・・・、しかしその後は悲劇のソ連統治下に置かれ、近年の解放される前には、一時彼の消息は全く無く、投獄されているという話もあった。そんなところからもポーランドのアンジェイ・ワイダの意志は語り繋いで行かねばならないと思っていた。
 しかしこのブログを始めて後に、驚いたことに「カティンの森」 というアンジェイ・ワイダの作品が登場した(2007年)。これは私にとっては夢にも思わなかった驚きの彼の健在のニュースであった。この映画は、ベルリンの壁崩壊からポーランドもソ連から解放されるに到り、その結果自由が獲得されたことから、彼の人生の究極のあるところを80歳を過ぎて執念で描き完成させたもの。この事は私にとって彼の健在を知ることが出來て感動したところであった。しかもその後逆に日本の東日本大震災においては、彼からの激励のメッセージが日本に届いたことは更に驚きであった。私のブログが始まって以降、全く信じられないほどの展開もあったわけである。(又、彼の目下のところの最後の2009年作品「菖蒲」は、これからDVDとしてリリースされるので観ようと思っている)
 そして目下彼は87歳にして最後の作品として、「ワレサ」に意欲を高めている。既に製作に入ったかどうかは不明だが、あの自主管理労働組合「連帯」のリーダーのワレサ(元大統領)を描こうとしているのだ。

Rogerw1 一方、「月の裏側の世界」と言うのは私の音楽においてのリアルタイムなロックの歴史でもある~ご存じ”ピンク・フロイドの世界”だ。あの”当初のリーダーのシド・バレットが行ってしまった狂気の世界”。それを必死で次いだロジャー・ウォーターズにより表現された世界("The Dark Side of The Moon"=地球からは見れない月の裏側)。つまり常人では理解不可能な人間の狂気の世界を意味していたのだが・・・・・・。
 このことに限らず、”ロックRock”と簡単に言ってしまうが、このロックは多くのミュージシャンにより1960ー70年代に世界が躍動し動いた音楽だ。ここにこそ、”若い者のエネルギー”が、”問題意識”が、”訴えの世界”更に”創造の世界”が存在しているのだという事を書きたかったところであった。つまり私の年代は奇しくもロックの歴史と平行して流れてきたのである。
 ロジャー・ォーターズも70歳になろうとして、大規模のものとしては最後のライブと宣言し「THE WALL」ライブを目下4年間にわたって行っている。そこに流れるものは彼の戦争にからんでの不幸な自己の人生を背景として、人間の壁、そして社会の壁を描き、ここに来てイスラエル問題に対峙している。あの築かれたガザ地区の壁の撤廃を求め、イスラエルの人権侵害、国際法への違反を訴えている。

No22 ・・・・・・・しかし、時が流れると同時に、このブログに書き込むテーマも私の単なる趣味化してゆくことになり、いつの間にか「私の趣味の世界の備忘録」となってしまった。そんな訳で見たもの聞いたものなどを記録しいるといったところが現状の姿である。

 そうしたところから、それならば製本化しておけば、将来多分忘れてしまうこともあろかと思われるので、何か意味でもあるかも知れないと・・・・・・現在までこのブログ「ココログ」の企画されている”ココログ出版”を通して製本化してきたわけである。それがいつの間にやら一冊230-250頁の本が五冊となってしまった。ここまで来るとなんとなく製本も止めてしまうのも面白くないので続けゆきたいと思っていたが、残念なことになんとここに来てこの”ココロク出版”による出版サービスが終了と言うことになった。
 なにかちょっと寂しいなような気もする中で、これもインターネット社会の変化の中での一つの現象とも取れる。つまりブログというものも一つの転機が訪れたと言うことを表しているのであろう。かって”インターネットという情報コミュニケーション社会”が形成される以前に、”パソコン通信”というものがあったが、それに私は没頭したした一時期があった。考えてみればそれも歴史の一幕であった。多分この”ブログ社会”も、”ホームページ”のパターンを超えて普及し社会現象化したとはいえ、それも歴史の一幕になって行くのであろう。(既にTwitter社会が広がっている)

 私自身もそんな中で、この当ブログをどうゆうものにするか、丁度考えるに良い時を迎えたと思っている。しかし目下のところ、そうは言っても私は多くの人の書かれるブログを拝見することが出來、そして結構楽しませて頂いている現状がまだまだここにはある。その事は、まだまだ大切にして行きたいと思うところでもあり・・・・、慌てず急がず次の時代も見据えて今後に対峙して行こうと思っているところである。

(試視聴)「灰とダイヤモンド」 http://www.youtube.com/watch?v=fdDo-gDkCFo&list=PLF294DA0CB4007180
       「カティンの森」 http://www.youtube.com/watch?v=1o6yWgR2at8
       「THE WALL-LIVE」 http://www.youtube.com/watch?v=OKxt-fOCB1s

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2013年9月22日 (日)

ムードたっぷりジャズ(2)~「Jazz For When You're Not Alone」

(続) 究極のロマンティック・ジャズは如何!

