ヨーナス・ハーヴィスト・トリオJoonas Haavisto Trio の思索の世界 : 「Micro to Macro」
若き逸材の描く世界は哲学的思索的宇宙空間に広がる
<Jazz> Joonas Haavisto Trio 「Micro to Macro」
BLUE GLEAM BG005 , 2012
このところ暑かったり涼しかったりですが、確実に夜となると秋の気配も感じられるようになって、やはりピアノ・トリオの音が夜には聴きたくなるという9月のスタートです。
そんな中で、主体性の無いところの極みですが、全くの情報というかその中身のなんたるかも知らずに、やはり友人からのお勧めで聴いたのがこのアルバム。
ただフィンランドの若き逸材と言うことのみ解っていたので、実は北欧の抒情性かと期待しながら聴いたというところなんですが、アメリカン・ジャズとかスウィングするとかとは全く異なって、やっぱり北欧風なんでしょうが、なんとその私の当初のイメージの違いに驚きつつ、しかもその中身の創造性と思索的な世界に驚いているのであった。
Joonas Haavisto (p)
Antti Lotjonen (b)
Joonas Riippa (ds)
(Tracklist)
1 Light From Behind The Sun
2 Sothis
3 Circling Planets
4 Is There Anybody
5 Color Confinement
6 Partying Quarks
7 Slowing Down (Bonus Track)
8 Supernova (Bonas Track)
これはヨーナス・ハーヴィスト・トリオの2ndアルバム(デビュー作「blue waters」は2009年にリリースされている)。若きヨーナス・ハーヴィストにとっては実力派のベーシスト・アンティ・ロジョネンとやはり実績のあるヨーナス・リーバとのトリオ結成で、彼の思う世界を存分に演奏しきったようである。
このアルバム、日本盤と現地のフィンランドにおけるアルバムのジャケが異なっている。こっちが日本人好みなのか良く解らないが、BLUE GLEAMの成せる技か?。なにせBLUE GLEAMと言えば、あのAlessandro Galati の日本企画盤リリースのレーベルだ。実はオリジナルのジャケ・デザインが結構ジャズ・アルバムという感覚よりは、プログレッシブ・ロックといった雰囲気があって、そのあたりから彼等の時代感覚と演奏内容を推測して行く方が面白いのだ。 参考までにそのジャケを挙げておく。もともとは、日本盤の7.8.の2曲は無しの6曲のアルバムであるが、このジャケ・デザインは如何にも宇宙感覚。
実際に演奏する曲は、抒情性によって聴く者を惹きつけていくというので無く、むしろ異空間への誘いで有り、又そこには何か哲学的思想を描いているといった趣がある。ハーヴィスト自身はキース・ジャレットを敬愛し、一つの目標にしているようであるし、彼のピアノ・プレイは結構硬質でしかも技巧のレベルも高い。全トラックに通ずる彼の描く世界は、非常に繊細にして単調な旋律で無く、生やさしい世界と違って創造性のある思索的世界で迫ってくる。それをリズム隊のベース、ドラムスが一層繊細に後押ししているために、私には良く解らないが、フインランド盤の不思議な球体と惑星の砂丘を思わす異世界が妙に気になってくるんです。
究極のところの彼等の世界は、一度で頭に焼き付く美世界というのでなく、何度と聴いていくうちに何かが見えてくると言うところにあるのだと思う。期待株。
(参考試聴) "Joonas Haavisto Quartet" http://www.youtube.com/watch?v=VyqP6Wu5r88
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