<Jazz> Mellow Jazz for Peaceful moments (V.A.)
  「Jazz For When You're Not Alone 」
      SAVOY JAZZ   SVY-17458 ,  2005

Jazznotalone
 SAVOY-JAZZ の企画、ロマンティック・ジャズ・シリーズの究極は?。この話はどうしようかと思いましたが、更に続けることにいたします。

 なにせ・・・・・Experience moments of complete relaxation to the gently awinging sounds of these legendary artists in now-classic recordings from the Savoy Jazz vaults ・・・・と、言うことですから。

 秋の夜にぴったりのシリーズ。前回紹介の「Jazz For When You're Alone」 が好評であったために、その続編としてリリースしたものと思って良いのでしょうね、このアルバムは。
 又々伝説的ジャズの名手が、これも不思議と言えば不思議な好音質で登場というところで、・・・・・そのムードに納得し、そして感動を呼ぶアルバムです(大袈裟)。どうですか?このジャケは如何でしょう?。お気に入りの方は聴いてみてください、期待は裏切りません(笑)。

Jazznotalonelist これもCD二枚組、20曲(クリック拡大)。
 登場は、ヒューストン・パーソン、チャールズ・アーランド、ソニー・ステット、リッキー・フォードのサックスが心に響きますね。そしてジミー・ポンダーのギター、更にラッセル・ガン、ウォレス・ルーニー、ウディ・ショウのトランペット。この時代ものはあまり聴いてないために、このサウンドで聴けるのは嬉しいところ。
 ピアノは、イリアーヌ・イリアスのライブものも登場してそれに加えてハンク・ジョーンズ、シダー・ウォルトンが演じます。
 その他、カーティス・フラーのヴィブラフォン、バド・シャンク、ヴィンセント・ハーリングのサックスも聴けます。珍しくトゥーヅ・シールマンスのハーモニカも登場と多彩にしてムード溢れるアルバムとなっているんです。
 そうそう忘れてはいけない渡辺貞夫も登場します。

 こうした企画物は、どうしても多くのアーティストを取り上げる為、サウンド面も雑になりやすい。しかしこのSAVOY JAZZ は、多分レーベルの意地もあるのでしょうね、このあたりは成功アルバムの再発として、サウンドは十分検討し多分リマスターしての現代版として聴かせてくれていることと思う。更に二枚組というサービスも追加していて、そのあたりは私は評価をするのである。(このシリーズの2000年以降の二枚組再発・良好サウンド・サービス盤は、掘り起こすとまだまだ沢山出てきます。とにかく1940年代からのジャズ名門レーベル、ネタには尽きるところが無いのでしょう~参考まで)

(試聴) Sonny Stitt "Angel Eyes" http://www.youtube.com/watch?v=nQRNbH-sqeU
            Hank Jones"'Round Midnight" http://www.youtube.com/watch?v=rTO438Ps0xU

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2013年9月21日 (土)

とにかくムードたっぷりジャズ~「Jazz For When You're Alone」

これは、聴いたもの~誰もが納得シリーズだ!

<Jazz> Jazz for relaxing
      
「Jazz For When You're Alone」
              SAVOYJAZZ   COCB-53117⇀18  ,   2003

Jazzalone
 とにかくジャケのムードを感じてください。最近ちょっと内緒で聴いていたんですが、あんまり一人で楽しむのも何なんですから、そのもののムードをしっかり感じられるアルバムを紹介しちゃいます(笑)。
 ”Over 100 minutes of gently swinging jazz in a deluxe 2 CD set !”というやつで、「SAVOY JAZZ」の企画物。このとおりのCD二枚組。全17曲をたっぷり聴かせてくれますので、一晩はこれがあれば十分ですね。このレーベルは1942年設立、以来ジャズを売り続けているところで、まあ名門と言うことになるようです。そうですよね、なんと70年以上の歴史となるわけですから。
 そんなところの企画物で、歴史的演奏が含まれるのですが、それが最近の高録音ものに聴けるのです。まあ私には良く解らないけど、”最新アナログ・マスタリング方式(VMF)採用”となっていて、それがこの音なんでしょうか?。とにかくピアノの響きはクリアで、ギターの音も良好、サックスの重厚な音は体に迫ってくるし、トランペットの泣きは哀しげに夜を描く~まあちょっと大袈裟かも知れないが、それぞれの演奏が手に取るように聴こえることは事実。こうした企画物としては良録音なんですね。
 いやはや、秋の夜中にはぴったりですね。とにかく暗くなく騒がしくなくそしてムーディーで言うこと無しですね。

Jazzalonelist Tracklistと演奏者は左のごとくである(クリック拡大)。これはまさにスタンダード・ナンバー集。それぞれがゆったりと一人の夜を慰めるが如く聴かせてくれる。
 私はもともとpiano,bass,drumsのピアノ・トリオ派なんですが、ここではヒューストン・パーソン、ウィルス・ジャクソン、ソニー・ステットのサックスが何とも言えず心地よく心を和らげてくれる。
 ドナルド・バードのトランペット、ケニー・バレル、ラリー・コーエルのギターそしてレッド・ガーランドのピアノなどなど、ジャズはこれだとばかりに迫ってくる。
 しかしこんな時代の音がここまで良質であると言うことは、それなりにちゃんとしたマスター・テープが残っていると言うことなんでしょうか?。私はかっての名演と言っても音が悪ければ「感動」の「カ」の字もないほうでしてこのアルバムは合格です。
 
 もう一つは、最後に私の好きなキャロル・ウェルスマンのヴォーカルが登場する。いやはやニクイですね、ここまでオーソリティーの演奏を聴かせて、そして彼女の歌声が締めてくれるのである。

 さて、このアルバムに辿り着くには、その所以なる根拠があるのです。それはこの下のアルバムを爵士さんの紹介で知ったことから始まったです。なにせこのジャケですからね(ほんとは、こんなシースルーじゃない方がむしろ品のあるムードがあって良いと思うのですが)。これを知ってしまったので、それではと、日頃の私なりに探っていってこの上のアルバムを発見できました。是非とも座右に置きたいですね。これら二つのアルバムは両方二枚組で、一部曲が重なりますが・・・・お勧めです。(実は更にその後のお話しもありますが・・・機会があればと言うことで)

   <Jazz> 「Jazz For A Rainy Afternoon」
                     SAVOY JAZZ    SVY17171,   2003

Jazzrainyafternoon

  どうですか、このジャケのムードは?。二枚組20曲、たっぷりムードに浸れます。そしてこのムードの世界を、これもキャロル・ウェルスマンが最後を締めくくります。いやはや驚かされながら、秋の夜をしっとりと過ごしているのである・・・・と言うところであります。

 (試聴) http://www.youtube.com/watch?v=9OBOcNYmceo

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2013年9月18日 (水)

新生ドリーム・シアターDream Theater決意の降臨 : 「DREAM THEATER」

お見事!、圧倒的 5.1サラウンド・サウンドで登場!

<Rock> Dream Theater 「DREAM THEATER」
       Roardrunner Records  WPZR 30479/80  , 2013

Dreamt

 いやはや久しぶりに圧倒的サウンドに酔ってます。今度のドリーム・シアターのニュー・アルバムはなんとバンド名がアルバム・タイトルの「DREAM THEATER」だ。それにはそれなりの決意があるのだろう。
 あのバンド中心メンバーのマーク・ポートノイが去って前作「a dramatic turn of events」(参照http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/drem-theater-a-.html)が、それなりの成果を上げての2年ぶりの新作の登場。ここに彼等の決意のアルバムとみたい。実は彼等はこの数年、一つのマンネリに直面していたと思う。そんな時に新ドラーマーMike Manginiを迎えての取り敢えずのアルバムをリリースして、ここに来て彼等は新生ドリーム・シアターの決意が固まったとみて良いと思う。今回もJohn Petrucciのプロデュースになっている。このあたりが新展開の一面なんだろう思う。

Dreamtlist TrackListはボーナス・トラック1曲を入れて10曲。しかも今回はDVDによるPPCM(96KHz/24bit)5.1サラウンド・サウンド(ハイレゾ音源)で登場。
 やはり彼等の演奏世界はサラウンド・サウンドにピッタリ、CDステレオ盤もあるがDVDサラウンドで絶対に聴くべきである。 ウーハー、スーパー・ツイターの能力をフルに使ってくれて、CDとは別世界を体験する。”8.along for the ride”などのオープニングのギター・サウンドの”生き”がそして”息”が全くCDとは異なるのだ。

 しかし今度のアルバム、イントロ曲の”1.false awakening suite”を聴いたときは、”ええ!、ナイトウィッシュ?”と思わせるシンフォニック・メタルで驚かされた。それが次の”2.the enemy inside”になって、おお、やっぱりドリーム・シアターと、ほっとするというか、これで良かったと思うのである。ナイト・ウィッシュはナイトウィッシュとして最高であるが、そのパターンに彼等がなってしまったら、今までのドリーム・シアターは何だったと言うことになってしまうからね。
 やっぱりこうして聴いてみるとドラマーの違いも見えてくる。Manginiはドスン・バタンより若干こまめな連打も早めで、色彩豊かである。
 又、全体を通してLaBrieのヴォーカルのウェイトが減って、インスト的演奏の世界に突入しているところも楽しめる。

Member1

 最後”illumination theory”は組曲になっていて、ストリングス入りで、どうなっちゃうの?と思わせる広い世界を展開させて美しく終わるところはにくいところである。と、思いきやドラムスとベースの重低音連打と音場を廻るサウンドで圧倒する展開、そこにヴォーカル登場で彼等の世界を歌い上げ、そしてそれでもかとPetrucciのギターとオーケストレーションが壮大に締めるのである。なかなか展開を考えた一大叙情詩に仕上げたアルバムで圧巻である。
 更にもう一つの特徴は、彼等は社会情勢と人間性に眼を向けていること。戦争の功罪、又テロリズム、非道な非人間的な歪みにも批判の声を上げたところも大きな特徴となっている。
 

 なにはともあれ、私にとっては取り敢えず納得のアルバムであった。それも5.1サラウンドで生きる演奏世界である事を打ち出して、彼等の演奏を見事に技術陣が仕上げたところも評価したい。今取り敢えず第1回目の聴いたところの感想だ。もう少し聴き込むと又違ったところも見えてくるかも知れない。

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2013年9月16日 (月)

時には軽快に・・・ザーズZAZ : 「RECTO VERSO」

相変わらずのリズムカルなシャンソンムードで心を惹きつける

<Jazz, Pop>  ZAZ 「RECTO VERSO」
          PLAY ON (SONY MUSIC) ,  LC 06667 / 88883722892 ,  2013

Rectoverso
 さて、このところ初秋の夜向けのやや暗めの世界を追ってきたので、ここらで気分一新しよう。楽しさ溢れるリズムカルにしてフランスではエディット・ピアフの再来かと言われるほど好評でヒットを飛ばしたザーズZAZ(Isabelle Geffroy)、彼女の2ndアルバムをここで登場させる。
 ZAZは、かって紹介したが、ストリート・ミュージシャンとしても経験を積み重ね、自己の世界を作り上げた。
 このアルバムは今年のリリースと同時に購入、しばらくはこのブログでどう取り扱おうかと考えつつ、前回取り上げた2010年の1stアルバム「モンマルトルからのラブ・レターZAZ」 を思い出しながら・・・・・私にとってどうゆう位置に彼女のアルバムはあるのかと、余計な奇妙なことを考えさせられ、何かここで書きにくくなってきていたのだ。しかしこのところの多雨などちょっとスカッとしない連日であり、このような時こそこのアルバムが良いのに気がついた。
 ジャジーでポップであるが、私自身は夢中になるようなのめり込む世界でもないのだが、しかしややハスキーで鼻に少々かかった歌声は、意外に快活でリズムカルで快感だ。つまり魅力は十分なのである。しかし輸入盤で聴いている為、フランス語で(幸いと言った方が良いか)意味は解らないが彼女のこと、多分辛辣なことも唄っているに相違は無い(おそらくそうだと思う)。むしろそんなところも彼女の世界の魅力なのであるのである。日本盤では多分歌詞訳も付いているのだろうと思うが、むしろ解らない方が楽しいとしておこう。

Rectoversolist_2
Zaz72
 この3年ぶりの2ndアルバムには14曲のオリジナル曲が納められているが、聴き出すと一気に終わりまでいってしまう。そんな気持ちを乗らせて聴かせているのだ。特に母国フランスは勿論だが、欧州各国で彼女は非常に支持を得て、この2ndアルバムがリリースされた。
 彼女は1980年生まれだが、2000年にボルドーにあるCIAM音楽学校に入学して、ジャズ、バスク音楽、キューバ音楽、ラテン音楽、アフロ音楽、クラシック音楽となど多彩な分野に切り込んで影響を受けたという。しかしフランスだけあって、シャンソン・ムードがしっかりと生きているところがにくいのだ。

 なにせ彼女はあの1stアルバムのヒットの後、なんと5ヶ月の訓練(ハードトレーニング)をして、ヨーロッパ・アルプスの最高峰4810メートルのモンブランに登頂に成功。そこでヒット曲の「私の欲しいもの」を唄ったというから恐ろしい。(http://www.wat.tv/video/zaz-chante-sommet-mont-blanc-5a75p_2exyh_.html
 まあとにかくこのZAZは聴いてみるのが一番。自然に体がリスムを取って聴いているのが解る。多分聴くもの皆がそうだと思う。こうした世界も音楽としては大切なところだ。

(参照) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/zaz-2342.html

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=8IjWHBGzsu4

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2013年9月14日 (土)

デヴィッド・ダーリングの名作 :コンテンポラリー作品 「Cello」

ECM世界感とデヴィッド・ダーリングの世界が作り出したもの

<Contemperary Music   Jazz>
           David Darling 「Cello」
           ECM Records   POCJ-1137  ,  1992

 

Cello
        David Darling : Acoustic Cello, 8-string electric Cello 

 デヴィッド・ダーリングDavid Darlingのチェロの話となって、物事にはついでにというところもありで、彼の過去のアルバムをもう少し探ってみたくなり、つい先日仕入れた1992年のアルバム「Cello」。まあこうしたジャズ系のコンテンポラリーな世界はいろいろの展開があろうが、やはりクラシック系の趣も時には良いものですが・・・・・・。
 ダーリングは、このアルバムのライナー・ノーツによると、子供の頃からチェロを弾き、大学で作曲等の音楽を学んで後、チェロの教師になるも、ナシュビルに移ってチェロによるジャズ・インプロヴィゼイションの探求を推し進めたという。1979年ECMにおけるラルフ・ターナーのアルバム録音に彼は呼ばれ、それによってマンフレット・アイヒアーに目を付けられ、ECMとの契約がなされた。こうして1979年以降1983年までECMにて彼のリーダー・アルバムを含めても活動を展開した。そしてその後なんと9年のブランクがあってこの彼のソロ・チェロ・アルバム「Cello」がリリースされたという経過だ。今から20年も前の話になるのだが、どうもそのブランクの間は彼は作曲活動に邁進していたようである。

 さてその久々に彼の演奏作品は、タイトルも”Cello”というそのもので、これもアイヒアーの構想によるモノであったようだ。恐るべしECM!。

Cellolist Tracklistは左のようで、全てダーリングの作曲によるものだが、2.6.の2曲にECMのアイヒアーがしっかりと絡んでいるところは、やっぱりアイヒアーはかなりその気でこのアルバム作りをしたのだろうと推測できる。確かにチェロ演奏のみでのアルバムと言うことになると、やっぱりECMだからこそ成し得る事であろうと思うからである。
 見ての通り、”Darkwood”という重厚なチェロ・サウンドの曲が3曲(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)ある。実はこのアルバムから一年後にやはりダーリングのチェロで「Darkwood」(これは続編仕立てでⅣから始まる)というアルバムがリリースされたのだった。

 このアルバムではダーリングはAcoustic Celloと 8-string electric Celloを演奏し、オーバー・ダビングにより曲作りをしている。重厚なAcoustic Cello のアルコの音に、Electric Cello のピッツィカート奏法というかピッキングというか、そんな音により色づけをして多彩な変化を持たせているのが印象深いが、やはりスローな流れに自然の豊かな風景が頭に浮かび、そして又一編の映画を見ているがごとくの物語の世界をこのアルバムを通して聴くと心に描かせてくれる。クラシック曲のイメージも感じられつつ、コンテンポラリー・ジャズ系のニュアンスもあって、不思議と言えば不思議な世界である。
 

Dd2 いずれにしてもこのジャズ系チェロ奏者が、チェロオンリーで作り出したアンビエントで、思索的、抒情的世界は歴史に残る名作と言っていいだろう。なかなかここまでやれるものではない。
 しかし、全体の印象はブルーというか、暗いというか、そうした世界であるから、もし興味の持たれる方がおられたら、要注意としておきたい。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=GUocP4cepuc

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2013年9月12日 (木)

デヴィッド・ダーリングDavid Darlingの深淵な世界: 「Cello Blue」

瞑想にふけるチェロの響き

<Contemporary music, Jazz>
            DAVID DARLING 「Cello Blue」
              HEARTS of SPACE   H406-2,  2001

Celloblue

   Cello, NS 5-string Electric Cello, Piano, Midi programming and synthesized performance, and vocals by DAVID DARLING

 初秋に選んだノルウェーのケティル・ビヨルンスタのピアノの美しさの世界、そしてそのアルバムに共演していたこのデヴィッド・ダーリングDavid Darlingのチェロの深淵さ。そしてここに話がダーリングのアルバムへと進んでゆくのである。
 実は私は昔からチェロの音には魅力を感じてきた一人であるが、それは取り敢えずはクラシックの世界に於いての話であり、このような現代音楽的でジャズの世界にクラシック的ニュアンスのあるところのチェロが主体のアルバムというのはこのダーリングのアルバムが最初であった。
 彼は1941年アメリカ・インディアナに生まれで、早くにチェロを学び、インディアナ州立大学では作曲も学んでの音楽家。そして演奏、作曲の活動は1970年代から続いているベテランであり、2009年のアルバム「Player for Compassion」で、グラミー賞ベスト・ニュー・エイジ・アルバム賞を受賞している。なんとその記念的アルバムは私は実はまだ聴いてない。近年彼の世界とは別のところで右往左往していて、今回のケティル・ビヨルンスタの話で私が唯一所持しているこのアルバムを思い出したと言うところなのである。

Dd1(tracklist)
  1. Children
  2. prayer and word
  3. cello blue
  4. thy will "not mine" be done
  5. serenity
  6. colorado blue
  7. awakening
  8. morning
  9. presence
10. solitude
11. prayer

 このアルバムは11曲。しかも全てダーリングの作曲と演奏。つまり彼はチェロの他にピアノ、シンセサイザーさらにはわずかではあるがヴォーカルまで入れて一人で仕上げている。つまりオーバー・ダビンクを駆使したと言うことになる。チェロもアコースティックチェロと5弦エレクトリックチェロを演し、そこには重厚にして深淵、瞑想を誘う世界が襲ってくる。この作品は2001年リリースであり、彼の1990年代のケティル・ビヨルンスタのピアノとの共演を生かしてか、ここでは彼自身のピアノの演奏も被せて味付けされた音を展開してみせる。

 チェロも時に激しい演奏をしてみせるものもあるが、彼の場合はそのような展開はこのアルバムではない。そうした面はかってのビヨルンスタの「The Sea」に見ることが出来たが、彼自身のこの個人アルバムでは、スリリングな世界と言うよりは、瞑想の世界を選んだのであるかも知れない。とにかくジャズの世界にいて、チェロを主として生かすというのはやはり一般には考えられないところであり、それならばむしろこの楽器の特有な厚い深遠な音に重点をおいたと判断するのである。
 中盤(3.”cello bleu”あたりから)には鳥のさえずりなどのSEがはいって、何故か幸せな美しい世界が迫ってくる場面もある。アルバム・スタートの暗さに終わらず、地球上の美しさにも迫った感がある。まあブルーというだけでないこのアルバムではあるが、絶対お勧めとは言わない。特にチェロの音と思索と奥深い美と、意外性の世界に興味のある人には一聴の価値があるのかも。
 ここでデヴィッド・ダーリングの世界に回顧が及んだというところで、彼のECMからリリースしたところのこのアルバムより以前の1992年に話題となったアルバム「Cello」も聴いてみようと今思っているところだ。

(試聴) "solitude" http://www.youtube.com/watch?v=YedAS2ia-5Q&list=PLDKMMgebarWkpzsOXayGcAstAsKV8t9ka

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2013年9月 9日 (月)

ケティル・ビヨルンスタKetil Bjørnstad の傑作(回顧2):「The Sea」

「静」にしてスリリングな危機意識と美

<Contemporary music, Jazz>
Ketil Bjrnstad  David Darling  Terje Rypdal  John Christensen

   「The Sea」
    ECM Records  ECM 1545  521718-2 ,  1995

Thesea2 さてさて、ノルウェーの作家で有り、作曲者であり、そしてジャズ系ピアニストのケティル・ビヨルンスタの話が続いているのだが、彼の傑作と言われるアルバム「The Sea」だ。先日ここで取り上げた「the River」(1997)の2年前の1995年作品であるが、私自身は先に「The River」を聴いて驚いて、その為に彼の傑作としてさかのぼってこれを聴いたという経過であって、その為「The River」を知ったほどは驚かなかったのだが・・・・・・。
 ここに取り上げた順番はそんな訳で、リリース順でなく私の聴いた順に従ったモノ。それでもこちらは彼のピアノに加え、Cello の他にGuitar と Drums とのカルテット作品と言うだけあって、「静」の中にも結構イメージが違うのである。

Theseamembers Ketil Bjørnstad : piano
  David Darling : cello
  Terje Rypdal : guitars
  John Christensen : drums

 (tracklist)
     Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ,Ⅶ,Ⅷ,Ⅸ,Ⅹ,ⅩⅠ,ⅩⅡ

 このアルバムも12曲より構成されているが、上のように数字のみ。
 この作品は、私の聴いた限りに於いては、冒頭はビヨルンスタの得意とする思索的なメロディーを流してくれるが、次第に静の中に結構スリリングな演奏による音の展開がチェロにしろギターにしろ聴かせてくれるので(”Ⅱ”の後半などから)、こちらは私の愛するミュージックの歴史でもあるかってのプログレッシブ・ロックの世界と同じ気分にもなれたものだ。特に”Ⅳ”にその色合いが濃い。このアルバムのイメージは哀愁、抒情、美しさという後期ビヨルンスタの得意分野だけに収まる世界ではなく、そこには何か不安のある緊張感を持たせてくれる。そのあたりが傑作と言われる一つの世界なのであろう。
 しかし”Ⅴ”にはビヨルンスタの美しく抒情性のあるピアノの流れがあるし、それに次いでのギターの泣きは、若き頃のロックで歩んできた私にとってはお気に入りの展開なのであった。
 ”Ⅹ”、”ⅩⅠ”に於けるそれぞれの楽器が異様に盛り上がるところはまさにContemporary Music と言っても良いのだろう。ギターの異音とピアノの大きな波のうねりを連想させる演奏には圧倒される。
 最後の”ⅩⅡ”は静かなピアノが再び静かさを取り戻した海の如く響くのである。
 まあ、このアルバムは全曲ビヨルンスタの作曲だが、あくまでもカルテットとしての色彩が濃い。従って彼の美しいピアノを主体に期待するわけにはゆかないというところ。

Kb3 このようなビヨルンスタの構築するContemporaryな世界に一度は足を踏み込んで、そうしたミュージックの流れを体感するのは悪くないと思う。そんなことで私のビヨルンスタの多くの作品の中のわずかな経験したアルバムを取り上げているわけだが、ロック派からの流れはこの「The Sea」(1995)、そしてクラシック系からは「Preludes」(1984)、「The River」(1997)、映画音楽系からは「La notte」(2013)と入って行くと面白いのでは?、なんてふと思ったりしているのです。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=D627sFeuBh0

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2013年9月 7日 (土)

ケティル・ビヨルンスタKetil Bjørnstadの美学(回顧) : 「The River」

深淵で、そして美しく、物語が展開する

<Jazz, Classic> Ketil Bjørnstad David Darling 
                
「The River」
                      ECM Records  ECM1593 ,  1997

Theriver

 もう本格的な秋の夜なんですね、私の居住地では虫の音の大合唱である。窓を開けてその合唱を聴きながら、私の拙いオーディオ装置からそれに似合った音をとなると、ついに至る所に至ってしまった・・・・と、言うところで私の数少ないケティル・ビヨルンスタの体験の中から過去の一枚を取り上げる。

 とにかくピアノの調べばかりでなくクラシック全体に酔った時期もあった私の若き時代には、一方プログレッシブ・ロックの流れはしっかりと押さえていたが、実はジャズは殆ど聴いていなかった。ベートーベンのヴァイオリン・ソナタなどヴァイオリンとピアノの美しさに酔ったときなどもジャズは全く私の場合は蚊帳の外、それでもただジャック・ルーシェのブレイ・バッハなどは彼の日本デビューからリアル・タイムに聴いてきたのであったが、ビル・エヴァンスとかはアルバムを買っても何故かご執心になることはなかったのだ。しかしおかしな事にハービー・ハンコック、キース・ジャレットはそれなりに聴いていたから不思議である。まあハービー・ハンコックはクロス・オーバーのタイプで襲ってきたのも事実だが。そうそうハービー・マンとかバーデン・パウエルなども聴いてきた。
 そんなことでありながら、しかし自然にジャズの魅力は歳をとるに従って濃厚に感ずるようになって、いろいろ聴くようになった。そして何年か前に突然知ったこのビヨルンスタは驚異であった。ジャズとは?クラシックとは?何ぞや・・・・と、問う代表格の彼の作品に感動を知ったのである。そんなことが、前回紹介の「La notte」の登場で思い起こされたというところである。

Ketildavid  Ketil Bjørnstad : piano
  David Darling : cello


 さて、このアルバム「The River」は、ビヨルンスタのピアノとチェロとのデュオ作品として私の大切な1997年の作品。
  ビヨルンスタは1952年、ノルウェー・オスロ出身でクラシック・ピアノからジャズ畑に進出して、Chamber Jazz, Folk Jazz, New age という分野に色分けされているようだが、このアルバムのチェロリストのデヴィッド・ダーリングDavid Darlingは1941年生まれのアメリカ出身で、やはり同様な分野に作曲者、演奏者として活動してきた(彼のアルバムはECMから「Cello」(1992年)、その他「Cello Blue」(2001年)というのが良かった)。私の知るところでは、ビヨルンスタの代表的アルバムの1995年の「The Sea」でも(これはカルテット・アルバムだが)共演している。

Theriverlist2_2

 ”Ⅰ”、”Ⅲ”はクラシック調の優しい曲。そして”Ⅱ”、”Ⅳ”のピアノはややジャズ的で美しさは圧巻。”Ⅴ”は、チェロとピアノの絶妙なバランスで深淵な世界に。
 ”Ⅵ”のピアノが主体のクラシカルな繊細さのある曲で優しさ美しさも一級品。
 ”Ⅶ”は、このアルバムで最も長い曲であるが、静かにゆったりとそして哀愁のある世界をピアノ、チェロの響きで堪能できる。
 続く”Ⅷ”では彼等のテクニックが交錯してスリリングな面を示す現代音楽調の曲。こうした曲を取り入れてのアルバムをトータルに構築していくところが聴く者にとっても感動の流れを呼ぶのだ。
 そして”ⅩⅠ”で深淵な世界にもどり、”ⅩⅡ”の優しい曲で幕を閉じる。

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 とにかくジャズ・ピアノの世界も広しといえどもここまでクラシカルなサウンドを主体に聴かせてくれるのはこのケティル・ビヨルンスタが最右翼であろう。そしてソロ、デュオ、トリオ、カルテット、女性ヴォーカルを取り入れるなどなど、1970年代からの長い歴史の中で、彼は彼の道を崩さず歩んできている。
 しかし今年の「La notte」を聴いても、決してマンネリ化はしていない。北欧から更にこれからもプレゼントを頂きたいものと期待しているである。

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=LeAAUPPkZI0

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2013年9月 5日 (木)

ケティル・ビヨルンスタKetil Bjørnstad~初秋の夜はこれ! : 「La notte」

「寂しい人生の夜」が描かれる

<Jazz> Ketil Bjørnstad 「La notte」
             ECM Records    ECM 2300  3724553 ,  2013

Lanotte_2
 ノルウェーのベテラン・ピアニストであるケティル・ビヨルンスタKetil Bjørnstadの演奏する世界は、果たしてジャンルはジャズと言ってよいものか?、クラシックでもあり現代音楽でもありポピュラーでもありながら、ECMからしっかりリリースしているところからもやっぱりジャズなんでしょうね。
 と言うところで、今年のアルバムはこの「La notte」。今回はいつもと言っては語弊があろうが、やっぱりチェロを擁しての下のようなメンバー。しかしサックス、ギター、ドラムスとくるからこれはかなりジャズよりのアルバムだろうと期待してよいところ。しかし単純にジャズと言い切れない世界を知ることになる。

LanottemembAndy Sheppard (tenor & soprano sax)
Anja Lechner (cello)
Eivind Aarset (guitars, electronics)
Arild Andersen (double bass)
Marilyn Mazur (per, drums)
Ketil Bjornstad (piano)

 まあしかし先頃(2008年のアルバム「The Light」)は、ビオラとの共演とクラシックの本格的女性ヴォーカルが登場したりして、決して悪くないのだがジャズ・ファンとしては、なかなか対応が難しいピアニストのアルバム。
 もともとクラシックから出発してジャズの世界に入り、ピアニスト、コンポーザーとしての活動に加え、一方小説家としての業績も多いビヨルンスタのこと、アルバムにもそれぞれ一つの世界が登場する。そんなところで私は彼の音楽に対しては素人そのもの、やたら多いアルバムも殆どきちんと聴いていない。かってのアルバム「The River」(1996年)のように、チェロとのデュオが印象深いと言ったところは十分納得しているのだが。

Kbjo さて今回のこのアルバムも、8曲と言っても下のように、ⅠからⅧまでと曲名も単純。全てで一曲と言っても良いのかも知れない。そして全体の印象を一言で言えば”夏の去った寂しさの秋に聴く調べ”ってところだろう。
 そもそもこのアルバム・タイトル”La notte”は、昔のイタリア映画のタイトルである。訳せば「夜」、ミケランジェロ・アントニオーニの監督作品で、ジャンヌ・モローとマルチェロ・マストロヤンニの主演する空虚な男女の関係を描いたもの。上のアルバム・ジャケはその一シーンであったのであろうか?。多分その世界を意識して聴かねばならないビヨルンスタの作品だ。

(Tracklist)
1.I
2.II
3.III
4.IV
5.V
6.VI
7.VII
8.VIII

 とにかく”Ⅰ”のスタートから”静”そのもので”暗い”というか”深淵”というか・・・・、次第に聴こえてくるドラムスの弱い暗い響き、ピアノの音、そしてチェロが美しく重く響き渡る。”ああ、ここに人生があるのだ”という世界を印象づける。もうここで美しさ故に聴き込まざる世界に没入、逃れられない。”Ⅱ”になると、今度はチェロに変わりサックスが泣く。とにかくビヨルンスタのピアノはメロディーを奏でるのでなく、チェロ、サックスにそれをまかせ、バックに複雑にして聴き安い不思議な流れを作り、ベースも厚みを増すが如く響くのである。
 しかし、すくなくとも私がかじった彼のアルバムでは、最も魅力的といえる曲の流れである。そこにパーカッションまで、ドラムスまで素晴らしい。”Ⅳ”になって初めてピアノが抒情的な物語りを展開する。

 初秋の夜に聴くせいかこのアルバムの素晴らしさに虜になってしまうのである。スローに始まりそのまま行くのかと思いきや早いリズムも現れるが、なんとしてもサウンドは深淵である。”Ⅶ”のスリリング、エキサイティングな展開は予想をひっくり返すが、ここに来てジャズの美学がしっかり流れていることを知るのである。”Ⅷ”は再び暗い寂しい夜の世界に、チェロとピアノの音(ね)と共に沈んでゆく。

 しかし驚きは、このアルバムはジャズ・フェスティバルのライブ録音ということだ。これを会場でどんな雰囲気で聴いたのであろうか、まさに想像は不可能に近い(会場の聴衆の雑音は一切無い)。それは美の思索のアルバムであるからだ。

(参考試聴)"Prelude 13" http://www.youtube.com/watch?v=9prfTfSkOjU

 
 
 

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2013年9月 2日 (月)

ヨーナス・ハーヴィスト・トリオJoonas Haavisto Trio の思索の世界 : 「Micro to Macro」

若き逸材の描く世界は哲学的思索的宇宙空間に広がる

<Jazz> Joonas Haavisto Trio 「Micro to Macro」
               BLUE GLEAM      BG005 ,    2012

Joonashaavistomicrotoma
 このところ暑かったり涼しかったりですが、確実に夜となると秋の気配も感じられるようになって、やはりピアノ・トリオの音が夜には聴きたくなるという9月のスタートです。
 そんな中で、主体性の無いところの極みですが、全くの情報というかその中身のなんたるかも知らずに、やはり友人からのお勧めで聴いたのがこのアルバム。
 ただフィンランドの若き逸材と言うことのみ解っていたので、実は北欧の抒情性かと期待しながら聴いたというところなんですが、アメリカン・ジャズとかスウィングするとかとは全く異なって、やっぱり北欧風なんでしょうが、なんとその私の当初のイメージの違いに驚きつつ、しかもその中身の創造性と思索的な世界に驚いているのであった。

Joonas Haavisto (p)
Antti Lotjonen (b)
Joonas Riippa (ds)

(Tracklist)
1 Light From Behind The Sun
2 Sothis
3 Circling Planets
4 Is There Anybody
5 Color Confinement
6 Partying Quarks
7 Slowing Down (Bonus Track)
8 Supernova (Bonas Track)

Joonastrio1blog これはヨーナス・ハーヴィスト・トリオの2ndアルバム(デビュー作「blue waters」は2009年にリリースされている)。若きヨーナス・ハーヴィストにとっては実力派のベーシスト・アンティ・ロジョネンとやはり実績のあるヨーナス・リーバとのトリオ結成で、彼の思う世界を存分に演奏しきったようである。
 このアルバム、日本盤と現地のフィンランドにおけるアルバムのジャケが異なっている。こっちが日本人好みなのか良く解らないが、BLUE GLEAMの成せる技か?。なにせBLUE GLEAMと言えば、あのAlessandro Galati の日本企画盤リリースのレーベルだ。実はオリジナルのジャケ・デザインが結構ジャズ・アルバムという感覚よりは、プログレッシブ・ロックといった雰囲気があって、そのあたりから彼等の時代感覚と演奏内容を推測して行く方が面白いのだ。

Micro_to_macro_small_2 参考までにそのジャケを挙げておく。もともとは、日本盤の7.8.の2曲は無しの6曲のアルバムであるが、このジャケ・デザインは如何にも宇宙感覚。
 実際に演奏する曲は、抒情性によって聴く者を惹きつけていくというので無く、むしろ異空間への誘いで有り、又そこには何か哲学的思想を描いているといった趣がある。ハーヴィスト自身はキース・ジャレットを敬愛し、一つの目標にしているようであるし、彼のピアノ・プレイは結構硬質でしかも技巧のレベルも高い。全トラックに通ずる彼の描く世界は、非常に繊細にして単調な旋律で無く、生やさしい世界と違って創造性のある思索的世界で迫ってくる。それをリズム隊のベース、ドラムスが一層繊細に後押ししているために、私には良く解らないが、フインランド盤の不思議な球体と惑星の砂丘を思わす異世界が妙に気になってくるんです。

 究極のところの彼等の世界は、一度で頭に焼き付く美世界というのでなく、何度と聴いていくうちに何かが見えてくると言うところにあるのだと思う。期待株。

(参考試聴) "Joonas Haavisto Quartet"  http://www.youtube.com/watch?v=VyqP6Wu5r88

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